アビス
この世界に存在するヒーローでも敵でも無い謎の集団である。
組織の中では「王子様」と慕うもの者がいて「王子様」の正体は未だ不明である。
目を開けるとそこには慣れ親しんだ自由の国『モンド』だった、だがそこには人の影はなく私はひとりぼっちで国を歩いてる。
(モンド...私にとっての始まりの場所)
モンドの景色を堪能しながら歩いていくと、突風のような風が吹くと後ろから気配を感じ振り向くとそこには見知った男が1人立っていた。
「待ってたよ、蛍」
「...ウェンティ」
「ボクの力は上手く使えてるみたいだね」
「どうしたの、急に出てきて」
「気まぐれかな」
なにそれ、なんて思いながら笑うとウェンティはある物を渡してくれた。
「...これって」
「君には必要ないかもしれないけど、持っていてほしいな」
「わかった」
「またね、蛍」
「うん、またね」
体が浮かびあがる感覚が迫ってくる、これは夢の時間が終わる合図だ、意識が徐々に現実へと戻っていくと目を覚ました。
起き上がると隣で寝ているパイモン見るといびきをかいている、どうやらまだ夢の中にいるようだ。
夢の中でウェンティに渡されたそれを手に私は起き上がった。
「ちょっと早いけど準備しようかな」
パイモンを起こさないようにベットから降りると朝食の準備を始めた、2人分の朝食を作っていると匂いにつられたのか欠伸をしながらもパイモンが起きてきた。
「おはようパイモン」
「ふわぁ〜、蛍は早起きだな」
「もうすぐ出来るから顔洗ってきたら?」
「そうするぞ〜」
洗面所から戻ってくるとパイモンと2人で賑やかな朝食を終えると、制服に着替え学校へと向かった。
「ん?なんか校門の方が騒がしいな、何かあったのか?」
「あれは...マスコミ...かな?」
「おい!なんか、こっちに来てないか!?」
「これは逃げた方が良さそう」
私達を見つけると鬼の形相で迫り来るマスコミをなんとか逃げ切り駐輪場に辿り着いた。
「いったい、なんだったんだ?」
「「オールマイトについて聞かせて欲しい」とか言ってたし、多分オールマイトの教師の様子とか聞きたかったんじゃないかな?」
いくらNo. 1ヒーローについて聞きたいからってあれはよくない、生徒にとってはいい迷惑だ、なにより通学路を塞ぐなんて邪魔でしかない。
それにあの事件以降マスコミが苦手だ、ヒーローになれば我慢しなければならないのはわかってる...けど、やっぱり苦手だ。
「オイラがあいつらに一言言ってきてやるぞ!」
「やめろ、お前らさっさと教室に行け」
パイモンがマスコミ達にとってかかろうとすると担任である相澤に止められた、ここは大人しく教室に行こう、それにしてもシャルロットとは大違いだ...彼女は元気にしてるだろうか。
しばらく会ってない友人を思い浮かべてながらクラスへと向かった。
「ここは先生方に任せて教室に行くよ」
「ふん!ここは大人しく引いてやるぞ!!」
怒るパイモンを宥めながら教室へ向かった、この時マスコミが私のことを噂していたのはこの時は知る由もなかった。
クラスメイトと他愛もない話をしているとチャイムが鳴ると飯田が席に着くようにと促してきた、真面目すぎない?
授業が始まり相澤先生がやってくると早速昨日の戦闘訓練であった爆豪のあの行為について注意され、それと同じように緑谷もまた腕の傷について釘を刺された。
「さて、HRの本題だ...急で悪いが今日は君たちに...」
(なんだろう、またテストでもするの?)
入学初日にあんな事をした先生だ、きっとまた理不尽なテストでもあるのか、とクラス全員が緊張が走った。
「学級委員長を決めてもらう」
「「「「学校っぽいの来たーー!!」」」」
「委員長!!やりたいですソレ俺!!」
「ウチもやりたいス」
「オイラのマニフェストは女子全員膝上30cm!!」
「リーダー!!やるやる!!」
「ボクの為にあるヤツ★」
(がっきゅう...いいんちょうって何?なんでこんなにやりたがるんだろう?)
