銀河英雄提督とソレスタルビーイング2199   作:不知火勇翔

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第2話

 

 ソレスタルビーイングが武力介入を始めてから3か月が経った。

 

 現状どの国家群もソレスタルビーイングには手も足も出ない状況が続いており、各国首脳の前髪が一斉に5cm後退し、かなりの紛争地域において戦争の自粛に向けた動きが始まっており、ソレスタルビーイングによる武力介入はかなりの進展を見せいていた。

 

 そんな時、火星の探査に赴いていた人革連の無人探査機が謎の船影を撮影した。

 

「少尉。君の意見が聞きたい。これは何だと思うかね?」

 

 ロシアの荒熊ことセルゲイ・スミルノフは、提出された報告書を傍に控えていた強化人間ソーマ・ピーリスに見せた。その報告書には地球にもソレスタルビーイングにも無いタイプの船影が無数に映し出されていた。

 

 そして写真に映し出されている船影はどれも宇宙戦を意識した砲門や流線的なデザインをしていて、一部は明らかに戦闘に必要の無い金色や銀色などの荘厳な装飾がされており、また荘厳な船を守るようにして数百隻の船が戦術的な陣形を組んでいた。

 

「ソレスタルビーイング、なのでしょうか。それにしては軍事的すぎるように思えますが・・・・」

 

 ソレスタルビーイングは軍縮を目指して行動している。しかしこんな大艦隊を使って武力で地球を押さえつけようというのは流石に荒唐無稽で、裏切りや混乱もあれば鹵獲の可能性も上がるため「ガンダム数機による圧倒的な武力介入」とは真逆の行いと言わざるを得ない。現状ですらガンダム数機に現状各国が手も足も出ない状況なので、今の段階での大艦隊の投入は明らかに過剰戦力である。

 

 つまり考え出される可能性としては。

 

「中佐」

 

「あぁ。もし、もし本当にそうなのだとしたら、地球人類は決断を迫られる時が近いということなのだろうな」

 

 もっとSF小説を読んでおくべきだったか。その一言を聞いた少尉の読書量が増えたとか増えなかったとか。

 

 

 

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「というワケで、私達は敵性宇宙人に対して交渉の後、必要とあれば武力介入を行います」

 

 戦術予報士スメラギの一言に、緑色のガンダムマイスター『ロックオン・ストラトス』は肩をすくめた。

 

「まさか戦争を根絶する前に宇宙人と戦うことになるとはな」

 

「仕方ないわよ。流石にヴェーダも、何の情報も無い太陽系の外から来た宇宙人の動向なんて予想できないわ」

 

「ビンボークジ!ビンボークジ!」

 

「そうね。かなりの貧乏くじね」

 

「スメラギ・李・ノリエガ。作戦はあるのか?」

 

 『刹那・F・セイエイ』(青色のガンダムマイスター)が聞くと、スメラギは申し訳なさそうな顔で笑った。

 

「ハッキリ言ってしまえば一切無いわ。相手は全く情報も無い宇宙人で武装も人数も分からない以上作戦らしいものは立てられない、というか立てる方が危ういの。だから私からガンダムマイスターに言えることは1つだけ。とにかく、生きることに注力して」

 

「生きる、ですか?」

 

 今度は『アレルヤ・ハプティズム』(オレンジ色のガンダムマイスター)が口を開いた。

 

「そうよ。この戦いでは必ず、第一次世界大戦以上の新兵器のオンパレードになるわ。お互いにね。数秒ごとに戦況移り変わるなんてことも当然のようにあると思う。だからこそ、生きることに注力するの。生きて動けていれば打開策を打てるし、ある程度ならどうとでもなるわ」

 

「成る程・・・・・」

 

「ガンダムマイスターは通信の前に出撃を終わらせて。そして敵艦隊が通信可能領域まで来たらトレミーから通信を送る。反応が無い、もしくは反応があっても前進を始めた場合は私の指示で攻撃を開始。無理そうならすぐに全力で逃げる。良いわね?」

 

「「「了解!!!」」」

 

 

 

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 そして決戦当日。通信からの返答は無かった。

 

「攻撃開始」

 

 スメラギさんの一言で、遂に攻撃が始まった。

 

「エクシア、目標を駆逐する」

 

「デュナメス、狙い撃つぜ!」

 

「キュリオス、作戦行動に入る」

 

「・・・・ヴーチェ、目標を破壊する」

 

 ガンダム4機が、視界一杯に展開する敵艦隊に正面から突っ込んだ。すると間髪入れず敵艦隊からビーム兵器による迎撃が始まった。MSの展開は無し。代わりにUの形をした変な艦載機がワラワラと出てきた。

 

「・・・・・アレがあっち側の艦載機なんすかね?」

 

 分かり切ったことだが一応確認として。

 

 配信しか仕事が無い俺ことビーム・マグナムは、隣に座って戦況を見ていたイアンさんに話しかけた。するとイアンさんは興味深そうに画面に噛り付きながら返答してきた。

 

「らしいな。動きを見るに、Uの先端にブースターが付いていて、Uの腕を360°回しながら変速機動するタイプのようだが」

 

「あ、エクシアが斬ったっすね。一撃みたいです」

 

