過去編と現在を行き来しながら進行する形式なのですが、読み辛かったりしないかな(心配)
何かあればぜひご意見ください。
昼食を終えて私達は格納庫へと戻った。
私の機体の周りには整備員たちが集まっている。
「まだ改修作業を依頼してなかったんじゃないの?」
不機嫌そうなヘルマからの追求が刺さる。
「まだ依頼してないよ」
「そう」
私の言葉にヘルマは鋭い視線を向けた。
隣のミリーは苦笑いしている。
青い作業服に身を包む彼らの中によく知る顔が見えた。
「オットー君!」
思わず私は彼らに駆け寄った。
あの武装蜂起から2年、整備班の若手であった彼も立派な整備員として活躍していた。
「フランツさん、お久しぶりです」
彼と面と向かって話すのも久しい。
王立騎士団の整備員育成や整備業務で忙しいはずだ。
「忙しいだろうによく来たね」
「フランツさんがA7Vに改修するって言うから下見に来ました」
彼は嬉しそうに笑うと機体に向きなおした。
「君には感謝してもしきれないよ」
撃破された私の機体は彼の手で修理された。
この格納庫に鎮座した機体たちは戦死した仲間の機体から部品をかき集め、徹底的に修理された。
そして、調整や改修までしてくれた。
「むしろ私こそ感謝しています」
彼は機体の足を愛おしそうに撫でる。
戦友の遺品で蘇った機体だ、皆愛着を持っている。
「フランツさんの機体で一人前になりました」
「死んだ仲間の遺品でみんなの機体を直しました」
「私がここに居れるのは皆のおかげなんですよ」
彼はこちらに向き直る。
立派になった彼が大きく見えた。
「本当にすまない」
改めて彼に頭を下げる。
正直なところ私は別の道を探すべきなのだろう。
しかし私はこんな終わり方に納得がいかなかった。
私は生きている。
だから意地を張ってここまで来てしまった。
ヘルマの言うことは正しい。
足掻いたところで進歩していく技術に勝てないだろう。
しかし諦めてしまっては仲間たちの死は無意味なものになってしまうだろう。
だからこそ意味のあるものにしたかった。
彼らの遺品で報いたかった。
「いいんですよフランツさん」
顔を上げれば彼は笑うとサムズアップして見せる。
「私達が機体修理を受けたあの日から私らは共犯者なんですよ」
「それに見てみたいんですよ」
彼は機体を見上げた。
その眼には無限の可能性を見たような、憧れの色が浮かんでいる。
「拾った希望を掲げてどこまで行けるのか」
噛み締めたような言葉で語る彼もまた同じなのだろう。
そんな彼の横顔に思わず笑みがこぼれた。
「拾った希望か、いい表現だね」
「気に入った、とことん頼むよ」
彼に握手を求める。
とても嬉しそうに手を握り返してくれた。
「ええ、地獄だろうと行ってやりますよ」
彼の本気度は目を見ればわかった。
機体が撃破され修理を行い、恐怖を乗り越え、調整を行いここまで私達は来た。
あの日から早二年、私達の戦争は確かに続いていた。
minimum electric design はいいぞ!(布教)
グーテンベルクの科学世紀とかも好きですがヒロインもおすすめです。
好きな曲なのでこの作品中にも影響してる部分があります。
ぜひ一度聴いてみてください。
誤字あれば教えてください