踏み台悪役貴族に転生したので、最強になって壁になってやる!   作:カンさん

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第二話 ラストダンジョン【異界の箱庭】

 オレがヒュース・カルタルトになって5年が経った。

 最強になって主人公に相応しいライバルとなると決めたオレは、親父に頼み込んで魔法と剣の指南役を用意して貰った。

 流石は名門のカルタルト家というべきか、中央騎士団の団長と有名な冒険者である魔術師を呼んでくれて有意義な時間を過ごす事ができた。

 ヒュースの規格外の才能と相まってオレは僅か10歳にして、それぞれ騎士団なら精鋭部隊のエース級、冒険者ならA級並みと称される程に強くなった。

 

「でもなぁ」

 

 もう教える事は無い、というより勘弁してくださいと二人の指南役が帰って1週間。オレは満足していなかった。

 剣を振るえば岩どころか鉄すら両断し、基礎の4属性の魔法を並行して連続で発動させる事が可能だが……この領域は努力すれば誰かが辿り着ける場所だ。

 そんな普通の強さで、果たして主人公の最大の壁と言えるのだろうか? 

 答えは否。オレはまだ強くなれる筈だ。現に、指南たちが帰ってからも自主練を続けているのだが、毎日成長を感じている。微々たるものだが。

 

「あと5年しかないんだ」

 

 15歳になると学園に通う事になる。タイムリミットは近い。それまでに何処まで仕上げる事ができるのか……。

 はっきり言ってオレは焦っている。このままではダメだ!

 

「――覚悟は決まった」

 

 故にオレは決めた――己の命をベットにする事を。

 

 

 

 

「此処が【異界の箱庭】か……」

 

 ソーデスでは、実は序盤から主人公を最強にする方法がある。これは別に裏技でもチートではなく、ゲームのシステムを正規方法で使用したレベリングだ。

 その方法を使うには、ソーデスの主人公の特異性が必要不可欠である。

 

 ゲームではよくある話だが、戦闘に負ければ当然ゲームオーバーとなり、セーブポイントからやり直しになる。しかしソーデスは、他のゲームと違って経験値が入ったままやり直しになる。

 元々敵キャラが異様に強く勝てない事が多いゲームだった。その救済措置なのだろう。何度も戦い続ければ主人公を強くさせながら敵の攻略情報を得る事が可能だ。他のゲームではあまり見ない特徴なのではないだろうか?

 

 さて、この主人公の特異性を序盤から活かす方法だが……ソーデスでは、街の外に出てモンスターと戦いレベリングをする事ができる。

 ただまぁ……序盤だとモンスターのレベルは当然ながら低い。ストーリーが進んでいないと解放されるマップが狭いんだ。

 だからコツコツと1000体倒すくらいなら、序盤で突っかかって来るヒュースをギリギリまで痛めつけてわざと負けて、何度か戦う方が効率が良い。オレはヒュースに負ける度に聞かされる台詞でストレスが溜まるから嫌だが。

 

 しかし、実は初期マップの段階で、あり得ないくらいレベルの高いモンスターが居る場所がある。

 それが【異界の箱庭】という()()()()()()であるラストダンジョンだ。

 此処に出現するモンスターは全てレベルがカンストしており、正直ストーリーを進めてキャラの装備や強さを整えた状態でも攻略がキツいステージだ。やはりここも主人公の死に戻り前提で作られているようで、ネットでは製作者に対する誉め言葉(罵倒)で溢れ返っている。

 

 まぁ、ストーリー的にも設定的にも初期マップ……というより、首都の近くに存在する理由は納得できるのだが、それにしたってやりすぎである。

 

 さて、ここまで語れば分かると思うが、序盤で主人公を最強にできる理由こそがこのダンジョンでのレベリングだ。

 ソーデスでは、負けても経験値が入る。勝利時の10分の1と微々たるものだが、しかしそれがラストダンジョンとなると話は別だ。

 終盤のステージで得られる経験値の10分の1となると、初戦ヒュース5人分の経験値が得られる。これは美味しい。

 ここのモンスターになんとかギリギリ勝てるくらいにまでレベルを上げてからストーリーを進めるのが、いわゆる最強ルートだ。

 

