生存者   作:ORC機関

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私の罪

静寂が辺りを支配していた。

孤立した私は身動きが取れない、恐ろしい夜が始まる。

熱線映像装置で辺りを伺う、味方を見つけなくては。

撃破された車両や機体の残骸が熱を持ってしまい見分けがつかない。

光増幅型の暗視装置も使用してみたが炎上する残骸のせいで使えたものではない。

戦略地図ではここは敵の支配領域であることを示しており、いつ敵が来てもおかしくない。

停戦命令が出てからというもの敵の動きは不明。

敵機は見かけなくなり、一定間隔で遠くで打ちあがる照明弾だけが唯一わかる動きだった。

戦闘が再開されれば掃討戦で袋叩きにされてしまうだろう。

味方の前線は整備区画の入り口付近。

入り組んだ整備区画の端が私の現在位置だ。

右背部に搭載した近接武器に持ち替える。

脚部履帯での走行で歩行よりは騒音を抑えられるだろう。

意を決し倉庫から移動を試みた。

通りには戦車や機体の残骸が並んでる。

炎上の仕方から生存者はいないだろう。

無灯火で進む、視界は悪い。

戦略地図に視線を移せば不明機の表示が出ていた。

すぐそこの交差点の先に反応がある。

敵機だろうか?もしかしたら生きている友軍機かもしれない。

走行速度を上げ、交差点に差し掛かる。

道の真ん中に機体が一機、待機姿勢で停止している。

黒い塗装に進駐軍の紋章、識別色は赤色、進駐軍戦闘部隊だ。

識別番号の書かれたプレート脇に着いた赤色回転灯は辺りに赤い光を撒いていた。

王国騎士団の残骸には王国騎士団の兵士二人が立っている。

機体頭部がこちらを捉えた。

待機姿勢から復帰しこちらに向き直る。

このままでは二人は捕虜の身分となってしまう。

捕虜の扱いは連邦法で保障されてはいるが信用はできない。

他国との戦争では悲惨なものだった。

進駐軍が同じでない確証はない。

彼らだって仲間を殺されている、快くは思わないだろう。

ここで敵機を落とせば敵は救助を優先する。

追撃は行わない、二人を連れて脱出できるだろう。

右腕近接武装を準備する。

この武器は実体刀身の熱溶断機で攻撃目標を熱によって断ち切る武器だ。

敵の武装はPzMP、装甲で耐えられる。

「交戦の意思はない、武装を格納しろ」

スピーカーでの呼びかけが聞こえる。

男性の声だった。

ゆっくりと通りへ前進し彼と対峙する。

ロックアラートが鳴らなかった。

火器管制システムは起動していない?

交戦の意思はないのか?

彼は少し後ろを振り向き左腕でハンドサインを出した。

手を払う動き、退避を命じている。

「最終通告だ武装を格納しろ」

彼の武装がゆっくりとこちらを向いた、検知器が敵機の火器管制システムを検知し警報が鳴る。

殺すしかない。

私は一瞬スラスターを吹かし前方へ飛び出す、体当たりの速度で近接武器で刺突する。

彼はスラスターを使った回避で倉庫に追突した。

後方の王国騎士団兵を配慮した動きなのだろう。

延ばした右腕を初期位置に戻し、彼を追い詰める。

私は追撃を浴びせた。

しかし、絶妙なタイミングの回避で私の脇をすり抜けた。

攻撃は彼の左腕をかすめ武装を誘爆させたが左腕を破壊するに留まった。

経験が深くない私でもわかる上手な回避行動。

演習では味わえなかった洗練された動きに見惚れてしまいそうだ。

彼は態勢を立て直すと銃口を向けた。

しかし、ヘッドカメラは私ではなく別の場所を見ているようだ。

その余裕な態度に少し腹が立った。

その時、彼の機体から上空へ何かが打ちあがった。

青色の光が降り注ぐ、救援を求める信号弾。

時間はない、私はスラスターを吹かし突進する。

彼の背後には戦車の残骸があるため回避は不可能、溶断機を右上から左下へ切りつける。

切っ先が彼の胸部を切りつけた。

増加装甲が熱融解する。

この機を逃すまいと彼の武装が火を噴いた。

左肩部の多連装煙幕発射機が吹き飛ぶ、賢い判断ではあるがロケット砲内に弾はないため誘爆はしない。

手首を返して上へ刀身を移動させる、返し切りの要領で彼の右腕を溶断した。

これで彼の両腕はない、脚部を破損させて頭部を損壊させるだけ。

ほんの一瞬、気が緩んだ私を彼は見逃さなかった。

彼の胸部機銃が火を噴き衝突音が操縦席に響きわたる。

しまった、油断した。

私はスラスターで距離を取る。

ロックアラートが鳴り、彼は機銃を絶えず射撃している。

至近距離なら火器管制システムの誘導無しでも当たる。

不意を衝くにはもってこいというわけだ。

胸部機銃は7.62㎜機銃のためカメラ映像が衝撃で乱れる程度で装甲は貫通しない。

彼の機銃は弾切れを起こしたのか止まってしまった。

しかし、ロックアラートが鳴りやまない。

ノイズが治った画面で彼の機体を目に収めた。

肩部誘導弾発射機はこちらを捉えていた。

「しまった!」

思わず声に出てしまった。

発射管から誘導弾が飛び出しブースターに点火。

授業で習った誘導弾防御兵器が脳裏に浮かんだ。

これだ!

一か八かで近接防御兵器を動作させる。

もともとは肉薄した敵歩兵に対して使う兵器で対人地雷を使用する。

機体周辺に射出されたSマインが起爆した。

小さな鉄球が周囲を薙ぎ払いミサイルを誘爆させた。

私はスラスターを吹かし、爆煙を抜ける。

そのままの勢いで刺突攻撃を実施する。

左胸部を損傷させ、横転した。

背部スラスターから引火した燃料が吹き上がる。

背部の予備弾薬や胸部機銃が爆ぜ始めた。

撃破だ。

私、ミリーは初めての撃破を噛み締めた。

高まる高揚感に停戦命令なんて既に頭から抜けていた。




多連装煙幕発射機は秘匿名称です。
現地国民からの反発がないように大型の煙幕発射機と説明しています。
たまたまロケット砲弾も使えただけです。(目をそらす)
近接武器の熱溶断機は熱で目標を破壊する実体剣です。(某作品のヒートな剣みたいな感じ)
機体にFlak40 Zwillingを装備させたくなっているついこの頃。
連装砲かっこいいよね、61式戦車とかさ…
なお積載重量超過するので装備できない悲しみ。
積載問題解決のために4脚にするか()
誤字等あったら教えてください。
倍の速さで直しに行きます。
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