なので基本知識なしでこの世界を大冒険します。
目が覚めるとそこは見覚えのない森の中だった。いや、森と言うよりジャングルに近い少しむわっとした空気のある湿気の多い土地だった。
「ここは……そうだ、私ドラゴンボールで別世界に飛ばされちゃったんだ」
どうしよう、きっと悟空さんたちがドラゴンボールを集めてすぐに呼び出してくれると思うんだけど、それまでどうやって生活したらいいんだろう。
「とりあえず人のいるところに行かないとね……そんでもって、なにかお金を稼ぐ方法を探して……うう、1人でやってけるかなぁ」
心細さから早速弱音を吐きながら私はふわりと空を飛び、森を脱すると自分が森だと思っていた場所は島であったと判明した。
「おおー? 辺り一面海だ……無人島、では無さそうかな? あそこになんか大きな城と集落っぽいのがある……ん? 壁に文字が書いてある。それにあそこ、なんか蛇みたいな……」
さらに高度あげて島全体を眺める。
すると岩壁に書かれていた文字が「九蛇」と書かれていることに気がついた。
「きゅうへび? いや、くじゃ? ってことはあの石像っぽいのは蛇かな? ……んー、なんだかどこかで聞いたような。なんだっけ?」
首を傾げながら考えていると何やら下が騒がしい。
なんだろうかと見ると、なにやら部族の人間が一人の男を追いかけ回しているところだった。
「うわ、野蛮人だ。まさか人喰い族とかじゃないよね。だとしたらあの人危ないな」
そう思って助けに行こうと思った次の瞬間
「え」
男の手が伸びて、私の足を掴んだ。
「おお!? なんでお前飛んでんだ!? すっげー!?」
「うわわわ!? 手が伸びた!? もしかしてあなたナメック星人なの!?」
「なんだなめこ?」
首を傾げながら未だに足にぶら下がる男の子。顔が幼いけど多分同い年くらいだ。
左目の下に大きな縫い傷があって、やけに天真爛漫に笑う子……あれ? この子どこかで見覚えがーー。
「うわ!?」
下から矢が尋常じゃない速度で飛んできた。
「あぶね!?」
もっと高度を上げて矢の届かない距離を目指そうとするけど、その度に威力と速度を上げて追いついてくる。
しかも精度が普通じゃなくて、この世界の弓矢は銃並だ。
とりあえず高さを維持するより、島の中心に向かって飛んで逃げることにした。
中心には街があるみたいで、さすがにそこでは大あばれしないだろうと思ったからだ。
「なんで追われてんの!?」
「わかんねえ。クマのやつにぶっ飛ばされ気がついたらここにいたんだよ。んでもって、キノコ食って気失ってたらアイツらに捕まって、男だーって追いかけ回されてんだよ」
両足にぶら下がりながら男の子は首を傾げる。
男だから追いかけられる? そういえば、追いかけてた人たち、少しごつい人もいたけど女の人ばかりだったな。
あれ、もしかしてここ男の人がいない? ってことはこの人を捕まえてアレコレするつもりだったとか!?
「どうした? 顔赤いぞ?」
「な、なんでもない!」
「そっか、それよりはらへったなー。なあ、どっかで飯食おうぜ」
「飯って君ねぇ、追われてるんでしょ?」
呆れて言い返すと笑いながら答えた。
「そんなのいつもの事だよ。海賊だし」
「海賊ねぇ……」
若いのになんとも危ない人生を歩むものだ。
それに普通は海賊っていったら犯罪者集団なのだが、彼からはそういった悪人特有の嫌な感じがしない。
「とりあえずあの大きな建物に行こう。そこからほとぼりが冷めるまで様子を見ればいいとおもう」
「おう!」
話しながらも街の上空を飛んでいた私たちに、一発の矢が迫る。
「あぶねぇ!」
男の子は私を庇うように身を翻して、抱きしめるように引っ張った。
「うわわ!?」
突然抱きつかれたことに驚いて気の制御をミスってしまった。
ガクン、と落下し始め気がつけばどこぞの屋根や床を貫通して、最後にはドボンと湯気の立ちのぼるお風呂らしき場所に落ちた。
「けほけほ……びっくりしたぁ。こんなんだからピッコロさんからコントロールが未熟って言われちゃうんだよなぁ。えっと、君大丈夫?」
「ああ、おれは平気だゴムだから」
「何言ってんのもう……あれ、あそこに人がいる?」
「ん? なんだあのマーク」
思わず私が指さしてしまった先にはつややかな黒髪の女の人の背中があった。お風呂場で背中と言えば当然裸。
まずいと思ったんだけど、それよりも腰の下まで伸びる長い髪の隙間から覗く、背中に刻まれた大きな火傷のあとが痛々しくて、つい忘れてしまった。
だけど、次の瞬間女性はキッと睨みつけるように振り返り、それはもう怖い顔でこちらをみた。
あ、うん、お風呂覗いたらそりゃ怒るよね。しかも男の子いるし。
「見たな……」
「あ、いや、みてないです! 後ろ姿しか見てないです!」
「そうだぞ! お前の背中の変なマークしか見てねぇ!」
こら、なんでそれ言うの!
