「じゃあ、マルガリーテスさんもロケット発射に付き合えば良かったものを…」
天体観測所の中でルシエルはマルガリーテスに言うと、彼女は答える。
ロケット発射のためのコマンドを制作した彼女は、本来であればロケット発射のために付き添う必要があったが、彼女は今ここにいた。
「そうだねぇ。ロケット発射には私も同行しても良かったのだが…」
彼女はそこで天体観測を行うために繋いでいたコードを抜く。
「打ち上がっていくロケットを見やすい場所から見たいからな。私は同行しようと思わなかった」
マルガリーテスはそこでルシエルを見る。今も機器に接続済みであった彼女は、それでもしっかりとマルガリーテスの顔を見ていた。
間も無くロケット打ち上げの時間となり、街に住む住人達もロケット発射場での戦闘を確認しており、また一部は河を進むロケット発射台にも気づいていた。
「じゃあ、ロケット打ち上げに失敗することは…」
「できれば避けて欲しいねぇ」
彼女は複雑な感情を抱きながらルシエルに頷く。
「…なるほど」
ルシエルはそこでマルガリーテスの意思を確認すると、そこでマルガリーテスは急激な眠気に襲われる。
「っ!?行かんな…」
マルガリーテスは恐ろしい眠気を前に思考力も低下する。
「ルシ…エ…ル…」
彼女はそのまま倒れると、ルシエルは眠るマルガリーテスを抱えてそのまま床に転がした。
「ふぅ…これで暫くは起きないでしょう」
『打ち込んだウイルスは稼働中だから』
「了解しました」
スフェーンはそこで、先ほど天体観測装置を介したインターネット接続でマルガリーテスにコンピューターウイルスを打ち込んでいた。
打ち込んだものはスフェーンが速攻で制作をしたウイルスで、打ち込んだ相手を本人が許可するまで眠り続ける代物であった。
『さて、やってみますか』
スフェーンはそこで今も接続をしている天体観測所のコンピューターを見る。
これにより、ここは大災害以前より存在していることは紛れもない事実であった。
「凄まじい計算能力を持ったコンピューター…」
『これが天体観測所に使われている時点で恐ろしいよ』
そもそもこの施設、大災害以前の言語を翻訳した所、弾着観測用に作られた軍事施設であると分かっている。
一体ここら辺から何の兵器を打ち上げていたのかは定かではないが、ここにある無数のアンテナ装置は、トラオムの大地から発射される兵器を命中させるために作られたものであると判明している。
『少なくともこれが民生品のシステムなのが凄い…』
「これで軍用のシステムではないんですね…」
ルシエルは無理やり接続したキーボードではなく、本来の操作盤の上で立って見下ろす。
この機材と接続をしたおかげで、今ルシエルの視界にはホログラムが映し出されていた。
「…」
ホログラムには多数の画面とアンテナの状況が映し出されている。
『アカウント作ったわよ』
「了解。助かります」
そして大災害以前の古いシステムにも関わらず、性能が自分たちの知るどのコンピューターよりも高いことは分かっていた。そこでルシエルはこのコンピューターを解析してそれを参考にしたアカウントを制作していた。
そしてコードを抜いて操作盤に手を触れら途端、アカウントを持った人間としてこの天体観測所のシステムが一斉に起動を開始した。
「よし…動いた」
アカウントが認証され、すべてのシステムがルシエルと接続をしたのを確認すると、彼女はそこでこの天体観測所の観測システムを借りて周辺の、特にロケット発射場周辺の情報を確認する。
『あら、随分と押され気味ね』
そこで戦局を見たスフェーンにルシエルは改めて聞く。
「…やりますか?」
『勿論。その方が私たちの気分がいいでしょう?』
スフェーンはどこか待っていたと言ったような様子でルシエルに答えると、彼女はそこで目を閉じる。
「よっしゃ。いっちょやりますか」
スフェーンはそこでシステムを間借りしてすぐに戦域を移動する一つのオートマトンに接続をする。
「うごっ!?」
そのオートマトンはサイボーグ化したパイロットがインターネットと接続をしていたことで、いつも同様の手で慣れているスフェーンは直ぐにコックピットを制圧した。
「…ふむ、悪くない」
ハッキングを行い、体を借りたルシエルはその傭兵が桜花武士団の機体であると把握する。
「へぇ、こいつ第四世代に乗っているのか…」
操作系を見てスフェーンは機体の世代を見て言うと、そこで軽く操作を行った後に武装の確認を行う。
右腕に30mm自動小銃を持ち、左腕に40mm擲弾銃を装備していた。
「変わったねぇ」
少なくとも自分が現役の頃は、第四世代型オートマトンはまだ数が少ない貴重なものであったことをしみじみと振り返って時代の流れを感じた。
「肩にも武器があるか…」
『どれほど戦えますか?』
「ん?そこはプロフェッショナルに任せなさい」
スフェーンは自身ありげに笑みを浮かべると、操縦桿を握って前線に飛び出した。
「よっと」
そこでまず持っていた40mm自動擲弾銃を発射し、一気に背中のスラスターを吹かして前線から飛び出す。
『おい!馬鹿!前に出過ぎているぞ!!』
すかさずこの動きに気がついた別の傭兵から無線が入ったが、あいにくとその無線はパイロット本人には通じていない。
『直ぐにもど…』
