TS若返り傭兵は旅をする   作:Aa_おにぎり

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#458

つんのめるように列車は停車をする。これで貨物列車の中身が一部おじゃん確定になったので内心で面倒なことになるとため息を吐きながら停車した列車が吹っ飛んで横転なんて事態にならなかったことに安堵していた。

 

「被害状況!」

「機関車が脱線しました。ほかロケット弾着弾による被害多数」

 

辛うじて繋がっていたジャンパ線から各車両の被害状況が伝えられた。

 

「救難信号!」

「信号は出しました。信号受信を確認しました」

 

すぐにルシエルは救難信号を発し、受信されたことを示す応答があった事を伝えるとすかさず合造車に向かって走る。

 

「迎撃しますか?」

「当然」

 

二つ返事で彼女は答えると、普段はマットの下に埋もれている非常用ハッチを開いて下から抜け出すと、既に台車の下には護衛兵達が隠れていた。

 

「おや、同じこと考えていたか」

「どうも」

 

顔だけ覗かせてルシエルは護衛兵の隊長と顔を合わせる。

 

「列車は先頭の機関車が脱線しました。怪我人はいません」

「了解した。こっちも怪我人は打撲が二人だ。まだ動ける」

 

護衛兵の部隊は脱線した機関車を見て言う。

 

「すまない。機関車壊しちまった」

「いえいえ、その分は野盗に請求して貰うだけです」

 

ルシエルはそう答えてから地面に降りると、そこで彼女はまだ飛んでいる偵察ドローンからの情報を入手する。

 

「敵は距離を置いています。多分、包囲するつもりみたいですね」

「おう、了解した」

 

車両の下で隊員達はうつ伏せになって前に防楯代わりに撃ち終えた無反動砲を並べる。

 

「ったく、連中ロケット砲まで装備かよ」

「いずれ巡航ミサイルでも撃ってくるんじゃねえか?」

「それは無理だろう」

「基本的にミサイルは高価だ。ロケット弾の方が数が揃えられる」

 

車内にはまだ使っていない無反動砲も残っており、救難信号を受けて駆けつける増援部隊が来るまで抵抗運動を続けるつもりだった。

 

「生きてるか賭けるか?」

「やめろ、死んだらチャラになる」

 

そこでガムを噛んでいたその兵士は車内で残って使い捨て式無反動砲の残弾を数える。

 

「一〇発。外にいる敵は?」

「観測した限りじゃあ、オートマトン四台。戦車四両。テクニカルが八台だそうだ」

「けっ、混成機甲中隊くらいいるじゃねえかよ」

 

軽く毒ついて攻撃開始の合図があるまで車内に隠れる。マニ30客車は元々現金輸送を行うために設計された車両であり、相応の装甲と自衛装備を蓄えていた。

 

「電源はまだ生きてるんだったな」

「そうだ」

「んじゃあ、救援もあったことは一時間踏ん張ればいいな」

 

そこで兵士は噛んでいたガムを包み紙に捨ててから立ち上がった。

 

「…」

 

そして路線を攻撃して列車を停止させた野盗団は慎重に停止した列車に接近する。

鉄道路線への攻撃は国際法にも違反する重罪であるが、彼らはその危険を冒してでもこの現金輸送列車を襲う価値があるとしていた。

 

「気をつけろよ」

「ああ」

 

そこで銃口を列車から離さずに警戒をしていると、直後に後方から気配を感じ取った。

 

「「「「っ!?」」」」

 

その直後、荒野に雷鳴が轟いた。まるで落雷が起こったような鼓膜を突き動かす音と地震かと思わせる振動。

直後、彼らの横を進んでいたオートマトンの頭部に光線が貫かれる。

 

「っ!?!?」

 

乗っていたパイロットは自分に何が起こったか理解できずにメインカメラが抉り取られると、コックピットの天井から日光が差し込む。

 

「あつっ!」

 

その時溶けて赤熱した金属がコックピットに流れ込んで悲鳴が上がったその直後、気化したガスに引火してオートマトンは爆発を起こした。

 

