今でもこの大地は空にエーテルが浮かび、大地の多くが荒野である。
鉄道路線の近辺は長年の植林活動のお陰で森林が生い茂っており、整えられた防砂林としての機能を担っている。
エーテルが有機物を食らうと言う性質がある事を発見した研究者は遠い昔に死亡している。そしてエーテルが血管を通り、脳の神経系に入り込む事で異能者となる事も既に長年の研究で把握されている。
「異能…最近は魔法とか言うんだっけ?」
「一部地域ではな。ちなみに不老者は『精霊』や『妖精』あるいは『エルフ』などと言われていると言う話だ」
隣で同じくうつ伏せる
「はっ、ファンタジーの世界かっての」
かつての相棒であり、今は同じ生まれを持つ家族兼同郷の民はいつも付けている黒縁丸眼鏡を今も外す事なく視界先の荒野を見る。
「全く、愚かと言うべきなのかは分からないが…」
「やっちゃって良いよ」
その視線の先では、昼間であるにも関わらず現れる傷だらけで塗装の禿げたオートマトンやテクニカル、歩兵戦闘車を見る。砲口はこちらを向いており、見るだけでそれが敵対的行動を取ろうとしているのが窺えた。
「ちなみに専守防衛の原則は?」
「初手でサーモバリック撃ち込まれたら?」
「…先手必勝だな」
死にはしないが酸欠と高温の燃焼で修復に時間がかかり、その間に積荷を奪われる事を瞬時に頭の中で想定できたサダミはスフェーンに返す。少なくとも今運んでいる国連軍への荷物というのは、野盗団にとってみれば火力強化の燃料となる。またコンテナ式のオートマトン格納庫があり、奪えれば簡単な移動拠点ともなる。特に追い詰められている状態であるのなら、なりふり構って居られないだろう。
「全く、サダミはフラグ建築士なのかい?」
「心外だと言っておこう」
目の前の事態にサダミは自分のせいではないと断言をして視界に映る野盗団を見る。見るからにボロボロのそれらは明らかに追撃を受けたそれであり、腕のないオートマトンなどが集まって居た。
「攻撃来るわよ!」
スフェーンが叫ぶと、無誘導ロケット弾が空に放たれて白煙を引いてこちらに飛んでくる。
「そら来たぁ!!」
スフェーンはそこで飛んでくるロケット弾に照準を合わせると、指先から光線を発射して迎撃をする。
「全く、まさかここまで逃げ仰せてくるとは」
その横でサダミも
スフェーン達と同じ核で誕生をしたサダミは、当然スフェーンと同じ
そして飛んでくる無誘導ロケット弾をエーテル・カノンで迎撃しながらふと思う。
この女の体を持って久しく、何なら男であった頃よりも数倍も長く付き合うこととなったこの身体。かつてはジェローム・サックスと呼ばれ、傭兵ギルドの創設者として今でも偉人伝の漫画になっている。
想像できるかどうかは定かではないが考えてみて欲しい。このジェローム・サックスとしての記憶持っている身として生まれ、姿形が変わっているが故にかつて育ててきた子供達が図書館とかから借りてくる本の中に自分の名前の入った本を目の前で読まれるのだ。中に書いてある事をチラ見でもしたらどうなるか?少なくとも私なら恥ずかしすぎて鼻血を出せると思う。
因みに、私が墓から叩き起こされたのは死んでから二年ほど経ってからということを後で知った。つまり私は二年間生き埋めの状態だったという事を知り、愕然となったものだ。
「うおっ!」
「危なっ!?」
すると迎撃しきれなかったロケット弾がかなり至近に着弾し、破片が飛んできた。
サダミはARもだが、視界が破片によって潰されないように眼鏡をつけていた。
スフェーンもそうだが、眼球に破片が突き刺さると修復に時間を要するため、戦力として加算できなくなってしまう。
「ギリギリだな」
「だけど向こうも荷物には当てたくなかったでしょうね」
スフェーンはそう言い、コンテナを積み上げた後ろの貨物列車を見る。
コンテナの中身は国連軍の発注した武器弾薬。軍用列車であり、火気厳禁の危険物を運んでいる。故にここにロケット弾の一発でも命中すれば引火して大爆発である。
「だろうな」
サダミも列車の上で風に煽られそうになりながら襲撃をしてきた野盗団を見ると、そこで二人の髪の毛がパチッと音をたてた。
「「っ!!」」
直後に二人は反応してそれぞれ避けると、直後に二人のいた場所に落雷が起こった。
スフェーンはエーテルを集約して絶縁体を作り上げ、サダミは片手に防弾盾を持っており、雷撃は防弾盾で防いだ。
「マジか…」
「野盗が異能者か…」
すぐに二人は敵の中に異能者が紛れていると言うことを理解する。これほどの遠距離を肉眼で当てると言う腕前に軽く驚愕する。
「まだ距離あるけど?」
「慣れているんだろう?じゃなきゃこんな距離で当たらない」
サダミはそう言うと片手にドローンを取り出してスリングショットに引っ掛けて射出を行う。
そして射出されたドローンはまっすぐ野盗の方に飛んでいくと、その途中で発射したドローンは撃墜される。
「見つけた」
しかしその一瞬でスフェーンは十分であった。ドローン搭載の小型カメラでスフェーンは誰が異能を発射したのかを確認した。
「場所がわかれば、こっちのもん」
スフェーンはそこで
「…」
そしてそこから顔を出していた一人に照準を合わせて測距を行うと、引き金を引いた。
ッ!
