TS若返り傭兵は旅をする   作:Aa_おにぎり

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#156

深夜の屋敷、時刻は丁度丑三つ時と呼ばれる時間帯。

 

古来、この時間帯は真夜中で魔物が跳梁跋扈する時間帯であると言われていた。

 

そんな時間に曰く付きの洋館を歩くスフェーンとサラ。

お遊びと肝試しで訪れていたが、月明かりがある分まだマシかもしれない。

 

「結構エーテルが濃いですね…」

「そうなの?」

 

洋館の一階の部屋の扉のドアノブに手を触れながらスフェーンが言うと、サラは驚いた様子で彼女に聞く。

 

「ほら」

 

スフェーンはそう言ってネクィラムから受け取った空間エーテルの検測機を見せる。

 

「おぉ〜、これ便利ね」

「知り合いからもらったんです。結構使いやすくていいですよ」

 

ただし、余計な機能として自分の体内のエーテルの活性化度が常にこれを作った科学者に送られていたり、近くにあれば無線機として使える機能があるのが癪ではあるが…。

 

「買えたりするの?」

「確か製造権を売ったとか言っていたので、多分買えますね」

 

そう言い小型軽量で、腰から下げられるほどのその検測機を見てサラは興味深そう見ていた。

 

「ちょっと画像検索をしても?」

「どうぞ〜」

 

サラはそこでスフェーンの持っていた検測機を持っていた端末で画像検索をかけると、すぐにそれは出てきた。

 

「今度お父様に相談して配備させてみようかしら?」

「最近は必需品ですし、良いんじゃないんですかね」

 

エーテル・ボンバの爆発の影響で爆心地近辺のエーテル空間濃度は跳ね上がっており、世界中で見ても全体的な空間エーテルの少量は極僅かに増えていた。

 

「おかげでエーテルの雨は降るわ空間エーテル濃度は上がるわ…碌な事しないわサブラニエ」

「それはそうですね」

 

おかげで自分も半年間、運び屋として活動するのに非常に苦労していた。

 

「荷物運ぶ時に正規軍からも臨検という名の略奪されちゃあ誰だってやりたがらないよ」

「本当に酷い有様ね…」

 

そう言って部屋を開けると、スフェーンは小銃を構えたまま部屋に入る。

部屋の中は何かしらの書斎のようで、割れた窓ガラスや朽ちたカーテンが風に煽られて軽く揺れている様であった。

 

「…」

 

部屋には誰もいない様子で軽く安堵して部屋に入る。

 

「ここは…」

「この屋敷の当主だった人の予備の書斎かな?」

 

書斎にしては小さいので応接室かもしれないと予測を立てながら探索をする二人。

 

「何も残っていないわね…」

「そりゃあ、ここの屋敷で事件があったのは百年以上昔の話よ」

 

そこで大災害以前の事件と知り、スフェーンは逆によくそんな時期から建物が残っていると感心してしまった。

 

「昔の建物ってやけに頑丈にできているイメージがあるわね」

「あぁ〜、とりあえず長持ちさせるためにやたら頑丈にするというアレ?」

 

そんな事を言いながら空っぽになった本棚を見る二人。

埃まみれで蜘蛛の巣が張っている天井のシャンデリアを眺め、地面に割れたガラスが散らばっているのを踏む。

 

『この屋敷で起こった事件は実際にあったようですね』

「(へぇ〜、記録残っているんだ)」

 

ルシエルが検索をかけ、出てきた資料にスフェーンは驚く。

 

『ですが、本当に古い資料です。大災害以前の治安維持機構の捜査資料まで遡る必要がありますね』

「(うわぁ〜古い)」

 

そんな事を言いながらスフェーンは部屋を出ると、

 

「?」

 

そこで一瞬見えた影に首を傾げた。

 

「どうした?」

「あぁ…今子供がいた気がして」

「え?」

 

サラがスフェーンの呟きに首を傾げて廊下に出た時、

 

「っ!後ろ!」

 

