先生来る!
アウトロー……其れはキヴォトスの闇ともいうべき裏社会で活動する者達……この物語は一人の少女がキヴォトスを統べるアウトローのボスになるまでのお話。
〈ゲヘナ自治区ゲヘナ学園〉
早速だがハッキリ言おう、私ゲヘナ学園2年 陸八魔アルはダメダメな人間だ
「ちょっとボール、そっちいったわよ!!」
「へ?、ブッ!!」
「陸八魔が倒れたわ!」「また〜!」「ちゃんと避けなさいよ!」
「「「本っ当に「ダメアル」ね!」」」
(ウゥ、何でこんな目に…)
どんなことでもドジを踏む…
「イタタタ、アイツラ、眼鏡割れたのに謝りもしないで帰って何なのよ一体」
「観て、「ダメアル」じゃない?」
「あの子が例の?」「そ、真面目に学校に来てるけど運動は成績ビリ、勉強も赤点のダメダメ、その度周りにも迷惑を及ぼす、だから渾名が「ダメアル」よ」
私はダメな人間だ…
(……………クソッ)
(私だって…私だってっ…)
帰り道を帰りながら私は思う、
「はいはい、どうせ私はダメアルよ」
と何度もこの渾名を反芻しながら帰るのはこれで500回は超えている、それだけ馬鹿にされ、じゃあなんで今もなお私はあんな学園に登校してるのかと言うと。
「アルちゃん!一緒に帰ろーよ!!」
「…っ!うん、キララちゃん!」
私にとって今でも唯一同い年で対等に接してくれるクラスメイトの友達「夜桜キララ」ちゃんがいるからだ。
キララちゃんと出会ったのは1年の頃、この頃から私は既にダメアルとして最悪の高校デビューをしており、陰湿なイジメも受けてた、けどそんな時に助けてくれたのが
『やめなよ!アンタ達!こんなことして恥ずかしくないわけ!!』
『え?』
同じクラスメイトだったキララちゃんだ、あの時からキララちゃんは私と友達になってくれて、何時も親身になってくれたのだ、本当に感謝しかないわ。
そんな彼女と一緒のクラスにいれるなら私はダメアルと皆に馬鹿にされようと学校に通い続けられるわ!!!。
「どうする?今日どっか食べてに行こっか!」
「ごめんなさいキララちゃん、今日は休みたいの」
「そっか!じゃあまた明日ねアルちゃん!」
「うん!また明日!」
ホント、キララちゃんがこんな私と友達でいてくれて嬉しいわ!!!
「ただいまー。ってフウカはまだいないのね。買い出しに行ってるのかしら。」
家に帰ってきた私はあの
(どうして私はダメダメなんだろう)
キララちゃんと会ってる時は考えないでいられることが家に帰ると再び頭に過る。
昔はこうではなかった…いつも私の隣には大切な幼馴染のムツキがいて、ムツキがイタズラをする度周りから何時も私が守っててムツキからも「アルちゃん凄いね〜!!」て言われて嬉しかった…けれど。
『……ルちゃん……』
『アルちゃんはさ〜将来何になりたいの〜?』
『アタシ……?』
『アタシはね〜将来ははーどぼいるど?なあうとろーになるのが夢なの!』
『あうとろーってなぁに?』
『あうとろーってのは……えっと……とってもかっこいいものよ!』
『へぇ〜……カッコいいんだ。いいね、それ!じゃあアタシ、アルちゃんがあうとろー?になるの手伝ってあげる!』
『本当!?大人になったら2人で立派なあうとろーになりましょう!約束よ?』
『クフフ〜良いよ〜。約束してあげる』
『うん!約束!………ムツキ!』
その言葉と共にフラッシュバックする忌々しい記憶。幼馴染の……ムツキの最期の顔。
そして
『嘘…ムツキが……死んだ?』
最後に聞かされたのは幼馴染の死という最悪の結果だけだった。
「……っ。……何がアウトローよ。バカバカしい」
そう……、昔あったあの出来事がきっかけでそれ以来、私は全ての物事に対して情熱とやる気を失ってしまい、無気力な人間になってしまった。
その影響もあって何をやるにしても本気になれず全てを惰性で生きてきた。その結果生まれたのが現在の私、ダメアルというわけである。本当にキララちゃんやフウカがいなければ今頃ムツキの後を追ってたと思う。
「もう、めんどくさい……」
とそのまま不貞寝しようとした途端
“──これは想像以上だね〜”
突如として部屋の窓から聞こえる声。声がする方に顔を向けるとそこには……
“ちゃおっス”
いつぞや昔憧れたハードボイルドなアウトローのような黒スーツとボルサリーノ帽を着て、カールしたもみあげが特徴的な子供が描いた似顔絵を顔に貼り付けた──。
“君が陸八魔アル、だね?”
