TS若返り傭兵は旅をする   作:Aa_おにぎり

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#159

戦場となった洋館の中、サラは最後に生命維持装置の作動していた強盗団のアンドロイドを引っ張って並べ終える。

 

「ったく〜、私に全部後始末押し付けちゃってさぁ〜!!」

 

愚痴を交えながら彼女はそこでユリアと共に破壊された洋館の奥に消えたスフェーンを思い返す。

彼女の放ったウレタンフォームに包まれた強盗に関しては、申し訳ないが軍警が来てから対応してもらわないといけなかった。

 

「いったい何をしに行ったのかしら…」

 

スフェーンに面白いものがあると言って彼女を連れて行ったユリアにサラは首を傾げていた。

 

 

 

 

 

「どこまで行くの?」

「うーん…もう少し!」

 

破壊された洋館の廊下、スフェーンとユリアは話している。

スフェーンの背中にはWz.35対戦車ライフルを下ろしていた。古いが、火力は十分で、置いてあった弾薬も奇跡的に使えていた。

だからこそ、サラは銃を持ち出して戦えたのだ。

 

「何を見せてくれるの?」

「うーん、大事なもの!」

 

陽気に答えるユリアにスフェーンは聞く。

 

「ユリアちゃんはここに来てどのくらいなの?」

「かなり昔からだよ」

 

彼女はそう言いスフェーンに案内をする。ユリアはそこでスフェーンに言う。

 

「昔から、お父さんとお母さんに言われてずっと塔の部屋に隠れていたの」

 

そう言い彼女は屋敷のある部屋に入ると、そこで部屋の本棚の残っていた本の一つにを指差したスフェーンが引くと、鍵が外れて中から扉が現れる。

 

「ずっと怖い声が聞こえてた…」

 

そう言いその奥の少し狭い階段を降りて進む。

 

「それで、執事さんがやって来てじっとしていなさいって言われてたんだけど…」

 

そしてその先で階段が現れると、ユリアはスフェーンと共に階段を登る。

 

「暫くして誰も来なかったからちょっと寂しくなっちゃって…」

 

彼女は少し申し訳なさそうに言う。

 

「それで、お屋敷に出て来ちゃった…私、約束を破っちゃったの」

 

そう言いユリアは申し訳なさそうにしていると、スフェーンは言う。

 

「そう言う時は後で君のお父さん達に謝っておけば良いよ」

「そうかな?」

「ちゃんと謝ったら、誰だって許してくれる」

 

スフェーンはそう言うと、ユリアは聞く。

 

「じゃあ、その時はスフェーンも付き添ってくれる?」

「勿論」

「やった〜!ありがとう、スフェーン!」

 

ユリアは少し嬉しそうにはしゃぐと、そのままスフェーンを連れて階段の窓からそこが庭にあった塔であると理解する。

するとユリアは塔のある部屋の前で立ち止まった。

 

「ここ?」

「うん」

 

ユリアは頷き、スフェーンはそのドアを開けて中に入ると、

 

「おぉ…」

 

そこには金や絵画、珍しい鉱石などが保存された宝物庫とでも言うべき場所であった。

 

「どうしてここに連れて来てくれたの?」

 

スフェーンはそう聞くと、ユリアは言う。

 

「うーん…何となくスフェーンと仲良くなれそうだから!」

 

彼女はいつも通りの様子でスフェーンに言うと、彼女は部屋のある場所で立ち止まって、それを見て理解できた。

 

やはりそうか…。

 

それを見てスフェーンは全ての辻褄があった。

そしてそのまま後ろで立つユリアに聞く。

 

「…ユリアちゃん」

「どうしたの?」

 

そこで彼女は言う。

 

「今度、私も君のお父さん達に挨拶をしに行っても良いかい?」

「…うん、」

 

すると山の向こうから太陽が登ると、世界は明るく照らされ、影が消える。

 

「分かったよ。スフェーン」

 

太陽の光が部屋の中を照らすと、彼女の姿は元々いなかったかの様に消えていた。

 

「…ゆっくりお休み、ユリア」

 

スフェーンは目の前の小さな亡骸を前に静かに立ち尽くしていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「まさか生き残りがいたとはね…」

 

一つの古びた墓と、新しくその隣に建立された墓石を見ながらサラは言う。

 

「元々、あの屋敷は生まれてきた子供のために当時の家主が遊び心を持たせて幾つかのカラクリを作らせたそうよ」

 

スフェーンはそう言い、煙草に火をつける。

 

「でも使用人を含めた全員が殺害され、忘れ去られた存在となっても、彼女は言いつけを守り続けていた…」

「素直な子だったのね」

 

彼女はそう言い新しく作られた墓石に掘られたユリアの名前をそっと撫でる。

 

「良かったわ。無事に親御さんの元に届けられて」

「探す手間をかけてしまったわね」

 

スフェーンはそう言い、サラと共に過去の屋敷の事件の調査のために奔走したのを思い返す。

 

その時、サラとスフェーンは肝試しに行った事や、その先で強盗団とやり合った事でメアリさんにこってりと絞られてしまった。

流石にアンドロイドの本気の拳骨は効きました…。

 

「良いわよ、誰しも家族と一緒の方が慰められるもの」

 

サラはそう言い、自分の家族の事を思い返す。

スフェーンはそこでユリアに言われた言葉を思い返していた。

 

『何となくスフェーンと仲良くなれそうだから!』

 

無垢な子供とは時に残酷な事を話すと言うが、まさかこんな所で言われるとは思っていなかった。

だか同時に、スフェーンは少し懐かしい気持ちになった。

 

「(同じ穴の狢…なのかもしれないね)」

 

スフェーンはそう言い吸っていた煙草を吐くと、紫煙は風に紛れて飛んで行った。

 

