TS若返り傭兵は旅をする   作:Aa_おにぎり

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本来は四話ぐらいで終える予定でした…

あと今回グロ注意です。なかなかキッツイ料理を出すので…。


#61

聴取の翌日、病室でサイボーグの修復を終え。即刻退院する事になったロトは軍病院のロビーで少し考える。

 

「…」

 

それはシディムでの現状を聞いた時にふと思い出したニュース。

 

「アイリーン社が確か、一都市を占有したニュースがあったはずだ」

 

軽く検索をすると、アイリーン社が今はエイレーネグラードと改称したかつての鉄鉱石鉱山の都市が出てくる。

 

近年の成長目まぐるしいアイリーン社、この俗にラストタウン騒動とも言われているこの一社による都市独占は企業間では御法度の所業だ。

基本的に都市の独占は他企業との軋轢を生み、戦争の原因となるので率先して行えば敵を作る事になる。

 

「アイリーンと言えば…」

 

一年以上前、例のタルタロス鉱山崩落事故の時にレッドサン達に高額の依頼をしていた企業のはずだ。

 

「…」

 

そこでアイリーン社のロゴを見たロトはライルに連絡を入れた。

 

「…あぁ、ライル」

『何だ?』

 

官僚コースを登る彼とは士官学校時代からの付き合いだった。

ちなみに士官学校の金はレッドサンが出してくれていた。

 

「すまんが、一つ頼まれてくれ」

『珍しいな。お前からとは』

 

ライルはやや驚きながらも、同期の彼に聞くと。ロトはある依頼をした。

 

「今度一緒に、タルタロス鉱山の事故を調べてくれないか?」

『そりゃまた…あぁ、成る程ね』

 

そこで納得した様子のライルはロトに少し真面目に聞いた。

 

『本当にいいのか?』

 

ロトにとって、その場所は自分を育てた恩師が最後に姿を確認した場所。おまけに今はとても危険で、遺体が見つかるかもわからない。

 

「あぁ、真相を知りたい」

『…分かった、まぁここ最近影響を伸ばしているアイリーン社もあの事故の真相は知りたがっているだろう。手続きをしておこう』

「ありがとう」

『何、普段から世話になっている。お安い御用よ』

 

通話越しでも笑っているのが目に浮かぶ彼はそのまま通信を切ると、ロトは少し大きめに息を吐いた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

燃える都市の大きな交差点、シディムの今の光景はまるで神話のような光景をしており。さながら地獄と評することもできた。

 

「どうだ、今の気分は?」

 

右腕を破壊され、中から循環液を垂れ流す野盗団のリーダー。

 

対するは左腕が半分吹き飛んだ少女。その右腕は何かの虹色に輝く結晶体が突き出ており、それは顔の右頬にまで浸食しており、とても人とは思えなかった。

そもそも少女の赤い目に虹の虹彩と言う色使いも人外のそれだ。

 

「まともに銃すら持てない」

「…」

 

少女は静かに目を閉じると、軽くため息を吐いた。

 

「それは貴方も同様…」

 

破壊された右腕を軽く差しながら答えると、リーダーは残った左腕の機関銃や肩のロケット砲の安全装置を切った。

 

「自爆する気ですか?」

 

そんな状態で無理に動けば忽ちサイボーグの機能は止まる、事実上の死だ。循環液すら止めれていないので容易く死ねる。

 

「修理代は良い…」

 

そして辺りで斃れている多くの部下達を見ながら彼は叫ぶ。

 

「これは死んでいった野郎どもへの…手向だ!」

 

そこで照準を少女に向けると、彼は咆哮する。

 

「死ねやおるぅらぁぁああ!!」

 

その瞬間、機関銃が火を噴き、ロケット弾が飛んで行く。

少女は全てのロケット弾と銃弾の軌道を人外の速度で判定し、散弾銃を無事な右手に持ち替え、下にスイングして装填し一発撃つ。

 

今までの戦闘で二発撃ち、残っている散弾銃の装弾数は四発。大男を処分するのに本来散弾銃は必要ないが…

 

「(これが俗に言う武士道というものなのでしょうか?)」

 

相手と対等の状態で戦う、そうすることで相手に敬意を表せると言う噂程度の話。詳しくは知らないが、世の中そう言うものがあるらしい。

 

「(なるほど、スフェーンが戦場で相手に敬意を払う理由が分かる気がします)」

「化け物がぁっーーー!!」

 

機関銃を放ち、残ったロケット弾全てを乱射する大男にルシエルはスピンコックでサボット弾を装填してもう一発。

 

「がぁっ!?」

 

少女の体では小型砲並みの口径の散弾銃。そんな物を片手で、しかも銃床を肩にも当てずに発射しているのは狂気的だった。

 

「命中」

 

そしてサボット弾は相手の左腕に命中、ロケット弾は撃ち切っていたのが幸いして誘爆はなかったが、内臓の機関銃が吹っ飛ぶ。

 

ガシャンッ

 

そして排莢、装填。

レバーを押し出し、銃本体を回転させて片手で装填を行う。

 

