TS若返り傭兵は旅をする   作:Aa_おにぎり

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#321

新たにロケット発射場に接近をしてきた部隊は大部隊と言って差し支えのない量であった。

 

「て、敵部隊だ!物凄い数だ!」

『どれくらいの量だ!』

「かなりだ!」

『かなりで分かるか!!』

 

無線で前線指揮所と連絡をとったオートマトン部隊は恐怖で震えた声で伝える。

 

「敵、オートマトンに自走砲が百両以上だ!繰り返す!百両以上だ!!」

『は?!数え間違いでもないのか!?』

「土煙が上がっているのが見えないのか!!」

 

オートマトン部隊は迎撃の為に25mm弾を発射して侵攻中の敵部隊に攻撃を行う。

 

「敵を近づけるな!」

「接近戦は避けろ!」

 

近くでは自走砲の砲撃で吹き飛ばされたオートマトンが横たわっており、中のパイロットは数名が生命維持装置が起動していた。

 

「ああ、くそっ!」

 

生き残った傭兵もコックピットから這い出ると、そこで6.5mm自動小銃を持って前線の塹壕を走る。

 

「撃て!」

 

直後、塹壕から歩兵達が対戦車擲弾(RPG-7)を発射。タンデム弾頭が飛んで行くと、オートマトン数台に命中。撃てば当たるほどの密度で侵攻してくる部隊を前に傭兵達は表情を青くしながら攻撃を続行する。

 

「ひっ!!」

「馬鹿!弾薬箱を持ってこい!!」

 

塹壕の銃座から13.2mm機関銃が発射される。

このトラオムの世界では、37mm以上の口径が砲とされるのでオートマトンのもつ30mm自動小銃も銃の扱いであった。

そして放たれる13.2mmの銃弾は多脚戦車の関節部に命中すると、関節が外れて一台が擱座する。

 

「くそっ、数が多すぎる」

『防衛線を一つ下げるぞ』

「ああ」

 

短く無線でやり取りをした後、その外骨格装甲服を纏う傭兵は機関銃を持って撤退を始める。

 

「おい!もう逃げるのか!?」

「黙って従え!死にてぇか?!」

 

直後、上を風切り音が聞こえて前線全体に砲弾が降り注ぐ。

 

「第三射、弾着。次弾、修正の必要無し」

 

それを見ていた野盗の部隊は無線で伝えると、後方に控えていた多脚戦車はその長砲身の155mm砲を天に向けており、直後発砲。発火炎がマズルブレーキから溢れて閃光が出る。

 

「撃て!」

 

多脚戦車の155mmリボルバー滑空砲は発砲を行うと、装薬と砲弾を共に装填済みであったシリンダーが回転。装填棒によって薬室に弾薬が装填をされると、雷管を叩いて発砲する。

 

「ぬおっ!?…くそっ!撤退だ!急げ!!」

 

最前線の塹壕にそれら発射された砲弾が着弾をすると、前線で攻撃を行っていた傭兵達も敵わずに撤退を選択する。

戦争を売買する傭兵達は塹壕の作り方も心得ており、ロケット発射場には塹壕陣地が作られていた。

 

「発射!」

 

するとその横ではオートマトンの両肩に設置された105mm無反動砲の砲撃が二発飛んでいく。その砲撃は片方が外れ、片方は命中して多脚戦車を破壊する。

発射された無反動砲は下に装填された弾倉からケースレス弾が新たに薬室に装填されていく。

 

「くそっ!どんな機甲部隊だよ!」

「完全自動車化されている!」

「畜生、敵主力か…!!」

 

敵部隊はオートマトンと多脚戦車で構成された機械化部隊であり、先の砲撃然り練度は十分であった。

 

「ただの野盗がここまで統率の取れた動きができるのかよ!?」

「脱走兵が野盗になったか…面倒な」

 

しかしこれは、もしかすると敵も傭兵の可能性がある練度であった。

 

