TS若返り傭兵は旅をする   作:Aa_おにぎり

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私の文体はそんなに特徴的かね?


#118

メイコーで行われる花火大会を前に水族館を訪れたスフェーン。

浴衣に簪を差して後ろ姿も華やかになった彼女は下駄の音を鳴らしながら水族館を巡る。

 

「うわぁ…亀がいっぱいね〜」

 

そう言いスフェーンは目の前を泳ぐアカウミガメを見る。

 

「此処は亀の繁殖もやっているみたいだぞ」

「マジかぁ…」

 

人口の砂浜には今も亀が数匹、打ち上げらるように休憩しており、巨大な水槽には無数のウミガメが泳いでいた。

 

「でっけ〜」

 

そんな亀を前にヒエンも上から見下ろすと、スフェーンはそんな亀達を見ながら呟く。

 

「あぁ〜私も泳いでいるだけで毎日お金もらえる生活したい」

「それは飼育された動物だけに許される特権だな。代わりに見世物小屋に押し込まれるぞ」

 

そんな彼女にハヤブサが言うと、

 

「兄さん…」

「言い方言い方…」

 

ヘレンとショウキが少し顔を引き攣らせて言った。

 

「あとはクラゲとペンギンかしら?」

「そうですね」

 

スフェーンにヘレンが答えると、時計を見ていたハヤブサが言う。

 

「それよりも…」

 

そう言いながら時計の時刻を見せると、スフェーンは持っていたパンフレットを見た。

 

「あら、そろそろ良い時間ね」

 

イルカショーの時間が近づいており、スフェーン達はそれを観に行こうと一旦見物を中断してイルカショーを行うスタジアムに移動する。

 

 

 

「うわぁ…」

 

そして移動した先でスフェーンは顔を引き攣らせた。

 

「もうこんなに座ってるんですか…」

「絶対スタンバッてた人ばっかやん」

 

ペギーとヒエンが言って、スタジアムの席に群がる人を見る。

 

「これはちょっと予想外だったな…」

「まだ始まる二〇分前よ?」

 

そう言いながらなんとか席を探し、運良くやや右寄りの中腹の二列が空いており、三人ずつに分かれて座った。

 

「前は埋まっているわね…」

 

スフェーンはそう言い一番下の通路に詰まっている人を見て言うと、

 

「濡れたいなら座っても良いんですけどね…」

「そうだな…」

「うん…」

「私は、いい」

 

どこか遠い目をする子供達四人。スフェーンは彼女達を見てどう言うことだと思っていると、

 

「前座るとまぁまぁ容赦無く水が飛んでくるんだよ」

「あぁ、だから雨合羽…」

 

前方の席はほぼ全員が雨合羽を着ており、地面もいくらか濡れていた。

 

「化粧なんか容赦なく落ちますからね。スフェーン姉さん含め私達は絶対やめた方がいいですよ」

 

女子三人は、今日は化粧をしていた。

 

「花火大会前に化粧し直すの面倒ですし」

「海水だから、髪も痛む」

「Oh…」

 

何気にペギーの一言でスフェーンは納得すると、次に浴衣や甚平姿のカップルや家族連れを見る。

 

「これじゃあ夜も心配になってくるわね…」

 

これほどの人を前にスフェーンが言うと、

 

「そこは大丈夫さ」

「え?どうして」

 

やけに自信のあるハヤブサにスフェーンは軽く首を傾げると、彼は薄く笑みを見せて言った。

 

「安心しろ、一番よく見える場所に招待してやる」

「答えになってない気がするんですが…」

 

ややジト目でスフェーンは団扇を仰いでハヤブサを見ていた。

 

 

 

その後、どんどんスタジアムに訪れる客は増え続け、観客席はすべて埋まって立ち見客も増えていた。

 

「早く来て正解ね」

「あぁ、全くだよ」

 

スフェーンとハヤブサはそんな事を言っていると、スタジアム全体に音楽がかかり始め、アナウンスが入った。

 

