マイマイダンジョン〜転生して魔力極振りチート魔導士になった俺は現代知識で世界を救う〜   作:我島甲太郎

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第153話 砂漠の夜の……

 小一時間ほどで楽しい酒宴が終わると、俺達はアデニウムが作ったという広い浴場で身を清めてから客室で休ませて貰うことになった。

 

 昼とは打って変わって、肌寒い夜だ。

 

 俺は木の寝台でぐーすか寝息を立てているミュールを横目に、窓際の壁に背を預けて座り込み、青白い月明かりを照明代わりにして日課のハムマンフィギュア作りに打ち込んでいた。

 

 最近は奇をてらって奇抜なデザインのハムカーばかりを作っていたが、たまにはこうして初心に帰って普通のハムマンフィギュアを作るのも悪くはないだろう。

 

 この街で見掛けたデザートハムマンを模したハムマンフィギュアを満足するまで作った俺は、ハムマンフィギュアをすべて寝台の下に隠して立ち上がった。

 

 ちょっとした悪戯心(いたずらごころ)だ。

 俺はこの街で新たなハムマン職人が現れるのを期待している。

 これだけ作れば、流石に全部捨てられはしないだろう。

 

「ハルト、もうええのか?」

 

 ダブルサイズの寝台で横になりながら俺を待っていたアンバーが尋ねてきた。

 

「うん。ごめんね、待たせちゃって」

「なに、いつものことじゃ。気にせんでええ」

 

 外から月明かりを取り込んでいた木窓を閉めた俺は、アンバーの隣に横になってぶ厚い毛布を被った。

 枕元の机に置いた魔道ランタンを消せば、部屋の中は真っ暗になる。

 

「おやすみ、アンバー」

「おやすみなのじゃ」

 

 アンバーと手を繋いで目を閉じると、すぐに睡魔は襲ってきた。

 

 

 シンと静まり返った真夜中、ペタリペタリとその足音は近付いてきた。

 ギィ……と(かす)かな音を立てて扉が開くと、客室に長い影が落ちる。

 その影はゆっくりと寝台に近付いていくと、寝台に眠る二人に手を伸ばし――

 

「何者じゃ」

 

 —―その腕は小さな手に掴まれた。

 

「……っ!」

 

 パッと魔道ランタンの明かりが灯って部屋の中を照らすと、侵入者の正体が(あら)わになった。

 

「こんな夜更(よふ)けに何用ですか、シルキーさん?」

 

 アンバーに細腕を掴まれていたのは、肌が透けて見えるような薄いネグリジェを着たシルキーだった。

 

 ツンとした二つの盛り上がりを見るに、どうも下着を身に付けていないようだ。

 今まさに夜這(よば)いにきましたと言わんがばかりの扇情的(せんじょうてき)な格好である。

 

「ハルト先生のお情けを頂こうと……お、お父様の許可は得ています……」

 

 やっぱりかよ。

 まあ、理由は分からんでもない。

 

 俺は砂漠の民では有り得ないレベルの魔力と医療スキルを持っているからな。

 それを知った以上、娘を使ってでも取り込みに動くのは当然だ。

 何だったら、過去の成功例(アデニウムの件)もあるわけだし。

 

「いくら色仕掛けをされようと、この街に残るわけにはいかんのじゃ。わしらにはムーンサイドでやらねばならぬ仕事があるからのう」

 

 そう言ってアンバーは掴んでいたシルキーの腕を放した。

 

「そうにゃ、あちしらは急いで西に向かう必要があるんだにゃ」

 

 隣の寝台で横向きに寝転んでいるミュールはポリポリとお尻を()きながらアンバーの意見に賛同した。

 優秀な斥候がいると不測の事態に対応できていいよね。

 

「悪いけど、今回は諦めてくれないか」

「やはり、私にはお二人のような魅力がないのでしょうか……」

 

 寝台に腰掛けたシルキーはしょんぼりとした。

 別にそんなことはないのだが、俺を魅了するにはおっぱいが足りんな。

 できればもう一回りは欲しいところだ。

 

 おや、よく見るとシルキーの手には小さな香水の瓶のようなものが握られている。

 

「シルキー、その瓶は?」

「アデニウムに貰ったエルフの秘薬です。これを飲んで(しとね)を共にすると子宝に恵まれると、そう聞いています……」

 

 ああ、アルメリアさんが言っていたアレか。

 聞いた話によると結構貴重なものらしいが、アデニウムはどうやってこれを手に入れたのだろうか。

 

 家出した後に連絡を取ったらバードマン郵便で送られてきたとか?