サラが叫ぶと、スフェーンはそこで自分にナイフを振る影を見ると、人外とも言える反応速度で持っていた小銃を咄嗟に受けを取ると

 

ジュッ

 

赤熱したナイフが小銃を綺麗に切断した。

 

「あぁっ!?」

 

それに目を見開いて驚愕していると、

 

「ちっ!!」

 

サラは至近距離で持っていた散弾銃の引き金を弾き、轟音が響いてスフェーンを襲った人影は23mm散弾の直射を受けて体に大穴が開いた。

そしてそのまま地面に倒れると、サラはスフェーンに聞いた。

 

「大丈夫?!」

 

するとスフェーンは叫んだ。

 

「あぁーっ!!私の銃がぁっ!!」

 

そう言い真っ二つに割れた小銃に唖然となっていた。サラはスフェーンが持っていた小銃を見て思わず呟く。

 

「あーあー、二式小銃みたいに綺麗に割れたわね〜」

「あ〜ん、せっかくお気に入りだったのに〜」

 

そう言って綺麗に機関部の前で切断面を見せる小銃に落胆するスフェーン。

 

「この野郎…!!」

 

スフェーンは恨み目でサラが撃ち抜いて倒れた襲撃者を睨む。

 

「誰なの?コイツ」

「さぁ?」

 

そこでスフェーンは倒れた男の後頭部に手を触れてインプラントチップを確認する。

 

「…」

 

そこで彼の情報を見たスフェーンとルシエルは苦笑した。

 

「この野郎、犯罪歴があるぞ」

「えっ?って事は…」

 

その直後、屋敷の暗闇の奥から銃声が聞こえた。

 

「っ!?」

「こっち!」

 

銃声を聞き、サラがスフェーンの腕を握って走り始めて角を曲がるとそこで扉を閉めた。

 

「はぁ…はぁ…」

「一体何なのよ…」

 

咄嗟に隠れた場所に肩から息をしていると、スフェーンは言う。

 

「多分…ここを根城にしている野郎」

「チッ、じゃあ怪談で身ぐるみ剥がされたのって…」

 

サラは軽く舌打ちをすると、スフェーンは頷いた。

 

「暗闇に紛れて襲われたんでしょうね…」

 

するとその時、ふと気配を感じてスフェーンが顔を上げると

 

「…」

 

そこではよく分かっていない顔を浮かべて階段の上で座っていた一人の幼女を見た。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「階段に逃げ込みましたぜ。ボス」

 

その様子を赤外線センサーで見ていた一人のサイボーグが言うと、

 

「じゃあ、いつも通りやっていくぞ」

 

女の大人が片手に自動小銃を持って言った。

するとそこで数人の野盗達がゾロゾロと出てくると、リーダーの女は言う。

 

「メイドと身なりの良い女だ。人質に取って身代金と行くぞ」

「彼奴はどうします?」

 

そう言いサラの銃撃で生命維持装置が作動して倒れている仲間を指差すと、ボスの女は言う。

 

「あとで運び出して医者に届けるさ」

「了解」

 

そう言って強盗達はスフェーン達の逃げ込んだ階段を見て中央の階段と追いかける二手に分かれて追いかけ始める。

 

「雲も出てきたか…」

 

そこで女は窓の外で月光が隠れるほど分厚い雲が現れるのを見て運が良いと思っていた。

そして雲が月を追って灯りを隠すと、本格的に彼らは動き出す。

 

「…」

 

スフェーン達が逃げ込んだ階段に続く扉の前で三人の強盗は待機し、目線を合わせた後に扉を勢い良く開けてそのまま銃口を向けると、そこに二人の姿はなかった。

 

「上に行ったぞ!」

「追え追え!」

 

そこで階段を走って駆け上り、そこで発砲を交えて二階に飛び出るとそこで走る二人の影を見つけた。

 

「居たぞ!!」

 

そこで強盗は持っていた自動小銃を発砲した。

 

「チッ、もう追ってきたか」

「動きが早いわね…」

 

そこでサラはハンドガードを引いて新たに散弾を発射する、

 