「おっ、始まるか…」

 

直後、ワイヤー吊り下げられたボールに水面から飛び出したイルカ達が鼻先でタッチするとそのまま水柱を上げて水面に帰って行く。

 

「「「おぉーっ」」」

 

その様子にスフェーンも感嘆の声を上げてショーをするイルカを見る。

その後もインストラクターによるイルカの波乗りや、様々な演目が行われ、観客達を沸かせる。

 

「キャーッ!!」

 

そして前方の、先ほど雨合羽を被っているところに座っていた観客達は間近を通過するイルカから容赦ない海水シャワーを浴びていた。

 

「シャワー…ではないか」

「どっちかと言うと海水のぶっかけだな」

 

此処まで飛んだ海水の香りが口の中に広がっており、その激しさを物語っている。

 

「バケツでぶっ掛けられている見たい」

「実際そうかもしれん」

 

そう言うとハヤブサはスフェーンを一瞥する。

スフェーンの嵌め込まれたイヤリングは色とりどりの光を反射しており、豪華な簪に負けないくらい映えていた。

 

「ん?どうかした?」

「あぁいや、何でもない…」

 

スフェーンの問いにハヤブサは返すと、彼女は少し意地悪な笑みを浮かべた。

 

「あら、私に恋しちゃった?」

「いや、それは無い」

「即答かよこの野郎」

 

ハヤブサの遠慮ない返事にスフェーンは突っ込むと、そのまま軽くため息を吐いてイルカショーを見る。

 

「んで、これ終わったらどうする?」

 

聞くと、彼は時計を見ながら言う。

 

「飯はあとでも良いだろう…先に水族館を済ませよう」

「あら、昼は此処で食べないの?」

「むしろこの人で食えると思うか?」

「まぁ…そうね…」

 

チケットは一日出入り自由であるが、できればスマートに済ませたいと言うハヤブサの思惑を感じながらスフェーンは苦笑する。

 

「無理でしょうね…この人じゃあ」

 

スフェーンはそう言い立ち見席もパンパンなスタジアムを見て思うと、前の席に座るショウキの肩を軽く叩いた。

 

「ごめんだけど、昼ごはんは少し遅めにするわね」

「まぁこの人ですからね…」

「仕方ねぇだろ」

 

イルカショー見ていた彼等はそう言うと、クライマックスでイルカが盛大に飛んで水飛沫を上げて終了した。

 

 

 

その後、ペンギンを展示している場所に向かったスフェーン達。

 

「ベルーガのところと言い、此処と言い、肌寒いわね」

「そりゃあ生きている場所がそれぞれ南北極地だからな」

「寒いですよね〜」

 

ヘレンが言うと、展示の椅子に座り込んで反対に群れで佇むペンギンを眺める。

おそらくギャアギャア恐竜のように鳴いているのだろうが、アクリル板越しには微かに鳴いているようにしか聞こえなかった。

 

「ねぇ、ショウキ」

「?」

 

そこでスフェーンはショウキに聞いた。

 

「ペンギンの声って聞こえる?」

「え?鳴き声が聞こえているじゃん」

 

ショウキはスフェーンにそう返すと、彼女は少し首を傾げた。

 

「…耳詰まったかなぁ」

「耳かき買ってやろうか?」

 

ハヤブサが茶化すように言うと、スフェーンは軽く睨み返した。

そしてペンギンが水槽の海に飛び込んで弾丸のような速さで泳いでいるのを見てスフェーンは呟く。

 

「何でペンギンが人気なのか分かった気がする」

「いきなり何言ってんだ?」

 

ハヤブサは真顔で首を傾げながらスフェーンを見ると、彼女は立ち上がって次の場所に移動しようとした時、

 

「アラーッ!?」

 

段差で躓いてそのまま顔から地面に転けると、それを見ていたショウキ達は慌てて駆け寄ると、スフェーンの手を取って体を回した。

 