「この方法は、かつてこの型の銃が流行をしていた際。動物に乗ったまま射撃を行えるようにするために発明された方法だそうです」

 

そして装填を終えた散弾銃の銃口を男に向ける。

 

「ぐっ…!」

 

次に左脚。

 

「おゔっ」

 

最後に右脚。

 

四肢を破壊し、体の装甲板に大穴が開く男に少女は近づく。レバーを下げ、最後にマッチセイバーに収納された最後のバックショット弾をかろうじて動く左腕を支えに装填する。

 

「残念ながら貴方は殺さなければならない」

 

そこで少女は銃口を男の眼前に持って来ると、既に擱座して動かないリーダーに向けて引き金を弾いた。

発射されたバックショット弾は顔の上半分を吹き飛ばし、そして制御を失った身体はそのまま地面に大きく音を立てて倒れた。

 

倒れた体からは一枚の金貨が少女の足元に転がり、それを手に取ると、おそらく目の前の男がオリジナルで作った物なのだろう、検索しても当てはまらない金貨だった。

 

「…ふぅ、」

 

そして戦闘を終え、軽く息を吐いたルシエルは右手を見ながら呟いた。

 

「スフェーンに返す前に修復しないといけませんね」

 

そこで少し目を閉じると、彼女の折れかけている右腕に周囲を漂っていたエーテルが大きく発光しながら収束し始めていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

その頃、別の場所ではある男が驚愕していた。

 

「何だこの数値は…!!」

 

下記の計測するデータが振り切れている状態にネクィラムは目を見開いて驚愕する。

 

事の発端は数時間前、いつも通りエーテル研究をしていた彼は協力者であり、自分の理論の代弁者でもあるスフェーン・シュエットに預けた例の観測装置が異常があった事を知らせるブザーが鳴った。

エーテルの活性化状況で彼女の状態を世界中のどこにいてもリアルタイムで観測できる優れものだが、今回は一味違った。

 

「初めて見る活性化率だ…」

 

全てのグラフが右肩上がりで観測され、今までの記録が役に立たないほどの数値を数時間で叩き出していた。

 

「こんなのはまるで…」

 

初めて見る数値に彼は今のスフェーンに起こっている異変が何たるかを推測していた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「臨界エーテル」

 

光を伴いながら右腕に収束する空間エーテルを見ながらルシエルは言う。

 

「かつて大災害をもたらした活性化エーテル、あれはまだマシな方でしょう」

 

そして都市一帯であのレーザー攻撃を行った時に空間エーテルを大量に吸収したので、この腕を直せばここら辺一帯の空間エーテルは枯渇することになる。だが、いずれはまた空から降ったエーテルが溜まる事だろう。

 

「あなた方はエーテルの一部しか知らず、またそれ以上を知ろうともしない」

 

そして段々と光が収まると、そこでは吹き飛んで折れかかっていた右腕が完璧に修復されていた。

 

「…さて、そろそろお返しします。スフェーン、そろそろ起きてください」

 

空に浮かぶエーテルのオーロラを見ながらルシエルはそう呟いていた。

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…!!」

 

残骸だらけの都市を縫うように一人の男が走る。

 

「まさか…全員やられるなんて…あっ!」

 

瓦礫に軽く足を引っ掛け、転んでしまうも男は必死の形相で瓦礫を飛び越える。

彼は最初に野盗団のリーダーに報告を入れた男だった。

彼はロトと共に野盗団の会計係を行っており、リーダーに気に入られた彼をライバル視していた。

 

「はぁ…はぁ…」

 

そして瓦礫の中を走り、瓦礫の間にあったハッチを開けて入るとそこで短めの通路を走る。

いくつかの部屋があり、その一つ一つに調度品や銃器が置かれており、一番奥の部屋の扉を開けると、そこは大きな金庫となっており。ダイアル式の鍵が複数置かれるほどの巨大なものだった。

 

「くそっ!」

 

そして男はその鍵を震える手を抑えながらダイアルを回す。

 

いつあの女が襲ってくるかわからない。

あれほどの火力を有した奴を相手に勝てるわけが無い。

他の奴はどうせ死んだ、だったらここに残された野盗団の財産は全て自分のものになっても問題ない。

 

「へっ、へへへっ…」

 

金庫を開き、鞄の中に雑多に貴金属の延べ棒を掻き入れ、入れられる場所に金塊を突っ込む。

 

「へへへへっ!!」

 

もはや狂ったように笑うしかない。

都市は一夜にして崩壊し、野盗団は壊滅した。

その間にこの男は逃げ出すつもりだった。

 

「っ!!」

 

そして雑多に放り込んだ延べ棒を入れた鞄を重そうに持ち上げ、そのまま地下通路を戻る。

傾いた月がハッチの出入り口を照らし、階段状になっていた坂を登ろうとした時。

 

パンパンッ!「ひぃっ!!」

 

その中で月のクレーターに紛れていた黒いリボルバー拳銃の引き金が二回弾かれ、男の足元を穿つ。

 

