決められない作者を決断させる為によろしくお願いします。
アルカトリア島刑務所の海底駅。そこの貨物ヤードでスフェーンはユウナの手によって引き止められる。
「どうして?」
スフェーンは列車を人質に取られ、海底駅の留置線に留め置かれた自分の列車を呆然と眺める。
「大丈夫ですか?」
「あぁ…今行く」
留置線に停車中の貨物列車。複々線の狭い場所なのに占有して良いのかという疑問を感じていたが、止めてて良い理由はすぐに理解できた。
「この対象はどうなっている?」
「問題はエーテルが引き起こす…」
留置線の外、そこのヤードでは複数の白衣を纏った人々が列車に沿うように簡易テーブルやコードを展開していた。
そう、あの積載していたコンテナはそのまま簡易的な研究所となるようにあらかじめ設計された設備であった。
なので今のスフェーンの列車は多くの研究員が出入りする臨時の仮設研究室と化していた。
「なんで私の家が研究所になっとんねん」
「それは…まあ博士のやることですから」
「それで納得できかけるのが腹立つんですけど」
自分のキャビンのロックをしっかりと行った後、スフェーンは列車を降りる。
「まあまあ、スフェーンさんも一応エーテル解析研究所の外部協力研究員って扱いなんですから」
「…ほぼ幽霊所員じゃね?それ」
スフェーンの指摘にユウナは否定しなかった。
「ま、まぁ…確かにそうですが…」
ユウナはそこでスフェーンの身も蓋もない言葉に反論できずにいると、そこで列車のそばで話していた二人に治安官が話しかけられる。
「やあやあ」
「っ!」
その瞬間、一瞬だけスフェーンはピンと背筋が立つ。
「や、やぁ…」
そこで彼女は少々顔が引き攣った状態で振り向くと、そこにはジョンが立っていた。
ここ数日、臨時の研究所となった際に当然の如く彼と顔を合わせることとなり、そこでもちろん。エーテル解析研究所の面子とも会う羽目になった。
「博士がお待ちだ。着いてきてくれ」
「…うい」
あまり気乗りしていない声でスフェーンは答えると、白衣を一番上から纏うスフェーンは研究員の一人という建前で刑務所に繋がる入り口に向かう。
いつもの私服の上から白衣を着ている彼女は、そこで治安官の警護する門を潜ると、そこで移動をする重量級サイボーグやアンドロイドを見る。
「さすが、重武装だ」
「重量級はガトリング銃、アンドロイドは散弾銃が基本ですからね」
「さすが、特一等刑務所というわけだ」
三人はそこで頑丈な金網や複数の探知機を通過すると、そこで治安官に受付を行う。
ここに配属された人間ではないスフェーン達は、出入りのたびに物品の預け出と許可証の発行が必要となる。
横ではコンテナも通過可能だが、専用の自走貨車がギリギリ通過できる範囲のみに作られており、物品の出入りも脱獄防止のために厳重な検査が行われていた。
「こちら、許可証と自衛武器です」
三人はそこで入場許可証と自衛用の拳銃を渡される。
この拳銃は、刑務所内での暴動発生時に自らの身を守るための代物であり、軍警察が使用している一般的な5.7mm口径の自動拳銃である。
指紋認証と毛細血管認証が備え付けられ、登録者以外の使用はできないようになっている。なので囚人に奪われても問題なかった。
三人は丁寧に整備の受けた拳銃と許可証を受け取ると、そこで警備をしているアンドロイドや重量級サイボーグの横を通り過ぎる。
ちなみに彼らが持っている武器。特に散弾銃に関してだが、彼らが装填しているのは
そもそもこの刑務所に収監されている囚人たちは大半が重犯罪者。そんな犯罪者たちは多くが犯罪組織のトップである事が多い。
そのため、それら犯罪組織がボスの救助のために刑務所に襲撃に訪れた場合の事を考慮。また刑務所内で脱走騒ぎが起こった際に速やかに脱走した囚人を
「行きますよ」
「了解」
ジョンの誘導で二人はエレベーターに乗り込む。ドアが閉まり、人員輸送用の小型エレベーターはまっすぐ上に三人を上げていく。
その途中、ミラーガラスで覆われた側面の壁から刑務所の全貌を見る事が可能であった。
正直に言えば、この刑務所は全体が地球儀のような円形形状をする完全水没型の水中都市であり、イメージで言うと海に沈んだデ○・スターのような形状をしている。
区画は一二〇度の三つの区画に分けられ、それぞれ死刑・無期懲役刑・懲役刑とそれぞれの判決結果によって区切られていた。
そして各区画には注水が可能であり、脱走が行われた際にその区画を丸ごと水没させて全滅させることも考慮した設計であった。
「はぁ…」
そして水中都市型の刑務所であるため、無論刑務作業を行うための工場区画も存在している。
「でかいわねぇ…」
スフェーンはその威容を前に呟くと、急上昇を続けていたエレベーターは海抜マイナス八〇。施設の最も浅い、水上施設との唯一の接続点に到着をする。施設はエレベーターを中心に地球儀のような構造をしており、下はあの海底トンネルと接続していた。
「最大収容人数六〇〇〇名の巨大収容所だ。これほど大きいのも理解できる」
