異界冒険譚シリーズ 【セシル編】-始まりと終わり-   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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本小説は
〖異界冒険譚シリーズ 【セシル編】-聖女様は助かりたい-〗
の続編となります。
https://syosetu.org/novel/343621/


第1話『少し旅に出たいとは思いませんか?』

おはようございます。世界。

 

どうもセシルです。

 

はい。今日も美少女ですね。

 

いやぁ、色々と争いごともありましたが、何だかんだいい方向に転がり、世界は一つになって平和への道を進んでおります。

 

これもそれも、全部エリカ様とアリスちゃん様のお陰ってワケ。

 

いや、まぁ超絶有能王子であるアルバート殿下のお陰でもある。

 

認めたくはないけれども。

 

 

 

そんなこんなで、私は現在、故郷である聖都に戻ってきた訳だが……。

 

まぁ、特に代わり映えのない日常を過ごしております。

 

朝、お祈りして、炊き出しとか色々やってー

 

昼、ご飯を食べてから緊急の事案が無ければ中庭でのんびりしてー。

 

夜、朝と同じ様な事をして、寝る

 

以上である。

 

それなりに忙しいけれど、特に目新しい事のない日々だ。

 

 

 

しかし、そんな日々を過ごしていると、私もちょっと思う所がある訳で。

 

「ニナ」

 

「はい」

 

「少し旅に出たいとは思いませんか?」

 

「思いませんね」

 

「……」

 

「まるで、少しも思いません」

 

「えー。リリィさん?」

 

「何かお求めでしたら、ニナが一人で行きますよ。セシル様」

 

「なんで私が一人で行くのよ」

 

「セシル様の護衛が必要でしょ? その程度の事も分からないの?」

 

「ならアンタが行けば良いじゃない」

 

「最初に外に行けって言われたのは貴女よ。ニネット」

 

「一緒に、ね。セシル様は私と一緒に居たいの。だから行くならアンタ一人で行きなさいよ。リリアーヌ!」

 

「っ! コイツ!」

 

「何よ!」

 

小さな火種が一瞬で大火災になるのを見ながら、私はため息を吐いた。

 

火のない場所でこれほどの大火災を発生させるとは……!

 

なんて冗談を言っている場合でもないか。

 

あんまり騒いでいると、また大司教が怒って部屋に来ちゃうし。

 

「二人とも。争いはそのくらいにして下さい」

 

「「はい!」」

 

良いお返事をしつつ、互いを睨む事は忘れない素晴らしいファイティングスピリッツをお持ちの二人に、私は再度ため息を吐きたい気持ちを何とか抑えながら、冷静に一つの提案をする事にした。

 

「では三人で何処かへ行きませんか?」

 

「「駄目です」」

 

「むー。分かりました! ではレーニに相談してきます」

 

「っ! いけません! セシル様!」

 

「レーニ・トゥーゼは危険です!」

 

「レーニが私を傷つける事はありませんよ」

 

「そういう問題では無いですよ!」

 

私は何とか止めようとする二人をすり抜けて、部屋の外へ飛び出した。

 

そして、大教会の奥にあるレーニの部屋に行こうとしたのだが、その前に大司教に見つかってしまった。

 

「おや、聖女様。この様な夜遅くにどちらへ?」

 

私はスッと背筋を伸ばして穏やかに微笑みながら口を開いた。

 

「えぇ。少々レーニさんに用がありまして」

 

「ふむ。レーニ様に。承知いたしました。では私が呼んでまいりましょう」

 

「いえいえ。この程度私が直接行けば良い事ですから」

 

「そうですか。では、応接室でお待ちください。呼んでまいります」

 

「えと、大司教?」

 

「二人とも。セシル様を応接室に」

 

「「はい!」」

 

「え? いや、え?」

 

「さ、セシル様。応接室へ行きましょうね」

 

「応接室はレーニ様の部屋とは違い、外へ繋がる様な大きな扉もありませんし。開けた窓もありませんから」

 

私は両腕を掴まれて、さながら宇宙人の様な姿で応接室まで引きずられていった。

 

そして中に入ってからは入り口をしっかりと二人に見張られてしまう。

 

実質軟禁ですよ! これェ!

