IS 世界を破壊する者   作:アポピー

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始まり

「馬鹿者!! 何という事をしでかしたのだ!」

 

「申し訳ありませんでした。 ミスして人間を死なせた事を知られたくなくて・・・それで勝手に転生させてしまいました。」

 

白い衣を着た壮年の男性が同じような衣を纏った少女を叱っている。少女は床に土下座して謝っている。

 

「勘違いをするな! 私が叱っているのはミスをした事ではない。 ミスして死なせてしまった以上は、その人間に対して保障をし、新たな人生を歩んで貰う為に転生させるのも別に悪くはない。だがな、転生させるにも最低限護らなければならないルールが存在するのだ」

 

そう言って男性は溜め息をつき

 

「二次元の創作世界に転生させるのも別に問題はない、だがな転生させるにあたっては、原作の主要な登場人物を歪に歪めるような立ち位置に転生させたり、転生特典を与えてはならない、というルールが存在するのだ」

 

それを聞いて女性の顔は青ざめる。

 

「然るに今回キミが行ったのは、それを違反している。 主人公の双子の兄として転生させ、身体能力に頭脳を強化。これにより主人公は転生者に居場所を奪われてしまった。このままではあの世界は終焉を迎えてしまう」

 

男性が手を翳すと 床に映像が映し出された。そこには降りしきる雨の中、建物と建物の隙間で雨風を避けながら寒さに震える少年の姿があった。

 

「既に、影響は出ている。転生者の影響で世界を滅ぶなどあってはならない」

 

もう一度、手を翳すと映像が替わり、家のリビングでのんびりと寛ぎながら下卑た笑みを浮かべる少年の姿が現れる。

 

「本来なら転生者を排除するのが1番手っ取り早いのだが、既に転生者により物語が改悪されてしまっており、本来の物語に戻すのは不可能なので意味がない」

 

全くどうしたものかと考えていると、別の女性が部屋の中に入ってきた。

 

「お取り込みの所すみません。実は神の使いがまたしても不事故を起こしました」

 

「なんじゃと?…はぁ、これは私が1回絞めないといけません…

その者は今もいるのか?」

 

「は、はい!」

 

 

入ってきたの20歳も超えていない青年だった。

 

「この度は私の使いが大変迷惑を掛けた。

申し訳ない」

 

青年はいえいえと頭を上げるように言う。

 

「それでじゃ、お主に頼みがある」

 

男性は青年に転生に当たってのルールなどを話、事の重大さを教える。

青年が理解した事で男性はある願いを言い渡す。

 

「お主には主人公の手助けをして欲しい。もちろん手助けする為にお主に2つ特典を与える」

 

1つ、相談できるようにコンタクトを取りたい。

 

そもそも青年は向かう先の原作を知らないため少しでも情報や相談相手が欲しいとの事らしい。

もちろん了承を得た。

 

2つ、仮面ライダーエボルトに転生。

 

男性は渋っていたが、仕方がないと言い了承した。

 

 

「君がその力を悪のために使わないと理解しているが、くれぐれも気をつけてくれ」

 

男性が手を翳すと青年は粒子となり姿を消していった。

 

「さて、私の方でもサポートしなければな。本来なら厳禁なのだが、物語に介入し改悪する転生者がいる以上猶予は無いしな。最悪、登場人物の一部に影響がおよぶが仕方ない。世界の終焉を回避するためだ…」

 

 

 

 

 

 

「いや〜良いコーヒー豆が買えた〜」

 

片手に紙袋を抱えたがら反対の手には傘をさして帰路に着いている青年、石動惣一。

神見習いの不手際により前世を終え、神の頼みでこの世界に転生した者だ。

 

 

 

 

いつもの帰宅通路を歩くとびしょ濡れの子供が壁にも垂れながら座っていた。

惣一は少年の元に近付き傘で濡れないようにする。

 

「大丈夫か?」

 

雨に打たれていたので身体中は濡れている。

しかし、雨とは違うものが目元から流れていた。

 

「家から追い出された・・・兄さんも姉さんも、僕がいらないって・・・・」

 

「…そうか。なら俺の所に来るか?

ここより暖かいぞ」

 

惣一はそっと手を差し出し、少年は最初は悩んでいたがやがて手を握って一緒に歩く。

 

その後風邪をひかないためにお風呂に入れてあげ着替えがないので後輩に電話をして子供用の服などを頼んだ。

20分もしない内に店の扉が開き

緑髪に童顔の女性が両膝に手を置きながら呼吸をし、落ち着いた所でカウンターに紙袋に入った服などを置く。

 

「全く!先輩はいつも何時も急に呼び出したと思ったら!

