私の名前は陸八魔アル、突如現れた謎の赤ん坊にキヴォトスのアウトローのボス後継者になれとか言われた哀れな生徒よ!
(な、なんで帰ってきて万魔殿の人達が家の周りにいるのよー!!)
ハルカ達と学校で別れ、家にたどり着いた私の目の前には大量のゲヘナ生達が家を囲んでいる光景が目に入った。
「すみませんがこの家の関係者以外は立ち入らないように」
「あの…私この家に住んでる陸八魔アルなんですけど」
「嘘だろ!」「この方が!」「…なんか弱そう」「失礼しました!」
(え?、いきなりなんなの?)
家を取り囲んでいた万魔殿の人達に道を塞がれていた私だったが、自身が陸八魔アルだと言った途端全員から動揺が走っていた。
(な、何なのよ一体……)
変に畏まれながら丁重に家に入れてもらった私は自分の部屋に入ると先生に直ぐ家の周りの現状を問い詰めた。
「先生!貴方の仕業でしょ!家の周りの万魔殿の人達!!」
“いや、私じゃないよ。君に会いたいって子が居てねー“
「え?私に?」
「キキキッ、私だ…」
「──は?」
先生しか見ていなかった為入った時は気付かなかったが、目の前にいたのはなんと私が通うゲヘナ学園の運営組織「万魔殿」議長、つまりゲヘナのトップである羽沼マコトだった。
(な、何でゲヘナのトップが私の部屋に!?)
「名前なら知ってると思うが自己紹介しよう、ゲヘナ学園運営組織『万魔殿』議長、そしてアウトロー組織『キャバッローネ』10代目ボスである羽沼マコトだ。
アウトロー界隈では『跳ね馬』なんて呼ばれてもいる」
「ぎ、議長がアウトローですって!」
あの万魔殿議長がアウトローである事実に私は驚愕した、では家を取り囲んでた万魔殿の人達は…
「──じゃあまさか万魔殿って!」
「ああ、私の議長を務める万魔殿という組織に所属している生徒の大半が私のアウトロー組織の構成員という裏の顔をもっている、だから私はゲヘナの議長兼アウトロー組織のボスというわけだ、といっても私が議長に就任したからそうなっただけなんだが…」
(それじゃあ、ウチの学園ってアウトローのボスが支配してる学校だったのー!!)
自分の学校の生徒会長的存在の人がアウトローのボスだったことを知り愕然とする。
「キキキッ、今までの先生の話とお前を一目見て分かった!アウトローのボスとしての資質0だな貴様!いい奴過ぎる!」
「んな!!」
いきなりダメ出しされたことに少しムッとした私にマコト議長はその後謝るように言葉を続ける。
「キキッ、まぁ悪いことを言ったが気を悪くするな陸八魔アル、私も先生に会うまでお前と同じアウトローとしての資質なんぞ全くの0だったからな!」
「え!先生に会うまでって……もしかして!」
“そうだよ、アルの所に来るまで私はマコトをアウトローのボスにすべく教育してたんだ。つまり君の姉弟子だね“
「ふ、2人が師弟関係!」
そう驚いた私だったが、とある事を思い出した。
「あっ、もしかしてイブキが初めて来た時に先生が言ってたイブキの情報源って」
“マコトから聞いたんだ“
最初にイブキが初めて家に来たとき、アウトローであるとは云え先生は何故かイブキの情報を知っていたのだ、あの時言ってた情報源とは議長の事だっのだと私は納得しながらさっきからマコト議長が言っているある事を訂正しようとする。
「あのー、さっきから誤解してるみたいですけど…私は別にアウトローのボスになる気なんてサラサラないんです…」
そう、私はアウトローのボスになんてなりたくないのだ、なのにさっきからアウトローのボスになるみたいに思われてるのは間違いだと言った。
しかしマコト議長は…
「キキキッ!、先生の言う通りだ、やはりお前は昔の私にそっくりだな!!」
「え?」
「私もそうだったからな」
“昔のマコトは『へなちょこマコト』って呼ばれてた程ダメダメだったけど、今では『跳ね馬マコト』ってアウトロー達に呼ばれてるんだよ“
「そうだったんですか!?」
あの完璧超人みたいな噂しか聞かないマコト議長がダメダメだったなんて…少しマコト議長に親近感が湧いてしまっていた私だった。
「キシシッ、私も先生と最初に出会った時の年はアウトローのボスなんぞクソ食らえと思っていてな、最初からアウトローのボスを目指そうとする奴なぞほとんどおらん……それに直接見て分かった、お前は信頼できる!、イブキを預けて正解だった!」
「いや…でも私…」
「一生ならないと言うなら…」ゴソ
「ヒィ!!」
そう言いながらマコト議長は懐から何かを出した。
(な、何!アウトローのボスにならないなら殺すとか!?)
そうビビっている私の目の前に出したのは
「噛むぞ!」
「ス、スッポン!!!」
まさかのスッポンだった。
(……いやなんでスッポン!?)
