無人タクシーに乗せられ、街の郊外に移動をするルシエルとマルガリーテス。
『ご利用、有難うございました』
無人タクシーの自動音声と共に扉が開き、二人は降りると無人タクシーはそのまま道を走り去っていく。
「さて、行こうか」
「さぞ面白い場所なんでしょうね?」
そこで何もない場所で降りた彼女はタクシーの消えていった方に向かって歩き始め、ここまで連れてこられた理由を聞いたルシエルは少々警戒しながら聞くと、マルガリーテスは自信があるように答える。
「ああ、期待を膨らませておくと良い。面白いものが見れるぞ」
マルガリーテスはそう言ってルシエルと共に道を歩く。
人気のない山間の道を深夜に歩く二人だが、猫の獣人で夜目が効くマルガリーテスと常に熱源探知を起動して別の人が監視している歩くフェーズドアレイレーダーを持つルシエルなのでほぼ問題なかった。
ちなみにマルガリーテスのような三毛猫の獣人は、元となった動物の関係だろう。男性の三毛猫の獣人というのはとても珍しいので馬鹿みたいにモテる。
「まさかあんな辺鄙な場所で降ろされるとは思ってもいませんでしたけど…」
「追跡を騙すためだ。あの無人タクシーから先は人力で捜索をする必要がある」
無人タクシーを降りた場所は、近くにマジで何もない場所である。
地図を見ても歩いて数十分のところに無人販売店がようやく現れるような、そんな場所である。
「(…仕方ありませんね)」
『バイク呼ぶ?』
スフェーンはそこで聞いてきたのでルシエルは帰りのためにバイク配送を依頼すると、彼女は快く了承して貨物ターミナルでバイクのエンジンをかけると、遠隔操作でガレージの扉を開けて走り出して行った。
「ここから山に入ろう」
「了解です」
山道に入りしばらく歩くと、そこでマルガリーテスはゴツゴツとした岩山を見上げる。
途中でタクシーを降りたのは居場所を隠すと同時に目的地を欺く必要があるということだろう。彼女はタクシーを降りた後、しばらく歩いて山道に入り、山に道を逸れる。
「歩けるかい?」
「ええ、ご心配なく」
半分獣道とも言えるような場所を歩き、二人は山を登る。
「ここは誰も登っていないんですね」
ルシエルはそこで地面の足跡が動物の爪ばかりなのを見て思う。ここら辺は低木が生えているので中型をはじめとした草食動物が生存できる環境が整っていた。
「ああ、ほぼほぼ獣道さ」
マルガリーテスはそう言って簡単に岩場の多い山を登っていく。
「よっと…」
ルシエルも少し苦労しながら岩を登っていく。色々と持ってきた武器がここで仇となっており、下手しなくとも置いていかれるような移動の速度差があった。
「手を貸そうか?」
「…すみません」
巨岩の上でマルガリーテスの手を借りてルシエルは足を引っ掛けて体を転がして岩を登る。
生まれが本当の獣人ではないルシエルは体力が人並み程度しかない。おかげで獣人についていくとなると相対的に体力は先にこちらが切れてしまう。
「ほぅ…」
岩から寝転がって空を見上げると、そこには無数の星が煌めいていた。
「…ルシエルさん」
「?」
綺麗だなと思う前にマルガリーテスの声でルシエルは視線を彼女と同じ方に向ける。
「あそこ、見えるかい?」
「ええ」
彼女が指を刺した場所、一見何もなさそうに見える。視界をサーマルに切り替えても違和感は無い。
「?」
一般的な視界では何も見えないと思っていると、スフェーンは伝えてくる。
『前方に金属反応がある』
「(了解)」
そこで目を細めてよく見てみると、そこでは一般のギリースーツに身を隠した二名のアンドロイドが双眼鏡を立てている姿だった。
「距離遠いですね…」
少し見上げる形で彼らは監視をしており、ただ完全に別の方角を見ているので自分たちには気づいていない。
「話し声も聞こえるな…」
「耳良いですね」
マルガリーテスが耳を少しヒクヒクさせて音を探る。おそらく、無線封止をしている影響だろう。アンドロイド二人は話をしており、その声がマルガリーテスの猫耳に反応した。
「鹿の君も、耳は良く無いのか?」
「生憎、人の遺伝子の方が強いんです」
ルシエルはそう答えると、両手に対戦車ライフルを手に持つ。
「迎撃しますか?」
そう聞くと、マルガリーテスは頷く。
「そうだな。彼らはどうも、ロケット発射場襲撃の下手人のようだしな…」
先ほどの会話を聞いていたマルガリーテスは断片的な『ロケット』『誘導』『襲撃』と言った言葉から彼らがロケット発射場にミサイルを誘導するのが仕事であると推測していた。ルシエルはそこでバイポッドと傘を開くと、ボルトを引いて銃弾を装填する。
「最初から当てるのか?銃声で気づかれるぞ?」
「五百メートル以内なら自信がありますよ」
ルシエルは自信ありげに銃を展開すると、傘越しにギリースーツを展開しているアンドロイドを見る。
「ちょっと待ちたまえ」
そこでマルガリーテスはきていた上着のポケットから双眼鏡を取り出すと、それを目に当てて目元のダイヤルを回し始める。
「補助ですか?」
「こいつにはレーザー測距もあるからな」
「…レーザー当てたらバレますよ?」
「民生品のレーザーでギリースーツ越しにバレると思うかね?」
マルガリーテスはそう言うと、持っていた天測用の双眼鏡を使って測距を行う。
「…距離、四三三」
「角度は?」
「…三二」
スコープのネジを回し、倍率の調整を行うルシエル。傘の防楯で完全に自分の姿は隠され、傘の影に隠れたマルガリーテスも同様に岩山に隠れていた。
「まだ距離が近くて初速が速いから、ほぼ落下計算しなくても良いのが救いですね。風は?」
準備を終えたルシエルは呟くと、マルガリーテスは言う。
「ゼロだ。あの場所を余人に知られたくはない。やってくれ」
「了解しましたよ」
直後、ルシエルは引き金を引いて発砲。けたたましい銃声と一瞬の発火炎が閃光として迸った直後にギリーを被っていた一人に命中。
「っ?!」
銃声が聞こえた直後に二人のアンドロイドは反応をしたが、一人は間に合わずに腕から体を貫通する。高初速のまま突入した弾頭はアンドロイドの強化プラスチックの皮膚を貫徹。腕を過貫通してから体に命中し、複合セラミック装甲の心臓部を貫くことは無かったが、一部が機能停止する。
「ヒット」
マルガリーテスは言うとすぐさまルシエルはボルトを引いて排莢、押して装填を行う。
「狙撃!?」
「伏せろ!」
アンドロイドは自分達が襲撃を受けていると把握し、すぐに地面に伏せるが、山肌に沿っている上に下から打ち上げられているので居場所はバレていた。
ッーー!!
