「手厳しい事を言うねぇ〜スコール」
「私は事実を言ったまでよ。
そうでもしないと、あの子達は現実を知ろうとも思わないから」
スコールは義手の腕を触りながら答える。
「……そうだな」
惣一は缶珈琲を飲み干しゴミ箱に捨てる。
「それじゃあ俺も食堂に戻るよ」
惣一はそう言いエプロンを着てスコールと別れる。
「やっぱり科学の行先は……破滅……か」
エボルトが桐生戦兎に言った言葉を思い出し口にする。
これからどうしたものかと考えながら食堂の厨房に入る。
授業が終わり一月はため息をする。
決して授業が遅れている訳では無い。
マドカが教えてくれたおかげでISの授業はついていけている。
ただ、視線がキツイ。
授業中こそ皆授業に集中していたからいいが、終わればその集中は興味の対象へと移る。
さらに他のクラスからも男性操縦者を一目見たいと廊下から教室内を見る大量の生徒。
「……鬱陶しい」
マドカが教室の外から一月を見に来ている生徒を睨む。
「こればっかりは仕方ない。
慣れるまで我慢するしかない」
そこへ、教室の外から一際わっという驚きの声と共に、一人の乱入者が現れた。
「よう、"一夏"! 久しぶりだな!」
「……どちら様ですか?」
一月は叩かれた手を弾き制服を整える。
「おいおい!まさか兄である俺を忘れたのか?」
「そもそも俺に兄はいない」
鬱陶しいと教室を出ようとする。
すると殺気を感じた一月は自分の机から離れると、机が真っ二つになっていた。
犯人はポニーテールの女子でしかも手には木刀を握っている。
「貴様!秋幸が挨拶してやっているのにその態度はなんだ!」
一月は溜息を吐きながらその女子をみる。
今にも飛びかかりそうな勢いだ。
「事実を言ってる迄だ。
俺は織斑という苗字でもないし、コイツの弟でもない」
一月の発言にムカついたのか女子が木刀を振りかざして来たので筆箱から定規を握り、頭ギリギリの所で木刀を切断した。
木刀はカランっと床に落ち
生徒の悲鳴にスコールと真耶が慌てて入ってきた。
「はぁはぁ……これはどう言う状況?」
スコールと真耶の目の前には一月の机が真っ二つになっており更に切れた木刀を握り微動だにしない女子とその光景に驚いている織斑秋幸だ。
「織斑秋幸が俺を弟と意味不明な事を発言して拒否したらこっちの女が俺の机を真っ二つにして、今度は俺を狙って振ってきたので木刀を斬りました」
「わかりました。山田先生、すみませんが彼らを懲罰房に連れていきますので手伝って下さい」
「分かりました」
スコールと真耶は2人を連れて教室を去って行った。
「へぇ〜。そんな事があったのか」
夕食、惣一は一月とマドカが食堂で食べている前に座り話を聞いている。
1年の殆どが食べ終えたので惣一は厨房のおばちゃん達から
「しっかり家族サービスをしておいで!」
と追い出された。
そして今日あった事を一月から聞いた。
すると後ろからスーツ姿の女性が惣一達の前に立つ。
「"織斑一夏"。少し話がある」
視線をそちらに向けるといたのは織斑千冬だった。
それに一月を一夏と呼ぶ。
「生憎ですが織斑先生。俺の名は石動一月です。
昼の件といいあなた方姉弟は人の名も覚えられないのですか?」
「貴様こそ何を言っている。
石動等とふざけた名を名乗る」
千冬が一月を掴もうとした。
その刹那、惣一が千冬の手首を握る。
「おいおい。人の息子に随分と好き勝手言ってるな?」
「誰だ貴様?」
「俺は石動惣一。食堂で働いてる一月の父親だ」
「食堂で働く者が私に指図するとはいい身分だな?」
「アンタこそ、随分いい身分だな?
ブリュンヒルデさん?」
「おい!その名で私を呼ぶな!」
「ならまずお前が謝罪しろ!
一月、マドカ。自分の教室に戻りな」
惣一はそう言い一月とマドカを食堂から出て行かせた。
千冬は一月を追いかけようとするが、惣一が腕を掴み逃がさなかった。
「先輩。お呼びとは……」
入れ替わりで真耶が食堂に入ってきてどう言う状況か理解した。
「……織斑先生。また石動君たちに接触しようとしましたね?」
「ち、違う山田先生」
「先輩どうですか?」
「一月を織斑一夏と言い何処かに連れて行こうとしていた。
まだ食堂にいる生徒や厨房のおばちゃん達に聞いたら分かるぜ」
「分かりました。では私は学園長に報告しますので、織斑先生は自室で待機を、後に副担任の坂本先生から結果を伝えるよう引き継ぎさせますので」
真耶はすぐさま学園長室に向かい惣一は一月達の食器を洗い場に運び片付けをしようとしたが厨房のおばちゃん達に後はすると追い出された。
後で聞いたが織斑千冬は半年の給料の減棒、織斑秋幸と篠ノ之箒は反省文100枚と1週間の学園内のトイレ全ての掃除、破壊された机代は篠ノ之箒の親に請求されるらしい。