戦争映画を見るような雰囲気で読んでくれたらと思います。
#206
軍警察の本格介入により、サブラニエ・パシリコ戦線は大きく戦局が傾いた。
特に白魚上陸作戦に於いて、軍警察はサブラニエ本土に上陸を果たして橋頭堡を築き上げる。
軍警察の圧倒的な物量により戦線は後退を繰り返す。
本土の南西と北西から侵攻を開始し、西側からサブラニエの臨時首都である十慶を攻め落とす作戦であった。
『ルビコン作戦』と呼ばれた一連の軍警察の作戦行動。参加兵力は陸軍第六方面軍と第七方面軍を中心に前進を行い、南北から進行を進めて合流を行った。
タタンタタン…タタン…タタン…キギーッ!!
鉄道管理局の運営する路線の上を三〇〇両編成の軍警察が発注した
機関車を前後に挟んだ五〇両編成の列車を六つ繋げた動力集中方式の旅客列車の様な超長編成軍用列車が野戦荷卸場に停車する。
今回は長めだが、通常は二〇〇両編成でこのタイプの軍用列車は運行される。
複線機関車の特徴である縦横二列に積まれた大量のコンテナをコンテナクレーンが回収し、軍用トレーラーに積載していく。
「オーラーイ、オーラーイ!!」
誘導棒を揺らして車両移動を行う軍警察の輜重部隊。
復路では戦闘で損傷した兵器を乗せて送り返されるため、すでに準備が進められていた。
「今回の列車は…」
「大半が砲弾と液体装薬だ」
「なるほど…」
すると直後、遠くから最早彼等にとっては聴き慣れた砲声が微かに聞こえる。
「始まったか…」
砲声の正体は、軍警が近くに敷設した線路に牽引された
巡洋艦・陸上艦の主砲にも使用されたのと同じ砲身の列車砲が砲撃を開始。基本的に電磁加速で砲撃を行うが、液体装薬で発射も可能となっている。
このコンテナターミナルからは六門の列車砲から砲撃が行われていた。
「装填!」
砲撃を今しがた行った列車砲では、砲兵隊が半自動装填機構を有した尾栓部分に新たに砲弾を載せる準備をする。
一度砲撃を行い、仰角をつけていた砲身の尾栓が開くと新たに砲弾が自動装填棒を使って薬室に砲弾が押し込まれる。
「装填良し!」
「射撃用意良し!」
「次点座標受信!」
そして半自動装填放置だけが砲兵のいる場所に上がると、そこで砲兵達がクレーンに吊り下げられた新たな砲弾をトレーに下ろしていた。
その間、アウトリガーを展開して固定している列車砲を指揮所が確認を取る。巨大な駐退複座機が砲撃の反動を受け流し、放たれた砲弾は敵の地方司令部に向かって飛翔していく。
その他軍警はコンテナ艤装を施した203mm榴弾砲をコンテナ貨車に積載した即席の列車砲も多数運用しており、其方は全集旋回が可能な事から戦術的に重宝されていた。
「戦車・歩兵戦闘車・装甲兵員輸送車・オートマトン・多脚戦車…」
「破損兵器は山ほどあるぞ。空いた貨車からとっとと積み込め」
大型のクレーン車を用いて後方に送られてきた破損兵器を彼等は次々に積載していた。
サブラニエの臨時首都となった十慶は都市を二分するように大河が流れており、その河幅は八キロにも達する。
ヒューーーッ!!
その都市の上空を空を覆うほど大量の
『
この爆撃を指揮した空軍元帥リチャード・ルメイはこの『石器時代宣言』により、サブラニエ各都市に対し爆撃を敢行する。
最終的にサブラニエに対し、軍警察が投下した爆弾は約二五〇万トン。本格的軍事介入からわずか一年でこれほどの量の爆弾を投下した。
ッーッーッーッーッー‼︎
地上では
「…」
多数のロケット砲を撃ち込み、市街地の建物に被害を及ぼしている現状を前に、ある治安官はそれを呆然と眺めていた。
「おいっ」
「っ!は、はいっ!!」
上官に声をかけられ慌てた様子で軍曹を見ると、彼は新人の治安官に言う。
「向こうからドローンが突っ込んでくるぞ。隠れとけ」
「はいっ」
この戦争に際し、入隊した彼は砲撃を前に緊張している様子だった。
「お前さん、歳は?」
「はっ!今年で十七となります!」
彼は塹壕に篭った後に軍曹に答えると、彼等は軽く頷いた後に新人に言う。
「なら気を付けとけ。どうせ街の中に入ったら敵がうじゃうじゃ出てくるぞ」
「えっ…!?」
経験者である同小隊の治安官から言われたそれに彼は驚いた声を思わず出し、そして再び砲撃を受けているこれから攻略に向かう都市を見る。
「あれだけ撃っているのに…ですか?」
「そうさ、建物が壊れたって完全じゃ無い」
「奴らは何処にでも出てくるぞ」
「そうだな…例えるなら春の台所に出てくる天敵だ」
嫌な表現を用いたその治安官に誰もが頷いた。
「何、街に入れば分かるさ」
すると部隊に突撃命令が降った。
『各部隊は予定位置に進発を開始せよ。繰り返す、進発を開始せよ』
「うしっ、やるぞ」
「遅れんなよ」
「は、はいっ!!」
新米の治安官はまだ慣れたばかりの小銃を持って
