TS若返り傭兵は旅をする   作:Aa_おにぎり

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#155

困惑するサラにスフェーンは言う。

 

「何って…これから行く場所への対策ですけど?」

 

至って真面目な顔でスフェーンは言うと、サラは聞いた。

 

「…もしかしてスフェーン。行先事前に調べるタイプ?」

「えぇ、そうですが?」

 

スフェーンは何を当たり前な事をと言った様子でサラを見る。

 

「お化け屋敷に行くだけじゃん…」

「えぇ、だからこの装備で行くんです」

 

そう言って彼女はロケットランチャーの弾薬を装填している背中を見せる。

 

「もしかして…そう言うの怖いの?」

「当たり前じゃないですか」

「…」

 

スフェーンはそう言うと、サラはそこでお化け屋敷を前に怯えるスフェーンを想像して吹き出てしまう。

 

「ブフッ…アハハハハハッ」

「ナァニワラッテイルンデスカ!!」

 

スフェーンはそう言って返すと、サラは涙を拭いながら重装備なスフェーンに言う。

 

「いやぁ…重量級サイボーグでもビビっていないスフェーンにも怖いものがあるんだと思ってね…ちょっと…」

 

そう言って彼女はスフェーンを見ると、彼女は顔は不満そうであった。

 

「こっちだってまさかお化け屋敷に行かせようとするなんて思いませんよ!!」

 

スフェーンにとってそう言う物怪の類は傭兵自体から苦手なものの一つであった。理由は防御手段を知らないから。

これならよっぽど野盗とかロリコンの方が物理的な防御手段があるから安心できる。

 

「でもまぁ、来てくれたのは嬉しいわ」

 

彼女はそう言うとこれから向かうとある屋敷のある方を見上げる。

 

「じゃあいきましょうか」

「おう、今の私はどんなのが来ようと倒してやるわ」

「屋敷吹っ飛ばさないでよ?」

 

彼女はそう言うと車に戻ってスフェーンはサイドカーに跨った。

 

 

 

 

 

その屋敷は、かつてその地を納めていたとある富豪の本邸であった。

しかしその富豪はある日、強盗の襲撃に遭って一家皆殺しに遭った。

使用人を含め全員が凄惨に殺害されたその事件現場は、その後不可解な事案が多発していたと言う。

特に最近はそういう怪談話で有名になっていると言う。

 

夜中にいきなり叫び声が聞こえたり、中に肝試しに入った者達が屋敷の中で怪我をして逃げ出したり。

屋敷の中でいきなり少女が現れたり、絵画から声が聞こえたりと…その噂には事欠かなかった。

 

「殺害された一家の怨霊が、今も家の中を漂っているのかも知れないわよ〜」

 

サラがおどろおどろしく言ってスフェーンに今回訪れる屋敷の駐車場にバイクと共に停める。

 

「そっ、そんなの…ただの…う、噂ですから…」

 

そう言って強がるスフェーン。先程まで強力な武器があるからと豪語していた姿がお笑いのように足が少し竦んでいた。

そんな彼女にサラは魔が差して周囲の森に向かって指を差した。

 

「あっ、何あれ!」

「ヒェッ!?」

 

咄嗟にその方に小銃を向けると、彼女の顔は青くなっていた。

今にも発砲しそうな勢いでサラの差した方角を見ていた。

 

「あはははっ、冗談よ〜」

「次やったら容赦しませんからね!!」

 

スフェーンはそんなサラに怒り顔で詰め寄る。

牽引していた自動迫撃砲は列車に積んでいた代物であり、特別にチューンしたサイドカーのおかげでここまで運んでいると言う。

 

「うわっ、武器すご」

 

そしてサイドカーには自動迫撃砲の弾薬クリップやロケットランチャーの弾頭が積まれていた。

 

「これで幽霊が来ても吹き飛ばしてやれます!」

「その前に建物が崩壊するわよ」

 

