TS若返り傭兵は旅をする   作:Aa_おにぎり

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356…

ミゴロ…

見頃…

ふふっ…。





すんません。


#356

ブルーバック造兵廠から弾薬を出荷しているスフェーン達。

 

「…」

 

その道中で野盗の襲撃を受けて対応をしているスフェーンは運行中の列車の車上で四倍率の狙撃眼鏡(スコープ)を取り付けており、照準を攻撃してきたオートマトンを見る。

 

「やれやれ、バカが…」

 

そこで接近をしてくるオートマトンを見る。彼らの持っている37mm機関砲は旧式の第五世代型オートマトンを使用している。

今さっき列車に乗り込んだ野盗はすでにサダミが制圧をしていた。先ほど乗り込みように使ったピックアップトラックをライフルグレネードで制圧をしたことで弾薬を盗み出そうとする奴は帰る場所を失った。

 

「とっとと逃げれば良いものを」

 

スフェーンはそこで引き金を引いて7.92mm小銃弾を発射し、薬莢受けに空薬莢が入る。

今の時代、真鍮製薬莢は珍しいので作っている会社が少なくなってしまった。

その時、撃った銃弾は命中したものの効果は確認されなかった。弾頭は着弾と同時に炸裂をし、多少オートマトンの塗装を剥がした程度であった。

 

「仕方ない」

 

スフェーンはそこでゴーグルの下の双眸を空色(アザゼル)から赤色(サマエル)に切り替える。

 

「サダミ、目潰されないでよ?」

『熱で誘爆は勘弁だぞ!』

「そんな二又トンネルみたいなことするとでも?」

 

スフェーンはそう答えると、伏せたまま指で銃の形を作って直後にエーテル・カノンを発射した。

そして荒野に一本の光線が通過すると、接近してきたオートマトン一台を貫通。ごっそりと胴体が消えて蒸発をすると、プラズマ化した金属に引火して爆発を起こす。

 

「さて、これで逃げるかな?」

 

スフェーンは呟くと、襲撃をかけてきた野盗達は追撃を仕掛けてこなくなった。

 

「よぉし、終わったわよ〜」

『こっちも、もう終わりそうだ』

 

サダミはそう言うと、そこで拘束用ワイヤーを射出してコンテナに張り付けをした野盗達を見る。コンテナのロックをハッキングで開けられたものの、野盗が物を運び出す前にトラックを破壊したことで帰る場所を失った彼ら。

 

「うぅ…」

「…」

 

コンテナ車の空いていたデッキで拘束された二人は動けなくなっていた。

 

「下手に動くなよ?死ぬぞ」

 

サダミはそう言って銃剣(30年式銃剣)をつけた銃口を向けて監視をしていると、上から話しかけられた。

 

「終わった?」

「ええ、ここに」

「おおぅ…」

 

そこでは拘束用ワイヤーを数発打ち込まれて拘束をされた二人の野盗がいた。

こんな高速で走っているコンテナ貨車の狭いデッキで倒れており、片方は止血スポンジを打ち込まれで半分気絶をしていた。

 

「あーあー、かわいそうに」

 

スフェーンはコンテナを降りて二人の拘束した野盗を軽々と方にかつぐ。

 

「ん、結構臭くないじゃん」

「風呂入っている証拠だな」

 

そこで二人は二人の野盗と共に軽く足を蹴って宙に上がる。

 

「っ!!」

 

そして口元をガムテープで塞がれた野盗は驚愕し、顔を青くしてそのままガクッと気絶した。

流石に一気に十メートルほどの大ジャンプは、人を落とすには十分な高さだったらしい。

 

「うし、そっち任せた」

「え?着くまで野盗と過ごせって?」

「そうだよ」

「ふざけんな!」

 

そこで軽く口喧嘩をしつつも、結局ベッドが余っている緩急車の方に回される羽目となった。

 

「畜生、なんで襲ってきた奴にベッドを分けなきゃならんのだ…」

 

そう言いながらキューポラの椅子で爆睡をしたサダミであった。

 

 

 

 

 

その後、無事に納入先である国連陸軍基地に到着をした。

 

「はい、確かに納入を確認しました」

 

陸軍基地内に敷設された引き込み線。そこでスフェーンは運んできた軍需物資の引き渡しを行なう。

 

「物資の盗難は今のところ確認されていません。…被害はゼロです」

「わかりました」

 

そこで捕縛した二名の野盗を引き渡し、無事に仕事を完了させたことで彼女達はそこで一仕事を終えて次の仕事にかかる。

今回の依頼は帰りに国連軍の故障兵器を引き取ってブルーバック造兵廠に運ぶ必要もあった。

 

「連結解除します」

「了解」

 

スフェーンが治安官と確認を行っている間、ルシエルとサダミはジャンパ線を引き抜き、自動連結器のロックを解除する。

そしてタブレットを見て操作を行うと、遠隔操作で機関車を前進させて解結作業を行う。そしてそのまま操車場にある転車台に移動する予定である。

 

「これをあと何回?」

「計算では四回。なにせ六〇〇〇トンの物資輸送ですからね」

 

サダミはルシエルからしばらく家には帰れなさそうな絶望的なお話を耳にし、ため息を漏らす。

 

「全く、今はまだ子供がいないから良いけど、これで居たらぶっ飛ばしてたぞ」

「流石にそこまでは…」

 

スフェーンも人の子であるのでそう言った事情は考えているだろうとルシエルは思っていた。今まで多くの子供達を見送ってきたが、少なくとも子育て中にこういった連れ出しをしたことはなかった。