「「ぎゃぁあっ!?」」

 

強力なバックショット弾は狭い空間において最強とも言える威力を誇り、銃撃をしてきた二人が身体中に散弾が命中して仰け反った。

 

「くそっ!散弾銃か!!」

 

残った一人はサラの発射した散弾銃に驚愕をしていると、

 

「前!」

 

そこで中央階段を登って挟み込みに来た別の強盗団が現れ、スフェーンが叫ぶと彼女は持っていたTRR8の引き金を片手で行う。

 

「ぎゃっ!?」

「うわっ!」

 

放たれたマグナム弾の乱れ撃ちは迂闊に近づいた強盗団の二人を倒したが、数が多くて暖簾に腕押しであった。

 

「チッ」

 

囲まれれば不味い。スフェーンは階段の手前の部屋に脇に一人の少女を抱えてサラと共に突入すると勢い良く部屋を閉じた。

 

「どうする?」

「こっちは色々と不利よ」

 

そう言い部屋に隠れたサラとスフェーンは言ってスフェーンが脇に抱えていた少女を見る。

階段の上で不思議そうに彼女達を見ていた少女は困惑した様子でスフェーン達に聞いた。

 

「あなた達は…誰なの?」

「え?」

「あっ、あぁ…」

 

少女の呑気な様子にサラ達は一瞬唖然となると、二人は名乗った。

 

「私はスフェーン・シュエット」

「私はサラ・アンデルセンよ。貴方のお名前は?」

 

サラが聞くと、その少女は名乗った。

 

「…ユリア」

「ユリアちゃん…ね。オッケー」

 

そこで少女の名前を聞いた二人はそこでドアの外から声を聞いた。

 

『貴様ら出てこい!』

『大人しくしていれば怪我をせずに済むぞ!』

 

お決まりの脅し文句を前にサラとスフェーンは話し合う。

 

「どうする?」

「向こうは下手だけど人が多いわね…」

 

拳銃を仕舞い、背中から装弾済みのPSRL-1を片手に持つスフェーンは言う。

そのPSRL-1はグリップの他にAR系統のバットストックを備えた改造品であり、片手でも少々無理をすれば撃てるようになっていた。

装填されている弾頭は赤く塗装され、養生テープが一本巻かれており。それが元々SHO・U・KA・KIの改造品である事は一目瞭然であった。

 

「どうする?」

「脱出して軍警に通報するしかないでしょ」

「まぁ電波妨害を喰らっていちゃあね…」

 

そう言いサラは通信ができない自分の端末を確認する。

 

「でもどうする?」

 

サラはそこで扉の前に待ち構えている強盗団を前に思考を巡らす。

部屋には窓が無く、逃げる道もここしか無い。

 

「どうしたものか…」

 

スフェーンはそこで考えていると、

 

「…」

 

ユリアがスフェーンの腕を軽く突いた。

 

「?」

「こっち」

 

そう言ってユリアは部屋のある場所を指差した。

 

 

 

 

 

「オルァ、出てこい!」

 

扉の外で全員が集まって一人がスフェーン達の逃げた部屋で怒鳴る。

 

「チッ…このまま行くぞ!」

 

一向に動きがないので、痺れを切らした一人のアンドロイドがそのままドアに向かって足を向けてドアを蹴飛ばした。

 

「「「っ!!」」」

 

そこで一斉に銃口を向けて突入したが、

 

「いっ、居ない…?!」

 

もぬけの殻と化していたその小部屋に誰もが驚いていると、

 

バシューッ!

 

「「「っ!?」」」

 

赤い消火器の弾頭のロケット弾が飛んでくる音が聞こえ、その直後に部屋の壁が大きく吹っ飛んだ。

 

「「「うわぁあああっ?!」」」

 

着弾した実弾の爆発で中にいた三人は建物の方に打ち付けられると、そのまま気絶して倒れていた。

 

「っ!あそこだ!!」

 

そんな中、強盗団の一人が中庭を走る二人の影を見て銃撃をしていた。




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