どう見たって火傷でしょうが、それを引き合いに出すなんてデリカシーないなこの子!
「やはりみたか! 殺す!」
女性はかなりの速度で間合いを詰めてきて、恐ろしいほどの速度で蹴りを放ってきた。
まずいと思い、私は男の子の前に出て蹴りを受け止める。
「なに!?」
「けっこう、つよいね。でもそれより今は服を着てくれないかな!? 色々見えちゃうから!」
私の警告も無視して、さらに蹴りを放ってくる。どうやらこの人はケリ主体の戦士みたいだ。
強いけど、特別どうってかんじはしない。感覚的にはクリリンさん以上パパ未満ってかんじだ。
「く、女相手では効きが悪いか!」
女相手だと? どういうことだろう……と考えていたらさらに二人現れた。
なんだかえらい体の大きな女性二人。ちょっと、なに食べたらそんなにでかくなるのかな。
「お姉様! これを!」
「!! 侵入者か!」
駆けつけた緑髪の女性は肩にかけるコートを黒髪の女性に渡すと、素肌の上にそれを羽織った。
ようやく服を着てくれた。
相変わらずその下は全裸だけど、むき出しよりはマシだ。
「背中を見られた……!」
「え!?」
「そんなっ」
どうやらあの背中の傷はそれほど見られたくなかったものらしく、それを知った途端二人はものすごい顔でこちらを睨んできた。
男の子は訳が分からないとばかりに「見ちまったもんはしょうがねえだろ!」と火に油を注ぐようなことを言う。
ああもう、黙っててくれないかなぁ!
すると緑毛の女性の体に変化が起きた。
「我々の秘密を見たからには死んでもらう!」
高身長の女性はあっという間に蛇の下半身を持つ、まるで神話のメデューサのような姿になった。
よくみればもう一人の恰幅のいい女性の方も蛇にみたいな姿だ。こっちはアナコンダ?
今にも飛び掛りそうになった次の瞬間、浴室に複数の人の気配がなだれ込んできた。
「蛇姫様! ご無事ですか!」
駆け込んできた女性たちに反応して、二人は大きく飛び退いて黒髪の女性を背に庇うように立った。
ん? 何かを隠してる?
もしかして、さっきの背中の傷中にも見せたくない、もしくは知られたくないのかな。
なんとなくそう感じた私は男の子に近寄ってそっと耳打ちをする。
「ねえ」
「なんだ?」
「なんかあの人たち背中の傷のことは秘密にしたいみたいなの。多分辛い思い出とかあるのかもしれないから、その事は言わないようにね」
「ん? わかんねぇけどわかった」
返事がやたらと軽くて不安になる。
大丈夫かなあ……。
それから私たちは現れた女の兵士たちに捉えられて牢屋に入れられてしまった。
抵抗しても良かったんだけど、男の子を最初に発見したというマーガレットという子が男の子の助命嘆願をした。
すると黒髪の女性が空中にハートの気弾みたいなのを放ったら、マーガレットは石に変えられてしまった。
この世界には見たことの無い力があるらしくて、そういった能力のひとつらしい。
で、男の子がそれに文句をつけた所「公開処刑の闘技場で見事勝ったら見逃してやる。マーガレットも元に戻してやる」という条件を提示され受けることになった。
んで、やっと分かったんだけど男の子の名前がルフィと言うらしい。
ルフィ……ルフィ……どこかで聞いた覚えがあるんだけど、いまいち思い出せない。
多分これ、前世の記憶が関わってる気がする。
あの世界に生まれ変わってもう17年だし、前世のことも朧気にしか思い出せなくなってるんだよね。
ううん……なんだろう。モヤモヤする。
「へえ、お前キーニっていうんだな。お前すげーな! 空飛んだりしててよ! それ俺にも覚えられるかな?」
「んーどうだろう。私がいたところだと修行しだいでは覚えていたけど」
感覚が麻痺しがちだけど、そもそも舞空術って一種の気のコントロールの究極系の奥義なんだよね。
あの世界当たり前のように飛ぶ人多くて忘れちゃうけど、普通の人は飛べない。
「なあ、おれにもそのぶくーってやつを教えてくれよ!」
「あはは舞空術ね? まあ、時間が空いたらいいよ? それよりも今は戦いのことを考えないと。そろそろだよ?」
呑気にお喋りをしてるけど、実は公開処刑の戦い五分前だったりする。
普通なら震えててもおかしくないんだけど、私ブウとの戦いで一度死んでるし、そのあとの修行でもピッコロさんたちの本気の殺気に当てられたりもするから割と度胸だけは付いてるんだよね。
でもルフィくんも随分と落ち着いてる。なんというか、慣れてる感じがする。
そういえば海賊って言ってたもんね。荒事には慣れてるんだろうな……。
でも、最初に感じた通り海賊っていう割には悪いイメージがあるけどそんな感じがしない。むしろ悟空さんとは違うけど信頼出来る穏やかな感じがする。