 

その隣ではコンテナを積載した自走トレーラーが走り出し、降ろしたコンテナを運んでいく。

積載していたコンテナの中には弾薬の他に最新型のオートマトンも存在し、この陸軍基地では同時に陸上艦の整備も行える。

 

はるか昔、まだ陸上艦の建造ノウハウが夢の産物であった頃は陸軍基地というのは存在していなかったと言う。

基本的にすぐに司令部や装備、部隊が移動可能であり、尚且つすぐに移動できないものを置いていないと言うことで陸軍は基地ではなく駐屯地ばかりであったと言う。

 

事実、このトラオムの世界で陸上艦の存在は予算の無駄使いであると疑問視されていたが、南北戦争で軍警察が定期的な高高度核爆発による電磁パルス攻撃により、移動可能な駐屯地兼司令部としての立ち位置を確立することとなった。

その巨大な重量から海を渡る事はできないので、この筒井大陸には二隻の陸上巡洋艦が配備されていた。

 

「しかし三人も人手があると便利ですね」

「全く、よくこれで二人運用してたと思うよ」

 

転車台に移動し、複線機関車も乗せられる巨大な転車台の上でルシエルとサダミは言う。客車やダブルテンダーもまとめて一気に転車台に乗せられ、方向転換を終えると、今度は破損・故障兵器を乗せた貨物列車を牽引するために操車場を移動する。

 

「これで一時期は旅客やってましたよ」

「…絶対回らないでしょ。それ」

 

どんなブラック企業よりもハードなスケジュールを想像し、サダミは思わず表情を引き攣らせる。

そして方向転換を終え、国連軍の操車場を抜けて移動を行う。

 

「おぉ、今日は一隻止まっているのか」

 

そこでサダミが基地の工場にて停車している陸上艦を見る。ここは国連空軍も利用しており、その近くの格納庫では空中駆逐艦が整備と補給を受けていた。

二人はここで一旦停車し、スフェーンが戻ってくるのを待っていた。

 

「まあここはパトリシア立憲王国が収めていて治安は安定しています。国連軍としても安全な地域で十分な訓練ができるのは喜ばしい事でしょうね」

 

そう話していると、諸々の決算と書類を受け取ったスフェーンが戻ってきて言う。

 

「いやはや、苦労して作った甲斐があるって物だよ」

「…そうだな」

 

それにサダミも頷くと、スフェーンは少しだけ笑って懐かしんだ。

 

「さて、次は兵器輸送だ。運んでいる物的に狙われにくいだろうけど、一応警戒はしておいて」

「「了解」」

 

そこで焼けこげたり砲身が割れていたり、どこかしら不具合のある車両ばかりが乗せられた貨物列車を見る。

 

「うわぁ」

「すごい量ですね」

 

長い貨物で重量はさほど重くない。しかし長いので運転にはコツが必要であると一目でわかる。

 

「これ、全部隣の国かい?」

「多分ね」

 

破損兵器を見てサダミにスフェーンは頷く。

現在国連軍はパトリシア立憲王国の近隣国、モルヴェリ共和国に対しリ・ソニョル大統領追放を掲げて軍事介入を行なっていた。

 

「やれやれ、パシリコの時からやり口が変わっていないですよ」

 

ルシエルはそう言い、かつて自然主義者や緑林教の総本山であり、宗教弾圧や獣人や異能者、不老者への集団虐殺事件である『ポーリン事件』により軍警察率いる多国籍軍によって国を無数に分離されたパシリコ共和国を思い起こす。

今でもパシリコのあった地域は多数の小国がかつての緑林教の思想の違いによってそれぞれが分離独立をし、長い戦争状態にあった。イメージで言うならプロイセンの時代のドイツのような地図であった。はっきり言って地獄である。

 

「いつまであそこは戦争をするつもりだ?」

「さぁ?チトー元帥くらい有能な人がいないと無理だと思うよ?」

 

少なくともどこぞの残党軍かよと言えるほどまで思想の違いで分離してしまった緑林教。

かつてトラオムの世界を緑溢れるものにしようと言った集団は、自然主義の名のもとに自然の通りを外れ、エーテルの恩恵に預かった獣人・アンドロイド・異能者・不老者を排斥した。そのおかげで国を滅ぼされることとなった哀れな国であった。

 

「そしたらどんな警察国家が生まれるやら…」

「まあサブラニエみたいな復活劇は無理でしょうね」

「うんまぁ…でしょうね」

 

ルシエルはスフェーン達に少し表情を引き攣らせて頷いた。

南北戦争の敗戦により四つの国に分断されたサブラニエ人民共和国連邦は、その後にベラルン共和国との統合を皮切りに起こった『一月革命』により他二つの国も統合。その後にサブラニエ共和国連邦として復活を遂げた。

現在はアリアドール合州国と同様、国家連合体にも加盟している大国の一つであった。

 

「そもそも下地が違いますよ。サブラニエの場合は国家が崩壊したことで不幸を被った国々が多いんですから」

「その点、パシリコは主義思想の戦いってことか」

 

ルシエルにサダミが言うと、スフェーンは呆れたため息をついた。

 

「やれやれ、みんな神道を進行して八百万の神を信仰すれば良いのに」

『それができたら苦労しませんよ。今まで宗教戦争がなかった時代がありますか?』

 

四者はそんなことを言いながらそうした工場送りとなった兵器達を見てからようやく先頭に到着する。

 

「よし、これから連結作業をしますよ」

「「おけい」」

 

ルシエルにスフェーンとサダミは頷くと、二人は後方に向かって行った。




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