ジョンはそこでエレベーターを降りて施設を歩く。水上施設には囚人を収監するための桟橋や囚人専用エレベーターがある。
無論、そこも治安官が完全武装した状態で立哨をしていた。
ジョンはそこで唯一刑務所内の施設と繋がっている階段の扉を開けると、全面ガラス張りの階段を降りていく。
「やれやれ、移動が面倒ね」
「防犯上必要な対策だ」
「郷に入っては郷に従え。ですよ」
スフェーンのぼやきにジョンとユウナが軽く宥めると、三人はそのまま純白の施設を歩く。
そしてしばらく歩いて施設のある小部屋に到着をすると、そこでジョンが扉を三回ノックした。
「博士、失礼します」
その後にジョンが扉を開けると、そこではネクィラムを筆頭に数名の研究員と、アクリル板を挟んでタイマンで話をしている二人の男女がいた。
片方は金色に染色されたつなぎ服、いわゆる囚人服を纏っており、あまりにも異彩な色合いから一瞬で囚人であることが窺える。少なくともこの色合いの服を街中で見かけたことはない。
「うむ。続けてくれ」
「はっ!」
そこでスフェーンの姿を見たネクィラムは短く頷くと、近くにいた研究員と治安官にそう言ってから部屋を出る。
「よく来てくれたな」
「えぇ、相変わらず元気そうで何より」
スフェーンは少々顔を引き攣らせると、彼はそんな彼女にケタケタと笑って返す。
「はっはっはっ!まだまだ、くたばるわけにはいかないからな!」
彼はせっかく得た軍警察との繋がりを存分に生かし、エーテルの本質に関わる研究を続けていた。
元はエーテルによって変質した遺体から始まっていたが、南北戦争という起爆剤によって彼は地位と権力を軍警察から与えられた。
そして何十年と権力の波に揉まれ、抑圧された彼はこの千載一遇を見事に掴んだ。
彼は今まで抑圧されていたすべての事を解き放つ。その狂気は他の研究員すらも息を呑ませ、そして囲い込み、同じ志を持つ同志とした。
豪快な笑いにはその強欲とさえ呼べるまでの権力と、それを行使するのに躊躇しない精神力を彼に与えていた。
「…まじで元気そうで」
スフェーンも思わずその勢いに圧倒されそうになるが、ネクィラムはお構いなしだった。
「悪いな。お前さんに荷物を運ばせて」
「…おかげで今は臨時の研究所ですよ」
「なぁに、この調査が終わったらすぐに返す。安心せい」
彼はスフェーンを目印に歩いており、
「…あまり長い期間は勘弁してくださいよ?」
「何、二週間くらいで終わる」
「それならいいんですが…」
スフェーンは妙に信用に欠けるネクィラムの言葉に、今回の旅の目的地に先に着くであろう人物を前に少々不安になる。向こうは待ってくれるかもしれないが、こちらとしてもあまり長い期間待たせたくはなかった。
「ところで、あれは何の実験を?」
スフェーンは話題を切り替えて、あそこの面会室で行われていた内容を聞いた。質問をすると、ネクィラムは答えた。
「ああ、あれは犯人が本当に犯罪を犯したかどうかというのを、異能者を使って記憶を見る実験だ」
「ほぅ?」
どういう実験かというと、人の記憶を視ることが可能な異能者を使い、今収容されている中で再捜査を依頼された囚人を中心に囚人の記憶を見て事件の再捜査を、犯人の記憶を基軸に行うという新しい捜査方法であった。
「やっていることはアンドロイドの記憶読み取りと同じだ。異能者の能力がどれほど正確なのか、そういった能力も検査対象に含まれている」
「ほーお…」
今までは感染者としてただ寿命が尽きるまで静かに暮らして終えるはずだった彼ら。
しかしサブラニエの落としたミサイルにより、彼らは新たに異能者という居場所を得ることとなった。
まだ異能者の能力は大航海時代以前の世界の如くわからないことしか無い。そうした中で、異能者の能力の発現する状況などはすでに分かっていた。
「これで捜査に異能者を使う新しい道が開ける」
「わぁ、すごっ」
革命が起こったな、とスフェーンは思った。
少なくとも今までの捜査に新しい異能を使うという道が生まれ、今まで脳の電子化を行なっていなかった容疑者に対しても、鮮明な事件解決が行えるようになる。犯人逮捕に関しても、異能と言う新しい力を使った方法が模索されている。
「最近は野盗でも異能を使う連中が増えてきた。上は、そう言う連中に対応するように我々にせっついてきている」
「…」
喫緊の課題ってわけね。
スフェーンはその状況もまるまる利用しての研究であると理解した。
現在、異能と言う存在は南北戦争の影響によりトラオムの世界でも広く知られるようになってしまった。
特に異能者に目をつけたのは今まで荒野に隠れ住み、常にエーテルに悩まされてきた犯罪者達であった。
今まで恐れていたエーテル病が逆に武器と化すのであれば、これを使わない手はなかった。
現在、軍警察や各国国軍はこう言った異能者の起こす犯罪に頭を悩ませていた。
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