そもそも幽霊に物理攻撃は効くのかと首を傾げながら彼女も持って来たKS-23を確認する。

 

「さて、行くわよ」

「本当に行くんですか…?」

 

怯える彼女を引っ張りながらサラは言う。

 

「じゃなかったら、ここに来た意味ないわよ」

「そんなぁ〜…」

 

そう言いながらスフェーン達は古く壊れた門をくぐって古い洋館の中に入って行った。

 

 

 

「うぅ〜…暗いし、恐ぇ…」

 

小銃を両手に抱え、背中にロケットランチャーを抱えるスフェーンは生垣の崩れた庭を見る。枯れた木々や草が埋め尽くし、長年手入れされていないことは誰か見ても明白だ。

庭には塔もあり、何かしら知らせる役割があったのだろう。

 

「大丈夫よ、ちょっと行って帰ってくるだけだし」

「そもそも不法侵入で捕まっちまいますって…」

「大丈夫よ、この家の所有者は誰のものでもないわ」

 

そう言ってサラは屋敷の扉を手に取る。

 

「そ・れ・に」

 

そこでサラは少し目を輝かせて言う。

 

「ここには強盗が押し入った時に見つからなかったこの家の家主が隠していた財産が眠っているって言う話があるの」

「…まさか」

 

スフェーンはそこでサラが態々ここを訪れた理由を察し、ジト目を向ける。

 

「もしこの探索で見つかったら面白いと思わない?」

 

そんな噂の隠し財産に淡い期待をするサラにスフェーンは言う。

 

「…一回しばいて引き摺り回していいですか?」

「そんなこと言わないで頂戴よ〜」

 

そう言い扉を試しに引いたら、

 

「あら?」

 

不思議と扉に鍵はかかっておらず、簡単に開いてしまった。

 

「鍵は掛かっていないのね」

「古い電子錠ですね…壊れているけど」

 

そう言いサラは中を覗くと、そこには誰もいなさそうな雰囲気であった。

 

「ねぇ帰ろう?まだ引き返せるしさ…」

「えぇ〜せっかくここまで来たのよ?行きましょ」

「中に変な人間いたらどうするのよ…!!」

 

スフェーンはサラの服の袖を掴んで叫ぶも、彼女は言う。

 

「こんな辺鄙な場所に住む浮浪者なんていないわよ」

 

そう言い彼女は扉を開けて中に入る。

スフェーンはそんな彼女に扉の前で背を預けて立っていると、

 

「スフェーンも入るのよ」

「あっ、ちょっと!!」

 

首根っこを掴まれて彼女は屋敷の中に連れ込まれた。

 

「何するんですか!!」

 

屋敷に連れ込まれた彼女はサラにやや怒り調子で言う。

 

「何のためにここに来たのよ」

「うぅ…来るんじゃなかった…」

 

スフェーンは恐怖で涙目になりながら小銃を強く握り、サラも同様にスフェーンを掴む反対の手で散弾銃を握っていた。

 

「行くわよ」

「…はい」

 

そうして二人は屋敷に入ると、月明かりの見える廊下を歩き出す。

 

 

そんな二人を背後から見つめる影があった。

 

 

そして深夜の洋館を探索する途中、サラはスフェーンに聞く。

 

「所でなんだけどさ」

「何ですか?もう帰りますか?」

「いや、まだ帰らないけどさ…」

 

そこでサラはスフェーンの目を見て聞く。

 

「片目どうしたの?前は同じ色だったじゃない」

「…あぁ、これですか」

 

スフェーンはそう言い虹色に反射する左目を触る。

 

「ちょっと事故って義眼つけているんです」

「ふーん、サイボーグ用?」

「そうですね〜」

 

しれっと嘘を混ぜながら返すと、スフェーンの事を成長を止められたクローンの少女と思っているサラは納得する。

 

「言ってくれたら一番いいのを用意するのに」

「流石にそこまで世話になる事ないですし、これが一番自分に合っているんです」

 

