いや、まって色々あったんですよ
仕事が忙しかったり、Twitterに手を出したり、ボーナスでPS5を買ったり…あと、pixivに支店を構えてここの作品を引っ越してたり…
なんていうか…その…待たせたな!(待ってない)
楽しんでいただけると幸いです。
本当にお待たせしました。
翌日、休暇の私は目的を見失っていた。
昨日のヘルマとの諍いを思い出しては頭の中でぐるぐると回っている。
着替えを済ませてリビングに降りればヘルマがキッチンに立っていた。
コンロに向かい目玉焼きを作っているようだ。
私の足音を聴き取ったのかピクリと頭の耳が起き上がった。
「おはよう」
そんな彼女の後ろ姿に挨拶を投げかけると頭頂部の耳がこちらに向く。
「おはよう、出かけるの?」
こちらを振り返る事無く彼女は問いかけてきた。
声色的に少し不機嫌そうだ。
「オットーくんの所まで」
「ふーん…」
私の答えに彼女は低い声でそう告げると黙り込んでしまった。
どうやら気に入らない様子だ。
「朝食、食べるんでしょ?」
やっと彼女が口を開いた頃には目玉焼きが皿の上に滑り込んでいた。
視線は私の目を捉え、彼女の頭頂部にある耳は私に注目している。
尻尾は退屈そうに先端のみ床に叩きつける動作をしていた。
「ありがとう」
私の言葉に頭頂部の耳がピコピコと動き、尻尾がゆったりと揺れた。
顔は変わらず不機嫌そうなままである。
食器が音を立てて置かれた。
それでもこうして朝食を作ってくれる彼女の優しい所は私は好きであった。
「やるんだ?演習」
彼女からの問いかけに私は冷や水を浴びせられたかのような気分になる。
しかし、ここで逃げてしまえば二の舞だ。
「繰り返しになるけど、やっぱりこの関係は良くないと思うんだ」
言葉に鉛が詰まっているような錯覚をしてしまう。
「いいじゃない、貴方この関係で何か困った事あった?」
相変わらず澄ました顔で言ってのけるヘルマに私は言葉を飲み込む。
お互いに見つめ合って数十秒。
私は返す言葉を見つけられなかった。
ヘルマの居る自宅から逃げるように出かけた私は我に帰ると格納庫の入り口に居た。
完全に重症末期患者である。
曇天の空と同化しそうな格納庫を見上げて扉を潜り抜ける。
足元に伸びる見慣れた緑色の安全通路を進んで行くとSPzGが並び青い作業服に身を包んだ職員がそれぞれ忙しく仕事をしていた。
いつもの最奥にある整備区画に私の機体が居る。
連邦軍で採用されている暗い緑色で塗装されたボディ、肩のシュルツェンに白色で盾の輪郭線に同色の斜め線が入った部隊章、進駐軍予備戦闘大隊を示す。
機体の所々に白のラインがペイントされていた。
これは王立騎士団教練隊の識別リボンである。
「フランツさん!来てたんですね!」
オットーくんが大きく手を振りながらこちらに歩みを進める。
背後には背の高い獣人と耳の長い長命人種の職員がついてきていた。
「紹介します、リーナとウルリヒ」
背の高い獣人の女性職員がリーナ、長命人種がウルリヒとオットー君が紹介してくれた。
あの日から早くも2年が経過し、それよりも前から限定的に実施された現地人雇用制度は今も続行されている。
今では異種族が職場に居るのも当たり前である。
リーナと呼ばれた職員は私よりも背が高い。
ヘルマと同じく頭頂部に耳があり、背後には触り心地の良さそうな尻尾が激しく揺れていた。
獣人種なのだろう。
「よろしく」
私の言葉に首を縦に振る彼女は終始鋭く凛とした表情を崩さない。
なんだかヘルマに似ているように感じる。
「ウルリヒ君は今期からウチに配属になります」
オットーくんは彼の肩を軽く叩くとウルリヒはどうもと軽く会釈した。
長命種という事はミリーと同じ種族だ。
彼らは耳が長く人間の数十倍ほど寿命が長い、所謂エルフと呼ばれる。
「ヘルマさんは一緒じゃないんですか?」
オットーくんは辺りを見渡して不思議そうに聞く。
普段ヘルマがべったりくっついているから疑問に思うのも無理はない。
「ちょっと色々あってね」
「もしかして夜間演習が絡んでますか?」
言葉を濁した私に間髪入れずにオットーくんは追撃してきた。
やはり彼には隠し事はできないな。
「ヘルマから聞いてたか、夜間演習なのは初耳だけど」
私の言葉に彼は笑うと大型携帯端末を起動する。
「ミリーさんから今朝連絡がありまして」
彼女、相当ゲンナリしてましたよとオットーくんが笑った。
「夜間戦闘なんて状況設定は久しぶりですし、俺色々考えたんですよ」
彼は大型携帯端末のパッドを見せる。
演習場の航空写真に過去の夜間戦闘演習の戦略端末記録を指でスライドさせた。
「えらくやる気だね」
私の言葉にオットーくんは真剣な顔をする。
「あの日と同じ状況、でも違うのは物資はあること…」
「フランツさん、きっとリベンジマッチなんですよ、あの日の」
「遺品で直した貴方の機体で勝ってください!」
「仲間達の弔い合戦だと思って」
彼の目を見据えればそこには確かな闘志が燃え盛っていた。
「当たり前だよオットーくん、はなからそのつもりだよ」
私の言葉に彼は満足そうに頷いた。
「やってやろう、みんなの遺品から拾った希望を掲げて」
「はい、お供しますよ地獄まで」
前に彼が言っていた言葉を口にすると彼はやる気に満ちた声で答える。
彼と共に自分の愛機を見上げれば曇天の切れ目から日差しが機体へと伸びていた。
まるで戻る事を促すように。
誤字脱字ありましたら教えてください。
爆速で修正します。
続きはもう少し待ってください
書けそうで書けないんです。
あまり期待しないで待っててください。