塀の上に立つ、黒スーツの謎の……赤ん坊?に声をかけられた。
「な、なんで私の名前を……。」
“よく知ってるよ。陸八魔アル。3月12日生まれ。年齢16歳。ゲヘナ学園在学の2年生。身長160cm。体重は……まぁコレは言わないでおいてあげる”
「な゛っ……」
“まだまだあるよー?入学以来テストの点数は全て赤点。それぞれの点数は〜……。うわぁ……凄いなこりゃ。それ以外にも運動神経無し。体育の授業では最後まで選ばれない。目立った交友関係もなし。その他にもetc……。
うん、読み上げてる私の方が辛くなってきたからここら辺でやめておこうか”
勝手に私のこれまでの汚点をつらつらと読み上げられた挙句に勝手に悼まれた……。
私が何をしたっていうのよ。いや何もしてこなかったんだけれども……。
「いやそうじゃなくて!なんなのよ貴方は!?」
“私?私は今日から君の先生になる者さ。ある人物から依頼を受けて君を立派な『アウトロー』、ひいてはとある『アウトロー組織』のボス後継者にするために教育しにきたんだ”
「は、はぁ!?アウトローですって!?」
な、何言ってるのかしらこいつ!?いきなり出てきて私をアウトローにするなんて、頭おかしいんじゃないの!?
「ふ、ふざけた事言わないでちょうだい!」
あまりにもふざけた発言に思わず赤ん坊に組みついてしまった。……が、しかしその次の瞬間、私の視界は突如回り始めた。
「がっ……!?……っあ」
背中に強い衝撃が走る。息を吸えなくなり呼吸困難に陥る。
何が起きたの?投げ飛ばされたの?あの小さい体躯に???
“あ、ごめんごめん。急に襲いかかってくるもんだから反射的に手が出ちゃったよ。ほら?私の本職って殺し屋だからさぁ、ね?…………おーい、大丈夫?”
「これ……が……大丈夫に……見え……るの……!?」
何とか息を吐き出しながら応える。というかやったのは貴方でしょうが……!!
……もうコイツにこれ以上構っていたらどうなるかわかったものじゃない。そう考えたら私の行動は早かった。
呼吸を整え、その場から全力で部屋から出て自身の家から逃走した。
“ハハハ……。殺し屋がターゲットを逃すわけないじゃないか。…………っていうか、足おっそいね……”
「ハァ……ハァ……」
なんとか撒けたかしら……?家から全然追ってくる気配がなかったから気味が悪いわね……。
それにしても急にたくさん走ったから疲れたし、喉も乾いてしまったわ。こんなに走ったのはいつ以来かしら……。
折角だし自販機でジュースでもと思い、財布を開く。
……が財布の中は空っぽで自販機に投入する小銭すら無かった。
「えぇー……」
……そういえばお金おろしてなかったわね。
何かないものかと周りを見渡してみると丁度すぐそこの銀行の看板が目に入る。渡りに船とはまさにこのことね。フウカには後で理由を言えば大丈夫でしょ。
「いらっしゃいませー」
銀行に入り、ATMコーナーでお金をおろす。
これでようやくジュースが買えるわね。と安堵していた時だった。
「おい!!動くんじゃねぇ!!!」
店内に怒号が響き渡る。
何事かと思い、振り返ると銀行の入り口に銃を構えた覆面の集団がいた。
「この銀行は今からアタシたちが占拠した!!!命が惜しくばアタシたちの言うことを聞くんだな!!!」
……なななな、なっ、何ですってーーーーー!!!???
