「発射15秒前、内部制御に切り替え」
ヘッドセットから流れる音声は管制塔から発せられていた。
夜が迫る群青色の空に対空砲火が煌めいていた。
「11、10、9、点火準備開始」
私は無事に渡河することに成功し補給所へたどり着くことができた。
機体の搭乗ハッチから顔を出せば夏特有の生ぬるい空気が出迎える。
視界にはシャトルの発射場。
照明で照らされた先には脱出船が打ち上げ台に据えられ、その時を待っていた。
「6、5、4、」
脱出船は民間人を満載しており、我々の席はなかった。
補給所の職員たちは皆シャトルに釘付けになっており、そういう私もこうして見物してしまっていた。
「3、2、1、0」
シャトルから閃光が放たれ、轟音が響き渡る。
「全機エンジン点火正常、上昇します」
まばゆい光たちが天へと昇っていく。
あっという間に見えなくなり、白い煙を残して去っていった。
私はしばらく空を眺めていた。
「防衛司令部より各部隊へ、王国軍の提案により本時刻を持って戦闘を停止」
「6時間後に今後の方針を決定する」
対空砲火が止み静寂が訪れた。
まだ西の空には夕が残っている。
「フランツさん、追加で武装のせますか?」
整備班の若い男が下から声をかけてきた。
私は手元の情報端末から装備を確認する。
依頼したのは50㎜装甲騎兵銃(PzK)から20㎜装甲機関拳銃(PzMP)への変更と肩部有線式ミサイルへの補給だ。
「なにか余ってるものがあれば」
「200㎜対戦車擲弾発射機はいっぱいありますよ」
PzF200、使い捨て対戦車兵器で近距離のSPzGへ対する攻撃力と量産のし易さが評価され、背部や腕部にマウントされるようになった。
しかし、無誘導弾であるため移動目標や距離があると命中は難しい。
「ないよりかはマシだね、いただくよ」
「了解です」
彼は敬礼を一つすると仲間たちのところへ駆けて行った。
そんな彼を見送ると腹の虫が一つ鳴いた、そういえば昼食もまともに取れなかったことを思い出す。
機体胸部の雑具入れから携帯食料を取り出した。
封を開け中身を取り出せばクッキーと缶珈琲と数種類の缶詰が入っていた。
整備班が忙しなく作業する中で夕食を食べ始める。
もそもそとした淡泊な味のクッキーを咀嚼しぬるい缶珈琲で流し込む。
雑具入れに入っていた缶詰は微妙な暖かさを持っていた。
濃い味付けを淡泊なクッキーで中和する。
感情を抱くことのないこの食事はもはやただの栄養摂取行為だった。
西の空に残った茜色は消えて夜の群青に染まっていた。
生ぬるい夜風が頬を撫で、湿った空気が肺を満たす。
整備区画の方を見れば火災が起きているのだろう、夜空を赤く染めていた。
「第34装甲駆逐中隊各員へ伝達、生存者捜索のため20:00までに管制塔に集合せよ。」
ヘッドセットから命令が伝達された。
集合時間まで30分もない、私は夕食を詰め込み水筒で流し込んだ。
ゴミはまとめて袋に詰め、雑具入れに投げ込み蓋を閉じる。
燃料の補給は完了、武装変更も完了、整備班は先ほど依頼した追加武装の作業をしていた。
「オットー、あと何分ぐらいかかる?」
先ほどの整備士に声をかける。
彼らはこちらを見上げた。
「10分ほどで完了です、招集ですか?」
「そう、生存者捜索」
「急いで準備します。」
そう答えると彼らの作業スピードが上がった。
今日1日で大変な量の整備をしたはずなのに急かすような注文に申し訳なさを抱いた。
搭乗ハッチから操縦席に戻りハッチを閉める。
機体のOSを起動、メインシステムは通常状態に移行させる。
武器を変更したため火器管制システムの設定を変更する。
右腕武装の設定をPzKからPzMPへ変更、左腕の設定をPzF200に変更。
右肩部のミサイルは変更なし、左肩部に装備なし。
「フランツさん、出撃できます」
ヘッドセットからオットーが報告が届く。
素晴らしい速さだ。
「みんな本当にありがとう、行ってきます」
「お気をつけて」
待機態勢から移動態勢へ変更、歩行移動を開始。
後方のカメラを開けば彼らが手を振っていた。
ほんの少し嬉しかった。
武器は実物の武器を参考に考えています。
さすがにアハトアハトは積めないよな…自走砲にするしかないか。
Pak40なら肩部に行けるか?機動戦で活躍しそう。
Flak38の単銃身なら肩部に積めそうだけど手持ち武器でええやんってなる。
最初に出てきた刺突爆雷の弾頭は吸着地雷の設定です。
元ネタは接触信管っぽい、機体の腕なくなってまうやんけ。
誤字あったら教えてください。