荒野を走るので揺れる車内、その中で上から顔を出していた機銃手が射撃を始める。
「くそっ!もう撃ってきやがったぞ!」
「構わん!突撃しろ!」
速度を上げて前進を始める歩兵部隊。彼の聞いていた無線では
『ペイサー2被弾!脱出しろ!』
『司令部!航空支援はどうした!』
『ペイサー5、都市外郭に防衛部隊の対空陣地確認!砲撃地点はーー』
『こちら司令部、航空支援はあと二分で到着する。それまで持ち堪えろ』
阿鼻叫喚…に近い無線のやり取りが聞こえ、思わず持っていた小銃の握る力が強くなる。
「怖いか?」
「…いえ」
横に座った先任していた別の、少し年上の治安官が聞くも少し強がって首を横に降ったが、
「お前さんの股間は正直らしいがな」
「え?わ、わあっ!!」
そのことに気付かず、彼は驚いてしまった。
他に乗っていた治安官達もそれには匂いで気づいており、初々しい彼に軽く笑って流した。
「さぁそろそろ到着だ。それも気にしなくなるぜ」
その直後、車が止まると後部ハッチが開いた。
『気をつけろよ』
「おう、帰りのタクシーは残しとけよ」
小隊長は軽口で言い返すと小隊は降車をして行く。
「ケミカルライトが見えなかったら撃て。良いな?」
「ハンス!撃ち間違えるなよ!」
「分かってますよ!!」
そこで
すでに乗ってきた車両は撤退を始め、同じように歩兵部隊が都市に向かって突入を始める。
この後予定では突入した機甲大隊と合流する予定であった。
「っ…」
後ろには燃え盛る装甲車やオートマトンの姿があり、その近くで燃えている陰も見えた。
「後ろは振り向くな」
「…はい」
その時、自分は先任の治安官から言われなければ永遠とその様子を見てしまっていたに違いない。
「吐く時は言えよ」
「はい…」
都市に無我夢中で走って突入した彼は息を整えてから銃を手に握る。
「敵襲っ!」
「っ!!」
その時、小隊長が叫んだ視線の先に迷彩柄の服を着た人が出てきて、その姿を見た時に直ぐに自分は持っていた小銃の引き金を弾いた。
ッーーー!!
「撃て撃てっ!」
小隊長の命令もあって一斉に小隊は発砲する。
ビルの上から兵士が襲撃を行なっており、自分達は瓦礫に隠れていた。
『援護するぞ!』
ッ!!
すると多脚戦車から155mmのサーモバリック弾が市街地の射撃をしてきた建物に向かって砲撃をする。
ッ!ッ!ッ!ッ!ッ!
そしてリボルバー滑空砲による連射が続き、六発の即応弾を使い切る。同時に撃たれた半壊したビルは衝撃波で崩壊していた。
『援護するぜ』
「頼むぞ」
『任された』
元々多脚戦車とオートマトンは、歩兵支援をする為に重機から発展し開発された兵器である。
この二つの兵器は足場が悪くとも安定した砲撃が可能であり、前者は戦車砲を、後者は機関砲を装備している。歩兵直掩を目的に開発され、市街地戦での被害が多い戦車をカバーする。戦車砲がほぼ垂直まで仰角が取れるので、市街地戦において多脚戦車は強力な兵科であった。
その後は他の小隊と合流し、オートマトンと多脚戦車と共に市街地を進む。
ドゴーンッ
「敵!二時方向!」
「撃てっ!」
しかし市街地に突入した瞬間にありとあらゆる建物の残骸から兵士が武器を携えて飛び出す。
今も先頭を進んでいたオートマトンがロケット弾の攻撃を受けた。
「ドローン!」
「敵襲ぅっ!!」
市街地からの反撃にいち早く反応し、兵士たちは建物の残骸に隠れ、三輌の多脚戦車が直ぐに照準を合わせてキャニスター弾を発射。その背後からオートマトンが30mm自動小銃を発射する。
ボンッ!
そして兵士が携帯していた40mm擲弾が発射され、廃墟の窓に侵入すると中でサーモバリック爆薬が炸裂。中にいた兵士に爆圧によって死傷し、その後酸素の燃焼により酸欠状態を引き起こす。
「前クリア!」
「上クリア!」
「右クリア!」
「左クリア!」
入った廃墟では銃口を向けて索敵を行う。
狭い市街地戦、特にここは戦前から街が入り組んでいることで知られており、地上にいると思えば少し歩いたところからなぜがビルの屋上から見下ろしていたりと、全てが要塞として使えるようなとても入り組んだものばかり。
「うあっ!」
「くそっ!」
「敵はどこだ?!」
どこからでも出てくる敵を前に軍警察も次々と死傷者を出す。
今日の爆撃は河を挟んだ対岸地区で行われており、一週間は対岸地区は空爆を行わない。
「走れ!」
別の場所で細い路地を走る治安官。しかし、
キンッ!
足元に仕掛けられた人工蜘蛛の糸を蹴り上げ、その先についていた152mm砲弾を改造した
このような仕掛けは街中に存在し、軍警察はまずは徹底した空爆による破壊の後に市街地戦を開始する戦術で次々と街を落としていた。
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