突如して現れた銀行強盗達により人質にされた私達は手を縛られた状態で店の隅に集められてしまった。強盗達は職員達を問い詰め、金を集めようとしている。
強盗の人数は4人……体型からして学生?は銃による武装済み。どうしようもないわねこれは……。
なんでちょっとお金おろしに来ただけなのにこんな目に遭わなくちゃならないのよ……。
全くこんな目に遭うのも、何もかもあの赤ん坊が悪いんだわ!
“いやー大変なことになってるみたいだね”
そう!コイツのせいで…………は?
“ちゃおっス”
「ハァーッ!?」
「!?なんだ!おい!そこのガキ!大きな声上げやがって!!」
「い、いえ!何でもありません!ちょっと虫に驚いちゃって……。あはは……」
「チッ……驚かせやがって。次妙な真似してみろ。ぶっ殺してやるからな」
「は、はーい……すいませーん……」
撒いたと思った変な赤ん坊再来により大きな声を上げてしまった。……そのせいで強盗達に目をつけられてしまった。
強盗達に聞こえない声量で話しかける。
「ねぇ!何でここにいるのよ!?撒いたと思ったのに!」
“殺し屋から逃げ切れると思ってるのかい?っていうかあの足の遅さで撒けたと思ってる事にビックリだよ”
「うぐ……」
“ふーむ……。銃の種類と姿、格好からしてアイツらもアウトローか。
「えっ!アイツらアウトローなの!?」
最近のアウトローってこんなに堂々と白昼強盗するようになったの、しかも学生が!?
“銃なんて表社外の不良が買える代物じゃないし、威力を改造されたアサルトライフルともなればねぇ。と言っても彼女達の平均的な実力からしてチンピラレベルの組織に属してる、言うなればアウトロー擬きみたいな連中だろうね。誰かの差金か、はたまた普通に金に困ったか……”
「でもなんで学生が…」
”言っとくけど、学生ぐらいの歳の子のアウトローは別に珍しくないよ、寧ろ君が思ってる以上に多いよ”
「そうなの!」
淡々と説明していく赤ん坊。
「あ、貴方一体何者なのよ……」
“だから言ったでしょ?殺し屋だって。後、私の事は先生と呼びなさい”
コイツが殺し屋でアウトローなのは認めざるを得ないみたい。
……そうだわ!殺し屋ならこの状況なんとかしてくれるんじゃないかしら!
「ね、ねぇ先生?貴方、殺し屋なら私たちを助けてもらえないかしら?」
“それは無理だね”
猫撫で声で頼み込んでみるも即答で断られる。
「な、なんでよ!」
“私は君の先生になるにあたって依頼人から一才の暴力・殺生を禁止する掟を結んでるんだ。だから君の願いを聞き入れてあげる事は出来ないな”
「さっき私の事普通に投げ飛ばしたじゃない!」
“あれは指導の為の愛の鞭さ”
「なっ……」
納得できるかそんなの!
要はコイツの物差し次第という事じゃない!
“それより、君は自分で何とかしてみようとは思わないのかい?”
「はぁっ!?無理よ、無理っ!歯向かった所で蜂の巣にされておしまいよ!手も縛られてるし!それに……私にみたいなダメ人間に何ができるっていうのよ……」
そうよ。私みたいな出来損ないに何が……。
“うわ、見事な負け犬思考。やってもないのに決めつけるのかい?案外、死ぬ気でやってみりゃ何とかなるかもしれないのに?”
