───ある日、とある生徒がゲヘナに帰還したという噂がゲヘナ自治区中を駆け巡った…
その噂は生徒に…
「──あの風紀委員長が帰ってくるそうよ」
「嘘でしょ!いくら何でも早すぎでしょ!」
不良に…
「リーダー、暫くは…」
「──分かってる、計画は中止だ。クソッ!!」
アウトローに直ぐ様伝わった…
「──なにィ!!あの暴君が帰ってきただと!!早すぎるだろ!!」
「ど、どうしますボス?敵組織との抗争…」
「そんなもん今すぐ中止だ!中止!相手の方にも停戦呼びかけろ!!!」
特に不良やアウトローは彼女の存在を恐れ、犯罪計画や抗争を中断してしまいゲヘナ自治区の犯罪発生率が全体の40%減少した程であった。
そんなアウトローにさえ恐れられる生徒の名は──
「はぁ!!本校舎の第1応接室を使う委員会ある!、何処の委員会よ!!ずるい!!」
「ば、バカ貴方!、その委員会は──!」
「私の委員会よ、何か不満でもあるかしら?」
「ヒェ!いいえありません!、申し訳ありませんでしたヒナさん!!」
「そう、じゃあ続けて」
「でもおかしくねー?応接室を風紀委員会が使うってのは」
「そーそー」
「これってそこの暴君様の陰謀じゃね?」
「何、貴方達?仲良し委員会?委員会会議の代表は一人のはずだけど、──まぁ良いわ、私の前で群れるとどうなるか…教えてあげる」
ゲヘナ学園3年 風紀委員会委員長
空崎ヒナ
委員会会議から暫く経った後、議長室では二人の生徒、万魔殿議長の羽沼マコトとその右腕である棗イロハが先刻委員会会議で起きたことを話し合っていた。
「──とまあその後、その3人が「いや、言わなくても何となくわかる」…さすがですね」
「キキキ、どうせヒナに噛み殺されて病院送りだろ?ヒナ相手に挑発染みた言動や行動もしたのだ、完全にソイツらの自業自得もいいところだ。」
「ソイツらの不運は空崎ヒナに楯突いたことではない、空崎ヒナの前で群れたことだな。
──しかし、ゲヘナ外の不良潰しの遠征から帰ってきて早々やるとはな、やはりイブキを先生のいる所に預けて正解だったな」
「帰ってきて早々、第一応接室を丸ごと私物化ですからね…相変わらずの暴君ぶり、止めなくて良かったんですか?」
「……まあ今回はスルーだ、ヒナの強さと風紀委員長としての活動はゲヘナの風紀とゲヘナ自治区の秩序を守ることに繋がってるからな、其れの見返りだと思えば部屋一室の占領くらいは安いものだ。
それに万魔殿がストッパー役として動く時はヒナ含めた風紀委員会がやり過ぎた行動をとった時だけだ、下手に一々奴等のやる事に異議を唱えて介入すると其れを口実に嬉々として目障りだと思ってる私を噛み殺そうとするぞアイツは」
「──まぁ、そうですよね」
「全く相変わらずのじゃじゃ馬だなアイツは…」
「ふあ〜ぁ……退屈ね」
そんな噂の渦中にいる応接室の少女は欠伸をしながら外を眺めていた、そしてそんな彼女を遠くからみている人物もいた。
“空崎ヒナ、マコトの話通り面白そうな子だねー“
私の名前は陸八魔アル、突如現れた謎の赤ん坊にキヴォトスのアウトローのボス後継者になれとか言われた哀れな生徒よ!
今は…
「アジトをつくるですって!!」
“そうだよ“
「面白そうじゃん、秘密基地?」
「子供ですか!貴方は!…アジト良いじゃないですかアル様!、やっぱりアウトローにはアジトは絶対必要ですよ!!」
屋上でご飯を食べてるとアジトを作ると先生に言われたわ…
ハルカはともかくカヨコ先輩まで何故かやる気出してるし…じょ、冗談じゃないわよ!アウトローっぽくアジトなんて!!
“決まりだねー“
「何処に作るの?裏山?」
「そんなわけないでしょ!!」
相変わらずのカヨコ先輩の天然にハルカがツッコむ中
“この学校の第一応接室“
「え?」
“応接室は殆ど使われてないんだ、家具も見晴らしも良いし、立地条件は最高だよ“
「じゃあ行ってみよっか」
「私はアル様から見て右手の席ですからね」
(ま、まじで作るの?)