「…そう言えば軍警から連絡があったわ」

「?」

 

そこでサラは言う。

早朝、電子戦兵を倒した事で通信ができる様になったのでいの一番に通報していた。

 

相手が相手だけに軍警察もそれなりの装備で駆けつけてくれて、まさか機動隊が来るのは予想外だったが…。

それでもしっかりと対応してくれて、捕まえた強盗団はまとめて検挙されていた。

 

「捕まえた強盗団の処遇と、裁判の判決が決まるそうよ」

「そう…」

 

ぶっちゃけどうでも良い話だ。

捕まった強盗団の処遇なんて決まっている様なものであるし、ましてや脱走したPMC兵部隊なんてその後にどんな運命が待ち受けているかなど分かりきっていた。

 

「あの屋敷はどうする?」

 

スフェーンはサラに聞くと、彼女は答える。

 

「私が手入れさせてもらうわ」

「おや、そうなの?」

 

あの屋敷の今後にスフェーンはやや驚いた様子で聞くと、彼女は言う。

 

「あの屋敷のカラクリは子供を連れた貸別荘として改装をしようかと思いついたの」

「おやおや、あのお屋敷を改造ですか?」

 

スフェーンは聞くと、サラは少し笑いながら言う。

 

「その方があの子も喜びそうでしょ?」

 

そう言い空を見上げると、スフェーンもそれには賛同していた。

一人で長く居た彼女も人といる方が幸せだろう、そうじゃなかったら恨んでも構わないと思いながらスフェーン達は墓を後にする。

 

「…じゃあ、そろそろ行きますか」

「えぇ、私もこれからやる事が増えるしね」

 

その顔はやる気に溢れている様子で、彼女は息づく。

 

「私も、また稼がんといけないしね…」

 

ローンや日々の生活費に追われている彼女は幾つか指名依頼を受けていた。

そして墓場の駐車場で停まっていた高級車とサイドカーに二人はそれぞれ乗り込むと、

 

「ちゃっかり持ち出したわね…」

 

サラはそこでスフェーンのサイドカーに載せられたWz.35対戦車ライフルに目をやると、彼女は苦笑していた。

スフェーンは強盗に壊されたZfK55に変わって新しい小銃を貰っていた。

弾倉や弾薬と言った必要な装備品も持ち出しており、程の良い火事場泥棒であった。

 

「えぇ、地下に隠れて埃を被るくらいなら使われた方がこの子も喜ぶでしょ?」

「まぁ私もあまり強くな言えないけどさ…」

 

そう言いサラは屋敷で放った自動擲弾銃や機関銃を思い返すと、薄く笑った。

 

「まぁ、スフェーンが相手ならその方が良いかもね」

 

あの塔にあった財宝はサラの手で改めて修復が行われ、屋敷に飾る事になっている。

貸別荘として使える様にするため、自分たちが破壊した場所を修復しながら序でに屋敷の設計図を引き直す。

彼女がやる事は実に多分に渡る。

また彼女の実家のあるベガスシティは今度、ウエルズ大陸に建国される中立国家であるアリアドール合州国に吸収・合併する事が決まっていた。

 

「じゃあ、また今度会いましょ?」

「えぇ、今度はお化け屋敷はよしてくださいよ」

「勿論、もう死人を弄ぶ事はしないわ」

 

そう言うと彼女は窓を閉めて走り出し、スフェーンそれを見送るとエンジンを掛けて新しい相棒を見る。

 

「これから宜しく」

 

そう言うと、整備されて新品の様に磨かれた長身の小銃は太陽の光を反射していた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「…」

 

その時、数枚の写真が卓上に置かれる。

 

「…」

 

その写真はオートマトンの残骸を写した写真であった。

とある調査で発見されたそのオートマトンは機体フレームが裂けるほど大きな力で貫通しており、半ば折れた状態で発見されていた。

 

「此方が、今回の調査で発見されたオートマトンとなります」

 

机の反対ではロトが手錠を付けて座るブルーナイトを見ていた。

ブルーナイトが逮捕されてからはこの軍警察管区本部にて勾留され、今日は初めての事情聴取を行っていた。

 

部屋には記録係のアンドロイドも控え、無機質な部屋にロトの声が静かに響く。

 

「これから行われる事情聴取では、貴方には黙秘権が認められています」

 

正式な手順で彼は淡々とブルーナイトに告げており、それを取調室のミラーガラス越しで見ていた治安官達だったが、

 

「すまんが、みんな出てくれ」

 

部屋に入ったライルの指示で治安官達は静かに出て行く。

今回、レッドサン殺害の容疑で逮捕されたブルーナイトは今までの行動に不審な点は一切見られなかった。

 

「面倒なことになったな…」

 

空になった部屋で一人、ライルは口に葉巻を咥えて火をつける。

 

「何も傭兵ギルドが本格稼働した日に逮捕しなくても良かっただろうに…」

 

そう言ってロトと話すブルーナイトを見る。

 

「一つ聞かせてくれ」

「何でしょう?」

 

そして聴取をする直前、ブルーナイトはロトに聞く。

 

「この写真はいつ撮影されたものだ?」

「…約一年半ほど前です」

「そうか…」

 

ブルーナイトはそこで軽く息を吐くと、椅子に深く座り直した。

 

「この聴取の映像は軍警察の公平性の観点から公開されます。予めご了承ください」

「ああ、了解した」

 

そもそも顔見知りが事件を担当している時点で公平かどうかと聞かれると疑問が残るが、それでもブルーナイトは頷いていた。

 

「ではこれより事情聴取を始めます」

 

ロトはそう言うと捜査資料を持ってブルーナイトに質問をしていた。




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