私の名前は陸八魔アル、突如現れた謎の赤ん坊にキヴォトスのアウトローのボス後継者になれとか言われた哀れな生徒よ!
「あ゙〜、生き返るわ〜」
休日、私は温泉のあるゲヘナでもそれなりに有名な銭湯に来ていた。
というのも先日のマコト先輩との一件で虎丸によって風呂場が半壊し使用不能になったからだ。
「先生もいないし、本当に最高だわ〜」
「そうだろう!そうだろう!ここの温泉は最高だろう!」
リラックスしながら温泉に浸かっていた私にいきなり隣に浸かっていた少女が声をかけてきたのだ。
困惑する私に更に迫って此処の温泉について説明し始めた。
「えーと……あなた誰?」
「ハーッハッハッハッ!私が誰かなぞ今はどうでもいい!今は此処の温泉について語り合おうではないか!ここの温泉はな─────」
「え、いや、その〜────────」
「まさか逆上せそうになるくらいまで話聞かされるなんて、結局なんだったのかしら?あの子…」
あれから1日経って自室で話しかけて来た少女の事を私は思い出していた。
「まぁ、もう会わないと思うし別にいいわね」
「アル〜、アンタにお客さん来たわよー」
「え?………誰かしら?」
そんな時下からフウカに呼ばれた私は玄関に向かい扉を開けると…
「あ、あなたあの時銭湯にいた!」
「ハーッハッハッハッ!昨日の銭湯振りだな!陸八魔アル!!」
昨日銭湯で会った少女と数人の生徒が私の目の前にいたのだ。
「貴方達…一体…」
「あの温泉でまさかクラスメイトと出会うとはこれも奇縁と思ってな!
初めまして!私の名前は鬼怒川カスミ、温泉開発部部長をしている、宜しくな!」
(お、温泉開発部ですって!)
鬼怒川カスミ、たしか自身と同じクラスに在籍してる生徒だったが進級してから学校への登校は一度としてしていない不登校児だったと私は思い出す、けれど温泉開発部と聞いて私は直ぐに竦み上がった。
──温泉開発部…それは温泉を開発する為ならそこが市街地だろうが他校自治区だろうが大規模な破壊活動を行う事で有名な部活だ、アウトローの様な裏社会の住人ではないがその暴走ぶりは一部のアウトロー達からは「不良や自分達よりたちが悪い」と言わしめるほどヤバい集団。
そんな部活動の部長が自身のクラスの不登校児だったとは私も驚いた。
「ど、どうして私の事を…」
「ん?学校に登校こそしていないが同じクラスメイトの名前は全て覚えているからな!」
「そ、そうなんだ」(い、意外に凄いわね…)
そんな会話を玄関でしているとカスミが更に私に顔を近づけて聞き捨てならない無い発言をしたのだ。
「ハッハッハッ!いや〜君の先生から聞いたがまさかクラスメイトに私と同じアウトローのボスがいるとは思わなかったぞ!!」
「な、何ですって!先生め〜何私の事喋ってるのよ!………ん?同じって」
自分と同じだと言われた私にいつからいたのか先生がカスミの正体を喋り始めた。
“彼女のもう一つの顔はアウトロー組織『トマゾ』の8代目ボス、鬼怒川カスミ“
「わ、私と同じアウトローのボス!?この子が!?」(なんで私の周りにはそんなのが多いのよー!)
「ほお、流石は噂に名高い殺し屋、私がアウトローのボスだと知っているのか!……っと言っても私の所は私の先代の代で起きた内乱で半ば壊滅したから私が跡を継いだ時には組織の存在を知ってる奴なぞアウトローの中にはほとんどいなくなってしまった程超弱小組織になってるがな!!」
「え?てっきり温泉開発部も万魔殿みたいに全員アウトローじゃないかと…」
そう私が疑問を口にするとカスミは笑いながら話し始めた。
「ハッハッハッ!温泉開発部の皆にも私がアウトローだとはいってない!完全に趣味の範疇だからな!アウトローなのを知ってるのは今ここにいる私の御守り役の側近達だけさ!」
「「「カスミ様共々よろしくお願いします、陸八魔アル殿!」」」
(へ、へ〜マコト先輩とは真逆の集団なのね…)
そう思っていると何故かカスミが私の腕を引っ張り外に連れ出し始めたのだ。
「よぉし! それでは出発だー!!!」
「ちょ!!何なのいきなり!!」
「共にアウトローのボスとしてもクラスメイトとしても、親交を深め合いたいではないか!!ゆくぞアル!!温泉に!!」
「え、えぇーーーー!!!!」
「アル、気をつけてねー」
そのまま車に乗せられ拉致られる私が見た光景はフウカが見送っている姿だった……
(ど、どうしてこうなるのよーーーーー!!!)