「でも剣技や魔法を覚えずにレベルだけ上がるから、一長一短なんだよな」

 

 そうなると後になって高いゴールドを払って魔道書や奥義書を買う羽目になる。だから誰もがやる方法ではないのだ。

 

 だが、今のオレにとってこの場所は都合が良い。此処はゲームとは違うが、予め剣技と魔法をある程度覚えている。それにヒュースの才能なら独力で習得しそうだが。

 

 オレはこれから、主人公と同じ方法で強くなる。その為に準備をして此処に来た。

 

「ケヒャヒャヒャヒャ。待っていろよ主人公……!」

 

 オレは怪しげな雰囲気を漂わせるダンジョンへと身投げする。

 

 

 

 

 この世界はソーデスであるが、ゲームではない。経験値が溜まってレベルが上がる訳でもなく、魔法も剣技も努力して覚える必要がある。

 しかし同時にゲームみたいだな、と思う事もある。

 

 この世界は、モンスターや人を倒すと強くなれる。その理由は魔素。

 前世の日本と違ってこの世界の全ての生物の体内には個人差があれど魔素が存在する。この世界の生物はその魔素を使って魔法を使ったり、剣技を使ったり、さらには超人的な動きをしたりする。

 魔素が多ければ多い程生物として強く、そして最終的には自分に適した進化を遂げている。

 魔法が得意な人間が居たり、剣を使うのが上手な人間はそういう進化をしている、という訳だ。才能とも言う。

 

 モンスターにしたってそうだ。進化を繰り返して様々な能力、特徴、姿形を得ている。さらに常に生存闘争に身を置いているから、相手を倒して魔素を得て蓄積させて強くなる。

 同じモンスターでもレベル差があったり、地域によって強さが異なるのもこれが原因だろう。魔素を取り込める最大値が上がっているのだろうな。

 

 人を倒すより、モンスターを殺した方が魔素を得られる量が多いのはそう言う事だ。目に見えないが、傷口から血の様に魔素が吹き出し、それを取り込んでいるというのがオレの見解で恐らく正しい。これがゲームで言う経験値だろうな。

 

 そしてダンジョンのモンスターは、地上に居るモンスターよりも多くの魔素を得る事ができる。それはゲームでも同じだった。ダンジョンのモンスターを倒した方が経験値が多い。

 その原因は、ダンジョンのモンスターは魔素で作られた疑似生命だからだ。だから倒すと消え去り、地上のモンスターと違って素材が取れない。それは異界の箱庭も同様で、流石に武器の強化までは許されなかった。そう考えると割とバランス調整されてる? いや、無いな。

 

 つまり、異界の箱庭は強くなるのに最もうってつけの場所――なのだが。

 

「グルルルル……!」

「ハァハァ……やっぱり強ぇ~……」

 

 腰に付けた小袋(アイテムボックス)から取り出したポーションを体にぶっかけて、体力と魔力、そして食い千切られた右腕を生やしながら油断なくワーウルフ(白い体毛の5mの狼)を睨み付ける。

 一太刀だけ与える事ができたのが、それによって得られた魔素によってさっきの自分より5倍強くなった感覚を得た。やっぱりこの方法は正解だった。

 

 オレは主人公ではない。さらに言えば此処はゲームの世界ではない。当然痛みを感じるし、腕を食い千切られれば血は吹き出すし、死ねばセーブポイントに戻る事は出来ない。

 だがそれでも主人公と同じ方法で強くなれる方法はある。それがこの最高級のポーションだ。

 終盤になってショップのおじさんから買う事ができる最高の回復アイテム。状態異常を治し、体力と魔力を一瞬で全回復する事が可能だ。これを使ってラスボスにゾンビ戦法を取ったのは懐かしい思い出だ。

 

 親父に「パパ、おねがーい♡」とこの恵まれた容姿で頼み込めば、「お、おう」と息子を溺愛している彼は、カルタルト家の財力と名声を使って集めてくれた。なに引いとんねん。

 この腰に付けた小袋(アイテムボックス)も用意してくれた。合わせてどれくらいのゴールドが掛かったのかは……前世日本人の庶民のオレは聞く事ができなかった。

 でもまぁ、5年前から誕生日プレゼントを無しにして貰っておいて、今回一気に回収しただけだから許して欲しい。子どもの我儘を受け取れ!

