TS若返り傭兵は旅をする   作:Aa_おにぎり

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#158

両手にトンファーを握ってサイボーグの攻撃を抑えたスフェーンは、

 

「っ!うらぁっ!」

「っ!?」

 

そこでサイボーグの腕を弾き飛ばすと、そのままユリアを抱えて倉庫の棚を跳躍した。

 

「ちぃっ!」

 

それを見たサイボーグの男は近くにあった棚の一つをスフェーン目掛けて投げつけた。

 

「っ!!」

 

それに驚く彼女はそのままユリアを覆って背中でダメージを受けた。

 

「がはっ…!!」

 

そしてそのまま他の空の棚を巻き込んで地面に着地すると、

 

「痛っ〜!!」

 

ぶつけた箇所をさすりながら前を見ると、

 

「スフェーン!ユリア!」

 

そこで散弾銃を持って飛び出したサラと合流した。

 

「サラ、ごめん!」

 

そこでスフェーンはユリアをサラに預けると、後ろから出てきた重量級サイボーグを見た。

 

「ちょっと相手するわ」

「…気を付けて」

 

その時一瞬サラの瞼にはベガスシティでの彼女が重量級サイボーグの襲撃を受けた事が浮かんだ。

 

「大丈夫。手筈通りに行こう」

「…分かった」

 

しかしスフェーンは自信ありげな様子で言ったので彼女は信用してユリアと共に階段を降りていく。

そしてそんな二人を見送った後はスフェーンは両手にT字の金属筒を握って目の前の男と対峙する。

 

「そんな体躯で俺に勝てるとでも?」

 

少々小馬鹿にした様子で男は言うと、スフェーンは返す。

 

「力任せに暴力を振るう馬鹿に言われてもねぇ…」

「このクソガキ…!!」

 

すると男は持っていた槌を持ってスフェーンに振るう。

 

「っ!」

 

キンキンッ

 

そして振り落とされる槌をトンファーで抑えると、スフェーンはその攻撃を逸らして交わす。

 

「っ!っ!」

「でやぁっ!!」

 

高い出力のサイボーグの腕部を思い切り振るって攻撃をする男にスフェーンはトンファーで攻撃を逸らせながら後ろに飛んでいく。

 

「がっ!」

 

そしてその途中、振り下ろした直後に腕に持ち手を回して打撃を加えることも忘れない。

 

「はぁ…はぁ…」

 

そこで顔から汗を流しながら少し息を吐いて男を見る。

 

「チッ…」

 

この体の体力の限界を感じ始め、直後に槌が振り下ろされるのを見る。

 

「ぬぅんっ!」

 

キンキンッドコンッ!!

 

逸らした槌が地面を陥没させる大男にスフェーンはその槌の動きを見ていると、突如その動きが非常に遅くなって見えた。

 

「…」

 

その瞬間を、スフェーンは知っていた。

オートマトンに乗っていた頃に感じていたものだ。世界が非常に遅く感じ、全ての攻撃が避けやすくなる。

 

「…っ!」

 

やはりかとスフェーンは思う。

 

この肉体はエーテルによって作られたものであり、あくまでもその中にある人格は後で造られたもの。

つまり肉体をオートマトン、中の精神を操縦者として仮定して五体を動かす方が戦闘時においてはより洗練して自分の技を発揮できる。

 

「ふんっ!!」

 

大男の唸り声と共に振り下ろされた槌にスフェーンは非常に洗練された無駄のない動きで、持っていたトンファーを前後に組み合わせてバズーカを持つ要領で照準を振り下ろされる男の顔に向けた。

 

「っ…!?」

 

するとそこでようやく男はスフェーンの持っていたトンファーの本来の用途を認識した。

 

ッ!!