スフェーンは無線をそこでブツっと切ってしまうと、そこで前線のカメラの映像を確認する。
「右、バランサー。やや軽く調整」
『了解』
直後、右肩に装備してあった120mm無反動砲が発射。前線を進む敵部隊で爆発が起こる。
『何だ!?』
『敵一機!突出しているぞ!』
『迎撃しろ!』
敵部隊は突出してきなオートマトンに向けて一斉に攻撃を始めるが、
『っ!』
『当たらない…!?』
空中でスラスターによる落下速度の低下により、コンピューターの計算した落下速度とわずかにずれていたことで命中することなく地面に落下。足で多脚戦車を踏みつけると、直後に多脚戦車に持っていた30mm自動小銃の射撃が叩き込まれる。
『っ?!』
『何だこいつ!?』
敵のパイロットが驚愕している間に至近距離で装填を終えた120mm無反動砲の射撃が叩き込まれると、その反動に押されるようにそのオートマトンは背後に飛ぶ。
「うい〜、結構な数」
『飛んだ飛び入り参加ですよ』
スラスターの微調整を終え、すでに八台の車両を破壊した現状を見てルシエルは久しぶりにスフェーンの天才的なオートマトンの操縦技術を目の当たりにする。
「ふふふっ、こりゃあ良い。第四世代だから動かしやすい」
スフェーンが昔愛機としていたロート・フォッカーは第四世代オートマトンの試作型であった。その極端に近接戦に特化したチューニングを行っていたことで完全に彼専用機と化してしまっていた。
『あまり暴れすぎないでくださいよ?』
「無論だとも」
そこで彼女は飛んできた攻撃を屈んで避けると、そのまま頭部の13.2mm機関銃を発砲する。
『なっ?!』
そして機体の各所に機関銃弾を受け、その反動でカメラが破損をしたそのオートマトンは直後に30mm自動小銃の攻撃を受けて擱座した。
「緩いぞ!」
そしてそのまま脚を動かして茫然となっていたオートマトンに突進。
『うわっ!!』
「貰い」
そしてその反動で腕を切り落とすと、敵が持っていた25mm自動小銃を強奪。弾切れを起こした40mm自動擲弾銃と交換して射撃を続行する。
『撃て!』
『あいつは手練れだぞ!』
直後、突出をして大立ち回りをするオートマトンを相手に一斉に多脚戦車も発砲する。
「おっと〜」
しかしスフェーンはこの砲撃も余裕げに躱し、頭部の機関銃で一部砲弾は迎撃をした。
『良いですか?発射まであと二〇分です。十五分で切り上げるんですよ?』
「分かってるって」
ルシエルの忠告に理解して頷きながら持っていた銃を敵に投げつけて撃破するスフェーン。
すでに戦線の一角で一台のオートマトンが敵を蹴散らしており、それを無論指揮をとっていたチェン達も見ていた。
「あいつ、あんな事できたのか?」
「いや、ありえん。あいつは新米だぞ?」
副官達は大立ち回りをするオートマトンを見て困惑気味に言っていると、そこで一人が茫然と戦場を見ていた。
「ボス?」
「…」
しかし話しかけたチェンだが、茫然と戦場を見ているだけで反応がなかった。
「ボス」
「っ!あぁ、どうした?」
そこで我に帰ったようにチェンは副官を見ると、彼は言う。
「どうしたじゃないですよ。今のうちに戦線を押していきましょう」
「あぁ…そうだな」
チェンは燃え盛る戦場を茫然と見た後に指示を出そうとした時、
ッーーー!!
突如、自分たちの後ろで爆発が起こった。
「っ!しまった!」
その爆発の正体を察したチェンは思わずロケット発射場を見て叫んでしまった。敵部隊の放った巡航ミサイルがロケット発射場に命中した瞬間であった。
「くそっ!どこから撃ち込まれた!?」
副官が毒吐いて攻撃が行われたロケットを見る。爆炎が上がるロケット発射場を前に依頼の失敗が脳裏をよぎった。
「あ〜りゃりゃ」
それを見ていたスフェーンは爆発の起こったロケット発射場を見ると、ルシエルに聞く。
「損害は?」
『南東部より攻撃を確認しました。ロケット本体への損害は確認されていません』
ロケット発射場に繋がる道路が爆発した旨を聞くと、スフェーンは軽く安堵してから30mm自動小銃を敵に向けて発砲する。
敵部隊に単騎で突入をしてきたオートマトンを相手に、敵部隊もやや困惑気味に迎撃を行っており、超至近距離によるオートマトンの白兵戦を強いられていた。
『無闇に撃つな!相撃ちになるぞ!』
誰かが叫ぶと、その突撃してきたオートマトンは戦線の一角でひとしきり暴れると、そこで残骸ばかりとなった戦線を前に背中をくるりと向くと、スラスターを全開にして戦線を後にした。
「何だ…今のは…」
飛び去っていったオートマトンを前に、襲撃してきた敵部隊も唖然となって台風のようにひとしきり暴れて消えていったオートマトンを茫然と眺めていた。
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89式5.56mm小銃+06式小銃てき弾
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九九式短小銃+二式擲弾器
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AKMS+GP-25
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