TS若返り傭兵は旅をする   作:Aa_おにぎり

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#29

お勧めされたPanzer Arms EG220を手に取ったスフェーンが軽くレバーを落として動作させるとジャコンと言う流石な良い音が耳に響いた。

 

「如何でしょう?M-LOKも標準装備ですので、グリップやフラッシュライトの装備も可能です」

 

オリジナルで穴の空いた放熱シールドがついているのを確認し、サイトを覗き込むとスフェーンは軽く頷いた。

 

「じゃあこれを一つ」

「了解しました」

 

そして銃を決めたスフェーンは弾薬とオプションの注文も入れる。

 

「弾はバックショット弾とスラッグ弾、超硬ワックス弾を一箱ずつ。

オプションはドットサイトとフラッシュライト、あとマッチセイバーとベルトも」

「畏まりました」

 

そして必要な装備を購入し、代金を支払ったスフェーンは店員に聞いた。

 

「装備を取り付けられる場所はある?」

「こちらにございます」

 

そう言い、アンドロイドはレジの横にあった作業台を案内するとスフェーンは慣れた手つきで購入したドットサイトやフラッシュライトの確認をしていた。

 

「試し撃ちは?」

「横の扉をお進みください」

 

そこでスフェーンは購入した装備を簡単に装着し終えると試射用の弾薬を持っていた鞄に仕舞って奥の射撃場に足を踏み入れた。

 

 

 

射撃場では三発の散弾を装填し、弾倉を差し込んでレバーを前に押して排莢し、薬室に装填をすると引き金を引いた。

 

バンッ!

 

発射された散弾を他所に直ぐにレバーを押して薬莢を出すとすぐに次弾が装填され、引き金を引くと散弾が発射される。

 

バンッ!バンッ!

 

そして最後の散弾を発射し、空になった弾倉を確認するとスフェーンは店に戻った。

カウンターでは散弾とスラグ弾、超硬ワックス弾の箱が置かれ、準備を終えていた。

 

「ありがとう」

「ご購入ありがとうございました」

 

そして銃器店を後にし、スフェーンは購入した散弾銃を背中に背負ったまま街を歩く。

 

「よーし、必要な武器は買ったぞ」

『お疲れ様です。スフェーン』

 

ルシエルは目の前の飯を前に我慢したスフェーンを軽く褒めると、彼女は一目散に屋台に走った。

 

「あのホットドックが美味そうだったんだ」

 

子供のようにウキウキとしながら短い列に並ぶスフェーンは屋台料理を楽しみにしていると、ルシエルが言ってくる。

 

『食事を終えた後は、一旦荷物を置きましょう』

「はいよ〜」

 

そして軽く並んだ後にスフェーンはホットドッグを注文すると、茹でたての太いソーセージや軽く焼かれたパンを見る。

 

「マスタードは?」

「要る」

 

少女の注文に気をよくした屋台の店主は、焼きたてのパンを切ってキャベツを挟み、茹でたてのソーセージを入れた後は上からケチャップとマスタードをかけた。

 

「はいよ」

「ありがとう」

 

そして紙に挟まれたホットドックを手にスフェーンはそのまま屋台を離れながら食べ歩きをする。

 

「ンフ〜」

 

この体になって一番良いと思うのは、注文するときに大体相手が気持ちが良くなって上手い部分を出してくれるところだ。

 

「男ってちょれぇ」

 

完全に元男を忘れているような口ぶりのスフェーンはそのままホットドックに齧り付き、ソーセージのパリッとした食感と共に溢れる肉汁。そして冷たいシャキッとしたキャベツにケチャップとマスタードの刺激が走る。ケチャップの塩味と、マスタードの柔らかい辛味が程よくソーセージに刺激を与えるような味だった。

 

「うん、きちんと美味い」

 

出来立ては最高だ、と呟きながら数口でホットドックを完食すると紙をゴミ箱に放り入れた。

 

「さぁて、次は〜」

 