「司令部の命令は後退だ。一度引いて立て直すぞ!」

「りょ、了解です!」

 

そこで新米傭兵に言うと彼らは一斉に塹壕を放棄し、後方の第二陣地に移動を行う。その間も敵部隊の砲撃は続いており、いくらか展開していた部隊に被害が出る。

右腕に装備した30mmガトリング銃を発射し、敵部隊に攻撃を行う桜花所属のオートマトン。その後方では五獣所有のトラック搭載型の大口径レーザー兵器が空に向かって攻撃を仕掛けてくるFPVドローンに対し攻撃を開始。

ロケット発射場の北西部の平原から攻撃を仕掛けてきた敵部隊に対し、五獣・桜花の合同部隊は防護に徹し、迎撃体制を整えていた。

 

「後方の主力を北西に行かせろ!」

「向こうは本気だ!なりふり構わず突っ込んでくるぞ!」

 

指揮通信車でチェンが指示を出すと、副官達もこの攻撃が本格的な構成であると認識して後方に控えさせていた部隊を送り込む。

 

「大丈夫か?桜花のやつら、暴走するかもしれんぞ?」

 

向かわせた手前、桜花のオートマトンに不安を覚えるチェンの副官。

見た限りで多くの新米を送り込んできた桜花武士団の傭兵に、五獣傭兵団の傭兵達は不安視していた。

 

「その時は奴らにせいぜい文句をつけてやる。手綱を握れていないのは向こうの仕業なんだからな」

 

チェンはそう言うと、片手に13.2mm自動小銃を手に持って車上に出る。

 

「ボス?」

「車を回せ。北西」

「了解」

 

チェンはそこで近くで控えていた対空自走砲に向けて言う。

 

「お前達も前線にでろ!機関砲で火力支援だ」

『はっ!了解であります!』

 

直掩部隊はそう答えると、一斉に走り出して八輪装輪式の対空自走砲は戦場を移動する。

 

「敵部隊接近」

「対戦車ミサイル発射!撃て!」

 

そして対空自走砲はすぐに走行中に対戦車ミサイルを発射すると、敵部隊に向かって飛翔して行った。そして無誘導ロケット弾による攻撃が空に向かうと、地面に着弾したロケット弾が爆発を起こして侵攻してくる敵部隊に攻撃を仕掛けた。

 

「自爆ドローン、全機射出せよ!」

 

そして指揮官からの指示が飛ぶと、一斉にコンテナから爆弾を設置したFPVドローンが射出され、戦場に向かって飛んでいく。

 

「敵、FPVドローンです」

「妨害電波発信。落とせなかったらパルス攻撃だ」

「了解」

 

それを敵側の後方で隠れていた電子作戦車が確認すると、すぐさま戦域一帯に電波妨害が行われるが、光ファイバーで有線誘導が行われていたドローンには効果がなかった。

 

「効果無し。パルス攻撃を行います」

 

そこですぐさま要員は別のスイッチを入れると、交換式のコンデンサーが焼きつく代わりに強力な電磁パルス攻撃が射出され、電子機器に甚大なダメージを負って戦域を飛んでいたドローンが次々と堕ちていく。

 

「ドローンが堕とされた!足元が地雷原になったぞ!」

 

電磁パルス攻撃で普通になった通信の前で傭兵が叫ぶと、最前線で機関銃を発射していた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「あの男は、ロケットを自分のものと勘違いしているらしい」

 

天体観測所の部屋の中、マルガリーテスは言う。

 

「企業により一代で莫大な財を成した彼は、ロケット技術をトラオムの各地からかき集め、ロケットを作りたいと願う研究者達をこの地に集めて研究をさせてきた」

 

その中に彼女も含まれていたという。トラオムの世界で失われた技術であるロケットを打ち上げるために、プログラムを作る人材として雇われた。

 

「無論、相手は企業であり、利益を考えなければならないこともわかっていた」

 

マルガリーテスは企業の研究員としてロケット開発のプログラムの制作を行った第一人者として言う。

 

