TS若返り傭兵は旅をする   作:Aa_おにぎり

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最初はエゲレスのGT3ガスタービン機関車やブラックファイブを主人公機にしようと思っていた。
ぶっちゃけそっち方面でも書いてみようか悩んでいる。


#35

ラストタウンで人が住んでいる区域はかつての繁栄した時代と比べると十分の一にギリ満たすほどの大きさまで縮小している。

星に根付く鉱物資源を糧に発展した都市では鉱物資源の採掘量が減ってしまうと、同時に街も衰退が始まる。

 

そして鉱物資源の採掘が採算に見合わなくなった時点で、その街は終わりを迎える。

 

終わりを迎えた都市から人は消え、残った廃墟も次第に崩れて消え去るのが世の常だ。

そして野盗の拠点となり、軍警等によって爆撃で瓦礫と化す。

 

「おぉー…」

 

製鉄所やスクラップ場に鉄鉱石やスクラップを届けたスフェーンは下り列車の車内でホクホク顔を浮かべる。

 

「大戦果や〜」

 

そこに並ぶは狙撃銃やガトリング砲と言ったオートマトン用の武装の数々。

数日前の狩猟で手に入れたオートマトン用の実弾兵器の数々。レーザー兵器などは維持費やそもそもの値段が高いので野盗のような経済力ではまず持っていない。

 

「ミサイルもあったのは大きいな」

 

70mm十九連装ミサイルポッドや四連装対戦車ミサイルと言った肩付の外装式のミサイル兵器を見ながら軽く思考するスフェーン。

前者は笑っちゃう程安い武装で、後者は誘導装置が付いている分、ややお高めな武装である。結局、武装の幅を増やすためにミサイル兵器を増設する事を決めたのだ。

 

『どちらも戦闘でよく使用される兵器ですが……』

「まぁ、使えない事はないから」

 

肩装備品となるミサイルランチャーを見ながらスフェーンはこれら装備品をどうしたものかと考える。

 

『スフェーン、これら装備品を一人で取り付けるつもりですか?』

「出来ると思うか?」

 

少女のスフェーンにこう言うミサイル兵器を取り付けるのはクレーンを使ったとて中々に酷だ。

 

「さて、どう取り付けたものか……」

 

とりあえずラストタウン近くに居た野盗の連中はとりあえずやっつけたので、再び集まるまでは比較的安心して鉄鉱石を運ぶことができる。

中々弾薬の出費が嵩んだが、野盗の破壊したオートマトンの残骸をスクラップで金にしたので使用した弾薬費の回収はできた。

 

中の遺体?特別な方法で処理をさせて貰ったよ。ああコックピットの血まで取るのは面倒だったから向こうに任せたがね。

野盗を一人見つけたら周囲に三十人は居ると言うのがこの業界の常識だ。中々スクラップを運ぶのも大変だったよ。

 

とりあえず武器のレパートリーが増えたのでスフェーンとしては大成功に終わった今回の依頼。街側は野盗をやっつけたら後はどうしたって良いと言っていたので、遠慮なくスクラップにして貰った。依頼料は取らない代わりにそうして金を得ていたのだ。

 

『街にあるクレーンを借りるのはいかがです?』

「おっ、ナイスアイデア」

 

スフェーンのオートマトンは軍用のナンブ製オートマトン。拡張性があって比較的値段も安くて、代えのパーツもすぐに手に入ってお安い、まさに傭兵やPMC御用達のオートマトンだ。

今でこそ第四世代機が発売されている時代だが、それでもあと数年は第三世代でも使える雰囲気を出していた。

 

「後で借りれるか聞いてみよ〜」

『そもそもクレーンがあるのかどうか……』

 

そこで一瞬あの寂れた街の光景が脳裏を過ぎるも、スフェーンはあるだろうと勝手に予測していた。

 

 

 

 

 

その後ラストタウンに到着し、いつもの如く鉄鉱石満載のホッパー車を繋いだ時。

 