 映像では敵の艦載機をエクシアが斬ると、一応装甲は常識の範疇なのかアッサリと両断され宇宙の藻屑となった。続くロックオンの砲撃も艦載機を一撃で爆散させた。

 

「どうやらあらゆる武装が効かない無敵装甲の敵ではないらしい」

 

「ただ敵がガッツリ戦争を知る生命体なことも分かったっすね。あー嫌だ嫌だ」

 

「そうだな。敵の現有戦力がどれくらいかによって変わるが、まぁ良い未来ではないだろうな」

 

「お、エクシアが母艦に突っ込みますよ」

 

 エクシアはガンダム3機の援護で勢いそのままに敵艦隊の内側に突入すると、手近な船をGNソード(実体剣)で斬り付けた。するとさっきの艦載機と同様に、アッサリと船は両断され爆発した。これで一応ガンダムでは敵の船と艦載機に武器が通用するという確証がとれた。

 

「どうやら敵艦は艦首にバリアを張れるらしいが、張れるのは前方だけのようだな」

 

 機関長の言葉で俺も映像を注視すると、確かに映像では所々でガンダムの攻撃を敵艦の艦首が弾いている場面が見受けられた。

 

「今は大丈夫っすけど、次そのバリアでガンダムを囲われたらマズイっすね」

 

「あぁ。検討しておかないとな」

 

 それから数十分。どうやら敵は、艦の数は多いもののMSによる戦闘は全くの初めてらしく、何の面白みも無くガンダムの蹂躙は続いた。

 

「もう良いわ。一旦退いて」

 

 ソレスタルビーイングは虐殺するために生まれた組織ではないためスメラギさんが撤退の指示を出しガンダムが撤退すると、敵艦隊は沈黙したまま艦首を太陽系の外に向けて一斉に撤退を開始した。これにて地球外生命体とのファーストコンタクトは終了したワケだが、どうにも腑に落ちない結末となった感じは否めなかった。

 

 

 

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 その日の夜。配信室。

 

「はい。今日の配信では地球外生命体とソレスタルビーイングが戦闘を行った場面の映像を見ながら解説していきたいと思います。まずは映像をご覧ください」

 

 フェルトがスイッチを押すと、俺とフェルトが座る椅子の後ろに設置されたプロジェクターに戦闘時の映像が映し出された。

 

「高解像度版は後日ちゃんと配布するので今日はこの映像で勘弁してください。ではフェルトちゃん。経緯の解説をお願いします」

 

「はい。まず私達ソレスタルビーイングは武力による戦争の根絶を目的とした私設武装組織であり、このトレミーとガンダム4機以外の戦力は有していないことを先に名言しておきます。では最近噂になっている人革連の無人機が撮影した艦影に関してですが、あれは確実にソレスタルビーイングではありませんでした。なので考える可能性として、木製の探査船に乗っていた乗員の子孫ではないかということについてですが、私達が同じ言語同じ基礎を持つ機械媒体を使用していることを鑑み、戦闘の直前に通信を送りました。相手側もこちら側もGN粒子を散布していなかったため確実に通信は相手側に伝わったハズです。しかし、返答はありませんでした。なのでソレスタルビーイングは軌道エレベーターやその他の地球にとって根幹となるものを守るため武力介入を行いました」

 

 性急すぎたのではないか?と荒熊からコメントが送られてきたが無視する。それに関しての判断を下すのはまだ早い気がする。いざとなったら、ソレスタルビーイングはテロ組織であり我々とは無関係ですーで乗り切ってクレメンス。

 

「続きの説明は俺から。では武力介入の映像をご覧ください」

 

 ガタッと乙女座の変態が椅子から立ち上がった気がしたが気のせいだろう。多分。

 

「ご覧の通り、敵はMSを一切出してきませんでした。防御面に関しても艦首前方に小さいバリアを張る程度で、明らかに物量戦に特化したような設計の船ばかりでした。あとフラッグシップらしき船が少しいましたが、それらも他の艦と同じく何もできずガンダムに蹂躙されるだけでした」

 

 敵艦隊の映像が出た瞬間、コメント欄が氾濫した。地球外生命体に興奮する者、カルト的な発言をする者など様々いたが、中には危険性についてのコメントもあったので一応拾うことにした。

 

「はい。コメントの通り、これが斥候で、本隊が数億いるとなると当然話は変わってきます。ガンダムは4機で艦載機も弱いとは言ったって1機ずつ狙わないと倒せないワケですから、物量戦に持ち込まれれば相手側の持久力にもよりますが厳しい戦いになると思われます。というか相手はちゃんと引き際を考えて突貫しませんでしたからね。多分考える能力はあるのだと思いますし物量で押すやり方には心得があるのでしょうし、こんな辺境?の星にまで遠征に来る経済的な余裕もあると考えられます。テラフォーミング船じゃないのならの話ですが」

 

 俺がそう言うと途端にコメントが静かになった。

 

「なのでソレスタルビーイング側は今から、条件はありますが軍事力拡大についての武力介入を控えることといたします。これはソレスタルビーイングの総意だと考えてください。では、今日の配信はこれで終了いたします。本日もありがとうございました」

 

「ありがとうございました」

 

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