 お節介を焼くのが大好きなアルメリアさんならあり得そうな話だ。

 

「ふむ、なるほどのう……」

「アンバー、これ本物?」

 

 確かアンバーはアルメリアさんから1本だけ貰っていたはずだ。

 アンバーはポーチをガサゴソして取り出した小瓶と見比べた。

 

「本物じゃな。このエルフの秘薬を飲んで(まじ)われば老若男女(ろうにゃくなんにょ)に関わらず、たちまち健康な女児を(はら)むという……」

「怖っ……」

 

 女児に限定されている辺り、フェニキスみたいな人種の絶滅を避ける為に開発されたのだろうが……。

 

 俺は老若男女(ろうにゃくなんにょ)というパワーワードに心の底から恐怖を感じていた。

 この危険物が一般に普及してなくて本当によかった。

 

「この機会を逃してしまえば、私は外の街へ(とつ)がなければならなくなるのです。一晩だけでも……どうか、お願いします……」

「そんなこと言われてもなぁ……」

 

 うるうると涙ぐむシルキーに上目遣いで懇願(こんがん)されて困った俺はアンバーの顔色を(うかが)うことにした。

 

「アンバーはどう思う?」

 

 エクレアの時と同様に、俺の貞操に関するあらゆる決定権はアンバーにあるのだ。

 

「むぅ……」

 

 おっと、アンバーはシルキーの泣き落とし攻撃に引かれて悩んでいる……!

 もしかして、もしかするのか……?

 

 俺達がゴクリと生唾(なまつば)を飲んで状況を見守っていると、アンバーは悩んだ末に首を横にぶんぶんと振った。

 

「アウトにゃ!」

 

 ミュールが腕でバツ印を作ると、ぎゅっと目を閉じたシルキーは小瓶の蓋を開けて中身を一息に飲み干した。

 

「なんと勿体(もったい)ないことをするのじゃ……!」

 

 カッと目を見開いたシルキーは驚愕(きょうがく)するアンバーをじーっと見つめた。

 

「もう後には引けません……!」

 

 ここにきて起死回生の勿体(もったい)ない攻撃が繰り出された。

 これを受けてアンバーはまた悩み始めたが、悩んだ末に……首を縦に振った。

 

「仕方がないのう、1回だけじゃぞ」

「本当ですか……?」

「うむ。ハルトよ、このわがままな耳年増(みみどしま)に身の程を思い知らせてやるがよい。それもスペシャルな方法でのう」

「みっ……」

 

 なるほど、言い得て妙だな。

 シルキーは18年の地下暮らしの間にスキルの力で超絶耳がよくなったらしい。

 男女の(むつ)み合いなど、それはもう聞き放題だっただろう。

 

「俺は別に構わないけど、その間アンバー達はどうするのさ」

 

 ぶっちゃけ昼間の施術で疲れてるからヤるならヤるでさっさと済ませて寝たいんだけど、アンバーからのオーダーは数時間に及ぶ房中術スキルのフルコースだ。

 これさ、男の方は疲れるだけで全然楽しくないんだよなぁ。

 

「わしらはここで見ておる」

 

 しかも本妻からの監視付きである。

 この時点で一晩のアバンチュールはただの苦行に変わっていた。

 

「アンバーはともかくとして、ミュールには見られたくないんだけど……」

「あちしもたまには予習したい気分なのにゃ」

 

 そんな気分があってたまるか。

 

「なに、二人も三人も変わらぬじゃろう」

「……三人?」

 

 ミュールがちょいちょいと締め切られた木窓の方を指差すと、ギギィ……と音を立ててゆっくり開いた窓の向こう側からアデニウムの顔が覗いた。

 ホラー映画の演出かな?

 

「私のことはお気になさらず、どうぞ続けてください」

「アデニウムよ、防音結界を頼めるか」

「それならもう張ってありますよ」

「仕事が早いのう。ならばハルトよ、始めてよいぞ」

「ちょっと待って、心の準備が」

「何を初心(うぶ)な乙女のようなことを言っておるのじゃ。(はよ)うせんか」

 

 アンバーに急かされた俺は仕方なく寝台にシルキーを押し倒した。

 

「じゃあ、ヤるぞ……」

「よ、よろしくお願いします。ハルト先生……」

 

 これから始まる公開種付けプレイへの期待と不安でシルキーは酷く緊張しているようだけど、そんなに心配する必要はないと思う。

 どうせすぐに何もかもがどうでもよくなるからだ。

 

 俺は魔力を込めた右手をシルキーのネグリジェの下にスッと潜り込ませると、一発撮りに挑むAV男優のように心を無にして奉仕作業へと移ったのだった。

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