「キシシッ!冗談だ!噛まん噛まん。
コイツはスッポンの虎丸と言ってな、私のペットだ、先生にアロナを強請ったらくれたんだ」
“アロナは私のだからね、あげないよ“
「へ、へ〜」(スッポンに虎丸って…)
そう私が内心名前に突っ込んでると部屋のドアからイブキがはいってきた、どうやら先生に挑みに来たらしい。
「死ねぇ先生!…ってあー!マコト先輩だー!!」
「おぉイブキか! 久しぶりだな!元気にしてたか?」
「マコト先輩〜!!」
マコト議長に向かって走り出したイブキだったが…
「あ」
なんと転んでしまいイブキが手に持っていた複数個の手榴弾がピンが外れた状態で窓の外に飛んでいってしまったのだ!
「ば、馬鹿ー!!外には議長の部下達がいるのよー!」
あの数の手榴弾が一斉に爆発したらと最悪の場合を考えてしまった私を他所にマコト議長は直ぐ様部下を助ける為に行動に移していた。
「ふせてろ!!」
そう言い窓から飛び出したマコト議長は瞬時に持っていた鞭を使って全ての手榴弾をさらに上空へ飛ばした。
飛ばされた手榴弾はそのまま上空で大爆発を起こした。が、マコト議長の機転により何とか被害は0、その後マコト議長は自身の部下達にケガはないか話しかけていた。
「キキキッ、無事だったかお前達!」
「どうせまたボスのやんちゃでしょう」「1日に1回はドッキリさせてくるんだよねー」「そーそー」「あんな派手に動いて、イブキちゃん達の前でカッコつけたかったの丸分かりですよ…」
「い、今のは違うぞ!」
部下であるイロハさんを筆頭に部下達から返ってきた言葉にマコト議長は安心しながらも自分がやらかしたみたいな変な信頼のされ方にさっきのは違うと反論していた。
「マコト先輩すご~い!」
「か、カッコいい!」(す、凄いわマコト議長……いやマコト先輩!!)
基本アウトローが嫌いな私だったが、自身の身を危険に晒してまで部下達を救い、部下達から信頼されているマコト先輩の姿に自身が昔憧れていたカッコいいアウトローの姿を垣間見た私はイブキと同じ様にカッコいいと思ってしまっていた。
“わかったかい?、部下の為に命を張るのがアウトローのボスだよ“
「ちょ!、何でもかんでもアウトローに結びつけないでよ!」
その後先生やフウカから夕食を誘われたマコト先輩は承諾し、アル達の家でご飯を食べることになった。
其の為先に帰る部下達は此処でマコト先輩と別れる、別れる際部下のイロハさんがマコト先輩と話し合っていた。
「それじゃあ私達は先に帰ってますけど、私達がいなくても他所様に迷惑掛けないようにしてくださいね、マコト先輩?」
「掛けんわっ!全く、相変わらず心配症だなお前達は…」
(やっぱりマコト先輩は強くて、それにあんなに部下の人達にも慕われてるのね)
そうして少し時間が経ってアル達は夕食を食べていた。
「キキキッ、何でも質問していいぞ、可愛い妹分よ!」
(こ、困ったわね…マコト先輩に気に入られるのは凄く嬉しいのだけど、アウトローになるのは御免だし…)
「キキッ、そう言えばアルは部下とかいるのか?」
“今の所、ハルカにカヨコ、あとは候補にヒナだね“
「部下じゃないわよ!後輩と先輩だから!!」(ってか候補にヒナさん入れないでよ!)
「何ヒナだと!アイツが候補なのか!…私が言うのもアレだが制御不能のじゃじゃ馬だぞ、ヒナは」
「で、ですよね」
空崎ヒナがヤバいという認識はどうやらマコトもアルと意見が同じらしい。
「──そう言えば、どうして先生を手放したんですか?あれだけ良い師弟関係を築いているのに私の所なんかに…」
疑問に思ったことを口にしたアル。
「キキッ、お前の教育を依頼した人には私も世話になっていてな、あの人の後継者たるお前への教育というなら仕方がない!」
(──え?つまりマコト先輩が先生と別れなくちゃいけない程私への教育の仕事が重要なの?じゃあそもそも私に先生を付けた依頼人って一体…)
「あの…私の教育を先生に依頼した人って一体……」
アルがさらに気になったことを質問しようとマコトを見ると
「ってマコト先輩!メッチャご飯こぼしてますよ!?」
「──うお!!」
メチャクチャご飯を机にこぼしまくっていたのだ。
“マコトは組織の為とか部下の前とかなら超有能だけど部下が近くにいないと運動音痴のポンコツになっちゃう体質なんだ“
「あ、ある意味究極のボス体質ね」
“しかもマコト自身その事に気付いてないというおまけ付きでね“
「な、何ですって!!!」
さっきまでの凄い活躍を見てたアルにはとてもではないが信じられなかった、そんな時マコトが先生に反論した。
「コラァ先生!!変なデタラメをアルに吹き込むな!信じてしまうだろうが!コレはいつもナイフとフォークしか使わんから箸は苦手なだけだ!」
「デタラメ?で、ですよねー」
「キャーーー!!風呂場がー!!」
そんな談笑中、風呂場の方からフウカの悲鳴が聞こえてきた。
「フウカ!!どうしたの!!」
「……あっ!!しまった!虎丸がいない!!!」
マコトはすぐさま椅子から立って向かおうとするも…
「うわ!!」ドターン
「えー!!」
何故か何もない所でマコトはすっ転んでしまった。
「イッタタタ〜」
(も、もしかして本当に!)
