蓮ノ空のヤンデレとかが少ないのは蓮だけは百合とかの方が人気なんですかね?それとも蓮まで見てる人が少ないのか、ゲームのストーリーで満足出来ているのか
「起きてください。もう時間になりますよ」
朝、僕はその声を聞くと、布団を被って遮る。
もう少しこの微睡みの中で身を任せていたかった。
「あぁ、もう、起きる時間ですよ!」
その声が聞こえた瞬間、僕の周りから温かさが消え、寒さに身を周りを一瞬にして包まれた。
布団を取られた。
いくら手を伸ばしても布団に触れることはなかったので、仕方なく目を開ける。
「やっと起きましたか。おはようございます」
同級生の村野さやかがお玉を持ちながら僕の傍に立っていた。
そして、炊きたてのご飯の匂いや味噌汁、魚が焼ける匂いがした。
「おはよう」
「ほら、早く起きて着替えてください。ご飯冷めちゃいますよ」
そう言うと彼女はキッチンへ戻り、味噌汁を小皿で一口飲み、うなづいてから器に盛る。
僕はそれを横目に制服に着替える。
着替え終わると同時に彼女も机にご飯を並び終えた所であり、僕は彼女の目の前の席に座る。
いただきます。と僕は味噌汁を一口啜る。
これが僕の朝の日常だった。
いつからだったから彼女、さやかが僕の部屋でご飯を作り、食べ、家事をするようになった。
部屋に鍵を掛けても、来なくていいよと言っても次の日には彼女は僕の部屋にいる。
一応この寮には食堂もあり、多くの人はそこで食事を取っているのだけれど、彼女がそこで僕が行く事を拒否をする。
家事が出来ない僕としてはありがたくもあるけれど、どこか不気味さも感じていた。
「毎回言うけどさ、毎朝僕のところに来なくてもいいんだよ。僕は僕で何とかやるからさ」
「凪さんに私の作ったご飯を食べてもらうことが私の幸せなんです。1人にしたらどうせご飯を抜いて食べなくなるとか、健康に悪いものを食べてそうですし。」
僕を見つめる表情と言葉から、重圧を感じた。
"離さない"と言わんばかりに瞬きをせずに、僕の顔をじっと一つ一つ顔のパーツを検分するみたいに見ていた。
「食堂があるでしょ、そこで皆と食べるから何とかなるよ。」
僕が何気なく発した一言が彼女の耳に届いた時に彼女の顔は激しい怒りに包まれていた。
「それだけはダメです!!私以外の人が作ったご飯を食べるなんて……それだけはダメです。貴方が穢されてしまうじゃないですか!それに、貴方に擦り寄ってくる人も沢山います。」
対面の座っていた場所から飛んでくるように僕に近づき、腕を痛いくらいに力いっぱい握りしめる。
彼女としては無意識なのだろう、顔には必死さが滲み出ていた。
幼稚性と攻撃性を持った様な目で僕を睨みつける様に見ていた。
そのまま彼女に床へ押し倒される。彼女の端正な顔が僕の目の前に迫る。少し顔を浮かせたらキスができてしまうくらい近くに。
「わかったよ、さやかの言う通りにする。」
僕は手を挙げて降参の意を表す。
それを見て彼女は数秒間、探るように僕をじっと見てから立ち上がった。
「もう今後はそんなことは言わないでください」
彼女は頬を膨らませて怒ったように言った。
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次の日、休みの日だったから僕は自分で料理をしてみることにした。
さやかが怒るのは想定内であった。
普段から彼女は、僕が他人と接触することを異様に嫌がる。
部活の時も必要な時以外はスクールアイドルクラブの人達から距離を取るように注意をされる。
そして、花帆とかが僕に抱きつくのを阻止したり、姫芽ちゃんなどのゲームのお誘いも彼女が勝手に断ってしまう。
まるで僕の事を管理しているみたいだった。
料理の本などを見ながらやっていると、ガチャと鍵の音がして、さやかがやってきた。
そして、僕の姿をみるやいなや大きく驚いたように目を見開いていた。
「何……してるんですか?」
怒気を含んでいるように感じられた。
「何ってご飯を作っているんだよ、食堂がダメなら自分で作るしかないし。」
僕がそう答えると、彼女は酷く冷たさを感じるような笑みを浮かべていた。
「はい?凪さんは何もやらなくていいんですよ?」
僕は時が止まってしまった様な感覚になった。
「何もやらなくていいってどういうこと?」
「私に全部任せてください。食事だって家事だって私が全部します。着ていく服装も貴方がやる事も全部私が決めますから。貴方は何もしなくていいんです。ただ私の傍にいてくれればそれで………」
「僕はそこまで君に世話になるつもりはないよ。僕には僕の、君には君の生活があるからね」
僕は冷静を装いながら言葉を紡いだ。しかし、さやかはまるで意味がわからないと言いたげに首を傾げるだけで、僕の言葉をまともに受け止める気配がない。
「何が問題なんですか?凪さんは何も考えなくていいんですよ。全部、私がやりますから。貴方のために、何でも。」
彼女の言葉や目つきはまるで全てを包み込むような母性と異常性が混同していた。
さも当然のように振舞っている。
「それじゃ、僕のやる事はないじゃないか。」
「大丈夫です、凪さんは何もしなくてもいいんです。それは私の役目だから。」
彼女は一歩近づき、僕の手を握った。その手は温かいはずなのに、どこか不気味な冷たさを感じる。
そして、ラベルだけを取り替えられたみたいに彼女に対して強烈な違和感を感じた。