 

直後、片方のトンファーに装填されていた12ゲージ散弾がもう片方のトンファーの底に仕掛けられていた画鋲と接触。

中の雷管を叩いて火薬に瞬時に点火されると、直後に爆発的な反動を生じながら中のワッズが加速を開始。

 

即座に滑腔銃身となったトンファーの金属筒を通過すると、廊下に銃声が響き渡った。

 

「が…っ!!」

 

男の顔に命中する自分の槌。反対には何かがめり込んだ様子で大穴が空いており、顔面から自分の槌が命中した大男はそのまま仰け反って倒れた。

 

「はぁ…はぁ…」

 

スフェーンはジップ・ガンで自らの攻撃が散弾で弾き返されて、尚且つ反動で顔面に槌が命中して倒れた大男を見て肩から息をしていた。

 

「しっ…死ぬかと思った…」

『そもそも貴方にこの空間で死の概念があると思いますか?』

「痛いの嫌だ」

 

そう話していると屋敷の階段を駆け上がる音が聞こえ、スフェーンは即座に意識を戦闘に持っていく。

 

「このガキィッ!!」

 

そこで銃を持って飛び出した強盗団は、廊下に倒れる大男とその向こうで此方に人差し指と中指を伸ばして手で銃の形を作っていた赤い瞳のスフェーンの姿があった。

 

「発射」

「っ!?」

 

直後、彼女の指先からエーテル・カノンが発射された。

 

「うっ…がぁああっ!!」

 

発射されたエーテル・カノンは飛び出した一人のアンドロイドを貫通しながら後ろのサイボーグの腕を巻き込む。

 

「ひっ…!?」

 

発射されたエーテル・カノンに強盗達は驚愕の色を浮かべると、スフェーンは次々と指先から無造作にエーテル・カノンを連射する。

 

「ぎゃっ!」

「あぁっ!!」

 

そして高温の熱線に焼かれて飛び出した強盗達は悲鳴を上げながら地面に倒れると、スフェーンはそこで倒した野盗達の頭に触れると記憶の改竄を行って処理をし終えるとそのまま走って消えて行った。

 

 

 

 

 

「ちっ…」

 

屋敷の通路の角に隠れてサラは舌打ちをする。

 

「そこは袋小路だ!」

「大人しく出てこい!!」

 

そう言い反対では銃を持って脅す強盗達が待ち構える。

 

「ねぇ、ここに仕掛けはあったりする?」

 

サラはユリアに聞くと、彼女は首を横に降った。

 

「どうしたものかしらね…」

 

彼女はそう言い自分の散弾銃を見る。

先ほど弾薬を落としてしまい、残ったのはこの銃に装填された四発のみ。

 

「うわっ?!」

「ぎゃっ!」

 

すると直後、ロケット弾の発射音と共に銃を持っていた三人の前でロケット弾が壁に命中するとそこから勢いよくウレタンフォームが吹き出して通路の四角を覆った。

 

「…遅いじゃない」

 

サラはそう言うと奥から肩から息をして、通路を塞いだウレタンフォームを越えてスフェーンが現れた。

 

「流石に…無理がある…」

 

汗をかいた彼女はそう言うと、スフェーンはそこでユリアを見た。

 

「サラ、交代しよう」

「え?まだ時間あるじゃない」

 

そう言いサラは腕時計を見ると、スフェーンは言う。

 

「面倒だから一網打尽にしたいの」

「…なるほど」

 

そこでサラは納得すると、そこで彼女は言う。

 

「アレを使うわけね?」

「そゆこと」

 

二人は言うと、ユリアは首を傾げた様子でスフェーン達を見ていた。

彼女はこれが落ち着いたら軍警察に保護をしてもらおうと思っていた。

 

「じゃあ、私は囮になるから」

「分かった」

 

そう言うとスフェーンはユリアを連れてその場を離れた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「くそっ!」

 

その時、女ボスは苛立ちから近くにあった燭台を蹴飛ばしていた。

 

「どうして女二人すらまともに捕まえられない!!」

「それは…」

 

言いづらそうに返す電子戦兵はそこで下で起こっている戦闘を見る。

屋敷の至る所から煙が上がり、その中で率いていた部下たちが倒れている様。

 

「ちっ…使えなわね…」

 

この屋敷を根城にしていた強盗団はたった一夜で屋敷を戦場の様にし、多くの仲間を倒していると。

 