余りの様からアルも内心先生から聞いたマコトの体質の話が本当なんじゃないかと思い始めながら風呂場に向かうと…
「ギュアアア!!!」
其処にはかなりの大きさの亀が風呂場を貪っているというあり得ない光景だった。
「か、亀が風呂場を食ってる!」
「やはりか!虎丸め!」
「えぇ!あれ虎丸なの!!」
そうアルは驚く、最初見た時の虎丸の大きさと今の大きさが違うからだ、その理由はあとから来た先生が話し始める。
“虎丸は普段は普通のスッポンだけど水を被ると巨大化して凶暴になるスポンジスッポンなんだ“
「な、なによそれー!!」(それ本当にスッポンなの!?)
そう先生にツッコミながら虎丸を止めようとアルは風呂場に入ろうとするが…
「すまんが手は出さないでくれ、自分のペット一匹手なずけられんようではアウトローのボスとしても議長としても失格だからな」
「ま、マコト先輩…」
其れをマコトが手で制し止めた…どうやらサシで虎丸を止めるつもりの様だった。
「大人しくしろ!虎丸!」
マコトが虎丸を止めようと鞭を振るう
「イッターーーっ!!!」
──しかし鞭をコントロールできず何故か後ろのアルの顔面に攻撃が直撃してしまった。
「す、すまん!すっぽ抜けてしまった!」
“言ったでしょ?、部下がいないとポンコツだって“
「う、嘘でしょ…」(あんなにカッコいいマコト先輩が…)
「ど、どうすれば良いのよ〜!」(このままじゃ風呂場が全壊しちゃう!)
そう考えていたアルはイブキの存在が脳裏に過る。
「そうだ!、マコト先輩!イブキはマコト先輩の部下ですよね!!」
「イブキ?イブキは部下ではなく可愛がってる預かった子供みたいなものだぞ、なぁイブキ?」
「うん!、イブキの所属はあくまでボヴィーノだからね!」
「違うのー!」(ってことはイブキいても意味ない!)
そう言ってる間に風呂が虎丸にさらに食われ続けることにさらに焦りアルは先生に相談する。
「どうすんのよ先生!このままじゃ家が!」
“手を出すなって言われてたけど仕方ないね、こんな時はアロナの出番だよ“
「え…んむ!」
そう言うと先生はカメレオンのアロナを出しアロナにアルの顔を覆わせ…
「な!?、イロハじゃないか!?こんな所で何をしている!皆と帰ったんじゃないのか!」
「へ?」
なんとカメレオンのアロナがアルの顔を覆ってイロハの顔に変装したのだ!
「キシシッ!此処は私に任せて貴様は下がっていろ、イロハ!」
そう言うとマコトはさっきまでとは段違いの鮮やかな鞭さばきで虎丸を縛り上げて止めることに成功した。
「キュウ…」
「すまんな虎丸、暫く眠っていてくれ」
(やっぱりマコトさん…カッコいい!)
その後気絶した虎丸をドライヤーで乾かし小さくすることで事態は解決、夕食を食べ終えたマコトは風呂場の弁償代を立て替えてアルの自宅を後にしたが………
「イタタッ」
「だ、大丈夫ですか!」(か、階段降りようとして転げ落ちてる……)
“ハハハ、相変わらず最後は締まらないねー“
やっぱり部下がいないとポンコツなマコトだった。
マコト=ディーノ
イロハ=ロマーリオ
おまけ「師弟の会話」
マコトはアルの家から帰る道の途中、先生と少し話していた。
“──実際どうだった?アルを直接見て“
「キキキッ、やっぱりアウトローらしくない子だったなアルは、だがそれがあの人があの子を後継者に選んだ理由なんじゃないかと私は思う気がする。しかし、それはそれとしても随分と緊張感がなかったなアルは…あの人の後継者候補に選ばれたのに…」
“だってアルはそのこと知らないからね“
「──なにぃ!まさか伝えてないのか!アルに!!」
“うん、アルにはアウトローのボス後継者としか言ってないよ、でも間違ってないでしょ?“
「いやたしかに間違ってはいないが!」
「──まさか本人が本当はなんの後継者候補に選ばれたのか知っていないとは…このまま隠し通すつもりなのか?」
“とりあえず
「──まあ、先生がそういう方針なら私も言わないでおくか……」
終わり
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