「私がいれば、何も不安になる必要はありません。朝起きる時間も、食べるものも、着る服も、全部私が決めます。そうすれば、凪さんはずっと幸せでいられるんです。」
彼女は柔らかく微笑む。しかし、言葉には隠せぬほどの執着心がまとわりついていた。
「ずっと幸せ」
僕は押されてただ彼女の言葉をオウム返しするしか出来なかった。
「はい、それがあなたにとって一番の幸せなんです。凪さんにはまだわからないだけです。でも、心配しないでください。いつかわかりますから。」
彼女は僕を抱きしめる。まるでこの世界から僕を隠そうとしているみたいに。
「全部、私に任せてください。凪さんはただ、私のそばにいればいいんです。」
僕が呼吸をする度に鉄みたいな重たい空気の固まりみたいなものが肺に積もっていく様な息苦しさがあった。
きっと、身を任せれば心地よいのだろう。僕は彼女に掃除機で吸われたみたいに吸収されて、同一になる。何も考えなくていい。
「それが私の幸せでもありますから。」
彼女は僕の喉を味見でもするみたいに優しく噛んだ。
小話
〜さやかちゃんに「私で童貞捨てたくせに!」って言わせたかっただけ〜
これは少しばかり前の話だ。
蛇足という言葉がピッタリのまるで映画のEDの後に少しだけ流されるその後の話の様な。
まだ僕が彼女に生活全般のみを管理されていた頃。
僕は隙を見つけて、抜け出し誰かに助けを求めようと思っていた。
「逃げるんですか?」
気がつけば彼女が後ろで瞬きもせず僕を見ていた。
「少し距離を取ろう。君も僕もきっと頭が冷静じゃないんだ」
「私で童貞を捨てたのに、逃げるんですか?」
その言葉が、耳の奥にこびりつく。表情をその時抑えられた僕を褒めてあげたいくらいだった。
彼女の指が頬をなぞり、ゆっくりと顎を持ち上げる。逃げられない。
「忘れたんですか?」
忘れるわけが無い。
豆電球の乏しい光の中に映し出される彼女の裸体。
白磁器の様に美しく、シミ一つない。
手のひらで収まるほど控えめな乳房だが、むしろ彼女の魅力を引き立てるひとつの要素になっている。
フィギアスケートを前やっていたからか、引き締まっているが、女性特有の柔らかさも持ち合わせている。
裸を見ている。と言うよりかは一種の芸術品を見ているかのような彼女の滑らかな肌の上を光が滑るように僕の目に映る。
薄暗い中に響く彼女の嬌声とベットの軋む音。
魔法にでもかけられたかのような気持ちだった。僕が僕じゃないみたいだった。
健全な欲を持ち合わせている男子高校生として、忘れられる訳がなかった。
「……さやか」
喉の奥から絞り出した声は、自分でも驚くほど震えていた。彼女は微笑む。けれど、その笑みには安堵も喜びもない。ただ、確信だけが滲んでいた。
「そうですよね?忘れてませんよね?」
吐息が肌に触れるたびに、背筋が凍る。彼女の目はどこまでも深く、底の見えない暗闇のようだった。
「あんな事して無責任に距離を取ろう。そんなこと……言えませんよね?」
指先がシャツの襟元をつまむ。小さな動作なのに、心臓が跳ねる。
「私を選んだんですよ。最初に。なのにどうして、そんなに離れようとするんですか?」
彼女の目が細められる。悲しそうな、怒っているような、そんな矛盾した感情が入り混じる。
「私以外の人と話してるのを見て、どれだけ苦しかったかわかりますか?」
ぐっと肩を押され、僕はその場に崩れるように倒れた。彼女が上から覆いかぶさる。
「どうしてそんなに私から逃げようとするんですか?」
僕は何か言おうとした。でも、言葉が出てこない。
彼女の指が僕の唇に触れた。優しく、でも拒否することを許さない力で。
「全部、私が教えてあげたのに。全部、私が与えたのに」
彼女の声は甘く、けれど背筋が凍るほどの執着が滲んでいた。
「だから、もう"貴方のもの"なんですよ、凪さん」
彼女の手が僕の手に伸び、それが彼女の胸に導かれていく。
「いつでも私は貴方を受け入れてあげます。」
彼女が微笑んだ。鼓動が手を通して僕に伝わる。ドクンと鼓動が1回なる度に僕のすべてが彼女の中に引き込まれる感覚があった。
手が離れた後も、そこにまだ何かがこびりついているような感覚が残っていた。まるで彼女の存在が僕の身体の内側まで染み込んでしまったように。
「凪さんは私が居ないと何も決められないダメダメ人間なんです。でも安心してください。そんな貴方を私は好きなんです。支えたいんです。」
ゆっくりと毒を流し込むみたいに耳元で囁く。
その毒でいつ獲物が死ぬのか、眺めるような余裕を彼女から感じた。何かを確信めいたものが彼女の瞳の中を横切った予感があった。
「全て貴方に私はあげました。貴方の全てを私に下さい。意思すらも全部」
頭が掻き回されている様な気持ちだった。
脳が水に浸され、ふやけた様に考えが上手く纏まらない。どれが僕の考えなのか分からない。
「ずっと、私のものですよね?」
僕はゆっくりと頷く。
もう拒絶も、逃げる意思もなかった。
ちょっっっっっっとだけ好きな人に尽くし過ぎちゃうさやかちゃんのお話でした。
小話は下のサブタイトルまんまです。前からこれで1つ作りたいなーっていう考えだけあったので、ついでに消費した感じ。テーマからどうしてもエロ系に寄ってしまった。苦手な人はごめんなさい。
本来の案は元カノだったヒロインが別れて直ぐとかに他の人とあまりに仲良くしてるものだからみんなの前で言っちゃって修羅場みたいな設定なので、誰か書いて(懇願)