そして発射された
「うごっ!?」
顔を覗かせて列車に照準を合わせていた異能者の頭を貫通し、ヘルメットを吹き飛ばした。
「…凄いな」
それを眼鏡の光学望遠で見ていたサダミはスフェーンの狙撃能力の高さに舌を巻いた。
「どうしてそれをオートマトンに活かせない?」
そして同時にいつも行われる質問をしてしまう。
「それは君も言えることでしょ」
「オートマトンと歩兵でやりようが違うって?」
「そゆこと」
スフェーンは言うと、そこで見ていたサダミに聞く。
「で?行く?」
「…もちろんだ」
サダミは尖る犬歯を見せて不敵に笑うと、そこで列車から荒野に飛び出した。
「…ふっ、死に損ないどもめ」
そしてそのまま足にエーテルの結晶を剥き出しながら時速八〇キロで荒野を走る。
防弾盾を右腕に装備しており、左手では
ッ!
試しに一発試射をしてみるが、小銃弾は掠ることなく荒野に消えてしまった。
「…当たらないか」
この距離ではどうも当たらないと、オートマトンとは勝手の違う自分の体を前にこの体に慣れてしまったのかと思ってしまう。
以前はオートマトンのようにコックピットを想像して狙撃をできたのだが、時代の経過とともにそれもできなくなってしまった。
「まあいいか」
サダミはそこで37mm機関砲や120mm無反動砲の砲撃を回避し、同時に荒野に土煙が上がるのを確認しながら急速に接近する。
『早すぎる!』
『当たらねえ!?』
耳のヘッドホンからシエロが解析をして盗聴をした無線を聞き、敵が驚愕をしているのをみる。
「…ふんっ」
小銃を背中に戻し、目を
「っ!」
軽く五メートルほど飛んでからテクニカルの一つに飛び乗りながらエーテルの結晶で変化した熊の手を広げて切り付ける。
「うぎゃあっ!?」
その手は簡単に対応をしようとした野盗のサイボーグ化した顔を切り裂き、循環液の返り血を顔に浴びる。そして切り付けた時の勢いは凄まじく、そのまま軽くテクニカルの防楯を破壊してしまった。
「このっ…うあっ!!」
それに驚いて対応しようとしたもう一人には盾を押し付けて直後に
そのまま荷台の機関銃を制圧すると、その機関銃を隣にいた同じテクニカルに向けて発射する。
「オープントップ車両の弱点だな…」
そしてエンジンを的確に13.2mm機関銃で破壊する。
そしてテクニカルを穴だらけにして破壊した後、オートマトンに向けて発射するが、オートマトンは纏った電磁装甲で機関銃弾を弾いてしまった。
「チッ、良いもの積んでいるか」
そこで彼女は今撃った機関銃が旧式の国連軍のものであると把握する。
この野盗が使っているのは国連軍が採用しているものと同じ弾薬を使用する機関銃。持っていた銃も旧式の国連軍が使用している6.5mm自動小銃。どうりで狙ってくるわけだ。
「ほれ」
そして機関銃の照準をすぐに新しくテクニカルを中心に狙う。
「コイツ!!」
そこで運転席から短機関銃を持ち出して荷台に飛び乗ったサダミに照準を合わせる。
「遅い」
「がはっ」
しかし直後に機関銃を運転席に向けて滅多撃ちにする。この口径の機関銃弾は簡単に人を爆ぜさせ、遺体も残さない。
そしてエンジンが破壊されたことで車が止まりかかったところをすぐに
『上に行ったぞ!』
『クソッ!味方に当たる…!!』
野盗はオートマトンに取り付いたサダミに照準を合わせることを戸惑ってしまうと、直後にサダミは持っていた小銃をオートマトンに突き刺し、バターのように装甲を切った後に銃口を中に押し込んで発砲。
ッ!ッ!
そして薬莢を排出しながらボルトを前後に操作して発砲。中のパイロットとガンナーを射殺する。
複座式の機体を一機制圧し、そこで停車するオートマトンから新しいオートマトンに飛び乗ろうとした。
『来るぞ!』
『撃ち落とせ!!』
野盗はそれに驚愕をしつつも対応しており、サダミは内心で『伊達に大陸を横断しないか』と思った。目の前の野盗はこの筒井大陸の反対で王国軍と国連軍の掃討作戦から逃げて来れた猛者であると言うことだ。
『まあまだ初心者よりはマシでしょ?』
「そりゃあそうだ」
その時、スフェーンが話に入ってきたのでそれに頷くと直後に近くのオートマトン数台が飛んできた光線によって消し飛ばされた。
『当たった?』
「ヒット、二台消滅…人型エーテル・カノン砲台め」
『誠に遺憾である』
サダミはスフェーンのエーテル・カノンの出力に苦笑すると、彼女は軽く遺憾砲を発射した。
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