本編は書くネタが浮かんだら更新するかもしれません。
#1 お好み焼き
その日、スフェーンはカフェの厨房に立って話していた。
「お好み焼きが食べたくなってきた」
「どうした藪から棒に」
唐突に彼女から出てきた言葉にサダミはやや驚きながら彼女を見た。
「いや、なんとなく粉もんが食べたくなったから…」
「なるほど…」
彼女の事情を知り、彼女は店の準備中に少し思考する。
「で、粉もんの代名詞で、ささっと出来るお好み焼きと」
「そう」
「ふむ…」
そこでお好み焼きを所望するスフェーンにサダミは考える。
「ホットプレートで構わないな?」
「勿論」
この一階の厨房は店で使うには十分な調理器具を備えている。しかし鉄板となると生憎と持ち合わせがなかった。今どき珍しいガス式のコンロは、スフェーンがこの店を建てるときに強く要望していた。
「じゃあ、今日の夜はお好み焼きということで」
「ヤッタゼ」
そこで早速、お好み焼きを作るためにスフェーンは材料を探しに冷蔵庫を開ける。
「えっと、牛すじあったっけ?」
「冷凍庫にあった筈。あと蒟蒻も忘れるな〜」
「おけおけ」
そこで食材を取り出していくと、冷凍された牛すじの解凍を始めていく。
その間、二人は接客業をして料理の提供をしていく。
「新しい注文ね」
「了解」
今日は滅多に来ないアンドロイドの客が訪れて珍しいと思いつつ、注文を受けたコーヒーを提供する。
「紅茶入った」
「りょ〜か〜い」
そして次々と提供をしていくと、喫茶店の営業終了の時間が近づいてきた。
「「ただいま〜」」
その頃になると店の勝手口から響達が学校から帰ってくる。今日は喫茶営業もないので、店を閉めて掃除をして終わる。
「お帰り」
「お帰りなさい」
そこで二人は出迎えながら二人が階段を上がっていくのを見送る。
「さて、そろそろ解凍できたかな」
スフェーンは解凍した牛すじを袋から取り出すと、包丁を取り出して牛すじをサイコロ状に切っていく。この際、少し力を込めて切っていく。
「蒟蒻切って置くわよ」
「頼むわ」
そこでサダミも包丁を握って蒟蒻を切り分けていく。まだ彼女がこの体になったばかりの頃にスフェーンから料理を教わっていたが、流石に何世紀も料理人をしていれば、その腕前は一流ホテルの料理人が見ても文句なしの腕前であると言えるだろう…多分。
そして牛すじと蒟蒻をサイコロ状に切っていく。分量は大凡、50g×人数と言ったところだろうか。これで現役高校生の胃袋を満足させられる。もう少し欲張って牛すじや蒟蒻を多めに入れても構わない。まあここら辺は作り手のお好みに任せる。
正直、いつも目分量であるので量を見て調整が必要である。
最初に切った牛すじと蒟蒻は水を張った深い鍋に流し込んでいき、めんつゆ・酒・砂糖・みりんを投入し、火にかけて弱火で煮込んでいく。
この際、味はおおよそそうめんに使えるくらいの味付けが良い。ただ甘めに煮込んでも良いし、それは作り手の匙加減に任せる。
そして牛すじを一〜二時間ほど弱みでジックリと煮て行く。圧力鍋を使って時短をしても問題ないし、そっちの方が本来は楽である。
鍋に火をかけて時折気にかけながら次にキャベツ、ネギを切っていく。
「キャベツ多め?」
「多めで」
軽く確認をしてからスフェーンはキャベツをざく切りに切っていく。たまにサダミは気心が変わってキャベツ少なめの方がいい時があるので、気をつけなければならない。
「あっ、山芋多めね」
「了解」
そこで皮を剥い山芋をすりおろしながらサダミは頷く。これもお好みだが、しっとりした食感が欲しい場合でもその場で調整が必要になるので、適宜食材や粉に合わせて行く必要がある。
ネギは小口切りがおすすめで簡単に切っていくと、まとめてボウルに放り込んで水を切っていく。
そして薄切り豚バラを最後に簡単に太めの短冊切りで切ってからフライパンを取り出してコンロに火をかける。
「豚バラちょうだい」
「はい」
そこでフライパンに火をかけ、油を塗ってからほぐした豚バラを焦げ目が軽くつく程度にさっと焼いていく。どうせ後で再加熱するが、豚はしっかり加熱しておいた方が色々と安心である。
「スフェーン」
山芋をすりおろし終えたサダミが話しかけると、彼女は次にお好み焼きの粉を取り出し、袋記載の分量通りにタネを仕上げていく。この時、食材を結構入れるので大きめのボウルを用意しておくと後が楽である。
「ほい」
そしてタネを作ると、スフェーンが上から豚バラを投入してかき混ぜていく。次にキャベツ、ネギと切った食材を投入していき、すりおろした山芋を投入していく。
この時のイメージはモルタルよりも少し柔らかい程度。かき混ぜていて重いと感じる程度であれば十分である。ここにアクセントでサイコロ状に切った山芋を投入してもよし。
「もやし」
「ほい」
そこで袋に詰め込まれたもやしの袋を開けると、軽く水で洗って切ってからタネを入れたボウルに入れる。このもやしがとても重要となるので、忘れるとやや気落ちする。
「そろそろかな?」