 

 さて、残りのポーション(ライフ)は19個。即死だけに気を付けて、学園に通うまでには仕上げておきたい。此処のモンスターを倒せる様になれば十分だろう。というより、ヒュースの才能があってもそれが限界だ。

 

「行くぞ犬コロ!」

「ウォオオオオオン!!」

 

 再びオレ達の死闘が始まる。雄叫びを上げたワーウルフが牙を剥いて飛び掛かって来た。しかしその攻撃はさっき見た。

 

「うらぁ!」

「!?」

 

 ギャリンッ! と刃と激突し、火花が一瞬洞窟を照らした。

 その衝撃でワーウルフの攻撃の軌道が逸れて、相手の直撃を避ける。よし! パリィ成功! でも肩斬り裂かれて痛い! 血が吹き出してる!

 しかしポーションはまだ使うタイミングではない。痛みを無視し、剣を力強く握り締めて魔力を込める。

 

「ウインド・カッター!」

「ガルゥアア!!」

 

 無詠唱で放った風の初級魔法は、ワーウルフの咆哮で掻き消される。しかしそれで良い。狙いはダメージではなく、攻撃を防ぐモーションを取って貰う為だ。

 人間、モンスター関係なく技や魔法を使った後は隙を晒してしまう事がある。その時に攻撃を与えると、通常よりもダメージを与える事ができる。

 

「瞬迅剣!」

 

 剣に込めていた魔力が全身を駆け巡り、一瞬でワーウルフとの距離をゼロにする。そして強化された剣を振り抜き、ワーウルフの体を斬り裂き、そのまま駆け抜ける――が。

 

「っ――がはっ」

「グルルルル……!」

 

 裂傷により鮮血を舞わせたのはオレの方だった。すぐにポーションを取り出し頭から被って全回復する。すると痛みが消え去り、遠のきかけていた意識が戻って来た。

 やばい。今のは死ぬと思った……!

 クルリと反転し構える。やはり実力(レベル)の差が大きい。オレの攻撃が当たる瞬間に、ワーウルフは反撃モーションに入っていた。

 

 それでも、ダメージを与える事はできた。

 

「――ガッ!?」

 

 ブシュッとオレの一撃が走り、ワーウルフの白い体毛を少しだけ赤く染める。反撃モーションが見えた瞬間、負ける(死ぬ)と分かったから絶対にダメージを与える為にさらに深く踏み込んだのだが、どうやら成功だった様だ。

 経験値(魔素)がオレの体内に大量に入って来る感覚がする。今の攻防はさっきよりも内容が良かったみたいだ。

 

 それにしても、流石はラストダンジョンのモンスターだ。入口付近だから、このダンジョン内だと雑魚敵に分類されるだろうに……まるでボス級モンスターみたいな強さだ。

 

 あと白いワーウルフってのも珍しいな。ゲームだと黒だった筈なのに……。

 まぁ現実はこんなものか。こっちの世界ではこういう個体も居るって事だろう。

 

「――さぁ、まだまだ行くぞ! この犬コロ」

「――ワオォオオオオオン!!」

 

 

 

 

 半年後。

 

「よし、取ってこい! シロ助!」

「ワンワン!」

 

 オレはワーウルフとボールを投げて遊んでいた。馬鹿か? と言われたら馬鹿ですとしか言いようがない。

 いや、だって仕方ないじゃん……コイツ強すぎて入り口から全然進めないんだもん……。

 毎日通えば顔見知りになるし、ポーション無くなったら帰るオレを見てこれ以上危害を加えないと判断して見逃されたら……ねぇ? ちょっと流石に殺し辛いよね?