「くそっ!」

「撃て!」

 

野盗団は列車に向けて銃を撃つ前に護衛部隊が指示を出して攻撃を開始した。

 

「誰だレーザー砲なんか撃ったのは!」

「でもいい距離ですぜ」

「撃ちやすい」

 

一斉に野盗団に攻撃を始めた護衛部隊。自動小銃や自動擲弾発射機、使い捨て式無反動砲を使って攻撃を始める。

 

「すぅぅ…」

 

その銃声を聞きながらある場所でスフェーンは大きく息を吸い込むと、直後に彼女の角に咲く林檎の花の色が濃くなって成長を始める。そしてこの地域一体に滞留していた空間エーテルの一切をその体に吸着させていく。いつもの作業着を脱いで彼女は背中に半自動小銃(FN M1949)を背負っていた。

 

「…よし」

 

その直後、彼女の血赤色の瞳が大きく開かれると直後に彼女の肉体は光学迷彩で消えると、直後に左手を銃に模ってから引き金を引くように照準をつけてエーテル・カノンを発射した。放たれたE兵器は命中した野盗の背後から命中すると、直後に蒸発した血液や体液、循環液が容易に体を破裂させた。

 

「ん?何だ?」

「くそっ!レーザー砲があるぞ!」

 

そこで野盗団は地面に伏せるが、その直後に彼らは地面にエーテル・カノンが着弾した。

 

「っ!後ろから攻撃?!」

 

エーテル・カノンが飛んできた方向を見て一人の野盗は攻撃が後ろから飛んできていることを叫ぶと、直後に首元を撃ち抜かれた。

 

「敵がいるぞ!」

「警戒しろ!」

 

そこで野盗団は即座に後方に回り込んだ敵がいると察して後方にも警戒をさせると、直後に彼らの一人の心臓に銃弾が撃ち込まれた。

 

「っ!!」

 

そこで倒れた野盗に驚愕していると、直後に一人が顔面を銃床で殴りつけられて倒れると、その首元に銃剣が刺された。

 

「居たぞ!」

「撃て!」

 

光学迷彩であると理解し、直後にサーモグラフィーに視界を切り替えながら迎撃を行おうとする。

彼らは荒野に小さな足跡があるのを視認し、光学迷彩に対応できない場合はその足跡を伝って銃撃を行う。

 

「ぐはっ!」

「ぎゃあっ!」

 

しかし銃撃は時折味方に命中をしてしまい、被害を拡大させる。

 

「馬鹿野郎!」

「どこ見て撃ってんだ!」

 

そこで撃たれた場所を押さえながら野盗は怒鳴り散らすと、直後に視界に僅かな歪みを感じ取ってその直後に銃で撃ち込まれた。

 

「撃て!」

 

直後、味方の中に隠れていたスフェーンに戦車の車長が叫んで砲撃を行う。至近距離用に発射されたフレシェット弾は発射された直後に無数に散らばって同士討ちをしながら着弾をした。

 

「ほい」

「っ!?」

 

しかしその攻撃を飛んで避けたスフェーンは砲手の照準器にその姿を見せると、砲手は心底驚愕した顔をして直後に砲口から彼女は安全ピンを外した手榴弾を投げ入れた。

 

「っ!退っ…」

 

その直後、車長は叫んで逃げ出そうとしたが直後に車内で手榴弾が起爆した。

 

「こなくそぉ!」

 

そして手榴弾が炸裂した戦車を見て隣を進んでいたオートマトンが持っていた25mm自動小銃で銃撃を行ってきた。その攻撃に彼女は冷静に右手を向けると、直後にオートマトンが背中から爆発を起こした。

 

「ぬおぉああっ!?」

 

何が起こったかと困惑しながらオートマトンは地面に倒れると、その奥から列車が見えた。

 

「…はっ、ザマァ見ろってんだ」

 

