TS若返り傭兵は旅をする   作:Aa_おにぎり

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圧倒的個人的なイメージ。
アニメに出てくる軍人の階級、少佐・大尉が多い気がする。


#332

深夜、舗装された道を複数の車両が走る。

装甲車(M25四輪装甲車)や、別の装甲車(九三式装甲自動車)が複数連なって車列を作っており、ヘッドライトを照射して道路を走ってきた。

そして車列は前方に停車していた砲戦車(三式砲戦車)の前で装甲車は停車すると、そこで一人の軍人が装甲車から降りてきた。

 

「通報を受けて来た」

「お待ちしておりました」

 

そこで砲戦車の前で待っていた一人の軍人が敬礼をすると、そこで案内をする。

 

「敵は?」

「はっ!到着した列車の荷物車から突然現れたとの報告が」

「…被害は?」

 

少佐の階級章を首元につけたその軍人はスタスタと歩いて見えてくる駅舎を見る。

 

「列車に乗っていた車掌と食堂車の給仕、調理人が見つかっていないとのことです。また荷物室は凄惨極まる光景であったと…」

「…喰われたか」

 

煉瓦作りの駅舎には複数の砲戦車が待機しており、二式砲戦車が駅前のロータリーに停車していた。

その側で歩兵が小銃を持って立哨をしており、銃剣を装着して通行人に注意喚起を行っていた。

 

「他の部隊は?」

「はっ!現在、怪物の逃亡した方角である駅西側の山間を捜索中であります」

 

地図を広げ、線路沿いの詳細な場所に朱藍色鉛筆で印をつけていた。その地図には『比奈』と言う地名が記されてあった。

 

「…列車は?」

「予定では、荷物車の再編が終われば発車をするとのことです」

「了解した」

 

荷物車を取り替えて運行をすると言う事にその男は小さくため息を吐いてから頷いた。

 

「そしてこの先の伊佐貫トンネル付近にも捜索範囲を広げております」

「了解した。引き続き、例の異形の怪物の捜索を続けてくれ」

 

少佐は指示を出すと、一斉に駅前に集結をした部隊は銃を持って捜索を開始していた。

 

 

 

 

 

列車に乗る前、公園を後にしたジェローム達はこの時間にもかかわらず店先の照明が点灯し、営業中であるとなっていた店の扉を押して開ける。

 

「いらっしゃい」

 

店の中では一人の老人が新聞を開いて待っていた。

 

「こんな時間に来るとは、傍迷惑な奴だ」

「すまない。店が空いていると見てな」

 

ジェロームはそこで店先の明かりがついていたのを見て入ったのだが、店主はそんなジェロームを見た後に新聞を卓上に置いた。

 

「まあ良いさ、売れるならこっちも売る。それだけだ」

 

店主はそう言うと、ジェロームの姿を見た後に少々無愛想ではあったが、彼に聞いた。

 

「何が欲しい?」

「6.5mm小銃弾を。これに合うもので頼む」

 

ジェロームはそう言い、手に入れた騎兵銃を卓上に置いた。

 

「んなもん軍の放出品じゃねえか。こいつの弾なら大量にある」

 

店主はそう言い、ジェロームの後ろに立っていた一人の女性を見た。そして店主は見た目の割に流暢に話すと思い、聞いてみた。

 

「夫婦か?」

「いえ、彼女の護衛ですよ」

「なるほど…」

 

護衛と聞き、店主もジェロームの体格を前に頷いてから机の棚から紙函を取り出す。

 

「店主、徹甲弾はあるか?」

「馬鹿言うな。ありゃ軍専用だ。売れるわけがねぇ」

 

店主はジェロームが外人だからかと勝手に思って言うと、ジェロームも無いものねだりはするつもりはなかったので普通実包を購入する。

 

「どの位買う?」

「これを一つでいい」

 

ジェロームは今までの戦闘で使った小銃弾と、革製の弾薬盒に入っている挿弾子を確認して銃弾を購入する。

 

「最近は不気味なことが多い。お前さんたちも気をつけろよ」

「はい…」

 

店主に言われ、二人は内心で『絶賛その怪物に三回も襲われているんですが』と同時に溢した。

 

「後ついでに…」

 

ジェロームはそこで購入した小銃弾と共にジェロームは持っていた拳銃の予備弾倉から拳銃弾を取り出した。

 

「こいつの弾、売っているか?」

「十四年式拳銃実包?お前さん…あぁ、護衛だったか」

 

店主はジェロームの仕事が後ろの身なりの良さげな女性の護衛である事を思い出し、彼は護衛のために拳銃を持っているのだろうと推察した。

本来であれば警察の許可証があるのかどうかを確認するべき所だが、面倒なので店主は店の奥に入る。

 

「ちょっと待ってろ」

 

彼はそう言ってジェロームを少し待たせると、奥から戻ってきて拳銃弾の入った小さめの紙函が出てくる。

 

「悪いが、使用期限が近いもので勘弁してくれ」

「ああ、構わない」

 

仕入れ記録を有耶無耶にできるのだろうなとジェロームは推察し、店主もそれを分かっている様子でジェロームに拳銃弾を売った。

ジェロームはその拳銃弾を受け取ると、店主に確認をとってから空の弾倉に拳銃弾を装填していく。

店主もしっかり代金を支払ったジェロームに特段言うこともなく準備を進める彼を他所に新聞を開く。

ここでの銃規制は詳しくは知らないが、明らかな民間人である自分が小銃や拳銃を持っていても特段怪しまれない程度には緩いのだろうかと推察をしていた。

 

「すまない。場所を借りた」

「待て」

 

そして準備を終えたジェロームが店を出ようとした時、

 

「持っていけ」

 

店主はそう言って台の上を滑らせて鞘に入った三十年式銃剣を渡す。

 