『いたぞ!』

「あっちだ!中庭だ!」

『行け行け行け!』

 

そこでゾロゾロとの残った仲間が出てくると、その真ん中でメイド服を着た一人の少女がロケットランチャー片手に立っていた。

 

「あのガキか…」

 

メイド服に身を包んだ少女を見下ろした女ボスはその光景を眺めていた。

 

 

 

 

 

「…」

 

自分達を囲んでいる強盗達にスフェーンはユリアの安否を確認しながら言う。

 

「おやおや、随分とお元気な様子ですね」

 

彼らは各々銃を持っており、その装備から確実にどこかの元PMC兵士だろう。

半年前からと言うことはエーテル・ボンバの影響で敗残兵となった何処かのPMC兵士か?

 

「貴方がたはまるで元傭兵の様ですね〜」

「…」

 

警戒心を剥き出しにしている彼らにスフェーンは言う。

 

「取り敢えず全員お縄についてくれると助かるのですが…」

 

するとそんな彼女に一人が言う。

 

「馬鹿か?この人数でお前が逃げられるとでも?」

「さぁ?逃げはしませんよ」

「?」

 

何を言っているんだと首を傾げていると、スフェーンはそこで建物の上で自分を見下ろしていた初老の女…多分この野盗団のボスであるそのサイボーグを見つめると、

 

ヒューッ!!

 

遠くから風を切る音が聞こえると、中庭に爆発音が響いた。

 

「っ!?」

 

四回の爆発で中庭に土煙が上がり、そんな中スフェーンは砲撃の中をユリアを守りながら平然と立っていた。

 

「何だ!?」

「砲撃…!?」

 

その正体はスフェーンが牽引してきた自動迫撃砲であった。

 

「全く…スフェーン達は無事だと良いけど…」

 

そう言い足元で倒れている強盗四人を他所に、サラはサイドカーに積まれていた四発クリップを給弾口に装填すると引き金を弾く。

 

ッ!ッ!ッ!ッ!

 

放たれた迫撃砲弾はスフェーンの指示通りに中庭に着弾すると、強盗達は悲鳴を上げて逃げ出していた。

 

 

 

 

 

「あのガキは…!?」

 

そして砲撃が止むと、暫くの静寂が洋館を包んだ。

中庭は戦場の様にボコボコになり、その下では死体が転がっていた。

 

「っ…」

 

その惨状に女ボスは一瞬、脳裏にかつての戦場が思い返された。

 

「…」

 

すると負傷していた腕を使いながら彼女は持っていた自動小銃を握ると、電子戦兵に言う。

 

「行くぞ」

「はっ!」

 

頷き、二人は洋館の階段を降りて行った。

 

 

 

そして階段を降りて廊下に出るとそこで人影を見つけ、二人は銃を持った。

 

「アンタは…何者だ?」

 

女ボスは聞くと、その人影は言う。

 

「さぁ?噂のお化け屋敷に来た観光客と言ったところかしらね」

 

そう言うと、女ボス達は無音で銃の引き金を引こうとした時

 

ッ!!

 

巨大な銃声が廊下に響き、自分の腕に大穴が開く。

 

「っ!?」

 

その衝撃に女ボスは咄嗟に持っていた銃を持ち変えるも、

 

ッ!!

 

その射撃は正確に銃を腕ごと破壊していた。

そして次に電子戦兵の肺を貫通すると、背中に背負っていた電子戦機が破壊された。

 

「バカなっ!!」

「どうしてその体勢で撃てた!」

 

地面に尻餅をつきながらサーモグラフィーで捉えていた影に疑問を浮かべて叫ぶと、その人影は近づき、ちょうど顕になった月明かりでサラの顔が見える。

 

「簡単よ」

 

するとサラは後ろを見返して、それに女ボスは釣られてその方を見ると…

 

 

そこでは床に伏せて対戦車ライフル(Wz.35 対戦車ライフル)の引き金を握るスフェーンの姿があった。

 

 

「…はっ」

 

そこで女ボスは笑ってしまった。

自分はこんな簡単なトリックすら見破れなかったのかと…。




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