珍しく先生が場所を提案し、二人に押されて私も第一応接室に向かう事にした。
───けれどこれが先生の仕組んだ罠である事を今の私達は知らなかった…
「へー、ゲヘナはメチャクチャ広いけどこんないい部屋あったんだ………ん?」
第一応接室に訪れた三人はまずカヨコが最初に中に入り応接室を観ていた、しかし誰も居ないはずの部屋にカヨコにとって予想外な人物 空崎ヒナ が居た。
「貴方達、誰?」
(──なっ!?コイツはっ!『孤高の浮雲』『ゲヘナの暴君』等の異名を持つゲヘナでもトップクラスの問題児でありながらも、ゲヘナの治安維持組織である風紀委員会の委員長としてゲヘナは勿論、他の自治区の不良達にさえ恐れられてるゲヘナ最強にして最恐の生徒、空崎ヒナ!!!噂で遠征から帰ってきたとは聞いてたけど──)
「あれ?誰ですこの人?」
「ハルカ待って…」
部屋に入ってきたハルカにそのまま静止するように言うカヨコ、そんなハルカはヒナを見て誰か訝しむ、元々転校生であるハルカはヒナの事を知らなかったのだ。
「そこのアナタ、風紀委員長の前でタバコは消してくれないかしら?──ま、どちらにせよただでは帰さないけどね」
自身の咥えていた煙草の火を消すように言われムッとしたのかハルカは逆にヒナを挑発しようとするが…
「──はぁ?誰が貴方の言う「消せ」…っ!、な、なんなんですかこいつ!!」
挑発しようと喋ってる途中、目で追えない速度のなにかで吸えていた煙草の火を消された事でハルカはやっと目の前にいる存在がヤバい奴である事に気が付き臨戦態勢をとってヒナを見る、すると何処に隠し持っていたか分からないがトンファーを持っていた、恐らくあのトンファーで煙草を空中に飛ばしたのだとハルカは推測し、カヨコはトンファーを見てヒナに関するある噂を思い出す。
(──聞いたことがある、空崎ヒナは気に入らない相手がいると相手が誰であろうと仕込みトンファーで滅多打ちにするって…)
「私はね、弱くて群れる草食動物が嫌いなの、視界に入ると……噛み殺したくなる」
凍る様な冷たい微笑を浮かべながら睨んでくるヒナにカヨコだけでなく、殺し屋としてそれなりに鉄火場を経験してきたハルカでさえもゾクリと背中に寒気を覚える。
(こいつ!…)
(厄介なのにに捕まった!!)
「へぇ〜、初めて入るわね応接室なんて」
「っ!!待ってアル!!!」
そんな中後ろにいたアルが無防備にも警戒心ゼロで応接室に入ってきた、カヨコはアルに止まる様言おうとしたがヒナは決してその獲物を逃さない。
「まず1匹」
「え?…『ガッ!!』ブッ!!!」
何も知らず入ってきたアルに瞬間ヒナは詰め寄りそのままトンファーで顔面を殴りつけられる、アルは自分が何をされたのすら理解できず地面に沈んだ。
「──はっ!。あ、アル様!?お前ぇぇぇぇ!!」
「遅い………2匹」
「グハッ!!」
一瞬反応に遅れながらアルがヒナにやられたのに気づきブチ切れたハルカはダイナマイトを使おうとするも、ヒナは何もさせずにハルカの側頭部をトンファーで強打し倒し、最後の標的のカヨコに顔を向ける。
「最後はアナタよ」
「ハルカ!!…く!!」(こんな事なら私のバット持ってくれば…)
下見程度の感覚で来ていた為先生に貰ったバットを持ってこなかった事を後悔するカヨコ、ヒナのトンファーによる攻撃を何とかギリギリで躱し続けていたが、ヒナにある事を見切られてしまう。
「──あら?腕を庇ってるわね、ケガでもしたのかしら?」
「っ!」
そう、カヨコは意識的に腕をケガしない様に庇っていたのだ、其れを見切られ動揺した一瞬をヒナは決して見逃さずに腹に強い蹴りをいれられたカヨコは後方にぶっ飛ばされ壁に激突してしまう。
「──当たり、3匹目」
「ガハッ!!」
蹴りを入れられた腹と壁に衝突したダメージで遂にカヨコも倒れてしまった。
そんな中比較的ダメージが少なかったアルが気絶から目を覚ました。
「痛ったー、いきなり何なのよ!眼鏡割れちゃったじゃない…って」
「あら、目が覚めた?」
加減し過ぎたかしら?とヒナは思いながら起き上がったアルの方を振り返る。
「は、ハルカ!?、カヨコ先輩!!、なんで!?」
「起きないわよ、2人にはそういう攻撃をしたから」
(そ、それってつまり、この人1人であの2人を倒しちゃったの!!)
自分より強い2人が目の前の人物にヤラれた事に驚愕するアル、そんなアルにヒナは笑顔で話しかけた。
「ゆっくりしていっていいわよ、貴方達はグチャグチャにするけど、救急車は呼んであげるから♪」
「ちょ!、それって!!」(メチャクチャピンチじゃないのよー!!!)
