ラインハルトが幼帝エルフィン・ヨーゼフを擁立し銀河帝国の全てを掌握して数日。帝国臣民が新時代の到来に歓喜していた矢先に、二つの凶報がもたらされた。
「バカな!?第一第二太陽系の前線基地が全て破壊されただと!?!?」
それは銀河の全てを手に入れるつもりだったラインハルトにとって何よりの凶報だった。これで少なくとも前線基地を再建するための時間が必要となる上に、前線基地を破壊し得る程の戦力が二つの地球にはあったということが証明されたのである。こんなに悲しいことはない。
「落ち着いてください陛下。こうなった以上、全面戦争は避けられません。総指揮を執る貴方様がそのような姿では兵の士気に関わります」
「・・・・・あぁ、そうだな」
椅子に座り直したラインハルトは、勤めて冷静に問いただした。
「それで、敵の戦力についての情報は今のところどれほど集まっているのだ?」
「一方は凄く強い戦艦と4機の人型ロボット、それを格納する固いだけの反撃しない母艦。もう一方は凄く強く固く、惑星を破壊し得る超長射程のビームを撃つこと。それだけです」
「何だと!?!?!?」
「陛下。落ち着いてください」
「あ。あぁ。そうだな」
再び座り直すラインハルト。内心では大慌てであったが、それを一瞬で消し去る一連の流れは流石に時期銀河帝国皇帝であった。
「とにかく何も分からないことだけは分かった。ではオーベルシュタインよ、卿ならこの後どうする?」
「当然、全面戦争の準備をするべきでしょう。彼らが黙って太陽系を出てきたところを見るに、交戦の意志は固いと思われます」
「それはそうなのであろうな。ならば和平については可能だと思うか?」
「それについては、実際に話をするまで誰も分からないことだと思います」
「・・・・・・・・そうか」
「ただ一つ言えることは、少なくともビームを撃つ方の船を輩出した星は遊星爆弾についてのことで『かなり』揉めるでしょうな」
「・・・・・・・・・・・」
紅茶のカップを持つ手が震えてきたラインハルトであった。
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銀河帝国と自由惑星同盟。2つの勢力を繋ぐ2つの回廊の内の1つ、イゼルローン回廊。その中にあるイゼルローン要塞の一室にて。
ヤマトの艦長と服に矢印の入った青年と、そして青い制服を纏った男女2人が膝を突き合わせていた。
「・・・・ヤマトのこと、地球のこと、帝国軍のこと。大変良く分かりました。私共としてもアナタ方の援助はさせていただきたいと考えています」
「で、では!」
「ですが、その前に1つお伺いしたいことがあります」
イゼルローン要塞の司令官にして魔術師の異名を持つ稀代の天才『ヤン・ウェンリー』の隣に座っていた妙齢の女性『フレデリカ・グリーンヒル』が、テーブルを挟んで反対側に座るお爺さんに端末を差し出した。お爺さんと青年がその端末の画面を覗き込むとそこには宇宙戦艦ヤマトと瓜二つな戦艦が映し出されており、どうやら建造物の上空を浮遊しながら何かを威嚇しているようだった。
「これは昨日。我々自由惑星同盟の首都星『ハイネセン』に突如として出現し要求を突き付けてきた何とも痛快で愉快、ゴホン。失礼。不逞の輩共の船です」
・・・・ん?とヤマトのクルーは首を傾げたが誰も何も言わなかった。
「やっこさんはどんな手段を使ったのか、自由惑星同盟の首脳陣やトリューニヒト本人と『地球教』なる宗教組織の癒着、幼帝を引き入れた経緯についてツマビラカに公表して現在同盟はてんやわんやの状態です。
また彼らは自分達のことをテロリストと呼んでいてですね、しかも我々の知らない第3の地球からやって来たという話なのですが・・・・アナタ方の船に非常に似ていると思いましてね」
「確かに、似てはいますな」
ヤンの質問に、ヤマト艦長『沖田十三』は首肯した。そして難しい顔をしながら、宇宙を眺めながら語り始めた。
「波動エンジン(ヤマトの動力源)がイスカンダルから届けられた時、もう1つの波動エンジンを我々の地球と同じような星に託したという話がありました。恐らくその『もう1つの波動エンジン』を使って、同じような経緯で建造された宇宙戦艦なのでしょう。ハッキリ言わせてもらうと、我々とは無関係ですな」
「・・・・成る程。イスカンダルが波動エンジンを託した、もう1つの地球ですか」
「些か荒唐無稽な話ではあります。信じろと言う方が無理なのかもしれませんが・・・・」
「いいえ信じますよ。少なくとも私は、アナタ方のことが信用できると考えていますから」
ヤンは真っ直ぐに沖田十三の眼を見て、そして苦笑した。
「なにせ宇宙人、スーパーロボットに続いてソレスタルビーイングなどという私設武装組織まで出てきましたからね。流石に私の裁量で決められる所は決めないと話が進みませんよ」
少し間を置き、ヤンもまた大きな流れに向かって歩みを進め始めた。
「では行きましょうか。ハイネセンへ」
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ハイネセンで起こった大規模な通信障害が唐突に消えた直後、ハイネセンのあらゆるディスプレイに少年と少女のツーショットが映し出された。
「えー、はい。はじめまして、自由惑星同盟の方々。俺は第3の地球から来ました私設武装組織ソレスタルビーイングのビーム・マグナムです。そんでコッチが」
「フェルト・グレイスです」
「はい。では今日はソレスタルビーイングについてのご紹介をしたいのですが、その前に。自由惑星同盟に対してソレスタルビーイングからの要求を伝えたいと思います」
「ソレスタルビーイングは戦争を武力によって根絶することを目指す組織であり、武力介入の対象には戦争を助長する組織が含まれています。そしてコレが、私達が入手した情報です」
画面に映し出されたのはトリューニヒトとその取り巻き、そしてフェザーンやルビンスキーの黒い部分、そして地球教との関わりについてだった。これには同盟市民も驚愕し捏造を疑ったが、ネット上に情報が投下される度にその声は小さくなっていった。
「資料で分かる通り幼帝の件は完全に悪意が絡んだ結果生まれた事件です。そのためソレスタルビーイングは自由惑星同盟に対して幼帝の引き渡しを要求します」