「受刑者、キーニとモンキー・D・ルフィ舞台に上がれ!」
その声に従い、折を出て広い闘技舞台の上に立つ。
結構広くて、天下一武道会の二倍から三倍くらいあるように思える。
「これより、二人の罪人の真偽の戦いを行う! この戦いにおいて勝者が全て! 生き残ればこれまでの罪を精算し新たに生きることを許される!」
「分かりやすくていいね」
「おう、とりあえずおれはあっちの緑をやる」
「緑って……サンダーソニアさんってなまえがあるんだから……っていっちゃった」
言い切るとルフィくんはびょんと飛んで舞台の左半分へと移動して、サンダーソニアさんと向かい合った。
なので私は右半分に移動すると、オレンジの髪をした大きな女性マリーゴールドさんが立ちはだかる。
「あなたには同情するけど、ここでのルールはお姉様が全て。諦めなさい」
その言葉に思わず笑みがこぼれた。
「よかった」
「なに?」
「マリーゴールドさんってやっぱり優しいんだね。理由は聞かないけど、私たちは多分あなた達の触れてほしくないことを見てしまった……だから、あの人を守るためにそうしてるんだよね」
何となくわかるんだ。
この人、強いけど心はすごく優しい。
大好きな家族のために身体を張れる人なんだ。たぶん、ここにいるみんなそうだ。
なんとなく、パパやみんなを思い出して嬉しい気持ちになる。
するとマリーゴールドさんは少しだけ苦しそうな顔をしたあと、振り払うようにヘビ化して手に持ったハルバートのような武器を構えた。
「……いくよっ!」
「はい!」
私も構えをとる。
体を半身にして腰を落とし、腕を前後に大きく広げて構える。
悟空さんの構えなんだけど、これが一番しっくりくる。
「はあ!」
横なぎ払いの一撃が放たれる。
たしかに鋭いけど攻撃に迷いを感じる。やっぱりこの人優しい人だ。
それをひらりと飛んで空中で体を捻る。
通り過ぎる瞬間にトンっと刃の側面を蹴って彼女の前に飛び出る。
「なに!?」
「ごめんね」
殴るのはちょっと気が引けたので掌底で彼女の肩を強く打つ。
するとその巨体が大きくのけぞり、互いの間に距離が生まれる。
「何今の!?」
「避けたと思ったらマリーゴールドさまが吹き飛んだ?」
「何をしたの!?」
闘技場故に、この島の女性たちが周囲を囲むように席で見ていたのだが、今の動きを捉えられなかったようだ。
今のが無理となると……たぶん、ここの人達の戦闘力はそれほど高くないのかな。
随分と鍛えられてて強いとは思うけど、動体視力などは普通の人間レベルみたいだ。
ただ、何人かは目で追えた人もいるらしくて絶句してる人もいる。
「くっ……随分とやるわね!」
「うん、自分で言うのもなんだけど、マリーゴールドさんより強いから本気で来ても平気だよ」
「小癪な!」
まさに疾風怒濤という言葉に相応しい速度と勢いで仕掛けてきた。
耳元を通り過ぎる度に、空気を切り裂く音が徐々に鋭くなるのを感じる。
「うん、その体のことはよく分からないけど蛇特有のしなやかさを利用した良い連撃だね。だけどーー」
金属音と共に
「なっ」
「悪いけど私の勝ちだよ」
指先に気を集中し強化した状態で、その刃を受け止めていた。
「なんで切れない……武装色……ではないのに!」
「ブソウショク? ……よくわかんないけど、今度はこっちの番だよ」
腕を払うように武器を払い除けると、それによって刃の部分が折られ、ただの棒になってしまう。
「はぁああああ!」
気を高めて一気に飛び掛る。
「くっ!」
「てりゃららららら!」
掌底を角度を変えたりして翻弄する。
あちらも柄の部分で何とか受け止めているけど徐々に被弾していく。
「ぐ、くうう!」
「ごめんね、パパのところに帰るまで負ける訳には行かないんだ! だから勝たせてもらうね!」
そう言って一度だけ更に一段階強い拳を放つ。
ドスンと打ち込まれた一撃は彼女の胴体に打ち込まれた……はずなのだが、やたら硬い。
「なにいまの、まるで鉄の塊殴ったみたいな……」
「ぐう……武装色で守ってもこのダメージ……あなた、何者?」
冷や汗を流しながら警戒心を上げて構えるマリーゴールド。
私はニッと笑みを浮かべて答える。
「私は戦闘民族、サイヤ人ラディッツの娘、キーニ!」
「戦闘民族? あなたもどこかの部族だったのね……通りで戦い慣れてるはずだわ。だけどサイヤ人なんて聞いたことないわ」
「……まあ、私しかこの世界に居ないだろうからね」
そのつぶやきを聞いて、なにやら目を見開いたマリーゴールドさんは「まさか、あなた一族を……?」と何やら青ざめ始めた。
あれ、なんでサイヤ人がフリーザに殺されたのしってるんだろ?