粗方の食材を投入し、時間を確認したスフェーンは先ほど投入した鍋を確認する。中でジックリと煮込まれた牛すじを取り出し、味見をすると、歯噛みできる柔らかさまで煮込まれたことを確認してから火を止めて鍋をひっくり返して鍋の中身を取り出す。そして取り出した牛すじと蒟蒻を生地に投入すると、タネが完成する。
「よし」
かき混ぜた大きなボウルを持って二人は厨房を後にすると、階段を登って三階の住居に向かう。
「おーい、飯だ〜」
そこで靴を脱いでスフェーンは言うと、個室のドアが開いて二人が出てくる。
「飯?」
「あっ、今日お好み焼きだ〜」
そこで目ざとく時雨はボウルを抱えていたサダミを見て言うと、響は事情を察した様子でホットプレートを取り出す。
「へえ、お好み焼きかあ」
「どうしたの?」
「こいつが食いたいとさ」
サダミはそう言いながらテーブルに置くと、そこでホットプレートを用意する響にいう。
「じゃあ、こっちは下で掃除するから。先に食べちゃってて」
「「はーい」」
二人は頷くと、スフェーンとサダミは店内に戻って清掃を始めていく。
「今日は大忙しだったわね」
「そろそろ納税の時期だし、やることは多いだろうよ」
そこで二階の個室席のドアを全開にしながら自動清掃機の電源を入れて掃除を行なっていく。
「備品も損傷無し。劣化も無し…」
二階の閉店後の清掃を始めていく二人は、次にこの二階の踊り場付近にある巨大な熊の剥製を見上げる。
すると清掃途中にそれを見ていたスフェーンにサダミはため息を漏らした。
「全く、これじゃあ親父さんの倉庫だ」
「そう?お客からの評判はいいじゃないか」
「悪趣味の間違いだろ、どう考えても」
そこで呆れたため息をつきながらその剥製を手に入れた経緯を思い出しながら階段を降りて一階に降りていく。
「じゃあ頼んだよ、シエロ」
『お任せください』
そこで自動清掃ロボットを操作する彼女は答えると、個室のチリひとつ残さぬ技前を披露していく。
そして一階の清掃を終えて、着ていた着物を脱いでシャツと半ズボンに着替えたスフェーンは三階に戻った。
「お、やってるやってる」
部屋に入った瞬間に焦げた香りを感じ、彼女は笑みを見せながらリビングに出る。
「あ、お疲れ〜」
そこではホットプレートを用意して焼き上がったお好み役をひっくり返す響と、ソースとマヨネーズ、鰹節に青のりとフルセットをかけて食べる時雨。
「どう?」
「まあぼちぼち。
「お先に失礼〜」
箸を使って切り分けて食べる彼女に、仕事を終えたスフェーン達はそれぞれ冷蔵庫から
「私も用意してる?」
「うん。大きさどれくらい?」
「大きめのちょうだい」
そこでビールを飲みながらスフェーンは言うと、
「ああ〜…」
最初の一番美味い瞬間を味わうと、スフェーンは次に響が載せたお好み焼きを受け取ってソースをかける。
「いただきます」
そして手を合わせて箸で切っていく。
「相変わらずシンプルな味付けなことで」
そこでソースしかかけずに食べていくスフェーンにサダミは言うと、隣で響が言う。
「言うて母さんもそうじゃない?」
「そうか?」
サダミはソースとマヨネーズで終わっており、それでも彼女は箸で切り分けて食べていく。
「んん〜、やっぱ母さん達の作るのが一番美味いや」
熱々のお好み焼きを頬張って彼女は言うと、スフェーンはビール片手に話す。
「この牛すじともやしがいいんだ」
「本当、他じゃ見ないんだよね〜」
そこで熱せられたことでしなっているもやしを見る。このもやしの食感と山芋を混ぜわせたタネが、しっとりとしたお好み焼きを実現していた。
「お好み焼きにもやしは確かに見たことないかも…」
そこで響も屋台や店で食べるお好み焼きを思い返してそんなことを呟くと、新しくタネを投下して行く。
「あとやるから、食べなさい」
「ありがとう」
スフェーンに言われて響も時雨と同様にかけていくと、最後に紅生姜を合わせる。
「なんだかんだで一番響が豪華じゃん」
「これが一番美味いんだよ」
時雨にそう返すと、響はお好み焼きを食べて行く。
「何てたって
「はははっ!上手いことを言うようになったな、響」
スフェーンは笑いながら言うと、ヘラを使って記事をひっくり返す。この時、不用意にヘラで生地を抑えるとスフェーンと響からボコボコにされるので要注意である。
「んっ、今日は薄味だな」
「甘くしすぎてもきついでしょ?」
そこで牛すじを食べたサダミが言うと、スフェーンは話す。
「別に濃くてもいいんだがな…」
薄味で煮付けられた牛すじに彼女はそう言いながらお好み焼きを食す。
お好み焼きに混ぜ込まれていた豚バラもサクッとしており、牛すじがアクセントとして少ししっかりとした食感を与えることで、食べていて飽きないお好み焼きが食べられる。
「これ売ったら絶対美味しいって」
「だから昔、町内会に出た時はこれで出したでしょう?」
「わぁ、懐かしい…あの小学校の夏夏りか〜」
時雨はそう話すと、お好み焼きを食べながら響と灼熱の中で遊んだことを思い出した。
説明が雑すぎますが、ぜひ再現して食べてみて欲しいです。
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