「……ん」
俺は目を覚ました
そこは真っ白い部屋。イスもテーブルも備品も何もかも白一色である
「そうか…ここは」
「そう。お前が最初に訪れた場所だ」
俺以外の声のした方を見る
そこには白と黒の民族衣装のような服、首には茶色の大きなマフラー、頭には茶色のバンダナを巻いた男が立っていた
「サガラ…いや、神様って言えば良いのか?」
「どっちでもいいさ。この姿は悪魔でお前のイメージから取ったに過ぎない」
神……いやサガラと呼ぼう
この男は仮面ライダー鎧武に登場するDJサガラと瓜二つの姿をしている
そして男の正体も知っている。それは神である
「さて…このまま話すのも良いが。大事な事だけ聞くぞ」
サガラは部屋に備わっていたイスに座り俺に話す
「お前の望む結末には至ったか?」
「……少し心残りはある」
救ってやりたかった者が居た
助けたかった者が居た
幸せにしてやりたかった者が居た
けれど現実はそう甘くはない
目の前で命が失ったのを見たのは何度あったか
大切な人が俺の為に涙を流したのに気付かなかったのは何度あったか
己の無力さに無能さに挫折したのは何度あったか
それでも俺は戦い続けた
「そう。お前はそうやって苦痛に耐えながらも前に進もうとした。だが進めば進むほど自分の非力さが憑き物のように取り巻き、思うように動くことが出来なかった」
「そうだ。この力を自分の力だと思い込んで好き勝手やって舞い上がって……今でもあの頃の自分が情けなくてしょうがない」
「しかしお前はそれを学ぶ事で、強大な力を持った者が一体世界にどれほどの影響を与えるかを知ることが出来た」
サガラはイスから立ち上がり俺の方に歩み寄る
「それで?お前はこれからどうする」
「どうするって言っても、もう俺は寿命で死んだからどうする事も出来ないだろ」
「それがそうでも無い」
サガラがニヤリっと笑うと手を差し出す
すると手から光が発し、しばらくして止む
「こいつをお前にやろう」
サガラが手にしていたのは白いバックル
その中央の円形に並んだ9つのマーク。それは異なる世界で戦う戦士達の象徴する物
マークとは別に付いている緑の秘石
全てのライダーを破壊する存在と呼ばれた戦士の物
仮面ライダーディケイドの『ディケイドライバー』だった
「どうしてコレを」
「対した理由はない。強いて言うならお前の行く末の続きが見たくなった」
すると突然、真っ白い部屋が暗黒に包まれた
そして周りには九つの地球が現れる
「これからお前には仮面ライダーディケイド『門矢 士』と同じように九つの世界を旅してもらう。そこでお前には新たな可能性を見出して貰う」
「新たな可能性?」
「こういう事だ」
サガラがディケイドライバーを俺に向かって放り投げる
するとディケイドライバーが粒子と化し、俺の左腕に吸い込まれた
「ど、どうなってるんだ!?」
俺はあまりにも出来事に動揺した
「そのディケイドライバーは只のバックルじゃない。お前の宿っていた力と連動して起動する特別製だ。さて、俺のすべき事は全部やった」
サガラが手をかざすとクラックが開かれた
その中の世界はヘルヘイムの森ではなく、あらゆる世界の街の背景が広がっていた
「お前が俺を楽しませてくれるってんなら、俺もまたお前を見守ってやろう。どんな答えを出すのかを」
「……サガラ。どうしてそこまで俺に拘る?」
「最初に会った時も言ったろ。俺はただの観客で、ずっと見守ってるだけだよ。これまでも、これからも」
そう言ってサガラはクラックから離れる
「だったら、今度こそやり遂げる。自分のすべき事を!」
そう言って俺はクラックの中に入った
「そうだ。決めるのは俺じゃない――お前自身だ」
兵藤一誠