「大丈夫ですか?」

「あぁうん…大丈夫…」

 

申し訳無さそうな顔をしながらヘレン達を見ると、

 

「教祖様か?それともワンダーコアか?」

「噂して無いし、腹筋割れないわよ」

 

ハヤブサから差し出された手を掴んで体を起こしたスフェーンは直後に、

 

「…ごめんね」

「えっ…?」

 

耳元で囁き、ハヤブサはその時のスフェーンの顔に困惑をしていた。

とても悲しげに、申し訳無さそうにしながら彼女は言っていたのでハヤブサはその意味が理解できなかった。

 

 

 

そして最後にスフェーン達はクラゲを展示しているブースを訪れた。

 

「綺麗ね〜」

「シャンデリアみたいですよね」

 

円形の水槽に水が循環しており、そこにライトを照射されたおかげでクラゲに色がついたように輝いていた。

 

「…やっぱ、クラゲを見てポニョが浮かぶのは俺だけなのか?」

「大丈夫、多分私もだから」

 

フォローするようにスフェーンはハヤブサに言うと、彼は少々嫌そうに返した。

 

「えぇ…お前と同じ思考かよ」

「悪かったわね。こんな女と同じ思考で」

 

スフェーンとそんな事を話しながらハヤブサ達は水族館を粗方見終えると、帰りに土産屋に寄ってそこでスフェーンは水族館土産を吟味していた。

 

「そんなに悩むことか?」

 

シャチとベルーガのぬいぐるみを前に悩んでいるスフェーンにハヤブサが呆れるように言う。

 

「だって、次いつ来るかわからないし…」

「そんなに悩むなら全部買っちまえよ」

「…」

 

ハヤブサが言うと、スフェーンは目を見開いてハヤブサを見た。

 

「な、何だよ…」

 

ハヤブサはそんなスフェーンに少々恐ろしさも混ざった目で見ると、スフェーンは呟いた。

 

「アンタ、天才?」

「なぜその選択肢が初めに消えているんだ…」

 

スフェーンから出た一言で察した彼は呆れたようにため息を吐いていた。

 

 

 

「結局この荷物ですか…」

「良いでしょ?」

 

二つのぬいぐるみを買ったスフェーンの横でヘレンがややジト目で彼女を見る。

 

「部屋がまた狭くなる…」

「水族館でも作るの?」

「そんなに集まるかなぁ…」

 

スフェーンはだんだんと増えてっている部屋の中の荷物に確かに危機感があった。

なのでたまに断捨離で不必要な物は廃棄していた。

 

『また物が増えますね』

「(でも想像してみ?ぬいぐるみに囲まれて寝る光景)」

『…幸せそうに寝るスフェーンが容易に思い浮かびます』

「(そっちかい)」

 

完全に成人男性が消えているような生活にルシエルは苦笑気味にスフェーンに言う。

 

『しかしこれ以上ぬいぐるみを無作為に買うと、本当に部屋が水族館になりますよ』

「(大丈夫でしょ、水族館ってそんなに行かないだろうし)」

『それは如何でしょうか…』

 

後にルシエルの懸念は的中し、そこでスフェーンは大変困った事態に陥る事になるのであった。

 

「取り敢えず、あとは花火大会でしょう?」

「はいっ!」

 

ショウキが頷くと、ハヤブサはスフェーンに伝える。

 

「この時間になったら、ここに来てくれ」

「分かった」

「迷ったら、そいつらに聞いてくれ」

「はいよ」

 

そう言いスフェーンの側で立つヘレンとペギーを見ると、二人は軽く頷いた。

 

「じゃあ、それまでは二つに分かれるのね?」

「ああ、二人を頼んだ」

「はいよ〜」

 

ハヤブサはショウキとヒエンを連れてそのまま祭り会場に消えて行くと、スフェーンは聞いた。

 

「じゃあ、二人ともどこに行く?」




あまりにも書き溜めが多くなっているので一日二回投稿するか検討します。



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