そこで車両の奥から使い捨て式無反動砲を発射した護衛兵はオートマトン一台を撃破すると、使い切った砲身を車体の外に放り投げた。

 

「しかしあの運転手、飛んだ変態だぜ」

「どっちの意味だ?」

 

そこでレーザー砲を至近距離で放ってテクニカルを側面から貫通させているのを見て兵士が呟くと、車内から新しい無反動砲を運んできた兵士が聞いた。

 

「どっちもだよ」

「だろうな。まぁ、どっちみちこの戦闘ログは残せねえよ」

 

変態が湧いて出てきちまうと言って彼は残っていた無反動砲を兵士の足元に置く。

 

「完全サイボーグとは恐れ入ったもんだ」

「今どき珍しいぜ。てっきり不老者だと思っていたのに」

 

全身に光学迷彩を備え付け、レーザー砲まで内蔵したサイボーグ。今の技術でできないわけではないが、至近距離でしか使えないピーキーな調整をしていると思った。

 

「あっ、また爆発だぜ」

「よくやる。これで五台目だ」

 

そこで見下ろせる位置にいるからこそ見える野盗団を見下ろす。最初にスフェーンかルシエルかが放った異能によって接近していた野盗団の歩兵はその四割が対処された。撃破された車両は今も増え続けていた。荒野の戦場には煙が上がり、破壊された車両からエーテルが流出し、そのエーテルは生き物のように荒野を流れると、全てが荒野に降り立ったスフェーンの足元に集まっていく。

 

「へぇ」

 

エーテルを回収する中で彼女の頭の鹿角から林檎の花が満開を迎えていた。一部はその花も枯れて蕾が膨らみ始めていた。

 

「流石に花が咲くわね」

『スフェーン。あまり無理をしないでくださいよ?』

「分かってるって」

 

ルシエルにそう答えると、彼女は直後にこっちを撃ってきた40mm機関砲装備のトラックを避けて戦車の残骸の影に隠れる。

 

「撃って」

『了解です』

 

そこでスフェーンが指示をすると、列車でガトリング銃の射撃が加えられる。

 

「うおっ!?」

 

30mm徹甲榴弾はトラックの装甲を貫通すると、中で弾けてトラックの車内は悲惨なことになった。

 

「ああぁぁぁああっ!」

 

そこで怪我を負って荒野に飛び出した野盗を尻目に彼女は新しい野盗を探しに周りの景色を見ると、彼女の耳はローター音と甲高いエンジン音を耳にした。

 

「…来たか」

 

それは近くの基地から緊急発進(スクランブル)してきた攻撃ヘリコプター(Mi-28NM)だ。

 

「潮時かね」

 

スフェーンはそこで銃を持って列車の方に走って戻っていく。そしてローター音を立てて接近する攻撃ヘリコプターに生き残っていた野盗達はたじろぎつつあった。

 

『こちらモニカ01、現着した。HQ、指定区域に戦闘の煙を視認した。送れ』

『こちらHQ。戦闘区域には味方がいる。よって有視界のみの戦闘を許可する』

『了解。これより攻撃を開始する』

 

攻撃許可を受け、スタブウィングに搭載されていた23mm連装機関銃のガンポッドや対戦車ロケットが発射される。

 

『敵性勢力には反政府組織も加わっている模様。数が多い』

『了解した。列車の様子はどうだ?』

 

司令部からの質問にパイロットは機首の30mm機関銃を放ちながら停車をして陣地となっている列車を確認する。

 

『…線路上に着弾痕を確認。機関車一両が脱線している』

『損害の方は?』

『貨車に破壊痕。ロケット弾攻撃によるものと推定』

 

そこでパイロットは敵の対空攻撃を回避してから攻撃を再開する。

 

『現金輸送車に被害はないか?』

『現時点で確認できず』

『了解した。モニカ隊は護衛兵部隊の支援を行え。後続部隊は残敵掃討を行う』

『モニカ了解』

 

そこでパイロットは頷くと、機体を回して野盗団に容赦無く攻撃を加えた。




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