「これは?」

「阿呆、銃剣の無え小銃なんて銃じゃねえだろうが」

「…」

 

鞘付きの銃剣を抜くと黒染め加工をされた真っ黒な刀身が現れ、所謂ゴボウ剣が収められていた。軽く触れてみると、片刃の刀身は一部が研がれてあった。

 

「悪いな」

「腐るほど古い銃剣(三十年式銃剣)は余っているんだ。気にしちゃいねえさ」

 

店主はそう言うとジェロームを見送り、銃剣を持って店を後にした。

 

「良い店主でしたね」

「金払いが良かったからだろうな…」

 

葛葉にやや皮肉げにジェロームは店主の対応を見て思う。おまけでもらった銃剣はこの騎兵銃にも装着可能なことを確認してから鞘と弾薬盒を見る。

弾薬盒は乗って来た列車の給仕室に残されていたものを持って来ており、後で持ち主に戻さなければなと考えていた。

 

「やれやれ、列車に乗った後のことを考えていないのが問題だな」

 

ジェロームはそこで列車から一時的に降りてしまった事を色々と考えてしまった。

色々と自分の身に不可解なことが起こっており、特にサイボーグでは無くなってしまったこの両腕を前に、電気ショックが使えなくなってしまったのは痛手であった。

 

「ジェロームさんの腕の一件は不思議ですね…」

 

葛葉もジェロームの両腕がサイボーグじゃなくなったことに首を傾げながら駅までの道を歩く。

街灯の明るさがそこまでであり、全体的に薄暗いのがいまだに不思議でならないが、二人は駅まで向かって列車に乗り込もうとする。

 

「止まれ!」

 

そこで石畳の歩道を歩いていたところを呼び止められた。

 

「そこの二人、何をしている!?」

 

二人を呼び止めたのは二人一組で行動している陸軍兵士であった。彼らは立哨の傍ら、街行く人々に職質をかけていた。

 

「何、と聞かれましたが…」

「これから駅に向かう予定です」

 

ジェロームは答えると、彼は歩兵に持っていた切符を見せる。

 

「ふむ…」

 

切符を確認した二人の歩兵はジェローム達を再度見ると、切符を返却した。

 

「良かろう。行っていいぞ」

「ありがとうございます」

 

葛葉はそこで対応をした二人の歩兵に頭を下げると、彼らはその場を後にした。

 

「ふぅ、やれやれだ」

「かなり警戒をしているようでしたね」

 

ジェロームも葛葉も、今のこの街の状況の変化に気がついていた。

明らかに陸軍兵士の数が増えており、警戒を強めている様子だった。

 

「列車に乗れると良いのですが…」

「切符があるので大丈夫なのでは?」

 

そう言い葛葉は先ほどの兵士の反応を見てジェロームに言うと、彼は苦笑した。

 

「この切符が『水戸黄門の印籠』とは思えませんがね」

 

なんでも問題を解決してしまうものを示す慣用句を口にしてジェロームは若干表情を引き攣らせた。

少なくともこの列車の切符で全ての検問所を突破できるとは、ジェロームは思っていなかった。

 

 

 

「よし、通っていいぞ」

 

何度目かわからない切符の確認をされ、そこで軽機関銃の隣で立哨をしていた歩兵に切符を返されて言われる。

 

「…マジか」

 

ジェロームはここまで停車中の列車への切符一枚で来れた事実に愕然となりながら先ほど後にした駅舎を見た。

 

「急いでくれよ。そろそろ列車が出る」

「分かりました。ありがとうございます」

 

葛葉はどこか勝ち誇ったような笑みをジェロームに見せながら駅舎に繋がる石階段を上がった。

 

「さぁ、急ぎましょう」

「ですね」

 

ジェロームも葛葉に負けたと言う目線を送るように頷くと、ホームに停車中の列車を見た。

駅に到着をし、そこでジェロームは改めて駅名標を見上げる。そこには白の墨字で『ぎらさき』と記され、その下には『みや』『すたか』と隣駅を示す小文字が同様の白墨字で記されていた。

 

「ジェロームさん?」

 

そこで駅名標を見ていた彼に葛葉が話しかけたことでハッとなって葛葉の跡を追う。

 

「『ぎらさき』とは…こんな駅あったか?」

 

そんな疑問とともに彼は停車中の列車を改めて確認する。

列車は寝台車と客車を含めた九両編成。最後尾には荷物車が連結されており、係員によって赤い尾灯が取り付けられていた。

 

前方四両が三等車(オハ35・オハフ33)であり、五両目に三等食堂合造車(オハシ30)、六両目は二等寝台車(マロネ41)、七・八両目は三等寝台車(スハネ31・スハネフ30)、最後尾九両目は荷物車(マニ36)である。先ほどと違い、荷物車が別の車両になっている事に気がついた。

 

「ん?」

 

するとホームに立っていた数十名の歩兵の内、一人が列車の前に立つジェローム達に気がついた。

 

「おや、お二人さんもご乗車するのですか?」

「あ、笹中大尉殿」

 

葛葉はそこで、軍刀(九五式軍刀)と拳銃を降ろしている笹中に軽く挨拶を済ませる。

 

「大尉も乗られるのですか?」

 

ジェロームはそこで列車の前で待機している陸軍の歩兵部隊を前に聞くと、彼は頷いた。

 

「むしろお二人がこの列車に乗られることの方が驚きでしたよ」

「そうでしょうか?」

 

葛葉は首を傾げながら先に三等車に笹中達より先に列車に乗り込んだ。

 

「はぁ、ここまでは無事に戻って来れたか…」

 

そして三等車の座席に座り込んでジェロームは乗車をする陸軍歩兵部隊を見ていると、機関車の汽笛が鳴り響いた。




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