縁日ほどではないが、それでも賑わっているアイアンハウンド、そこでスフェーンは軽く観光をする。

 

軍警という、この星で最も強力な軍隊を支える為の街は、住人の三割が軍警の基地の職員として雇われている。

強大な軍事力を前によっぽどPMCや野盗も手を出そうとは考えておらず。この街は安全が担保されていた。

 

その証拠に、街には区画毎にオートマトンや戦車、ミサイル発射システムなどが設置され。レーダーも配置されていた。

白と黒のツートンに赤色灯のパトカーや装甲車が走り、街の治安を守っていた。

 

「おっ、あの店とかも良さげだなぁ」

 

アイアンハウンドには飲食店の他にも大きめな風俗街が存在し、下半身に自信のある猛者どもが仕事終わりに快楽を求めて通う。

 

「お?若い子じゃん」

 

そして街を歩いていると、不意に声をかけられ。振り向くと、そこでは一人の軍警の兵士がこちらを見ていた。

咄嗟に嫌な予感がして退散しようとすると、スフェーンは話しかけられた。

 

「よっ、嬢ちゃん」

「……」

 

あぁ、またこのパターンかと軽くため息が漏れると。ペアのもう一人の兵士が肩を掴んだ。

 

「おいっ、何をしている」

「いやぁ、こんな子供が一人で街を歩くなんてほぼ無いだろう?」

「だったらお前は下がっとけ。今度やらかしたら営倉送りだろうが」

 

どうやら前にもやらかしているご様子のその兵士はスフェーンを見ながら答える。

 

「だから行き先を聞くのさ」

「ああ、大丈夫です。待ち合わせをしているだけですから」

 

そんな隊員にスフェーンは冷たくあしらうとその兵士はペコペコと頭を下げながらスフェーンに言った。

 

「すまない、待ち合わせをしているならとっとと行ってくれ」

 

肩を掴んだ兵士は、恐らくはそういう趣味系の人間の隊員なのだろう。苦労するなぁと思いながらスフェーンはそそくさとその場を後にしていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

軍警というのは基本的に信用で成り立っている組織だ。都市と鉄路の治安維持の為に、毎年治安税を徴収して隊員の装備や装備品を購入する。

 

「やれやれ、軍警にも目をつけられるとは」

『ローブで顔を隠していますが、スフェーンの容姿は年齢確認される年頃ですからね』

「もう勘弁だよ。ロリコンの相手は」

 

購入した散弾銃を机の上に置きながらスフェーンは軽く愚痴ると、ルシエルは軽く考える。

 

『しかし銃を持っていたのに、なぜ相手は怖気付かないのでしょうか?』

「いやぁ、銃なんて見慣れたものなんじゃないか?ああ言う人たちに取っちゃあ」

 

常に死が手招きしているような環境で過ごしている軍警にとって、銃火器などは見慣れた存在と言える。

 

実を言うと、銃の所持に関しては都市毎によって変わったりする。

特に所持が厳しいのが拳銃だ。スフェーンは比較的銃規制の緩い地域で購入したので問題ないが、偶に拳銃の持ち込みを禁止している都市があるのでそう言う時ではスフェーンは拳銃を仕舞っていた。そして丸腰になるので、そう言う街への対策用として購入していた。

 

「やれやれ、これじゃあ買った意味が無いよ」

『そんな事はないです。散弾銃と言えど、威圧効果はバッチリあるかと』

 

ルシエルが軽くため息をつくスフェーンに言うと、列車の扉がノックされた。

 

「はーい?」

『軍警の者です。至急、確認をして貰いたい事がございまして』

「はいはい、今行きます」

 

銃を置き、荷物諸々を部屋に雑多に置いた彼女は列車の扉を開けると。そこで一人の軍警の制服を着た職員が待っていた。

 

「スフェーン・シュエットさんですね?」

「はい、そうですが……」

 

するとその職員はタブレットを差し出しながら聞いた。

 

