TS若返り傭兵は旅をする   作:Aa_おにぎり

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わーい水着回だ!←かつておにまいに脳を焼かれた男。


#62

運輸ギルドを渡り歩いて仕事をこなすのが運び屋。

列車を動かし、運輸ギルドの平等な仕事を得ながら金を稼ぐ流浪の集団。

 

公式から非公式なものまで、なんでも運ぶ運び屋はその仕事柄どこにでも移動できた。

 

「仕事、どうしようかなぁ…」

 

都市のファストフード店で机に突っ伏しているスフェーン。彼女は今、とても困っていた。

 

『スフェーン、そろそろ仕事を真面目に探すべきです』

「分かってるけっどもねぇ…」

 

良い仕事を探すと言うのもまた大変なものなのだ。特にここ最近は指名依頼も無く、いつかあった時の為に余分な財産は換金してしまっている。

 

『とりあえず仕事を幾つかピックアップ致しましたので、その中から選んでください』

「ん…」

 

視界に幾つか運輸ギルドの仕事がピックアップされると、そこでスフェーンは考える。

 

「仕事は…」

 

そこでルシエルがピックアップしたいくつかの仕事をスフェーンは選んでいた。

 

「あっ、良さそうなのみっけ」

 

そこで良さげな仕事を選んだスフェーンは選択すると、すぐさま運輸ギルドから証明書の発行と荷物の集積場所を知らされる。

 

「さて、行きますかね」

 

席を立ち、背中に小銃を背負う少女は店を後にした。

 

 

 

彼女が背負っている小銃はZFK55、正式名称をZielfernrohr-Karabiner 55と呼ばれるクラシックタイプの小銃だ。

ストレートプルボルトアクションと呼ばれる閉鎖機構を使う狙撃銃であり、電気の力を一切使用しない古い銃だった。

マズルブレーキや15度傾いた装填口が特徴的な狙撃用にフルカスタムされた小銃だ。

 

これはこの前、野盗団の居た都市で野盗の一人が持っていたのを清掃キットやクリップ毎貰った代物だった。これで野盗を数人狙撃していたし。

 

「さて、仕事しますか…」

 

前回の仕事で少々損耗をした上に無駄働きとなったスフェーンは、あのあと駆けつけた軍警に保護してもらった。

列車自体は駅に停まっていた上に運輸ギルドに履歴が残っていたので下手に逃げるとあとから面倒な事になるのは確実だったので、おとなしく保護される事にしたのだ。

 

そして自分はそれほど衰弱していなかった上に子供だったので聴取後すぐに解放されていた。

その際、証拠として野盗団の依頼したコンテナは回収され、その時中身もオープンされたのだが…

 

「ついに酒が手に入ったし!」

 

中身は何と大量の酒と食料品だったのだ。

野盗団は運び屋から奪った資産を使ってこれらを購入しており、対応した軍警すらもその中身に唖然となった後に物欲しそうにしていたが、信用と信頼の軍警がそんな事をすると何が起こるかは忽ち分かっていたのでそれらはすぐに被害に遭った運び屋の為に分配される事になった。

 

『口は立てておきましたよ』

「ありがとう。ルシエル」

 

その時、分配される物資を求めて交渉をルシエルに代わって貰ったのだ。

そしてルシエルの交渉術で酒を飲まない事を条件にスフェーンはウイスキーや果実酒と言った数種類の酒瓶を手に入れることができたのだ。だから前に料理に酒を使えたのだが…。

 

「これで酒を使う料理が作れる。レパートリーが増える!」

 

心が浮き足立つスフェーンは列車の積み込み作業を確認する。

 

「さて、次の行き先は…」

 

そして依頼の商品の運送先を見ながらルート設定を行うスフェーン。

 

『行き先はラ・チャンコ。有名なビーチのある都市です』

「ビーチかぁ…」

 

海、暖かい観光地帯、と言うことは美味い店もある。

前回の大きな事件で疲れてもいたので、保養としては最高の場所だ。

 

「よしっ、一番早く着くルートで」

『了解です』

 

そこで即座にルシエルが最短距離で到着するルートを設定すると、鉄道管理局から許可が出るまで暫し待っていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

