皆さんお気をつけて。
今回、ボストーク-1から発射されるロケットは地上発射型のロケットであり、とても古典的な使い捨て型ロケットである。
一番上の貨物室に積載をしているのは人工衛星の一つ。これより遥か上空の宇宙に飛ばされるものである。
核融合ロケットを装備し、宇宙空間の衛星軌道まで打ち上げるのにそれほど苦労はしない。
「デカいわね…」
「ここからでもよーけ見えますわ」
双眼鏡を使わずしても見える発射場を見てチェンと部下は言う。
現在、このコンスタンチン・ツィオルコフスキー宇宙基地にて施設護衛任務を請け負った五獣傭兵団を含めた複数の傭兵達。
莫大な予算を投じて作られたロケットの準備は着々と行われていた。
「全く、金持ちは派手にやる…」
チェンはコンクリートで塗り固められた巨大施設を前に軽く表情を引き攣らせていると、
『ミサイル探知!』
「迎撃しろ!」
直後、配置された防空網から対空ミサイルや対空砲による攻撃が空に上がると、飛行していた巡航ミサイルに命中。五発撃墜をする。
『ミサイル撃墜』
『第二波攻撃、確認されず』
「了解。良くやった」
撃墜を行い、その爆発音を見たチェンは撃墜をした車両に無線で伝えると、そこで彼女は小さくため息を吐く。
「散発的な攻撃だな」
「これで五回目ですよ」
対空自走砲による攻撃により今まで撃墜をしたミサイルはすでに二四発。いずれも速度の遅い巡航ミサイルによる攻撃であった。
「…そろそろ本格的にくると思うか?」
チェンはそこで散発的なミサイル攻撃を前に聞く。現在、警戒を担当している五獣傭兵団は他にも雇われた個人の傭兵を取り仕切る役割も担っており、個人の傭兵には歩兵として塹壕内に待機させていた。
「さぁ?いつ来てもいいように部隊を配置させているんでしょう」
「それはそうだがな…」
チェンはそこで自分の乗る装輪装甲車の車内で同乗する部下に聞く。
「どうだ?」
「異常ありません。至って平穏ですよ」
人員輸送機能をなくし、代わりに十分な指揮能力を搭載した車両で部下の傭兵が答える。
今回の依頼はロケット発射場を中心に半径十キロに敵の攻撃をさせるなと言うもの。依頼を受け、今のところ問題なく彼女は仕事をこなしていた。
他にも桜花武士団と呼ばれる傭兵団も同業務に当たっており、個人の雇われ傭兵の部隊編成を行い、引率を行なっていた。
「はぁ…これだけ派手に広告を打ったら、邪魔をする奴も出てくるか…」
「ロケットを発射したら、それだけ広告になりますからね」
この空をエーテルによって覆われたトラオムの大地ではロケットの打ち上げを行なうことは珍しいことであり、インターネットが広がった現在では、ロケットを発射した記録は永遠に残る快挙であった。
「今にも野盗か傭兵が襲ってくるかもしれませんぜ」
「はっ、笑えない冗談だよ」
チェンはそう言うと、片手に最新式の自動小銃を握った。
「よいしょ…」
街でとある女性を保護したルシエルは、脱水で動けなくなっていた彼女に肩を貸して家に到着をした。
「着きましたよ」
「あぁ、悪かった」
ルシエルは隣で肩を貸した女性に言うと、彼女はだいぶ回復をしており、一人で歩ける程度にはなっていた。
ではなぜそこまで回復したにも関わらずここまで着いて来たのか、答えは明確であった。
「軽くお礼をさせてくれ」
「…詐欺だったらすぐに帰りますよ?」
やや怪訝な目でルシエルは言うと彼女、マルガリーテス・ハミルトンはアパートの一室にルシエルを招くと、そこで玄関から積み上げられた書類や資料の数々を見てルシエルは一瞬入っていいのか戸惑った。
「?あぁ、」
すると部屋の前で立ち止まったルシエルを見て入ってこない理由を察した。
「遠慮しなくて良い。入って来てくれ」
マルガリーテスはルシエルに言うと、彼女は積み上がった大量の紙のファイルを持って積み上げる。
「…失礼します」
ルシエルは倒れそうになったが、意を決して部屋に一歩入る。
部屋の匂いは普通。
だが圧倒的の紙、床に紙、壁に紙、どこを見ても紙である。
『おおぅ…これはすごい』
スフェーンもその紙の暴力に圧倒されていた。
そもそもこんなに大量の紙ばかり使用している時点で金がかかっていることに間違いない。
大災害の影響で星中から木々が失われた現在、紙や木材というのは消耗品兼資産である。おそらくここの部屋一杯に詰まった紙を売るだけでもまとまった金になることだろう。
紙を作るための丸太はワインと同様、変動する価値の為資金洗浄の温床にもなっていた。
「…凄いですね」
「そう?私の自慢の部屋だ」
ルシエルの呟きにマルガリーテスは少し嬉しげに答えると、彼女は部屋の中の空いているリビングにルシエルを案内した。
「すまないね。空いている場所がここくらいしかないんだ」
「あぁ、大丈夫ですよ?」
ルシエルは少なくとも鼻腔の匂いを遮断する必要がないこの部屋を前に答える。
少なくとも今まで招かれたりした部屋の中ではトップレベルにマシな匂いをしており、なんなら彼女の使っている香水の香りがしていた。
「少なくとも臭くはないので」