 そしていつの間にかこうして遊ぶ仲になってしまった。どうしてこうなった? いや、戦いはするよ? 肉体の欠損が起きない程度には手加減されているっぽいけど。

 

 でも助かっている所はある。流石に最高級ポーションを使い過ぎたせいか、オレを溺愛している親父も「いい加減にしろ! 殺すぞ貴様!?」と怒られてしまった。

 今は水魔法で治療できる範囲までボコボコにして貰っている。

 おかげで当初の予定通りに強くなることができた。ぶっちゃけ今の方が効率が良いかもしれない。主人公ノーデス縛りプレイだと、死ぬ前に戦闘離脱という方法もあるからね。そっちでも経験値が入るけどさらに微々たる物だ。

 

「ワン」

「あん? どうした」

 

 剣を構えるオレだったが、何故かシロ助は一鳴きして背中を見せて歩き出す。

 どうしたんだ一体? そう思って眺めていると立ち止まって振り返ってこちらをジッと見つめて来る。……着いて来いって事か?

 オレは周囲の警戒をしながらシロ助に着いて行く。道中他のモンスターに襲われても対処できる様に。

 

 しかしどういう訳かモンスターが現れる事無く、ラストダンジョンの最深部に辿り着いてしまった。うーん。このダンジョンってゲームではモンスターの遭遇率が低いとか、そういうのは無かった筈だが……この辺はゲームとの違いか?

 それにしても……。

 

「此処が決戦の地か」

 

 広い空間に広がる禍々しい神殿に、入り口中央前にある祭壇。まるで生贄を待っているかの様だ。……実際その通りなんだけどね。

 しかし……流石に心にグッとくるな。ゲームのラストで見られる光景をこうして生で見られるだなんて。聖地巡礼って奴だ。やば、ちょっと涙が出そう。

 

「それで、シロ助? オレを此処に連れて来た理由は……あれ?」

 

 ふと気が付くとシロ助が居なくなっていた。どこ行ったんだアイツは。

 キョロキョロと周りを見渡してもあの白いモフモフは見当たらない。薄暗い洞窟の中でもアイツの白さは見つけやすいんだが。ほんのりと光っていたし。

 

「うーん……まぁいいか」

 

 モンスターってのは気まぐれだしな。そのうちひょっこり現れるだろう。

 それよりも折角ここまで来れたのだから、決戦の地を見学して回ろう。

 

「おお……これがあの祭壇か」

『――ついに来たか。我らが使い手が』

 

 魔王を生贄に厄災が復活するヤバイ観光スポットを見ていると、突如脳内に男の声が響く。

 なんだ? 異界の神か? いや待て、この状況何処かで見た事がある。

 

『此方に来たれ。我が使い手よ』

『汝の欲望を解き放て』

『汝の願いを解き放て』

『さすれば究極の力を授けよう』

「うわ、うるさっ」

『うるさ!? ……ごほんっ。こちらだ、ヒュース・カルタルト』

『……貴方には我らの力が必要の筈』

 

 男の声だけではなく、女性の声も響いて頭の中が変な感じだ。

 何も知らない人間なら自分がおかしくなったのではないか、と発狂するかもしれない。でもオレ前世で似た事あったんだよな。家に帰って休んでいたら上司の粘着質な言葉が響いたり。割と頻度はあった気がする。

 

『……えぇ』

『大丈夫なのか?』

 

 なんか脳内の声がドン引きしている気がする。何なら心配されちゃったよ。

 というか心の声を聞くんじゃないよ。プライバシーの侵害だぜ?