ラ・チャンコ

トラオム開拓時代中期より開発されたリゾート観光地である。

年中近くを流れる暖流のおかげで冬でも温暖な気候を保つ事ができ、常夏の海岸を生み出す事ができた。

 

『間も無く、目的地周辺です』

「オッケー」

 

部屋で本を読んでいたスフェーンはそこで本に栞を挟んで閉じると、運転室に入る。

 

「おぉ…」

 

そして目の前の山脈を見る。

 

「このトンネルを抜けたらか…」

 

ラ・チャンコは街の周辺が山脈に囲まれており。街に入るには各路線毎にトンネルを抜ける必要があった。

 

「おおぅ…」

 

そして真横を特急列車『シティ・オブ・ラチャンコ』が駆け抜けていく。

ベアメタルが特徴的な特急型列車は観光客を乗せて都市中心部の旅客駅に向かっていた。

 

多くの列車が行き交う鉄路では運行管理を全て鉄道管理局が担っており、軍警と同規模の巨大組織となっている。

列車の管理はメインサーバーによる一括管理が行われており、列車同士の事故はほぼ皆無であった。

 

そして路線はたとえ誰が敷設しようと、鉄道管理局の管轄下であれば列車を登録すれば誰でも運行する事が可能だ。そして今でも鉄路の敷設は積極的に行われている。

 

「いい列車だなぁ…」

『スフェーンには必要ありませんね』

「食堂車の飯が食ってみたいのよ」

 

そんな事を言いながら特急列車を見送るスフェーンは長いトンネル区間に入り、中の明かりで列車を照らしながら高速で通過する。

そして列車がトンネルを抜けた時、

 

「うわぁ…」

 

目の前の新しい都市の姿を見た。

いつもの超高層ビルなどは存在しない代わりに白い壁に赤い屋根が並ぶ丘陵地帯がよく映えていた。

海は少し遠いので見えないが、これなら期待が持てるほど美しいに違いない。

 

「綺麗な街並みだ…」

『鉄道管理局より連絡。このまま貨物線に進入し、都市郊外の貨物取扱センターまで向かってください』

「了解」

 

そこで速度を落としてポイントを通過し、そのまま貨物線に入った列車はゆっくりと速度を落としながらラ・チャンコの貨物センターに到着した。

 

 

 

 

 

青い海、白い海岸、強い日差しが差し込む常夏の都市、ラ・チャンコ。

都市の沿岸にある巨大な浜辺では大量のパラソルや人の姿、そして波に乗る肌の焼けたチャラい奴ら。

沖合では大量のボートや水上オートバイが走り抜け、パラセイリングを楽しんでいる観光客の姿があった。

 

「うほ〜、すげ綺麗だな…」

 

その真っ白な砂浜にスフェーンも思わず感嘆の声を漏らす。写真ですら土産になりそうなほどのその光景にスフェーンはいい保養が過ごせそうだと心が昂る。

 

『この際、水着の購入などはいかがです?』

「…それルシエルが見たいだけじゃないの?」

『いえいえ、海に入るのに必要な道具ですので』

「海ねぇ…」

 

せっかく海に来たんだから、海に行こうぜ!と言うことになるのか。まぁせっかくだし入るのもやぶさかではないが…。

 

「水着かぁ…」

 

横で歩くビキニの上に一枚羽織っただけの女性客を横目にスフェーンはベンチに座る。

 

今の彼女の格好は黒のインナーに白いTシャツ、脚はジーンズ、靴はコンバットブーツ。顔は軍用サングラスを付けて肩から黒いレザーのショルダーバッグを下げていた。紐の長さを変えればボディバッグにもウエストポーチにもなる優れものだ。そして装飾でサラから貰ったペンダントを首から下げていた。

 

『一見私服に見える水着もあるようですよ?』

「まぁ、それなら…」

 

流石に今通ったみたいなビキニ姿は抵抗感があるのでルシエルの案に乗ると、彼女は都市の列車に乗り込んだ。

緑とクリーム色が特徴的な連接台車の列車、海岸線を走る300形電車である。

 

「可愛いわね」

『この列車は海岸線を走るので、被写体としても有名だそうです』

「ふーん…」

 

駅で待っている観光客と共に列車に乗り込むスフェーン。そして列車は動き出し、目の前に広がる青い海岸を観光客に見せつけるように走る。

 