ただでさえ知らない言葉が出てきた挙句クラスみんなのこのテンションの上がり方は理解出来ずパイモンに聞いてみる。
「なんでみんなテンション高いの?」
「知らないのか?ヒーロー科では集団を導くっていうトップヒーロー素地を鍛えられる役なんだ!蛍もやってみたらいいんじゃないか?」
私はいいかな、めんどくさそう..多分向いてない、.何よりこのメンバー達を導くのは胃に悪そうだし、それに絶対言う事聞かない奴が今の所1人いるし。
こぞって自分こそが、と言った感じで話がまとまりそうにはない。
「静粛にしたまえ!!」
全員の視線が飯田へと向いた。
「”多”をけん引きする責任重大な仕事だぞ...!「やりたい者」がやれるモノではないだろう!!周囲からの信頼があってこそ務まる聖務...!民主主義に則り真のリーダーを皆で決めると言うなら...これは投票で決めるべき議案!!」
「もっともらしい意見だけど、そびえ立ってるじゃないか!!」
自分もやりたいと右腕がピンッと上がっていた。
「あいつも結局やりたいんだな」
「数日しかいないのに信頼も何もないと思うけどね」
パイモンと2人で話していると、どうやら投票に決まったっぽいので誰に投票するか悩んでいた、正直なところ誰でもいい...あっ...1人いた。
しばらくして投票の結果が黒板に映し出されると、緑谷が三票で自分自身が驚いていた、ちなみに私が真面目そうという理由票をいれた八百万は二票だった、その為学級委員長は緑谷で副委員長が八百万となってこの時間は終わった。
「やっぱり蛍もやりたかったのか?」
「?私は自分に入れてないよ?」
「え?一票入ってるぞ?」
...!ホントだ、誰が入れたんだろう?
▫️▫️▫️
時間は進みお昼休みに入り今日も麗日達と食べようかなと席を立つと後ろから肩を叩かれて振り向くと葉隠だった。
「蛍ちゃん達も食堂行くの?一緒に食べよう?」
「おう、いいぞ!ご飯は人が多い方が楽しいからな!」
「それじゃあ、混んで座れなくなる前に行こうか」
食堂へと向かうと席はだいぶ埋まっていたがなんとか座ることができた。
「ふー、なんとか席に座れてよかったな」
「パイモンは飛んでるから平気じゃん」
「流石のオイラも座って食べたいぞ!」
「2人とも仲良いよね、いいな〜」
「おう!最高の仲間だからな!」
「うん、最高の非常食だからね」
「おい!だからオイラは非常食じゃないぞ!」
むかついたからやけ食いしてやるぞ、とパイモンは怒って食べ始めてしまったが、大食いなのはいつもと変わらない。
「ここ、いいでしょうか?」
「たしか...八百万と耳郎だっけ...いいよ」
同じクラスである2人も席を探していて、丁度私達の所が空いていたので相席をすることとなった、礼を言われるとそのまま席へ座ると改めてお互いを自己紹介をすると自身の個性についての話となった。
「蛍の個性って風系であってるの?」
「...うん」
戦闘訓練の時に起こったあのことについては爆煙があったおかげで誰にも見られずにすんだ...と思う、目の前にいた轟はどうかわからないけど...
面倒ごとは無いに限るし、ここは無難にそれっぽいことを言っておいた。
「いいなー、プロになっても引くて数多じゃん」
「そうなの?」
話を聞くと私の風や上鳴の帯電といった日常系に役立つ個性を持っているとプロに好かれるらしいが、私は別にプロを目指してるわけではないので頭の片隅置いておく。
楽しくお昼の時間をすごしていると学校中に警報が鳴り響き、アナウンスが流れた。
「な、なんだ!?」
『セキュリティ3が突破されました、生徒のみなさんはすみやかに屋外に避難してください』
「セキュリティ3ってなんだ?...うわぁ!」
「ぱ、パイモン!」
「わっ、な、なに!?」
何が何だかわからずその場で立ち止まっていると後ろから沢山の生徒達に押されてもみくちゃになりみんなと離ればなれになってしまった、窓際までに押し出され外の景色が見えた。
(あれって、朝のマスコミ?なんでここに...)
どうやら侵入してきたのはマスコミの集団だった、先生方はそっちの対応しているためこの騒ぎの事を知らないわけじゃないだろうけどマスコミ対応追われてこっちに人手がさけない状態なんだ、それにパイモンや他のみんなが心配だ、大丈夫かな...
不安に煽られら中、上から何かが風を切る音がした。
「あれは...飯田!?」
食堂の出入り口の上に非常口のように張り付くと声を荒げた。
「大丈ー夫!!ただのマスコミです!何もパニックになる事はありません大丈ー夫!!ここは雄英!!最高峰の人間に相応しい行動をとりましょう!!」
飯田のおかげで混乱していた場は大人しくなった、パイモン達も怪我がなく無事この場は治り、入りこんだマスコミは警察が到着すると大人しく撤退した。
そしてその後のHRでは、委員長だった緑谷が飯田のアレを見て委員長の座を譲り飯田が委員長となった。
この時、私たちは知る由もなかった、とてつもない悪意が渦巻いていることを...