「えぇ!?」

 

スフェーンは驚きを隠せない様子で思わず見返してしまう。駅に着いた彼女を出迎えたのは、駅舎の食堂のおばちゃん。彼女は駅に着いたスフェーンにある依頼をしてきたのだ。

 

「すまないねぇ、子供達を都市まで運んでくれないかい?」

「…因みに理由を聞きしても?」

 

思わずスフェーンはおばちゃんに聞いてしまうと、彼女は軽く頷きながら理由を話した。

 

「子供達に街に行って軽く買い物をして欲しくてね」

「行って帰ってくるだけで一日かかりますよ?」

 

鉄鉱石を降ろす製鉄所のある街まで往復一日かかる距離だ。故に朝イチでかっ飛ばして深夜に二回目を運ぶのが限界な距離だ。相当な疲労となる。

 

「構わないさ。一日くらいなら待てる」

 

余所者の自分に、子供達を鉄鉱石を運んでいる街まで買い出しに行かせると言う、中々イカれたような話を聞いたスフェーンは思わず聞いてしまう。

 

「その…親御さんの許可は?」

「すでに承諾済みさ」

「正気ですか?」

 

子供を見知らぬ相手に預けると言うのは、この世界じゃあ身売りとも捉えられる行為だ。

よっぽど担保された幼稚園や保育園などじゃないと平気で子供は売り飛ばされてしまう。

 

「アンタは信用に足る人物だ。オマケに、身売りならおまえさんだって対象年齢じゃないか」

「……」

 

ぐうの音も出ない反論をされ、スフェーンはソレでも少し嫌な顔をした。

 

「運び屋は他人を機関車に乗せないって言う暗黙のルールがあるのですが……」

「まぁ、年頃のお嬢ちゃんの列車だしねぇ」

 

見た目十代前半の少女、中身年の行った中年なのだが。所詮は見た目だけの世界、おばちゃんは色々と思ってくれた部分もあるらしい。

 

「せめて乗せるにしたって車掌車かなんかがあるでしょう?」

 

街には町長が持っていた気動車があるくらいだ。どこかに車掌車があっても可笑しくは無いと思っていたが、おばちゃんはそこで現実を突きつけた。

 

「生憎と、鉱山が閉まった時にここに置いてあった貨車は皆んな売っちまったり、会社に持って行かれちまったさ」

「えぇ…」

 

と言う事はつまり、自分の列車にクソガキ三人を乗せて街まで運ばなければならないと言う事だ。

 

「ちなみに断るのは……」

「ウチの食堂の三食無料が消えるだろうねぇ」

「やらせていただきます!はい!」

 

くそぅ、おばちゃんの料理が中々美味いが故に断りずらい。実際、おばちゃんの作るムサカは美味しい。

 

「じゃあ、よろしく頼むわね」

 

飯に負け、子供三人を運ぶ依頼を受ける事になったスフェーンはおばちゃんが消えた後に軽くため息をついた。

 

「はぁ…子供のお守りかぁ……」

「何だ?子供嫌いか?」

 

そんな彼女に貨物のコードを外していた街の住人の男が聞くと、スフェーンは軽く首を縦に振った。

 

「苦手苦手、子供は何かと散らかすんでね」

「はははっ、アイツらは大丈夫だ。良い子に育っているからな」

「どうだかね……」

 

少なくとも一人、自分の事をよく思っていないガキンチョがいる以上、不安は拭えなかった。

 

 

 

オートマトン改修の優先や食事の時間から、出発は夜と言う事が決まり。スフェーンはその間にオートマトンの整備と改修を始めていた。

 

「どうもありがとうございます」

 

街の古いオートマトン工場に足を踏み入れたスフェーンはこの場所を貸してくれた町長に感謝をした。すると町長は軽く笑いながらスフェーンに返す。

 

「いやいや、どうせ使われていなかった工場です。好きに使って構いませんよ」

 