 とにかくオレは声がする方向へと歩き出す。出所は神殿の中だな。ゲームでは背景としてしか映らず、最終決戦が終わると同時に崩壊していたからオレも詳しくない。設定集にも詳細は書かれていなかったし。

 

 しばらく進むと、まるで玉座の間みたいな場所に辿り着いた。

 そして部屋の奥には二つの台座があり、そこには……。

 

「あれは……」

 

 ()()を見た瞬間、オレは大いに混乱した。

 何故あの剣たちがこんな所に? いや、あり得ない。

 よく見てみようと台座に駆け寄り、突き刺さっている二つの剣をしっかりと見てみる。

 ……色はそれぞれ違うけど、やっぱりこの形状、デザイン……間違いない。

 

 これは、聖剣と魔剣だ。

 

 だが、それはあり得ない。だって全ての聖剣と魔剣はこの時期には既に所有者が決まり、地上に現れている。

 それに目の前にある聖剣と魔剣をオレは知らない。類似している物は知っているが……何なんだこれは。

 

()()とは随分な言い様だな小僧』

「……また、頭の中で声が」

『貴方も理解している筈よ。自分が選ばれた人間である事が』

 

 ――そう、だな。この状況はもはや言い逃れできない。

 思えばオレの中にあるゲームの知識との隔離は、これまでにも何度かあった。致命的ではなかったし、現実に照らし合わせた結果の変化だと飲み込んで誤差だと思っていた。

 

 だからこそ、目の前にある聖剣と魔剣の存在を認められない……いや、認めたくないと思ってしまっている。

 だが、オレが知っている知識はこの世界からすれば上っ面だけのごく一部なのかもしれない。知らない事の方が多いのだろう。

 

『ヒュース・カルタルト。汝に問う』

 

 無骨な男の声が脳内に響く。

 

『汝の欲望はなんだ。我が魔の刃で全てを手に入れる力を授けよう』

 

 その言葉は、原作で魔剣を手に入れたキャラ達が……ボスである魔王が紡がれた呪いだった。

 

『ヒュース・カルタルト。汝に問う』

 

 こちらを落ち着かせる女性の声が脳内に響く。

 

『汝の願いを聞きましょう。我が聖なる剣で全てを叶える力を授けましょう』

 

 その言葉は、原作で聖剣に選ばれたキャラ達が……主人公である勇者が紡がれた祝福だった。

 

『汝は既に理解している』

『汝は既に受け入れている』

『さぁ、手に取れ。世界を変える煌めきを』

『さぁ手に取ってください。世界を救う輝きを』

 

 どうしてこうなったんだ――そう思いながらも、オレは無意識に手に取ってしまった二つの剣を。聖剣を。魔剣を。

 

 本来なら、主人公とボスたちが出会う筈だった力の根源に。

 

『今ここに契約は結ばれた』

『その命尽きるまで、我らは一心同体』

 

 呆然と見つめていると、聖剣と魔剣と契約を結んだ事により思考がクリアになっていき――ふと気が付いた。

 

『我は闇の魔剣のアランだ。せいぜい長生きをしろよ小僧』

『私は光の聖剣のテレシア。ふふふ。よろしくねマスター』

 

 彼らの名乗りを聞いて、今湧いた疑念は確信に変わった。

 

『と言っても、汝はどうやら我らの事を知っているようだがな』

『ええ、そうね。聖剣と魔剣を見ても動じなかったし、この知識……もしかしたらこの子なら』

『ふん。この神殿奥深く居ても尚感じた魔力は伊達ではない、という事か』

『そして迷いなくこの場に来た、と。ヒュース・カルタルト。私、貴方の事すごく興味があるわ』

 

 脳内で男女の声が騒がしく話し続けて来る。ああ、確か原作でもこういう事があったらしいな。聖剣と魔剣にはそれぞれ1000年前の人間の人格が投影されていて、持ち主を補助する役割がある。

 原作主人公の持つ聖剣は勇者の人格が投影されていて、クソ真面目な性格でいつも主人公を叱咤していたっけ。そのやり取りもまたオレは好きだったんだけど。

 

 ――で、さぁ。

 

「お前たちに聞きたい事がある」

『む。なんだ小僧』

『何でも聞きなさい』

 

 

 

 

「おたくら、誰?」

『あれだけ意味深な思考しておいて、我らの事知らないのか!?!?』

『私たちの事知っている風じゃなかった!?!?』

 

 いや、ビックリしているけどオレだってビックリしてんだよ!

 だって――光の聖剣と闇の魔剣なんてもの、原作には無かったんだから。

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