「はははっ、それは良かったが…同じ女性に対して臭いのことは御法度だろう?」
「あぁ、それは失礼しました」
ルシエルはそこでマルガリーテスに答える。
そして同時に今までの人生で長い期間女性と付き合って来たことがないなと思った。
ルシエルとスフェーンが生まれて早十二年。ルシエルにとって最も近い人間であり、双子の姉妹であるのがスフェーンだ。
正直なところ、自分はスフェーン以外の人と話したことはほぼ無い。
元々自分はスフェーンとも違い、人から生まれた存在でも無い。スフェーンは人を元に作られ、自分はその途中で生まれた存在。
だから常にスフェーンと体を共有していたが、人の体に慣れているスフェーンにほぼ任せきりであった。
「(スフェーン…)」
『ん?どしたの?』
ルシエルはスフェーンに聞いた。
「(あ、あの…代わってもらえませんか?こういうのは慣れている人にお任せした方が良い気がして…)」
ルシエルはスフェーンに助けを乞うと、彼女はすぐにキッパリと言った。
『無理』
「(っ?!)」
その返答にルシエルは驚愕をした。少なくとも、彼女の対応はスフェーンの方が良いと自分の中では結論づけ、その事をスフェーンもわかっているからだ。すると彼女は言う。
『ほら、戦闘以外の補助はしてあげるから』
「(えぇ…しかし…)」
『体作った時の訓練だと思って』
「…」
スフェーンに早々に最強の手札を切り出され、ルシエルは言いくるめられてしまう。
今でこそ寄り道的な感覚である場所に向かっているが、スフェーンとルシエルが今旅をしている目的は新しい体を造ること。
材料こそ判明しているものの、体を造る上で必要な方法というものは見つかっていない。その方法は今も模索中であった。
「(…はぁ、私がやるしか無いわけですか…)」
『そう言うこと。色々と困ったら、私に聞いて?』
スフェーンはそれだけ言うと、後のことはルシエルに一任して交代拒否をした。
任されたルシエルはどうしたものかと考えつつも、これから行う行動に対し、自分なりの行動を考える。
「少し、待っていてくれ」
「あ、はい」
その時、ボーッとしていたように見えたルシエルはマルガリーテスの声によって現実に意識を引き戻された。
彼女はそこで机を開けると、そこの椅子にルシエルを座らせてから台所に消えた。
銃を近くの空いた壁に立てかけ、座った後に散弾銃を軽く持ち上げて避けて座った。
「…ふぅ」
そしてそこで一息吐いてから部屋を一瞥すると、そこには無数の紙と鉛筆が置かれ、自分の身長以上にありそうなファイルの山を見上げる。
「(すごい資料の量です)」
『しかも計算式もすごいや』
スフェーンがその紙からはみ出た場所に書かれている無数の数式を見て思わず出てしまう。
実際、無数の計算式が紙には書かれており、まさか全部その類なのかと一瞬勘繰ってしまう。
「っ!?うわぁっ!!」
しかしルシエルの背中に積まれていたファイルのタワーが崩れて上から襲いかかってくる。
「大丈夫かい!?」
即座にドサドサッという音に反応してマルガリーテスは台所から飛び出して来る。
「うげぇ…」
崩れてきたファイルに押しつぶされるようにルシエルから蛙を潰したような声が聞こえる。
「待ってくれ!すぐに救助するぞ!」
マルガリーテスは慌ててルシエルを覆っているファイルを退かそうとしたが、彼女は言う。
「大丈夫です…」
ルシエルはファイルに潰された状態で唯一出ていた右手を軽く動かし、指を鳴らした。
「おぉ…?!」
すると直後、彼女を覆い被さったファイルが一斉に持ち上がる。そのファイルの山を片手で持つルシエルはマルガリーテスに聞く。
「これ、どうしたら良いですか?」
サングラスの奥で空色の瞳を浮かべるルシエルは言うと、それを見たマルガリーテスはその光景を少し唖然として見ていた。
「…おぉ!!」
そして彼女はルシエルに聞く。
「それが噂の…異能とか言うやつか…!!」
その目は興奮しており、ルシエルは『あっ、マズイか?』と思ったが時はすでに遅かった。
「すごい!こんなに簡単に物を操作できるのか!!」
「あ〜、個人差はありますよ?」
彼女はそう言って崩れてきたファイルを地面に置く。
椅子もあったが、背もたれがないタイプの椅子であったために今回の事故が起こっていた。
「取り敢えずこのままでいいですか?」
「あぁ、そうだね…」
そこでマルガリーテスは顎に手を当てて崩れた資料を見つめる。
「ふむ…この部屋もいよいよ狭くなってしまったか…」
彼女はそこで資料やファイルが積み上げられた部屋を一瞥してからルシエルを見る。
「すまない、怪我は…なさそうだな」
「少なくともこんな状態ですからね」
ルシエルはやや呆れた表情で部屋の資料の中にあった一冊の本を手に取る。
「…宇宙物理学ですか」
「あぁ、私の好きな分野なんだ」
彼女はルシエルの手に取った本を見て頷いた。
その目は憧れと欲望の眼差しを浮かべていた。
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