しかも今回は子供用の服って!」

 

「悪いな真耶。ほら、これで足りるか?」

 

惣一は財布から諭吉1枚を取り出し真耶に渡す。

 

「それで?何故今更子供服を買わせたのですか?」

 

「それはだな…ちょっと待ってな」

 

惣一は子供服を手に奥に向かって行った。

真耶は疑問に思うも、数分後理解した。

戻ってきた惣一と抱えられた男の子がいた。

 

「せ、先輩…もしかして…」

 

「訳ありの子だ。そう言えば名前を聞いてなかったな」

 

「織斑一夏です」

 

少年の名前に聞き覚えがあるのか真耶は驚いた顔をしている。

惣一は織斑と言う苗字に聞き覚えがあるが誰だったかと考える。

 

「先輩。この子織斑千冬さんの弟ですよ!」

 

「織斑千冬?」

 

「IS日本代表の織斑千冬さんですよ!」

 

あぁ〜っと言った顔をする惣一。

ただ、一夏は暗い顔をする。

とりあえず一夏を奥の部屋に連れていきベッドに寝かす。

相当疲れていたのかすぐに眠りについた。

 

 

 

 

「詳しくは知らないが、姉と兄に家を追い出されたみたいだ」

 

「そんな?!」

 

流石の出来事に真耶も驚く。

 

「知り合いにその手の情報を知れる奴がいるから確認してもらっている。

詳しく分かったらお前にも教える」

 

「…分かりました。ちなみに一夏君はどうする気ですか?」

 

「本当なら家族の元に返したいが、もし、追い出したのが事実なら俺が育てる。さっき着替えさせる時に見たが、体の至る所に怪我の跡があった。

どう見てもただの怪我ではなさそうだ」

 

「先輩…」

 

「済まないが織斑千冬にはこの事を伝えるな」

 

「分かりました。もし何かあったら呼んで下さい」

 

「分かった」

 

そう言い真耶は候補生の訓練があるので店を後にした。

その後調査してもらった結果、一夏は近所からの評判は良くなく、姉兄の出来損ないなどと言う人もいるらしい。

 

それを知った惣一は一夏を養子として向かい入れ名前を石動一月と変えた。

 

 

それから月日が経ち一月が12歳になった。

 

惣一は何時ものようにお店の準備をしていると店の扉が開く音がする。

 

「済まないがまだ仕込み中だよ」

 

そこにはエプロンドレス姿に頭にうさぎの耳のような飾りをつけた少女がいた。

 

「やあやあ、初めまして私は天災、篠ノ之束さんだよ」

 

「篠ノ之束?もしかしてISの発明者の篠ノ之束博士ですか?」

 

「束さん以外に束さんは存在しないよ」

 

「それで、ISコアを467個作った後行方を眩ませていた篠ノ之束博士が、何故この店に?」

 

「うん、この世界で私にとって唯一無二の存在であるいっくん・・・織斑一夏を保護しているよね」

 

「この店には織斑一夏という少年はいないよ」

 

「そうだね。石動一月君だったね」

 

惣一は神が言っていたイレギュラーかと思いエボルドライバーをベルトに巻き付けボトルを手にする。

 

「そんなに身構えなくていいよ。別にいっくんに危害を加えるつもりもないし、そっちと敵対するつもりもないよ」

 

「それでは、いったい何の用事でここに?」

 

「君に伝える事があるんだ。

数年後、元兄であった織斑秋幸がISを起動する。そしていっくんも間違いなく起動させる」

 

その言葉を聞き惣一は何故それが分かると聞く。

 

「ある人物からのお告げでね。そのベルトも聞いたよ。束さんでも到底完成出来ない代物だって」

 

束は惣一が腰に巻いているエボルドライバーに指を指す。

 

「…そうですか」

 

惣一はベルトを外し、束に席に座る様に手招く。

少し待たせると束の前にオムライスを提供する。

 

「お待たせ。一月も気に入っているオムライスだ」

 

束はスプーンを手に持ち一口食べる。

その美味しさに目を見開き無言で食べ続ける。

束の目から涙が流れ、そんな束の頭を優しく撫でる。

 

「辛かったろう。ひとりでで苦しんで、寂しかったろう…よく頑張ったよ」

 

その後束は泣きながらもお腹いっぱいになるまで食べ続けた。

 

「ありがとう。もし何かあったら束さんに連絡してね!」

 

束は笑顔で店を後にして行った。




石動惣一
神の不手際で転生特典として憑依した姿。
見た目は原作と同じ前川泰之さん。

専門大学卒業と同時に自分の店を作り小さな喫茶店を経営。
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