「仕方ないよ、私は知らないけど私の種族は結構悪いことしてたみたいだし……因果応報だよ」
「そう……でも、あなたが強いとわかった以上、手加減はしないわ!」
「もちろん!」
そこからのマリーゴールドさんの動きはガラッと変わった。迷いみたいなものが消えて戦士として本気で戦っているのがよくわかる。
認められたみたいで嬉しくて、私は少しづつ戦いのテンションを上げて言った。
「なら、これはどう!?」
掌底とは異なる手を僅かに開いた、動物が爪を立てているような手の形。
そして腰を低くして獣のように飛びかかる。
「狼牙風風拳!」
かぎ爪攻撃や掌底、さらにはヤムチャさんが使ってた時は行わなかった蹴り攻撃を織り交ぜてのラッシュ。
ちなみに蹴りは頭の上をとびこえて、両手を着いての後ろ蹴り。どこまでもオオカミの動きを研究した結果こうなった。
「ちょこまかと……!」
「まだまだ!」
柄でなぎ払いをしかけてくるけど、それをしゃがんで避ける。
「空波掌!!」
片手で掌底を強く突き出すと、瞬間的にうまれた空気の弾丸が彼女を打つ。
「ぐっ!」
「もらった!」
飛び上がり、空中で十字に構え飛びかかる。
「天空
舞空術でちょっと加速し、腕を気で強化しているので威力も上がっている。
それが今まさに当たる、と思われた次の瞬間、舞台だけでなく辺り一帯を強い衝撃が襲った。
「!?」
思わず攻撃を止めて、本気で構えてしまったがそこに居たのはルフィでいままさに倒れようとしているサンダーソニアの姿だった。
倒れてそのまま場外へ……と思われた次の瞬間、彼女の肩に羽織られていた上着が灯篭にぶつかり火がついてしまった。
しかも舞台の外に落ちそうになっていて、何とか観客席部分に手をかけることで落下を防いでいたが、そのせいで今まさに燃え尽きる服の下に隠された火傷らしきものが見えた。
まさか、あの傷は三人に付けられた虐待の後なの!?
ハッとしてマリーゴールドさんを見るけど、こちらは仰向けに倒れてるおかげで見えてはいない。
「それよりもサンダーソニアさんの背中っ!!」
慌てて飛び出したが、そこには燃える服など気にせず、サンダーソニアさんの背中に抱きつく事で身体を張り火傷を隠すルフィくんの姿があった。
その後、黒髪の女性...たしかハンコックという人から試合終了と舞台からの退去を指示。
残されたのはルフィくんと私、そしてボア三姉妹となった。
キー二の強さ目安
潜在能力
御飯以上だけど、精神が幼くさらに前世の感性がドラゴンボール世界の気のコントロールと相性が悪くて使いこなせてない状態。
任意でスーパーサイヤ人2までは変身可能たが、スーパーサイヤ人3には強い感情の昂りでもない限り自在になることは無い。
ちなみに裏設定として、キー二がこの世界にシェンロンに飛ばされた際に神龍サービスによりパワーバランスが微調整された模様。
具体的にいえば、ワンピース世界でスーパーサイヤ人になっても月や地球が砕けるような力は出ない。ある程度の出力で制限がかけられるセーフティ。
※なお、その上でも驚異的な強さであることは変わらない。