TS若返り傭兵は旅をする   作:Aa_おにぎり

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サラとグレイにはモデルが居るぞい!分かった人はいるかな?


#54

サラを目的地まで送り届けたスフェーンは、ベガスシティから少し離れた中規模都市に到着する。

先ほどまでスフェーンにベッタリだったサラは今は自分の部屋で軽く化粧をしていた。

因みに、サラが着せてきたあのネグリジェは思い出の品としてサラが回収していた。

 

「まだですか?」

「せっかちねぇ、もう少しで終わるわよ」

 

自分の部屋で化粧をする間、列車を降りて足回りの点検をしていたが。戻ってきても終わっていなかったので、女の身支度には時間がかかると。側から見るとどの口が言っているんだと言うような事を思いながら待っていた。

 

「はい、終わったわ」

 

最後に口紅を塗って出て来たサラ、スフェーンはそう言うのをする趣味も時間もないので濃紺のスーツにサングラスという格好だった。そして背中には散弾銃を背負い、腰からはスピードローダーを下げる。

そしてサラは先ほどの服装の上から灰色のカーディガンを羽織っていた。

 

「どこに散弾銃を隠しているのやら…」

「あら、意外と単純よ?」

 

そう言い、彼女は持っていた鞄の側面に触れると中から蓋が開いて弾薬と共にKS-23Mが姿を表した。

 

「おぉ…」

「たまにこの前みたいに特注ドレスの背中に横にして差し込んでいるわ。そして拳銃はここ」

 

そう言いカーディガンを広げると、脇下にS&W M3を入れたホルスターがあった。

 

「準備万端ですね」

「当然よ」

 

よく放浪し、このお嬢様の事だから時にはスラム街にでも行くのだろう。準備は万全だった。

 

「とりあえず報酬は渡しておくわね」

「わかりました」

 

まず初めにサラはここまで運んでもらった依頼料をスフェーンに支払う。

普通に旅客便を使う方が安上がりだが、昨晩の事も含めての迷惑料も込みなのだろう。事前の依頼料通りに支払われた。

 

「んで、次は私ね?」

「…はい」

 

そこでスフェーンは軽く苦笑すると、サラは少し胸を張って言った。

 

「夜中の件、ちゃーんと覚えているから」

「はい…」

 

それは深夜に抱きついていたサラに『一日くらいは我慢できるから』と言ってしまった事だ。このお嬢様、その事をはっきり覚えていて尚且つ解釈を変えて来たのだ。

 

「今日一日は付き合って貰うわよ」

「…まるで女狐だ」

「あら、私にとっては褒め言葉ね」

 

これもまたどこかでやりとりした様なフレーズだったが、それよりも目の前のお嬢様に付き合わされる事が確定な事実に少しげんなりしていた。

 

「一応、貴方捜索対象なんですが?」

「あら、通報する?」

「その方が揉め事減りそうなんでしても良いですか?」

「なら貴方を誘拐の罪状で突き出そうかしら?」

「…」

 

チクショウメー!!と叫びたいこの気持ち。あぁ、なんと無情か。金のない奴は金持ちに負けてしまうのだ。金こそ正義なのがこの世界の理だ。

 

「と言う訳で、今日一日は護衛を命じますわ」

 

相変わらず不慣れな様子のお嬢様言葉を使いながらスフェーンに言うと、言われた方は軽くため息をしつつもサングラスを付けてサラを見る。

 

「はいはい、分かりましたよ。お嬢様」

 

そう答え、ポケットの中に突っ込んだ.357マグナム弾を確かめるとサラと共に街に入って行った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

街に入った二人は、そこで早速サラのお気に入りであると言う宝飾店に入る。

 

「銃はこちらに」

「ああ、はい」

 

店に入ると、デカデカと背負っていた散弾銃は店員によって丁寧に回収される。無理も無い、こう言う店で散弾銃を背負っていたら強盗と勘違いされるかもしれないからな。まぁ、自衛用に拳銃二丁あるから良いんだけどさ。

 

「これと、あと向こうにあるのも見せてちょうだい」

「畏まりました」

 

そしてそこで店員に注文をすると、スフェーンはサラの横で聞く。

 

「こう言う店は、向こう側から来ないの?」

 

サラの様な上流層のお客様であれば。必要なものを必要なときに店側が用意してくれるものだ。

どれだけ人気の商品であっても、店側はしっかり顧客用に一定数は常に取り揃えていた。

たまに不平等と言う奴もいるが、金がない奴は黙っとけと言う様な具合で無視されていた。

 

「店に訪れて、置いてあるものから選ぶのもまた楽しいの」

「…さいですか」

 

金持ちの気持ちはよくわからんと思っていると、奥から店員が出てきてサラの前に蝶のペンダントを出す。

ダイヤモンドがあしらわれ、ホワイトゴールドでできたそのペンダントはそう言うのに無頓着なスフェーンから見ても高級品だと一瞬で理解できた。

 

「特にこう言うダイヤモンドは一つずつ違うの」

「へぇ…」

 

天然のダイヤモンドと人工のダイヤモンドの違いが分かりづらくなった今の時代においてもこの店は長年の歴史があり。すべて天然のダイヤモンドを取り揃える名門店だった。

 

「これのタブルはあるかしら?」

「畏まりました」

 

サラの注文を受け、店員はトレーに今度は二つの蝶のあしらわれた同じジャンルのペンダントを出すと彼女はそれを少し吟味した後にそれぞれ購入する。

 

「お支払いは…」

「ここで支払うわ」

「畏まりました」

 

一応護衛のスフェーンが払わないことに若干の疑問を感じつつも、店員は支払いをするサラを確認しながら購入した商品を梱包していた。

 

 

 

そして梱包を終え、散弾銃を返してもらい。店を後にしたサラはそこで一言。

 

