初めてあいつ.....ゲッチを見た時は何も感じなかった。
異形型の個性にしては珍しい、程度にしか思っていなかった。相変わらず校長の考えは合理的ではない所がある。見ず知らずの輩をいきなり雄英の先生にだと?あまりに合理的じゃない。もっとほかに居ただろうに........。
などと言葉にしたが理由は教えてくれなかった。
「ちゃんと教員としての勉強もさせてあげるからね、大丈夫さ!」
そこじゃないんだよ言いたいのは......はぁ。
そもそも1年中勉強し続けられるのか?
1年が経過し、あいつは見事に教員免許を取得した。まさかやり遂げるとは.......意外とやるのか?
喋れないのは個性の影響らしい。まぁ個性によるデメリットはしょうがない。問題はどうやってそのデメリットをなくすのか.........だが案外あっさり解決した。タブレット端末である。世界も便利になったものだ。
俺のクラスの副担任を担当することになったのは少々驚いた。いつの間にか新学期が始まり、個性把握テストの時に、
ネズミ「どうせ入学式参加しないでテストやるだろうからついでにゲッチ君の個性の把握もしておいてね」キラッ
などと言われていたのを思い出した。
「あとゲッチ、お前も受けろ」
『ファッ!?』
器用に文字を打ち込むもんだ。
50m走は平凡、立ち幅跳びは個性を上手く活用した良成績だった。
そして迎えたボール投げ。まるで流れるような速度でボールを打ち上げ、追従し、技を当てた.......までは良かったが、全く飛ばない。掲げられた数字は1で、おそらく9が一番強いのだろう。あいつが言うにはジャッジ......審判という意味があるらしい。攻撃手段の中でトップクラスに威力、殺傷能力が高い。
1を見た時はとても殺傷能力が高いとは言えない。そう思っていた。
明らかなる異変。あいつが掲げる板は淡く光り、まるで神による審判。潰れるほどのプレッシャーがかかり、ゲッチはハンマーを振りきった。
出た数字は9。一瞬世界が止まったかのような感覚に襲われ、次の瞬間にはボールはもはや俺の目には見えていなかった。
あまりのエネルギーに風が吹き荒れる。明らかな異常。ただハンマーを振るうだけでここまで力が加わるものなのか?
(こちら側でよかったよ。少なくとも俺は絶対に相対したくない)
あまりにも相性が悪すぎる。異形型の個性という時点で不利な上にあの空中機動力だ。確かに敵としてならばこれほど厄介な者はそういない。だが味方としてならば頼もしいこと限りない。
(期待してるぞ、ゲッチ)
後から聞いたが個性把握テストのジャッジは威力を抑えたほうらしい。マジかよ。
こんなことならゲッチと手合わせしておけばよかった。オールマイト並の力とショック吸収だと?とても太刀打ち出来ない。俺の個性もほとんど通用しない。
ああ、目の前に拳が。体は既にボロボロで回避の余裕が無い。もはやここまでか。思わず目を瞑る。
しかしいつまで経っても体が殴られる感覚は無く、あるのは浮遊感だけ。目を開ければ広場の上空で見慣れた黒い体に背負われていた。
『危なかったな。後は俺がやるから少し休め』
「すまない、助かった」
おそらくあのトランポリンのようなもので戦線離脱したのだろう。いつの間にかゲッチの上にはパラシュートが展開されており、俺の体重にも耐えている。あんなにペラペラなのにどこからそんな力が出てくるんだか。
「ここら辺で降りる。気をつけろよ」
『お互い様だ』
地面に着地し、近くの瓦礫に身を潜める。ゲッチが戦闘している間に出来るだけ体力を回復しておく。あいつがピンチになった時にすぐに加勢できるように。
さては上B結構有能だな?
流石は全キャラ唯一の上B完全無料。(ソラや格ミーのカウンターは普通にあたります)