それに驚いて後ろに尻餅をついた男は鞄から金塊が溢れる事も気にせず、目の前に隠れている異形に顔を青くする。

 

「逃げるの?らしく無い」

 

階段の上から聞こえる可憐な少女の声、硝子のように透き通っているようにも聞こえる声だが。今の彼には悪魔の囁きでしかなかった。

光学迷彩で姿の見えない彼女の手には金貨があり、それを弾いて遊んでいた。宙に浮くその金貨を男は知っていた。

 

「あっ、あぁ…」

 

その瞬間、男は恐怖でナイフを取り出して階段に向かって夢中で振る。

 

「ああぁぁぁああっ!!」

 

恐怖で夢中に振る男だったが、今度は後ろから声がした。

 

「それで満足?」

「っ!うあぁっ!!」

 

腕を掴まれ、そのまま勢い良く後ろに曲がって持っていたナイフを人工筋肉の限界で力を緩めてしまうとナイフを落とす。

 

「があっ!」

 

そしてそのまま背負い投げをされ、地面に金塊ごと叩きつけられて血を流す。

 

「まっ、待て!」

 

鼻を抑えながら男は手を出して静止させると、少女に提案する。

 

「この金塊を出す。それで良いだろう!?」

 

命乞いの対価として差し出される散らばった金インゴット。そんな男を前に少女は光学迷彩をしたまま男の耳元で囁く。

 

「残念ね」

「っ!?」

「どうやら私と貴方では、命の価値の測り方が違うみたい」

「っ!!」

 

そこで目を見開いて驚くと、彼の首元にペン型のスタンガンが打ち込まれる。人を一撃で気絶できるほどの威力があるやつだ。

 

「あっ…がっ…」

 

スタンガンを撃ち込まれ、そのまま意識がシャットダウンする男に少女は呟く。

 

「君で試してみたい事があるの。是非とも協力してくれる?」

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「っ…」

 

ゆっくりと意識がハッキリとするも、視界は黒いままだ。

 

「(なっ、何だ!?)」

 

声が出ない、どう言う事だ。あの女はどうなった…!?

 

「五月蝿いなぁ、少し静かにしてよ」

「?!」

 

後ろから声が聞こえ、振り返ろうとしたができなかった。

 

「折角の食事は静かに摂りたいでしょう?」

 

そう言い、視界を遮っていた黒い布が取り外され、そこで妙に感じる変な頭の涼しさ。

そして自分はなぜかちゃぶ台の真ん中に髪の毛を全て剃られた状態で首から上が置かれていた。

 

なぜだ、なぜこの状態で生きている。頭はサイボーグ化していないのだぞ?!

 

「まぁ、準備も整った所だし…」

 

そして視界から見えるのは何処かの部屋。そして目の前には鏡が置かれ、そこで丸ハゲになった自分の顔と後ろに立つ一人の少女が鏡に映る。

白いTシャツに黒のインナー、ジーンズを履いている少女は何やら準備を終えていた。

 

「さて、早速始めてみようか」

 

そして男の周りに唐辛子と酒瓶、それから塩漬けの生姜が置かれる。

 

「中華料理には猿脳と呼ばれる最高級の珍味があるんだってさ」

「っ…!!」

 

どこか楽しみな様子で語る少女に、恐怖で男は顔から出る物全てが出ている気がした。一体何をされるんだ。

 

「その料理は生きたまま小猿の頭蓋骨を開いて脳を食すんだと」

 

そして卓上にメスと医療用ノコギリが置かれる。そして男の耳元で囁く。

 

「猿から進化した人間の脳はどんな味がするのか、試してみたいと思わない?」

「っー!?」

 

そこで自分が今から何をされるのかを知らされ、しかもそれを鏡越しに見せられることに男の顔は驚愕と絶望の表情を見せる。

 

「そして猿脳は猿が興奮するとより旨みが出ると言う噂があるらしいの」

 

少女はそこで脳に手を触れると、首だけの男は目が血走り。薬をやった後ののように目がギンギンになる。

 

「よしっ、いっちょやりますか!」

 

首から下の筋肉が無く、声帯も無いので男は悲鳴を上げることも出来ず、スフェーンは腕捲りをすると医療用ノコギリの歯を回転させて頭蓋骨の切開を始める。興奮しているからか麻酔を打った時のように痛みがほぼ感じられない。

 

そして一周して少し血を垂らしながら頭蓋骨を開き、中の脳みそに酒を注ぎ、次に上から唐辛子を塗した後にスプーンで脳を掬い取る。

 

「っーー!!」

 

そして少女の食事に恐る男。

 

「安心しなさい。脳に痛覚を感じる器官はないわ」

 

そう言いながら二口目を掬う少女。そして珍味を食す少女は感想を呟く。

 

「うーん、こんな物なのかなぁ…」

 

しかし一度作った料理を捨てるのは勿体無いので、ありがたく男の脳や首は知識として回収させてもらう事にしよう。

 

 

 

そして脳を食われている男の意識は次第と朧気になり、ついには何も言わなくなった。

 

 

 




彼女は特別なので、みなさんは真似しないように。



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