「これでメアリーたちが直に来るわ。まぁ、早くて三時間と言った所かしら?」

「おいおい、まさかその為に買ったのか?」

 

サラのお支払い情報はおそらく父親にすぐに明細で届くのだろう。明細から購入した場所から一瞬で居場所が発覚する、そのやり方に軽く絶句するスフェーン。

なるほど、いつも捜索願が出てもわかるのはこう言う街で彼女がモノを買っていたからなのか。

 

「いいえ、いつもは飲食店で済ませるわ」

 

しかし彼女は軽く首を横に振って答えると、スフェーンの疑問はさらに深まった。

 

「じゃあ何で…」

 

するとサラは二つ買ったペンダントの一つが入った箱を袋毎スフェーンに渡す。

 

「へ?」

「その格好では、舐められてしまうからですわ」

 

そう言うと、サラは箱の中のペンダントを取り出した。

 

「ほら、後ろを向いて」

「…」

 

サラの言う通りに後ろを向いたスフェーンの首元に、サラはペンダントを付ける。

そして彼女の胸で舞う一頭の蝶をを見てサラは微笑むと、自分も先ほど購入した二頭の蝶のあしらわれたペンダントを付ける。

 

「これでお揃い」

「何ですかこれ?」

 

下げてもらった明らかに高そうなペンダントにスフェーンは若干恐れ多くなっていた。

 

「私達の友好の証」

 

サラはそう言い、同じシリーズもののペンダントを付けて少し満足げな様子。

 

「これからは舐められないようにそれを下げて回ると良いですわ」

「逆に狙われそうですね」

 

そう言い少し苦笑するスフェーンにサラは当然の様に言う。

 

「その時は撃てば宜しい」

 

まるで下の者を人として見ていないかのようなご令嬢としての言葉。なるほど、伊達にその世界で生き残っていないと感心しながらスフェーンはサラを見る。

 

「流石ですね。サラお嬢様」

「あら、褒めてくださって光栄ですわ」

 

そして店を後にした二人は、都市の公園の一角でベンチに座る。そしてスフェーンが公園の出店からレモネードを買って手渡すと、徐にサラは口を開いた。

 

「…ありがとう。私の我儘に付き合ってくれて」

「藪から棒ですね」

「だって本当のことですもの」

 

そんなサラに軽く苦笑しながらレモネードを飲むスフェーン。

 

「また会いに来てくれる?」

「ベガスシティに仕事があれば」

 

そんなサラの問いにスフェーンは答えると、その意味を理解出来たサラは少し笑ってベンチに背を預ける。

 

「なら私も頑張らないとかぁ…」

「ええ、指名依頼が出来るぐらい頑張ってください」

 

スフェーンはレモネードをストローで吸いながら答えると、サラはスフェーンの膝下に横になった。

 

「膝枕ですか…」

「気持ちが良いわ…」

「はしたないんでやめて下さいよ。全く…」

 

真昼間の公園で膝枕を求めたサラを無理やり起こすと、サラは少し不満げな表情を見せつつも。スフェーンと身を寄せた。

 

「もう行くの?」

「…そうですね、そろそろ次の仕事に行くと思います」

「そう…」

 

そしてレモネードを飲み終えたスフェーンはベンチを立つと、横に座るサラを見て頭を軽く下げた。

店を出て間も無く三時間、サラの言う出迎えが来る時間だった。

 

「では、今日はこれで」

「ええ、また会いましょう」

 

サラもスフェーンのレモネードをベンチに置いて両手を膝の上に乗せてスフェーンを見ると、彼女は公園を後にして行った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

スフェーンと別れたサラはレモネードを飲み終え。メアリーに連絡を取るとすぐに公園に迎えの車が到着。連行される様に都市の郊外の巨大ヘリポートに移動した。

そして駐機していたティルトローター機の前で数人の護衛と金髪が特徴的な青年がサラを出迎えた。

 

「サラ」

「お兄様…」

 

その人物は自分が兄と呼ぶ唯一の人、ジャック・アンデルセンだった。

妾の子の私を家族として出迎える心の優しくて広い人格者で、次のアンデルセンを継ぐ人物としてあの双子も認めている程だった。

 

「珍しいですわね。お兄様がお出迎えなさるとは」

「いやぁ、偶には()()()出かけるのも良いだろうと思ってね」

「家族?」

 

そこで軽く首を傾げながら迎えのティルトローター機に乗ると、そこでサラは歩くのが止まるほどの驚きをした。

 

「お父様…」

 

機内では父、シェリド・アンデルセンが片手にシャンパンの入ったワイングラスを持って待っていた。

普段は仕事に追われて滅多にこの時間に顔を見せない父だったが、今日はどうしたのだろうか?

 

「家出は満足したか?サラ」

 

そしてシェリドはサラの目を見て聞いてくると、彼女もえぇと短く答えて機内の座席に座る。

 

 

 

そして窓から見える鉄路をぼんやりと眺めていたサラはジャックに声をかけられる。

 

「どうかしたかい?」

「…いえ、何でもありませんわ」

 

ジャックに聞かれたサラは少し目を閉じてから答えると、彼女の顔を見て乗っていたシェリドも少し微笑む。

 

「嬉しそうだな」

「あら、そう見えますか?」

「ああ、何か良いことでもあった様な目をしている」

 

シェリドはそう答えると、サラはこの三日で起こった出来事をゆっくりと布を織るように思い返していると。シェリドは聞いてきた。

 

「今度はいつ家を出るつもりだ?」

「…さぁ?お父様が私に構ってくれなくなった時でしょうか?」

「そうか…」

 

少し愉しげに微笑んだサラは到着するまで線路の見える方角を見続けていた。




滞在日数、わずか三日!



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