生存者   作:ORC機関

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成長限界と足枷、最後のチャンス

巨大な格納庫の最奥に私の機体があった。

撃墜されたあの日から二年、撃墜されたのが嘘みたいに修理されている。

私はゆっくりと後ろに回り込む。

SPzG2A6V、第三世代の重装甲擲弾兵である。

第二世代の後継機であり、入隊時は最新鋭機だった。

今では第四世代に少しずつ取って代わられている。

背部スラスターが視界に入る、装甲スカートが背部から見え、脚部駆動系をしっかりカバーしている。

6回目の改修でシュルツェンや光学機器のアップグレードが実施され7回目で三次元機動強化改修が行われる予定だ。

しかし、旧型機であるため性能向上は限界を迎えていた。

コストや今後の発展を考えると第4世代への乗り換えが推奨される。

私は歩みを進め正面へ移動し、正面から見えるシュルツェンを見上げる。

左足を失くした私にも第四世代への転換の話が来ていた。

正直なところ、第四世代は三次元機動戦闘を主軸に設計されている。

そのため第二、三世代のような二次元機動戦闘で一人前になった我々はまた1から学び直すことになる。

さらに私の左足が足枷となっていた。

二次元機動なら左足はあまり出番はない。

残念だが三次元機動となると両脚は必須だろう。

1秒の遅延は致命的である。

この機体に改修を施せば第四世代と同等の機体になるだろう。

しかし、最初から三次元機動を想定して設計されていないためどうしても劣ってしまう。

この機体と私は限界を迎えてしまったのかもしれない。

だが希望はある。

A7Vへの改修で第三世代の極みに行けばまだ戦える。

私の目指す場所に行けるのではないかと考えていた。

「ねえ」

背後のヘルマが声をかけてきた。

「ん?」

振り返れば心配そうな表情を彼女が浮かべていた。

考え込みすぎたかもしれない。

「戻りたいの?」

心配そうな彼女の目とぶつかる。

まるで心を見透かされているような気がした。

私は返す言葉が思いつかない、完全な図星だ。

「第四世代への転換訓練、話来てたよね」

頭頂部の耳は後ろ向きに倒れ、抑えたように彼女の声が低くなる。

私が機体に乗ることを良く思っていないのだ。

「受けるの?」

彼女の尻尾は怒りを表しているのか激しく叩きつけ、鋭い視線が私を射抜いた。

無理もない、彼女も極限まで追い込まれ死を間近で感じた身だ。

私も撃破されてからというもの機体操縦中に恐怖心を抱くことが多くなり、悪夢に悩まされている。

最近は悪夢の頻度が減って操縦中に恐怖を感じることが少なくなった。

彼女は同じ経験をして、見事に克服したのだ。

「無理だよ、作り物の足じゃ間に合わない」

「そう」

一瞬、尻尾がピンと伸び頭頂部の耳が横を向いた。

「二次元機動で手一杯だからね」

「そう…そう!」

彼女の尻尾が小刻みに震え、耳はこちらを向いている。

嬉しそうに微笑むとそのまま私の胸元に頭突きをかました。

「そうよ、その足じゃ無理なんだから」

すりすりと頭を擦り付ける彼女の不安を取り除くべく背中をさする。

「わたし、またあなたが苦しい思いするんじゃないかって不安だった」

頭を擦り付け終えた彼女は深呼吸を始める。

「だからわたし任せて、教官補助で居て」

服越しに彼女の息遣いを感じる、やめてほしい。

私の考えをどう切り出しても衝突は回避できないだろう。

しかし私も譲れない。

「A7Vへの改修しようと考えてる」

ぴたりと彼女の動きが止まり、また尻尾を激しくたたきつけ始める。

「ねえ、本気なの?」

「やめて、その足じゃ限界でしょ」

「今度こそ死ぬよ、本当にやめて」

彼女は私の胸元に掴みかかり睨みつける。

「私は予備役に降格だし、指導する時に実践的に教えられるからいい話でしょ」

彼女の目をしっかり見据える。

その瞳には怯えの色が見て取れた。

二人の間に言葉は無くなり、格納庫の整備作業音が二人を包み込んでいた。




これでタグ全回収か?()
猫の感情表現を調べながら書きました。
猫、飼いたい(猫映像中毒)
評価やコメ一切ないのにアクセスがある()
この作品がどうなってるのかわからない今日この頃。
コメ来たら私が喜びます、やったー!(野太い声)
これと世界観共有してる作品がもう一つあるんだけど
欲しかったら全部あげます(某生徒会長)
あと誤字等あったら教えてください、お急ぎ便で直します。
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