「綺麗…って言いたいけど…」

 

そんな窓辺の近くで立つスフェーンは少し後ろを見る。

 

「スッゲェ人…」

 

鮨詰めされた列車の中でほぼ身動きが取れなかった。さすがは観光地を回る列車、人が多いぞ。

 

 

 

 

 

その後、終着駅まで乗ったスフェーンはマスゲームのように移動する人に混ざって都市の繁華街に入る。

 

「さて、探しますか…」

『付近の水着販売店を選択いたしました』

「おっと…」

 

そしてマップにマーキングされ、同時に視界に映る大量の水着販売店。

 

「多すぎんだろ…」

『この中からスフェーンにおすすめできる店は…』

 

すっかりノリノリのルシエルに、やっぱり水着見るのが目当てじゃねえかと軽くツッコミを入れつつも、少し海で泳いでみたいとも思っていたスフェーンはルシエルのお勧めした店に向かう。なんか段々ルシエルが人間臭くなってきたな…。

 

 

 

そしてルシエルのお勧めした店に入ると、そこでは一人のおばちゃんが店番をしていた。

 

「あら、いら…!!」

 

そしてそのおばちゃんはスフェーンを見た後に驚いて絶句していた。

 

「?」

 

そんなおばちゃんに首を傾げていると、彼女はスフェーンを見ながら一言。

 

「なんて美しい…まるで天使だわ」

「へ?」

 

その直後、固まっていたおばちゃんはスフェーンに近寄ると彼女の手を握りながら聞いた。おかしい、サングラスを付けてから他の人の視線を集めたことがないと言うのに…。

 

「今日はどんなご用件かしら?」

 

半分興奮気味のおばちゃんにスフェーンはやや引きながら要件を伝えた。

 

「み、水着を貰おうと…」

 

するとおばちゃんは大きく頷いた後にスフェーンのスタイルをしっかりと見ると、少しふむふむと考えた後にスフェーンに詳しく聞いてくる。

 

「どんなものが良い?」

「えっと…」

 

困惑しつつも思考をまとめたスフェーンは一言、

 

「あっ、あんまり目立たない物が良いです…」

「OK、分かった」

 

そしておばちゃんはスフェーンをそのまま奥の個室に連れて行った後、少し待機するとおばちゃんが両手で抱えるほど大量の水着セットを店の中から選んでいた。

 

「さぁ、この中からあなたに合うものを選んであげるわ!!」

 

いつになく興奮した様子のおばちゃんにスフェーンはルシエルに一言恨み言を綴った。

 

「ルシエル…やったね?」

『はて?私はスフェーンに最善の回答をしたまでです』

 

こいつ…!私を着せ替え人形にして楽しむつもりだな?!

 

「さて、何から行こうかねぇ」

 

一つ一つ水着を吟味するおばちゃん、スフェーンはこの絶望的な状況に顔を引き攣らせていた。

 

 

 

その後、無事に着せ替え人形にさせられ。それを心底楽しむおばちゃんとルシエル。

そしておばちゃんは着せ替え中のスフェーンの水着姿を一つずつ目に焼き付けていた。

 

「これなんてどうだい?」

 

そう言っておばちゃんはスフェーンに水着セットを渡す。

それはライトブルーのデニム柄ショートパンツに、上は白のオフショルダーを羽織っていた。そして頭には黒いリボン付きの麦わら帽子と別のサングラスが付けられた。これヘソ丸出しじゃん、嘘だろ?

 

「はい、最後にこれね」

 

おばちゃんは目を輝かせながら最後に上からパーカー付きのラッシュガードを着せる。うわっ、私服みたいなラッシュガード。

 

「必要ならパレオも着けちゃうわ」

「あっ、じゃあお願いしてもいいですか?」

 

そこで最後のパレオも付けてもらうと、おばちゃんは満足げな表情でスフェーンの今の格好を見ていた。

 

『ふむ、色々と見てきましたが。これも良さそうですね』

 

おいルシエル、私を使って遊ぶな。

 

「すみません、これを貰って良いですか?」

「はいよ」

『あっ、おい!』

 

しれっと体を入れ替わって対応するルシエル。くそぅ、この前体を動かせることを知ったからって乗り換えやがって…。




スフェーンの銃はもう一丁出すかもしれない。



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