「──ハーッハッハッハッ!良し着いたぞ!此処の温泉は私のオススメでな!それでは湯にでも浸かって語り合おう!!!」
(──拉致られた時は驚いたけど……ま、まぁ温泉に入れるのは嬉しいわね…)
そうしてカスミと数人の側近達に拉致られ共に温泉にやって来たアルはそのまま中に入ろうとするが…
「見つけたぞ
「ふ、風紀委員会!!」
なんといきなり武装した風紀委員会が現れたのだ。
「やあ、風紀委員会の諸君! 貴女達も私達と同じ様に温泉に入りにきてくれたのか!?」
「嫌絶対違うでしょー!!」
まさかのあの風紀委員会相手にあそこまでフランクに接するのを見て驚きながらもカスミが言った内容は絶対に違うとアルはツッコミを入れる。
「全然違うわよ温泉開発部部長 鬼怒川カスミ、ゲヘナの風紀を乱す貴女に制裁を加えに来たのよ、私達は」
「え?私に制裁?またまた〜、照れるな照れるな!」
「絶っ対違うわよ!!!」(どんだけポジティブ!?」
しかしカスミは追い詰めらているにも関わらず相変わらずのポジティブにあの風紀委員会のモブ達に接していた。
「で、でもどうしてここにいるって…」
「あの赤ん坊から目撃証言があってね」
疑問に思ったアルにそう言った風紀委員の視線の先には何故かピラミッドの置物の中に入ってフワフワと宙に浮いている先生がいた。
”少しはトラブルがないと面白くないしね〜”
(あ、あんのピラミッドパワーめ〜!!)
まさかの裏切りにアルは先生を睨みつける。
「話はここ迄よ、総員掛かりなさい!」
「ちょ!!…ってか私も温泉開発部だと思われてない!?」
「──まさかこんな事になってしまうとは………ならば、カスミ様!!」
「ん?」
「ちょ!!あなた何してるのよ!!」(まさか反乱!)
此方に向かってくる風紀委員会、そのピンチを見た一緒に来ていたカスミの側近の1人が何と銃を取り出しカスミに向け始めたのだ。そして……
「がっ!」
「カスミーーーーー!!!」(あれ?でももしかしてこれ…)
そしてそのままカスミの額に弾丸を撃ち込まれアルは倒れたカスミに駆け寄った、しかしカスミが撃たれた事に驚きながらもその光景に何処かデジャヴを感じるアル、そして…
「──グス…もうお先真っ黒コゲ…過去も真っ黒コゲ……ブツブツ」
「い、生き返ったけどなんかネガティブになってるー!?」
死ぬ気弾の様に脱皮し、下着姿の状態でカスミが生き返った!…しかしさっきまでのポジティブさはどこへいったのか、とてもネガティブになってしまっていた。
「ハハ、私なんぞただの塵以下の存在なんだ……ブツブツ……」
「い、一体どうしたの?あんなに元気だったカスミが生き返るとあんなネガティブに……」
死ぬ気弾とは全く異なるそのカスミの状態に絶句するアルに先生は説明を始めた。
”アレこそがトマゾに伝わっていたとされる悲しみながら生き返る
「えっ!死ぬ気弾って他にも種類あるの!?」
“まぁね、そもそも死ぬ気弾は特殊弾と呼ばれるカテゴリーに分類されてるんだ、トマゾに伝わる嘆き弾も死ぬ気弾と同じ特殊弾に分類されるよ“
そんな中攻撃の態勢に入っていた風紀委員会のモブ生徒達はネガティブなカスミを見て変化が表れていた。
「──どうする?」「いやどうするって……こんなネガティブに落ち込んでる奴に暴力加えんのはな…」「なんか気ぃ引けるよねー」「さすがに可哀想ですよ」「むしろ今回は見逃した方が良いんじゃない?」
なんと風紀委員のモブ達は余りのカスミの悲しみっぷりから攻撃を躊躇し始める様になったのだ。
“あれが嘆き弾の効果だよ、撃たれた者は一度死んだ後自分自身を嘆きながら蘇り、そのあまりの悲しみっぷりから周囲の同情を買うことができるんだ“
「いや何なのよその変な効果っ!」(で、でもこれでこの場は切り抜けられるわね……助かったわカスミ!)
そう危険な場面を切り抜けた事に安堵したアルだったがある人物の登場に直ぐに表情は絶望へと変わった。
「──何をやってるの、貴方達」
「ひ、ヒナ委員長!」
「ゲェ!!!」
なんと風紀委員長のヒナが突然現れたのだ。
「──偶然近くを通ったら変に群れて騒いでる奴等を見て、噛み殺しに来たらこの状況でしょ?……それはともかく久しぶりね、赤ん坊♪」
”ハハハ、久しぶりだね〜ヒナ”
(こ、こんなタイミングでヒナさん!?)