そう言うと町長はオートマトン工場を去って行き、その後ろ姿を見て色々と納得しながら早速クレーンを動かしていた。

ここはレールも敷かれており、格納されたオートマトンを取り出すことも可能だった。

 

「手伝おうか?嬢ちゃん」

 

そしてクレーンを動かし始めると、町長と入れ替わるように別のつなぎ姿の三人の住人がやってきて聞いてきた。それがスフェーンに対する敬意や優しさであることをスフェーンはすぐに理解した。

 

「あぁ、有難うございます。お願いできますか?」

「おっしゃ」

「まかせろ」

 

そして三人は意気揚々とした雰囲気でスフェーンのオートマトンを見ていた。

 

 

 

 

 

「なんであの女なんかと一緒に……」

「我慢しなさいよ」

「そうさ、どうせ俺たちほぼ寝ているんだしさ」

 

その日の夜、駅のホームでは三人の子供達とその保護者が駅のホームで待っており、彼女の帰りを待っていた。

ユウキは本当は嫌だったが、おばちゃんや母の強い押しに負けていたのだ。

 

「あっ、来たみたい」

 

彼らの居るホームしか点灯していないホーム。その反対のホームに照明を灯した一本の貨物列車が通過すると、軽く汽笛を鳴らす。

子供達のいるホームには既に鉄鉱石満載のホッパー車が待機しており、連結係の職員が旗を持って待っていた。

 

「「おぉ〜!」」

 

真夜中に列車が走るのを滅多に見た事がない子供達は興味深く一旦ホームの奥に消えたスフェーンの列車を見送ると、一旦ホームを通り過ぎたスフェーンは停車して運転台を乗り換えた。

本当は制御運転で運転台を変える事なく操作できるが、何となく運転台を乗り換えていた。

 

ッ!

 

そして短く汽笛を鳴らし、旗が降り終わるまでゆっくりと接近。停車して貨車との連結器を確認するとスフェーンは少し前進して貨車と連結すると前後に短く動いて連結器が作動しているのを確認した。

 

それを確認して職員たちが貨車とコードを繋げると、スフェーンは列車の扉を開けた。

 

「さて、行きましょうかね」

 

最低限の荷物を持って自分を見ている子供達を見ながらスフェーンは前側のコンテナの乗る運転台に案内する。

 

「さっ、乗りなさい」

 

そして扉を開けると、そんな素っ気ない対応に軽く動揺しながらカオリとナルクは乗り込んだ。

 

「あっ、はい」

「お、お邪魔します」

 

そして最後にユウキが乗り込むが、彼は嫌そうな表情をしたままだった。

 

「それじゃあ、街まで買い出しさせますよ」

「ええ、よろしく頼んだわ」

 

そしてそこで、スフェーンはユウキの母親から伝言を聞く。

 

「ウチの子をよろしく頼みますね」

「ええ、街までしっかり行かせますよ」

 

そう答えると、スフェーンは列車の扉を閉めてそのまま運転台に座った。

 

「君」

「は、はいっ!」

 

そして近くに居たカオリにスフェーンは声をかけると、そこで軽く注意をした。

 

「揺れるから何かに捕まっときなさい」

「あ、はい!」

 

そして汽笛を鳴らすと、スフェーンはマスコンを動かした。

 

ガコンッ

 

「「「っ!?」」」

 

そして走り出すと同時に大きく揺れた列車に軽く子供達は驚くと、スフェーンは元気よく動くエーテル機関に少し微笑んだ。

 

「よしっ、良い調子だ」

 

そして景気付けに汽笛を鳴らすと、ホームでは保護者たちが軽く手を振って見送る。

 

「「行ってきまーす!」」

 

列車の窓から顔を覗かせて手を振り返すカオリとナルク、そんな二人を後ろから見ているユウキはスフェーンを見て怪訝な表情を浮かべたままだった。




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