とんでもないことを言いだす先生。
「そんな無責任な……!」
「うわぁぁぁぁん!!!」
突如、人質の中から大きな声があがる。
見てみると獣人の子供が泣きじゃくっていた。
「怖いよぉママぁ!お家帰りたいよー!!!」
「だ、大丈夫だから!大丈夫だからね!よしよーし……」
母親が何とか宥めようとしているが一向に泣き止む気配がない。
そして、大声を上げていれば強盗達が反応するのは当然のことで。
「おい!!そこのガキ!!うるせーぞ!!とっとと泣き止ませろよ!!」
1人の強盗が親子に詰め寄る。が、そんな真似をされて泣き止む子供はいないだろう。
「勘弁してください!まだ小さい子供なんですよ!」
「うるせぇそんなこと知るかよ!早く黙らせないと容赦しねぇぞ!」
「うわぁぁぁんんん!!」
強盗の剣幕と母親の声で更に大声で泣きだしてしまう子供。さらなる泣き声は強盗にとって火に油。強盗の顔に青筋が浮かんでいくのが容易にわかるだろう。
「黙れっていってんだよ!!」
ついに痺れを切らした強盗が子供に向かって拳を振り上げ殴りかかろうとする。
「やめなよ!そんな小さな子供相手に!」
そんな中に1人の学生が強盗を叱咤した、あの学生は…あ、あれはキララちゃん!
(キララちゃんもお金おろしに来てたの!)
「そんな小さな子供相手に怒鳴り散らかして、アンタ達其れでも年長者なの!アウトローの癖にかっこ悪い!!」
「ぐ…う、うるせ―――――――!!!」
あぁ!強盗がヤケを起こして銃をキララちゃんに!
ダメ!それはダメよ!
気づいた時には身体が動き出していた。持てる力の限りをつくして全速力のタックルを強盗にかます。
「うぐぉ!?」
「あ、アルちゃん?」
私のタックルを喰らって盛大に強盗は突き飛ばされる。なんとかキララちゃんを守る事に成功して安堵しているのも束の間。ここまで事を荒げれば他の強盗達も黙ってはいなかった。銃を構えながら問い詰められる。
「おいテメェ!何のつもりだ!?」
「あ!いや!そのぉ〜……。あの人に虫が止まってて、ですね?払ってあげようと」
「虫に刺されるより酷い事になってんじゃねーか!」
私に突き飛ばされた強盗が立ち上がる。私に早足で向かってくる。その顔はまさしく怒髪天なのだろう。
……まぁ、顔は覆面で隠してるから怒ってるのかどうかわかりにくいのだけれども。って言ってる場合じゃなくて!
「こんのクソアマァ……!!許さねぇ……!!おい!もういいよなぁ!?見せしめに殺っちまおうぜ!!一度ちゃんと人を撃ってみてぇと思ってたしな!!!」
「だ、ダメ!アルちゃん逃げて!!」
私の額に銃を突きつけられる。
あぁ、嘘。私死ぬの?こんなとこで?
こんな事になるならもっと死ぬ気でちゃんとやってくれば良かった……。それならムツキだって……!!
“やるじゃん。見直したよ”
後ろから先生の声がした。
“その気持ちと覚悟、忘れちゃダメだよ?”