スフェーンはそう言うと、サラはそんな彼女に納得していた。

自分も両腕をサイボーグ化させている身なので、彼女の意見が分からない訳では無かった。

 

サイボーグというのは基本的に相性の問題が一番大きく、相性のために何件もサイボーグの会社を巡る事は多かった。

 

「でもオーダーメイドの方が一番しっくりこない?」

「確かにいいですけど…私、結構既製品でもいけるんです」

「金がかからなくていいわね〜」

 

そんな事を話していると、

 

ガシャンッ

 

「「っ!?」」

 

聞こえた音に反射的にスフェーンとサラは銃を向ける。

 

「何っ?!」

「ひっ!」

 

銃口を向ける二人の視線の先では暗闇で何も見えない。

スフェーンは反射的に視界を赤外線カメラに切り替えると、そこでは青い視界が広がっているだけだった。

 

「「…」」

 

確実に何かが倒れた音が聞こえ、その後しばらく静寂が流れる。

 

「…ふぅ」

 

そして何もないことにサラが息を吐いて安堵をする。

 

「…ってか」

 

そこでスフェーンはジト目でサラを見る。

 

「あなたもビビってるじゃないの?」

「そりゃ誰だってお化け屋敷ってわかっててビビらない奴いないでしょ」

 

サラが言うと、スフェーンは驚いた顔をする。

 

「え?お化け苦手なの?」

「そりゃあ、あんなの好きな人がいたらヤバいでしょ」

 

そう言いサラも幽霊がダメと遠回しに言うと、

 

「普通お化け怖がる奴がお化け屋敷に来るか!?馬鹿じゃないのか?!」

 

思わずスフェーンは怒鳴ってしまう。するとサラも言い返す。

 

「仕方ないじゃないの!元々そう言うつもりだったんだから!」

「頭沸いてんじゃないのか?!アンタ!!」

 

スフェーンは信じられないと言った表情でサラを見て叫ぶ。

 

「お化け嫌いが二人揃ったら何もできないじゃん!先導役どうすんだよ!!」

 

スフェーンはそう叫んでいると、二人の横にいた甲冑が音を立てた。

 

「「っ?!」」

 

そして二人の前に倒れてくると、その瞬間に二人は走った。

 

ガシャーン

 

そして倒れた甲冑を見て二人は呆然とそれを見ていた。

 

「大丈夫?」

「えっ、えぇ…」

 

そこでスフェーンはサラを庇うように倒れており、スフェーンはサラの顔を近くで見ていた。

 

「大丈夫」

 

そこで一瞬サラは驚くも、そこで少し安堵すると体を起こした。

 

「今のは…」

「自然に崩れたのかしら?」

 

サラはそう言って目の前の崩れた甲冑を見て言うと、

 

「それはどうでしょうか?」

「え?」

 

そこでスフェーンの呟きにサラは驚くと、彼女は言う。

 

「今の崩れた甲冑からは埃が舞っていなかった…」

「え?」

 

言われ、サラは目の前の甲冑の置いてある台座を見ると、そこには足跡があった。

 

「動かされた形跡がある…」

「つまり、この甲冑は何度か動いたと言うことになりますね」

 

スフェーンはそう言うと、サラの表情もだんだんと硬くなる。

 

「それって…」

「えぇ、この屋敷には誰か出入りしているかもしれないってことですよ」

 

スフェーンは言うと、少し顔を強張らせながら小銃を手に持つ。

 

「正直私はとっとと出たいんですけど…」

「それはやだ」

「…だと思いました」

 

もはや何も言うまいと言った表情でスフェーンはサラを起こすと、彼女も落とした散弾銃を拾って廊下を歩く。

 

「何かあったら援護をよろしくお願いします」

「えぇ…誤射には気をつけるわ」

 

もはやここまでくればヤケクソである。

二人は陽が出るまで探索をしようと言い、屋敷の廊下を歩き始めた。




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