何とか切り抜けそうな時に余りにも最悪なタイミングでのヒナ登場はアルは絶望する。
「──それにしても貴方達、私の前で何群れてるのかしら?」
そう言い集団で行動していた風紀委員会のモブ達を睨みつけるヒナ。
「──噛み殺すわよ」
「「「「「も、ももも申し訳ありませんっ!!」」」」」
殺気の籠もった瞳で睨まれながら言われた言葉にヒナ以外の風紀委員達は蜘蛛の子を散らす様にバラバラに散って道を開ける。
「それにしても運が良いわ、その子達群れる小動物らしく逃げ足が速くて中々噛み殺せなかったのよ」
(さ、最悪じゃないのよーーー!!)
”ま、こんな突然のピンチも経験しといた方が良いからね〜”
そう言いながらトンファーを構えてアル達の方に歩いてくるヒナにビビるアル、そんなアルにヒナは睨みながら警告を行った。
「あとそこの小動物、貴女も邪魔するなら噛み殺すわよ」
「ヒィ!」
警告され更に竦み上がって動けないアルを他所にヒナは嘆いているカスミの元に到達し、カスミの嘆きを聞いていた。
「──私の存在なんてどうせ……ブツブツ」
「……」
「安心しなさい陸八魔アル、あの状態のカスミ様を見れば例え空崎ヒナでも哀れに思って同情し、我々から手を引く…」
「あら、良い命乞いね。より噛み殺したくなってきたわ♪」
(ヒナさんに嘆き弾の効果、全然効いてないんですけどー!!)
しかし肝心のヒナは全く同情せず、寧ろ笑顔で殺る気を増していた。
”まぁヒナならそうなるよね〜”
「クッ!!なんて奴!情けがないのかあの女は!!だったら空崎ヒナに嘆き弾を!」
そう焦る側近モブが今度はヒナに嘆き弾を至近距離から撃ったが……
「……」キィン
何とヒナは飛んできた嘆き弾をトンファーで軽く弾いてしまったのだ。
「──なんのマネかしら?私に本気で噛み殺してほしいなら気軽に言ってくれれば良いのに♪」
((う、嘘ぉぉぉーー!!!))
あの距離からの弾丸をあっさり反応して弾いたヒナの凄さにアルと狙撃した側近モブとの思考が一致した。
そして額を狙われたヒナも笑顔で本気の殺気を放ちながら戦闘態勢に入り始めたのだ。
「ちょっとどうしてくれるのよー!事態が余計にヤバくなっただけじゃない!」
「ま、まさかこの距離の弾丸を弾くとは……予想以上の強さだ……だったら!」
「ハァ!!ちょ、まさか…」
止める言葉を言い終わる前に嘆き弾を額に撃ち込まれてしまうアル。
そして…
「──煮るなり焼くなり好きにしなさいよ……人生ダメがこんで過ぎて嘆くことが多すぎて……どうでも良くなる……」
嘆き弾の効果でいつも以上のネガティブ状態でアルは生き返った、それを見た温泉開発部の側近モブは嘆き弾発動成功に喜ぶ。
「良し!まさにあれこそ嘆きの極地!これならさしもの空崎ヒナも同情を……!」
「──死を覚悟した人間を倒すことほどつまらない事はないわね……」
側近モブの目論見通り、そう言ってヒナは構えていたトンファーを下ろし、同情したアルとカスミ達を見逃……
「──なんて言うと思ったのかしら、全員噛み殺すわ」
──す訳もなく冷たい笑みを浮かべて再びトンファーを構えたヒナはアルとカスミに近づいていく。
その笑みはさっきまで嘆いていたアルとカスミから見ても嘆きが止まって叫んでしまう程恐ろしかった。
「ひ、ひ、ひえええぇっ!!!」「ヒィィィィィィ!!!」
「「「か、カスミ様ーーー!!」」」
そんな彼女達の悲鳴が空の中へと消えていった……
しかし流石に嘆き弾の効果はあったのか、それともヒナが単にアル達の情けなさから殺る気が失せただけなのか、二〜三日病院で絶対安静にするレベルの怪我で済んだカスミ達とアルであった。
「いや〜、ヒナ委員長登場とは運が悪かったな私達!ハッハッハッハッハー!」
「──いや何でカスミと同室なのよ〜〜〜!」(うるさくて寝れないじゃいのよー!)
カスミ=内藤ロンシャン
少し前から話自体は書いてたけど結構難産でした。
次話は土日には多分出せないと思うので来週の月曜になると思います、よければお気に入り等して待ってくれていると嬉しいです!
閲覧・お気に入り・評価等をしてくれている皆様、ありがとうございます!