その声に振り返った次の瞬間、弾丸が私の頭を脳天を貫く。
撃ったのは強盗ではなく、拳銃を構えた先生だった。
頭を撃ち抜かれたアルの身体が力を失い、倒れ伏す。
その光景を見た人質の集団から次々と悲鳴があがる。目の前で人が頭を撃たれるショッキングな瞬間を見せつけられてしまったのだから無理もない話だろう。
「アルちゃん!!!嫌だよ!そんなの!!」
「ヒューっ!マジでやったのか!やるじゃねぇか!」
「え……いやアタシはまだ……」
仲間が声をかけてくるが、キララが抱えているアルに銃を向けていた強盗はこの状況に困惑していた。撃とうとしていた相手が自分の発砲ではない別の何かに殺されたのだから。
そして、困惑する強盗を尻目に“先生”に撃たれたアルの死体がボコボコと隆起し始める。
「は?じゃあ誰がやった……」
「復活!!!死ぬ気で強盗を倒す!」
「え?アル……ちゃん?」
殻が破れ、アルの死体から新しいアルが飛び出した。
目は四白眼と呼ぶべきくらい小さい瞳。何故か下着一丁の姿。そして、目につくのは頭に灯る鮮やかなオレンジ色の炎。
どのような原理かは不明だが、復活と言っていた通りアルは生き返った。
「な!?」
「なんだ!ドッキリか!?いきなり下着姿になりやがって!!ストリッパーかよ!!!」
各々驚きの言葉をあげる強盗達。
「私は死ぬ気でアンタ達をぶっ飛ばす!!!」
“イッツ死ぬ気タイム。やっちゃいなアル”
「ぶっ飛ばすだと!?舐めやがって!!今度こそちゃんとぶっ殺してやる!!」
アルの死ぬ気の宣言に対し、再び銃を構え直す強盗。
「ふんっ!!!」
「ぐおぉっ!?」
目の前にいた強盗の顎にアルの強烈なアッパーカットが炸裂。けたたましい音を上げながら強盗は頭から天井に突き刺さっていた。
「なぁっ!?」
「クソがっ!!」
打ちのめされたの仲間の姿を目の当たりにし、他のメンバーも今何が起こったのかを認識する。自分たちの障害になりそうなアルを排除すべく銃を向け、引き金を引こうとする。
「させない!!」
しかし、弾丸が発射されるよりもアルが動く方がずっと速かった。一足飛びで離れた位置にいる強盗に飛び掛かる。その速さと跳躍力はおおよそ人間が出せるそれを超えていた。
「はぁっ!?」
「おりゃあ!!」
飛びかかりの勢いをそのまま乗せた渾身の右ストレートが強盗の顔を打ち据える。喰らった強盗は壁の端まで吹き飛んでいった。
「まだまだぁっ!」
更に返す刀で2人目の強盗の近くに3人目に後ろ回し蹴りを繰り出す。
「うぎゃあぁぁぁ!!!」
防御する暇など到底なく、強盗の頭部にクリーンヒット。こちらもお仲間と同じように銀行の壁を舐める結果になった。
「こんのクソ野郎が!!よくもやってくれたな!!」
だが、更に離れていた位置にいた最後の1人に発砲を許してしまった。
「!」
鳴り響く銃声。しかし、1発も掠らずアルの横を掠めるだけだった。
「あ、あたらねぇ!なんでだよ!!」
“ま、当たり前だよねー。訓練もロクにしていないとーしろがその距離のARを当てるなんて無茶な話さ〜”
発砲する最後の強盗に向かって走り出すアル。
「こ、こいつ!銃弾の中を!!イ、イかれてやがる!!!」
「歯ぁ食いしばれぇっ!!!」
「ヒィ〜っ!!!」
全力のアルのドロップキックが強盗の顔面ど真ん中に直撃。あえなく吹っ飛ばされた最後の強盗も無事に沈黙した。
それと同時にアルの頭の炎も役目を終えたように消えていった。
「はっ!?」
目の前に転がるノびている強盗達。
……え、嘘。これ本当に私がやったの?この私が??
いや、暴れていた時の記憶はちゃんとあるんだけれどもいかんせん現実的じゃなさすぎて夢だったんじゃないかと感じてしまう。
“死ぬ気タイムは5分間しか持たないからね。5分経つと元に戻っちゃうんだ。そして、君に撃ったのは依頼人の組織に代々伝わる秘弾・死ぬ気弾。死ぬ気弾で脳天を撃たれた人は一度死んでから死ぬ気になって生き返るんだ”
何その弾……。え!?ていうか今撃ったって言った……!と言おうとした瞬間、耐え難いくすぐったさが鼻を襲う。
あ、何かでそう……。
「へくちっ!」
盛大なくしゃみをかます。
そのくしゃみと共に私の鼻から冷たい何かが飛び出てくる。緩やかな円錐を描くそれは紛れもなく弾丸だった。
「うわぁっ!?本物の弾丸じゃない!あなたやっぱり私の事撃ったのね!?」
“まーまーいいじゃないか。そのおかげで強盗達やっつけられたんだし。むしろ感謝してほしいな”
あけすけな態度を取る先生。このっ……!