ヒナから笑顔でとんでもなく恐ろしいことを言われ、更にカヨコとハルカを倒された事も併せてアルはヒナへの恐怖でビビってしまっていた。
(そ、それよりどうしてこんな事に…私達はただ応接室に来ただけなのにー!!『キリキリ』ん?)
そんなビビっていたアルは不意に謎の音が聞こえた窓の外を見てみると先生がいることに気づいた。
「んなー!!」
“死ぬ気で戦え“
そしてそのまま先生によって額に死ぬ気弾を撃たれアルは倒れた。
「復活!!死ぬ気でアンタを倒す!!」
そして死ぬ気モードになり起き上がったアルはヒナを倒そうと彼女に向かって突進を開始する。
「…何かしらそれ?ギャグ?」
「ガハッ!!」
しかしそんなアルをヒナは残念な子を見るような目をしながら攻撃してこようとするアルのアゴをトンファーで強く撃ち抜きあっさり返り討ちにする。
「あら?アゴ割れちゃったかしら。──さてと、あとの2人も救急車に乗せてもらえるぐらいグチャグチャにしないと♪」
アルを倒したと認識したヒナは倒れたカヨコとハルカを更に痛めつけようと二人の方に向かおうとする。
──しかし、
「ん?……ッ!!」
「まだまだぁ!!!」
倒したと思ったアルが突如起き上がり向かってくる、まさかさっきの一撃をくらって立ってくるとは思ってなかったヒナはその勢いのまま向かってきたパンチに反応しきれずモロに受けてしまった。
「!!」
「この、タワケぇ!!」
一瞬思考が真っ白になったヒナの隙をアルは見逃さず、更にアルはカメレオンのアロナが変身したスリッパで頭を強く叩いて追撃を行い、なんとヒナにヒザをつかせたのだ!!
「……」
しかし、ふらふらとよろけながらも立ったヒナからさっきまでとはとんでもなく桁違いな殺気が睨みつけるアルにぶつけられる。
「──ねぇ……殺して…いいかしら?」
“そこまでだよ“
“やっぱり強いねー君“
「──貴方が誰か知らないけど、私は今虫の居所がとても悪いの、横になって待っててくれる?」
そんな中に窓の外で様子を見ていた先生が応接室に入ってヒナに話しかけ戦いを止める様言う、しかし虫の居所が悪いヒナは聞く耳を持たずそのまま標的を変更、窓に座っている先生に向かって持っているトンファーをさっきまでとは比べ物にならないスピードで振り回し攻撃を行うが…
“──よっと“
(──嘘!!十手で私の攻撃を受け止めた!?)
なんと先生はカメレオンのアロナが変身した十手で向かってくるトンファーをあっさり受け止めてしまったのだ!
自分の渾身の攻撃をあっさり受け止められるとは思っていなかったヒナは、さっきまで不機嫌だった態度を一変させ赤子の乱入者に対して喜色を露わにする。
「アハ!!!素晴らしいわね、貴方!!!」
“御開きだよ“
「!!」
そう言った先生は持っていた爆弾に火を付けて応接室一室を爆破した…
「──な、何ですって!!!あの委員長にわざと会わせたー!!」
“ハハハ、危険な賭けだったけどね、打撲と擦り傷だけですんだのは運が良かったじゃん“
あの爆発の後死ぬ気が解けた私は倒れた二人を先生と共に連れて共に屋上に避難していた、そんな中先生から今回の事は先生自身が仕組んだとカミングアウトされた私は先生を問い詰めていた。
「な、何よそれ…」
“君達が平和ボケしないための実践トレーニングさ、鍛えるには実践が1番だからねー“
「何言ってんのよ!!此方は危うく殺されかけたのよ!!!」
さすがにあんなヤバい人と戦うなんてもう御免よ!!
「でも流石にちょっと悔しいね…」
「クソッ、あんな奴にっ……」
なんかカヨコ先輩とハルカは悔しそうにしてるけど…
「ってか、どーしてくれるのよ!!!絶対あの人に目つけられたわよ!!!嫌あ゙ぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「まーまー」
「次はぶっとばします!!」
“ヒナは将来必ず役に立つ子だよ“
これからあの人に狙われる事に絶望する私にカヨコ先輩とハルカは励ましてくれた。
──先生はあの人が将来私の役に立つとか抜かしてたけど二度と嫌よ!あんな怖い人に関わるのは!!!
──陸八魔アルはまだ知らない…これからヒナの方が嫌になるほど空崎ヒナと陸八魔アルは関わっていくことになることを……
「──フフ、あの赤ん坊にまた会いたいわね♪」
ヒナ=雲雀恭弥
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