うんざりするような朝日で目を覚ます。
暖炉の火はとうに燃え尽き部屋は冷え切っていた。
意を決しベットから抜け出せば冬の空気が出迎える。
決意が揺らぐ前に着替えを済ましてしまおう。
冬物の洋服に袖を通す、洋服も冷えきっていた。
偽物の足になってからというもののズボンを履くのが大変になってしまった。
きっと滑稽な動作でズボンを履いてる様はお笑いものだろう。
なんてことを独り考えていた。
着替えが完了したら今度は足をつける番だ。
左足に義足を装着する。
何度も着脱しているが慣れないものだ。
撃墜された時に失くしたもの、命の代償としては安いほうだったのだろう。
しかし、不定期にやってくる痛みが現実に引き戻す。
まるで忘れることを許さないように。
無事、左足を生やすことができたらベットから腰を上げた。
次は暖を摂らなくては。
ひと掴みの枯れた落ち葉に手ごろな枝を乗せ火をつける。
少しずつ太い枝を入れ最後に薪を投入する。
めでたく部屋に暖かい空気が広がりつつあった。
暖炉に手をかざし暖を取る。
焼くような熱を手に刷り込んだ。
少し火が大きかったか?
戸を叩く音が部屋に響く、この時間だと十中八九1人しかいない。
「開いてるよ」
扉の向こうへ告げると戸が開いた。
ブレザー型の学生服を連想させる王国騎士団の制服。
灰色の髪は肩のあたりに切りそろえられていた。
その頭頂部に生えた耳が獣人種であることを示している。
感情がわかりづらいクールな顔は相変わらずだ。
「朝食は食べたの?」
入室早々いつもの質問。
私の返答に対する答えも予測できる。
「これから作るところ」
「そう、じゃあ座ってて」
彼女はお澄まし顔でキッチンに消えていく。
王国騎士団教練隊所属のヘルマ。
SpzGの操縦手で王国騎士団の教官である。
彼女は第一期生、通称アインズと呼ばれる世代で我々進駐軍仕込みの精鋭部隊として活躍した。
皮肉なことに先の武装蜂起で我々の部隊に嚙みつくこととなったが。
部屋を抜け、階段を慎重に下っていく。
転がり落ちでもしたらヘルマが血相を変えて飛んでくるだろう。
リビングの扉を潜ると香ばしい匂いが漂っていた。
彼女はキッチンで調理中のようだ。
私の入室に気づいたのか頭頂部の耳がぴょこりと立ち上がった。
そんな彼女の背後を通り抜け朝食のパンをトースターに放り込んだ。
そのままの足でコンロに乗った鍋を火にかける。
昨夜の残り物であるスープが入っている
二人並んでコンロの前に立つ、少し狭い。
「外はどう?雪積もってた?」
「3cmほど、今日は車椅子にしない?」
調理中の彼女は視線を離さず答えた。
するりと足に尻尾が絡みつく。
「また坂を滑り落ちるのはごめんだよ」
「今度は手を離さないから」
スープの入った鍋がをかき混ぜる。
彼女との出会いは先の武装蜂起の時だった。
一時停戦が発令され負傷者の捜索救助が実施された。
その際に味方機だけでなく敵機の救助活動も行われており、彼女は回収した負傷者の一人だった。
結局、あの戦いは王国の一勢力が発した偽命令で同士討ちをさせられたのが真相だった。
私も彼女も加害者で被害者だったのだ。
スープがぐつぐつと音を立てて湯気が昇る。
食欲をそそる香りが広がり始めた。
私は暖かいうちに器に盛りつけテーブルへと運ぶと、トースターがベルを鳴らした。
コンロの彼女は慣れた手つきで料理を盛り付けるとテーブルへと運んでいく。
私もトースターからこんがり焼けたパンを取り出し机の皿に盛りつけた。
そして彼女と朝食を囲み食前の祈りを捧げる。
あの日から二年、今日も二人ぼっちの朝食で1日が始まった。
タグ回収するのが先になりそう。
キルコンだったらファンメものだぞ…(COD並感)
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