今日は終戦日です。政治的なことは抜きにして、我が日本の為に戦ってくれた英霊の方々に感謝の意を示しましょう。
因みに私は地元の護国神社に参拝して参りました。
話は逸れますが、UA2000突破しました!応援していただきありがとうございます。
では長話はさて置き、本編であります。
どうぞ!
その日から、山本は聯合艦隊の体質を一新すべく、精力的に動き始めた。
海軍大臣と主任した吉田善吾は秀才だが、海軍軍人の王道と言われる砲術一筋に生きてきた鉄砲屋にとっては、戦艦こそ海上兵力の中心であるという意志があり、航空戦力に対する認識はやはり甘い。
山本自身も砲術出身であり、航空主兵こそ将来の海軍として信じているが、その山本にしても、巨砲で敵艦隊を薙ぎ倒す戦艦部隊の姿を思い浮かべると、心が躍るものである。
しかし、建造競争になれば、深海棲艦には勝てない。
山本に可能な戦略は個艦優越主義により、敵が繰り出す新造艦を就役する端から葬り去り、厭戦気分を醸し出させて、講話に持ち込むことのみだった。
そのために、山本は航空兵力の充実を目指す。
先ずはD装備を持つ巨大空母を実現するために、本当は必要ないと思っている超巨大戦艦の建造を積極的に推し進めた。
その要となるのが、横須賀で建造されている二号艦だ。
さらに長崎で三号艦が建造開始の運びとなっており、これはさらに別の機能を与えることになっている。
最初の2隻が竣工して、就役するのは2年後――昭和16年末のことになる。慣熟訓練を経て戦力化に出来るのは3年後の春だ。
D装備が齎す前代未聞の機能を持つ艦だけに、戦力化にあたって不安は残るが、山本は麾下の赤城たちなどと空母部隊に出来る限りの新型艦載機を配備。そして小沢治三郎は第の同期(海兵37期)でもあり、戦略航空主兵論などと卓越した個性の持ち主を持つ武部鷹雄が主張する戦略航空兵力とともに、海空一体となった海空打撃戦の訓練を積ませることにした。
長官に就任した山本は、新たに集めた司令部のスタッフたちに、その方法を研究させる。
提示された新造艦の機能に多くの提督たちが戸惑ったが、先人参謀として登用し、ガンジーと呼ばれた黒島亀人のみは眼を輝かせ、積極的に研究に打ち込んでくれた。
寝る暇も惜しむ日々を送っていた山本が、新長官として半月ほど経った時、東京に出張する用事が出来た。
何しろ急用だったので、飛行機を利用することにした。
準備のために上陸した山本は、ふと建造中の新型戦艦を見学しようという気を起こした。
しかし、見学を口にした途端――強硬な反対に遭ってしまった。
「駄目ですよ。例え長官でも一号艦及び艦娘との接触は建造作業の関係者たち以外、何人たりとも眼に触れさせてはならない!と厳命されています」
工廠長や妖精たちが、頑なに首を縦に振らなかったのだ。
「だって、俺が乗り共に戦う艦だぜ。見せてくれたって良いだろう」
それでも、工廠長たちは頑固なもので取りつく島もない。
仕方ないな、諦めざるを得ないか。そう諦めた山本が外に出た時――ドックの方から歩いてくる一人の男性、長身の造船士官に出会った。
特徴的な白い第二種軍装に身を包み、夏だと言うのに、汗一つかいていない。日焼けしていない顔には、やや大きめの眼と小ぶりな鼻。知的な顔つきを持つ青年は、川神辰巳が最初に姿を現した時に同行した三神琢磨であった。
初めて見た時には、鬘かと思った枝分かれした髪も、爬虫人類が持つ鳥の羽毛に似た独特な自前の髪と分かっている。
目鼻立ちは我々人類とほとんど変わらないが、肌の質感や身体に人類とは異なる部分があるために、肌には特殊なクリームを塗っていて、日焼けすることもなく過ごしているようだ。
それに爬虫人類は年を取るのが遅いのか、初めて逢った時と、ほとんど変わらない。そういえば、麗那も同じだったな――そう考えた山本は声を掛けた。
「おう、三神。どうだ、作業の進捗状況は?」
問い掛けた山本に、三神は柔らかく微笑して、海軍式の敬礼を向けながら、ふわりとした口調で答える。
「順調ですよ。生物金属と構造材の融合も、問題なく完了しました」
「そうか。実は見学したいと思っていたのだが、許可してもらえなかったよ」
思わず愚痴を零した山本に、三神は微笑したまま、顎を引いてみせた。
「そうでしょうね。一号艦は、帝国海軍の最高機密です。僕にしても相手が長官とはいえこんな話をしているところを見られたら、たちまち憲兵に引っ張られ兼ねません」
「憲兵は陸軍所管だが、軍事警察も兼ねているからな。だが、そんな羽目になったら護織陛下に申し訳が立たん」
三神の肩を軽く叩いて、山本は破顔する。直後、すぐさま難しい顔で首を捻った。
「だが、弱ったな。一号艦を見ておきたいのだが……。俺が構想している、新戦術にも攻防能力の見当がつかなくては話にならん」
山本の言葉に、穏やかな顔つきで聞いていた三神が思わぬ提案を口にした。
「でしたら、長官。二号艦をご覧になってはいかがですか?
一号艦は戦艦ですから……決戦兵力と認識されていますから、機密が厳しいのです。けれども、二号艦は表向き、戦艦ではありません。ですからら長官のお立ち場ならば見学出来ますよ」
「そうか、良いところに気づいてくれた!夕刻には厚木だ。横須賀に寄るとしよう」
「どのみち、D装備を施してあるのですから、艦種の区分は無意味なのですけどね。長官が考えておられる戦略には、二号艦をご覧になった方が役立つでしょう」
そう言って、三神は振り返る。
大型ドックに棕櫚の城が聳えていた。その内側で建造されている空前の大型戦艦―― 一号艦の姿を、心眼に映しているのだろう。暫し黙った末に、染み透るような笑顔を浮かべて続ける。
「2年後には竣工します。大和に座乗されるにしても、長官が重視されるのは武蔵でしょう。まず武蔵をご覧になってください」
三神が口にしたのは、一号艦と二号艦の正式に決定された艦名だった。
前者はかつて平城京を有した日本の中心部だった『大和国』から由来したものであり、後者は徳川家康が幕府を開いて以来国の中心部であり続け、明治維新からは名実とともに、首都が置かれている国から由来されている。
姉妹艦でありながら、書類上は別の艦種に区分されている異形の姉妹――建造の始まりからD装備を組み込まれている最初の主力艦であった。
二号艦とはいえ、その最初の艦に逢える。と思うと胸を躍らせる山本に、三神は穏やかに言った。
「麗那は、この時代のありとあらゆる戦術を叩き込まれている筈です。お役に立ちますよ」
「彼女も書類上は『男性』だからな。いきなり参謀というわけにもいかんだろうが、当面は俺の副官扱いだ。久しぶりに逢えるのが楽しみだよ」
山本がそう言うと笑うと、三神も微笑んで、さらりと凄いことを口にした。
「麗那は肉食系の家系ですから、歓迎時には、肉をたっぷり食べさせてやってください」
ああ、分かっているよ。という山本に対して、三神はもう一度頭を下げ、踵を返して、大和のドックへと戻っていった。
今回はやや短め、大和の建造などがメイン回になりました。
果たしてどんな艦になっていくかが楽しみですね。
次回もそれに因んで続く形になりますのでお楽しみを。
それでは、次回もお楽しみを。
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それでは第12話まで、ダスビダーニャ(さよならだ)