「だがあの実業家はロケットを売り物として、兵器として転用を画策していると聞いた時に私は震えたよ」

 

現在、ロケットの弾頭部に搭載されている人工衛星を入れる貨物室には人工衛星以外にも核弾頭や通常弾頭といった武器を搭載することで超遠距離から攻撃を行うための運搬手段としてゴダート・ロケットを使用しようとしていた。

 

「だから私は、ロケットを兵器転用させないために動くことにした」

「…」

 

彼女の話を聞いていたルシエルは思っていたよりもでかい問題を前に軽く唖然となっていた。

 

『なーんか、問題がでかくなってません?』

「(しかしロケットの兵器転用ですか…)」

 

今までの歴史では数多く行われてきた行為だ。ロケットの貨物室に核兵器やMIRVを装備して宇宙空間に物を放り出した後に再突入をさせて攻撃を行う。簡単にできることから純粋水爆を積載して攻撃をした歴史もあった。

 

『まあ企業ならやりかねんな』

「(しかし軍警が許しますかね?)」

『だから動いているんでしょう?』

「(…はい?)」

 

スフェーンの言葉にルシエルは素っ頓狂な声を出してしまう。

 

「(え?軍警が…ですか?)」

『ええ、どうやらロケット発射を失敗させる目的で裏で色々とやっていそうよ〜』

 

スフェーンはそこで彼女が調べた情報をルシエルに伝える。話を聞き、ルシエルは少し考える。

現在、ロケット発射場の戦況というのはチェンの五獣傭兵団のネットワークにアクセスして把握していた。

 

「(はぁ、軍警も楽な組織じゃありませんね)」

『実質的に大災害以降からずっとトラオムを支配し続けてきたようなものよ?まあ生半可な組織ではないわよね』

 

ルシエルにスフェーンは頷くと、そこで彼女達はマルガリーテスの話を聞く。

 

「それを知った時、ロケット打ち上げなんて失敗すればいいと思っていた。そして私は実際に、ロケット打ち上げが確実に失敗するコードも作り上げていた」

 

彼女はロケット打ち上げを行うために使用するプログラムを作っていた。

 

「だが出来なかった…」

 

マルガリーテスは悔しげに拳を握った。

 

「私も研究者の一人だ。どのような意思があるとは言え、自分の作ったロケットが打ち上がるのを見たいと願った」

 

そこで彼女は一度天体観測所の操作を止めると、ルシエルに聞いた。

 

「不思議だ。これから軍事利用が確実なロケットだと言うのに、それが打ち上がる姿を見たいと願う軍事利用に反対する開発者がいるんだ」

「…」

 

マルガリーテスはそこで無限に広がる宇宙を前に頭を悩ませていた。

自分の開発したロケットが確実に軍事利用されることを知りながら、ロケットの打ち上げが成功することを望んでいる一人のプログラマー。

 

「難儀ですね」

「あぁ、全くだ」

 

ルシエルの呟きに彼女は頷くと、ルシエルは続ける。

 

「でしたら、ロケットの価値を無くせばよろしいのでは?」

「…それは…」

 

するりとルシエルのいった一言に、マルガリーテスは驚愕した表情で彼女を見た。予想外の意見を言われたような、そんな顔をしていた。

 

「なるほど、君はすぐにそれを思いついたか」

「あ、やっぱりやる気でしたか」

 

ルシエルはマルガリーテスの思惑をすぐに察した。それに彼女も頷く。

 

「ああ…今回のゴダート・ロケット。その技術を全て公開する手筈が整っている」

 

マルガリーテスは堂々と、ルシエルに言った。




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スフェーンに持たせるなら?(参考にします)

  • 89式5.56mm小銃+06式小銃てき弾
  • 九九式短小銃+二式擲弾器
  • Ak5C+M26 MASS
  • AKMS+GP-25
  • AKE-971+GP-34
  • FN M1949+Energaグレネード
  • FAMAS+APAV40
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