再びつかみかかろうとした瞬間だった……
「す、凄いよ!アルちゃん!!!」
「「「うおおおおおおお!!!」」」
キララちゃんや人質の人たちが歓声をあげる。
「助かったー!!」
「生きてる!良かったー!!」
「嬢ちゃんすげーな!!」
安堵、歓喜、感謝。私に向けて様々な声をかけられた。そしてキララちゃんにも。
「やっぱりアルちゃんはダメアルなんかじゃないよ!!」
「……キララちゃん」
今までこんなに感謝されて褒め称えられた事のない私には新鮮で嬉しいもので……。
「突入ー!!」
と、そこで強盗の無力化を確認したのか警察が銀行内に入ってきた。
「ヴァルキューレ警察です!皆さんもう安心して大丈夫ですよ!」
人質の人達に声をかけながら周囲の安全を確認してくる警察達。
更にこちらに向かってくる警察の部隊の人達。
あ、もしかしてこの事件を解決に導いた私に感謝かしら?
いやーそんなに大勢で……照れちゃうわね。
私の周りを囲む警察の人達。
「いやーそんな感謝されるほどのものではないですよ〜」
と照れ隠しする私の手首に何かがガチャン!という音ともに何かはめられた。
……ガチャン?
見てみると私の両手には手錠が繋がれていた。
「え!?は!?へ!?なんで!???」
「強盗犯ならびに露出魔の確保に成功!!直ちに本部に連行します!!」
……露出魔?
そう言われてようやく自分の現在の格好に気づく。
そうだったー!!今の私の、下着姿で闊歩している変態じゃない!!!
「ちょ、ちょっと待ってよ!これは不可抗力というか!私は強盗でもないし露出魔でもないのよー!!!」
「言い訳は署で聞かせてもらおうか!!連行するぞ!!」
「違うわよー!!!何でこうなるのよー!!!???」
「ちょ!本当にその子は違うんです!!アルちゃーーーん!!」
“やれやれ、先は長そうだね〜”
あの後キララちゃんや人質になってた人達が事情を説明してくれたおかげで誤解が解け、釈放してもらった。但し露出魔の変態みたいな視線は消えなかったけど……
全く、帰るのがこんなに遅くなっちゃったじゃない、そうして家に帰り、先生を雇うかの判断をフウカに任せたのだが。
「いいわよ、家に居候して」
「──はぁ!!!」
”ちゃおッス、よろしく”
(仮)家主兼(仮)保護者のフウカからのOKがでて正式に私の先生になった。
「ちょっとフウカ!!なんでそんな簡単にOK出すのよ!!コイツ殺し屋なのよ!!」
「でもあの子にちょっとテストさせて見たけど満点だったし、こんなに頭の良い子がアンタの勉強の面倒見てくれるらしいじゃない、それにこの子がきてアンタ即銀行でご活躍だったみたいだしね、アンタも少しはダメさ加減を直すよう努力してみなさいよ」
「ゔ」
「それにこの家はメチャクチャ空き部屋があるし1人や2人住むぐらいなら大丈夫よ」
「そ、そんなー!!」
う、嘘でしょう、こんなスパルタな赤ん坊に勉強教えてもらうなんて地獄以外の何ものでもないと思いながら膝をついてると。
”安心しなよ、私が君を立派なアウトローのボスにしてあげるから”
「じょ、冗談じゃないわよー!!!」
私のこれから先の人生、どうなるのよーー!!!
おまけ…依頼人
「て言うか、そもそも誰なのよ!!!私の教育を貴方に依頼した頭のおかしい人は!!!」
”あ、それは来たるべき時まで言えない掟だから”
「はぁーーー!!また掟!?」
”でも一応アウトロー組織のボスだよ、詳しい正体は来たるべき時が来たら言うよ、必ずね…”
一応初登場のブルアカキャラのポジションも書いときます
アル=沢田綱吉
先生=リボーン
キララ=笹川京子
フウカ=沢田奈々