「申し訳ありません。依頼した貨物の受け取り証に手違いがあり、至急確認をお願いします」

「ああ、はいはい」

「ですので一旦基地の補給係に付いて来て貰って宜しいでしょうか?」

「分かりました」

 

スフェーンは軍警の職員に頷くと、そのまま後を追った。

 

 

 

 

 

貨物センターの東側に存在しているアイアンハウンド総合基地では多くの軍警の職員やそこで勤務する民間人が闊歩しており、騒がしい空気感だった。

そんな中では流石にスフェーンのような幼い容姿は大人の身長に隠れてしまっていた。

 

「こちらになります」

「はいはい」

 

そこで軍警の運送係の受付に到着すると、係のお姉さんがスフェーンを見て軽く驚くも。すかさずスフェーンが運輸ギルドの証明書を提示すると、お姉さんは困惑しつつも納得した様子を見せてくれた。

 

「と、取り敢えずこちらの受け取り証にサインをお願いします」

 

そう言い、提示してきたデータに電子ペンでサインを終えるとその時。

 

「おや?君は…」

「?」

 

振り向くと、そこで思わずゲッと表情を歪めた。

 

「さっきは部下が迷惑かけてしまってすまないね」

 

声をかけて来たのは先ほど市井でロリコン兵士を抑えていた隊員だった。

 

「はぁ、まぁ被害はなかったので……」

 

自分の事でもないのによくもまぁ謝罪ができると軽く感心していると、その隊員は一仕事を終えたスフェーンを見て提案してきた。

 

「どうだい?軍の中をちょっと見ていかないかい?」

「はい?何でです?」

「ちょっとした謝罪のようなものだ。君の運んだ荷物の様子も見れるぞ?」

「……」

 

そんな隊員の提案に少し興味のあったスフェーンは乗ることにした。

 

 

 

 

 

「ここがヘリコプター格納庫だ」

「ほぇ〜」

 

見学という名のもと、スフェーンは軍警の基地を紹介して貰っていると。そこには多くの隊員が走り回っており、外の滑走路では例のジャイロダインが発進していた。

 

「それで、あそこにYa-41が駐機している」

「ふーん」

 

指を差した先では整備中のYa-41がずらりと並んでおり、基地に残っていた機体も合わせて人が行き交っていた。

 

「おい、マイク」

「あっ、隊長」

 

そしてそんな戦闘機を眺めていると、自分を案内していた隊員に声をかけてきた人が一人。

 

「その子、誰だ?」

 

スフェーンを見ながらその男の隊員は聞くと、マイクと言う隊員は答えた。

 

「ああ、見学の子です」

「ほぅ、見学とは珍しい」

 

振り返ってその男を見てスフェーンは軽く驚いた。

 

「獣人か……」

 

彼に頭の上にある特徴的な狐の耳を見てスフェーンは思わず呟いた。

 

獣人とは大災害以前にゲノム編集で人間の遺伝子に動物の遺伝子を組み込んで作られた人工的な異種姦配合をされた人の事を指す。外見的な特徴として人の耳では無い動物の耳や尻尾を持っている。

 

動物の遺伝子を組み込んだ事で通常の人よりも秀でた能力を各々持ち、代わりに感情の起伏が激しかったり、組み込んだ動物の仕草や性質を持っていると言うのが欠点だった。

生殖は人と変わらず。交配した場合は獣人か、ただの人のどちらかが生まれる。

 

「おや、君は…」

「あれ?その声どこかで…」

 

そして彼の声を聞いてどこか聞き覚えがあると思って軽く首を傾げた。

 

「マクシーラ大尉だ。これで会うのは二回目だな、運び屋の嬢さん」

「あぁ!あの臨検の…」

 

名前を聞いてスフェーンは前に臨検をしてきたフルフェイスヘルメットの隊員だったかと思い出した。




我慢出来なくなって獣人やアンドロイドを入れてしまった……。



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