すぐにルシエルは二発目を発射。激しい発火炎と共に銅色の弾頭が発射されると、その銃弾は伏せていたアンドロイドのはみ出ていた自動小銃を弾いた。
「あっ!くそっ!!」
アンドロイドは弾かれてハンドガードが破壊された自動小銃を手に取ろうとした。
「…」
山肌で動くギリースーツを見るルシエルは引き金を引いて発砲。激鉄が雷管を叩くと、銃口のマズルブレーキを抜けて再度銃弾が発射される。
「うおっ!?」
その銃弾はアンドロイドの右肩を撃ち抜いて破片を後ろに飛び散らせる。
「高い銃声だぞ!?」
「大砲か!?」
アンドロイドも一瞬勘違いを起こすほどの対戦車ライフルの銃声。何発も撃ち込まれたアンドロイド側はここにも傭兵がいたのかと思ったが、過去はロケット発射場から離れた場所で、鹿や猪などの動物がいる場所だ。
「くそっ、狩猟に来た奴らか?」
「嘘だろ?」
二人は相手が狩猟に来たのかと思っていると、そこで少し顔を覗かせて辺りを見渡す。
「…何処だ?」
辺りを見回すとそこでは何も見えず。ルシエルの展開した傘のおかげでサーマルでも見つけられない。
「や、やめてくれ!」
「撃つな!!」
これには溜まりかねて二人のアンドロイドは動く腕を上に挙げて飛び出してくる。
「狩猟か!?」
「降参する!」
二人は言うと、視界の一角で小さな影が動く。
その二人の女性はそれぞれ散弾銃と対戦車ライフルを持っており、格好はアレだが、狩猟といっても理解できる身なりをしていた。
「お前達!」
マルガリーテスはそこでアンドロイド二人に厳しい視線を向ける。
「ここは猪撃ちの場所だぞ!?何をやっているんだ?!」
「そ、そうなのか?」
「…馬鹿タレが」
二人の撃たれた姿を見て呆れた表情を向けると、マルガリーテスは散弾銃を持ったまま軽く舌打ちをする。
「ここは誤射される。ほら」
そこで彼女は軽く顎を下に向けると、アンドロイド達は武器を持ってそそくさと逃げ出して行った。そして二人が見えなくなると、マルガリーテスは持っていた散弾銃をルシエルに返した。
「良かったんですか?軍警に突き出さなくて」
散弾銃を返してもらったルシエルは聞くと、
「いや、ここから先は地雷も埋めてあるからな。むしろ降りてくれた方がありがたい」
「え?」
この先は地雷原というのを聞き、思わず彼女の顔を信じられない表情で見るルシエルだが、彼女曰く『後を着いてきたら絶対大丈夫』との事。
「(い、一歩踏み外したら『死』何ですけど…!?)」
『山肌に地雷とか、馬鹿じゃ無いかしらね?』
山に地雷を埋め込んであると言ったマルガリーテスに、この先にどれだけ余人に見せたく無いものがあるのだろうかと疑問に思いながら登山を再開する。
「へぇ…へぇ…」
重い装備を持ちながら、ナッパ服で余裕があるので少しドーピングで結晶を服の下の肌から突き出しながら登る。
「頑張りたまえ!もう少しだ!」
へばりそうなルシエルに余裕げに声をかけてくるマルガリーテス。
そして暫く歩いて山頂に到着をした。
「到着したぞ」
「ふへぇ…」
到着と同時に肩を落として息を吐くルシエルは、そこで軽く一息ついて大きく酸素を吸うために体を起こすと、
「おぉ…」
その景色を見下ろした彼女は思わず声を漏らす。
「どうだ、素晴らしかろう?」
そのマルガリーテスの問いにルシエルは頷く。確かに、この景色は初めて見る者であればアッと来るものがある。
そこには無数の純白の塗装されたアンテナが等間隔で設置され、その一つ一つが巨大な天体観測用の施設であった。
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