 

 

 

「私だ。入るぞ」

 

それから少ししてレーニが部屋に入ってきて私の正面に座る。

 

私は何とかレーニを口説き落として外に出ようと考えていたのだが……。

 

「駄目だ」

 

「そんな! ちょっとだけ、ちょっとだけですから」

 

「そう言って、お前はすぐに誰かの傷を治そうととするだろう。咳の一つでも聞いたら飛んで行きそうだ」

 

「それは、だって私にはその力がありますし」

 

「だから駄目だと言っているんだ」

 

「う」

 

「もし外に出るとしても絶対に癒しの力を使わないと約束してからだ。出来るか? 出来ないだろう」

 

「それくらい容易いですよ!」

 

「嘘だな」

 

レーニはフッと笑うと私の言葉を即座に否定し、首を振った。

 

分かんないでしょうが! 嘘かどうかなんて!!

 

「決めつけは良くないですよ」

 

「分かった分かった。じゃあいつかな」

 

「いつかではなく、明日とかに行きたいのです! 何なら今!」

 

「駄目だ。何度も言わせるな。今お前が外へ行くことを許可する事は出来ない」

 

「……ダメダメって、ならいつなら良いんですか?」

 

「そうだな。今、ヴェルクモントの連中と教会の連中で協力し、ユニコーンを探しているから。それが見つかってからだ」

 

「またそれ……ユニコーンに何があるのですか? それが私にどう関係しているんですか」

 

「今は言えない」

 

「もう……そればっかり」

 

「とにかくだ。今セシルに大事な事はゆっくりと療養する事だ。それ以外にはない」

 

「……」

 

「分かったら部屋に帰って寝ろ。暇なら明日は私が一緒に遊んでやる」

 

「……はぁい」

 

「良い子だ」

 

レーニは私の頭を撫でるとそのまま部屋を出て行き、私もここへ来た時と同じ様にニナとリリィちゃんの二人に掴まれて部屋まで連行させられるのだった。

 

逃げ出そうとしても隙は少しも無いのであった。

 

 

 

そんなこんなで日は過ぎて。

 

私は何も変わらない日常の中で唯一のんびり出来る時間である中庭でのお昼寝タイムを過ごしていた。

 

以前、四六時中人に囲まれていると落ち着かないと涙の訴えをした所、すぐ傍に人がいる様な事はなくなり、見える範囲では誰も居なくなった。

 

しかし、当然だが、中庭から外へ通じる場所には人が居るし、多分見えないところから私の事を見張っているのだろう。

 

面倒な事だ。

 

嫌になる。

 

アリスちゃんやエリカ様と一緒に遊びたいのに!! イチャイチャしたいのに!!

 

リヴィアナ姫様とももっとお話ししたいのに!!

 

私の夢も願いも叶わずただ、閉じ込められた静寂の中で過ごすばかりだ。

 

こうしている間にも世界で苦しんでいる人が居るんじゃないかという不安もある。

 

いくらエリカ様が凄い聖女だっていっても限界はあるだろう。

 

役に立つか分からないが、私の力だって必要なはずだ!

 

うーん。どうにか、どうにかならないかな。

 

 

 

っ!!

 

そうだ! そうだよ! ソースだよ!

 

ユニコーンだ。

 

レーニはユニコーンが見つかったら外に出て良いって言ってたじゃん!?

 

って事はよ!

 

ユニコーンが見つかれば良いんだろう?

 

いよっしゃー! やってやるぞー!

 

ユニコーンを呼ぶってのは簡単よ。

 

呼べば良い。

 

例のBGMと一緒に呼べば来る。

 

ユニコーンってのはそういう生き物なんだ。

 

少なくとも私が知っているユニコーンはそういう奴だ。

 

アレは生き物じゃないけど。

 

という訳で、叫ぶぞー!

 

とは言っても近くの人に聞かれると恥ずかしいから、光の魔術を応用して、聖都の外に私の分身を作る。

 

そして、分身に意識を預けてから全力で森に向かって叫んだ。

 

『ユニコォォォォオオオオオン!!!』

 

頭の中では例のBGMが流れている……が、反応は無かった。

 

まぁ、当たり前と言えば当たり前なんですが。

 

ちょっと冷静になってきたな。

 

私、何やってるんだろう。

 

ため息を吐きながら分身を消して意識を本体に戻した私は、起き上がって部屋に帰ろうとして、誰かの叫び声を聞いた。

 

「止めろ! 誰か! 止めろ!!」

 

「いかん! この先には聖女様が!」

 

「レーニ様を呼べ!」

 

なんだなんだ。騒がしいな。

 

と思いながらその騒ぎの方に歩いていくと……それは私の目の前に現れた。

 

白い肌……と言うか毛? で覆われた白馬に角が生えた生き物。

 

そう、ユニコーンである。

 

「え? え!?」

 

そして私はユニコーンの角で器用にも持ち上げられると背に乗せられ、大空へと旅立つ事になったのである。

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