マイマイダンジョン〜転生して魔力極振りチート魔導士になった俺は現代知識で世界を救う〜   作:我島甲太郎

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第175話 天使のミルク

 漂流生活15日目

 

 今日も今日とて、俺はハムカー号のキッチンで夕食の支度をしていた。

 

「はい、今日の食材はこちら! 採れたて新鮮な天使のミルクでございます!」

 

 俺が持ち上げたのはガロンサイズのガラス瓶に詰まった乳白色の液体。

 フルーツ食に飽きてきたアンバー達へ新たな味覚のプレゼントだ。

 

 俺もここに到達するまでに色々と頑張った。

 焼きリンゴ(今はこれがメイン)を作ったり、醸造スキルで果実酒を造ったり、ワインビネガーを使ってブドウの新芽やリンゴのピクルスを漬けたり。

 

 テバールで貰ったルメー芋を全部焼き芋に変えてしまっていたのは一生の不覚だった。

 炭水化物さえあれば俺だってもうちょっとやりようはあったのにな。

 残念ながら手元にあるのはフルーツと数の限られたエナジーバーだけだ。

 

 そんな時に「甘いのもいいがのう、そろそろしょっぱいものが食べたいのじゃ」というアンバーの要望を受けた俺はユニエルにお願いして搾乳させて貰うことにした。

 極めた医療スキルでホルモン値を自由に操作できる天使だからこそできる芸当だ。

 

 グレゴリーホテルでアザゼルとした授乳プレイ(有料オプション)がなかったら俺は天使のミルクの美味しさに気付いていなかっただろう。

 

「ハルトもよくやるにゃ。変なことをさせたら右に出る者はいないみたいだにゃ」

「念の為に言っておくがのう、これ以上はいかんぞ?」

 

 料理番組のノリでテンション高めに料理を始めた俺に、リビングの食卓で暇そうにアモロ将棋をしていたアンバーとミュールがそんな感じのコメントをした。

 

「文句を言うなら食わせてやらないからな」

 

 誰の為に種から果樹を育ててまで食糧を調達していると思っているんだ。

 俺は世界樹に到着するまでこの先ずっと(かすみ)を食う生活をしても一向に構わないんだぞ。

 

「食材の出所(でどころ)は見なかったことにするにゃ」

「……分かっておるわい」

「ならよし」

 

 俺は銅鍋で温めたミルクとリンゴ酢を混ぜてカッテージチーズを作った。

 錬金術スキルで生成した魔力たっぷりのナトリウム+11(特に意味はない)で味付けして、刻んだリンゴとミカン、ブドウの新芽を混ぜたらチーズサラダの完成だ。

 

 後は定番の焼きリンゴと、不足する栄養素の補給にエナジーバーをひと欠片。

 食卓にワイングラスと果実酒の瓶も並べて、ご機嫌な夕食の始まりだ。

 

 

 漂流生活21日目

 

 俺は次元潜航船ハムカー号の機関室の片隅に換気扇と燻製(くんせい)機を設置した。

 天使のミルクの調理もだいぶこなれてきたので新たな挑戦を行うことにしたのだ。

 

 網に自家製チーズとスライスしたリンゴを並べて、燻製(くんせい)機の底に入れたリンゴの木を砕いたチップに火を点ける。

 後は火の番をしながら待っているだけでお酒のアテがたっぷりできるだろう。

 

 プロペラに動力を供給する魔道エンジンが低い(うな)り声を上げる機関室で壁際に座り込んだ俺が料理本を片手に暇を潰していると、ちょいちょいと肩をつつかれた。

 

「ん?」

 

 顔を向けると、そこにいたのはいつもの忍者装束を着ているミュールだった。

 ユニエルの重力操作スキルのおかげで自由に洗濯ができるようになったことで、俺達の水着生活はとっくに終わりを告げていたのである。

 

「ハルト、またお願いできるかにゃ?」

「またかよ……俺だって暇じゃないんだ。たまには自分で処理しろよ」

 

 俺はポーチから取り出した電マみたいな魔道具をミュールの頬にぐりぐりと押し付けた。

 

「嫌にゃ。あちしはもうハルトのマッサージじゃなきゃ満足できない身体になっちゃったのにゃ!」

 

 5日前から獣人種特有の発情期が始まったミュールは、アンバーに直談判したことがきっかけで俺のハーレム入りに成功していた。

 

 アンバー、ミュールに「2人だけ楽しんでずるいにゃ」とか言われたくらいで簡単に折れちゃったんだよな。

 フットインザドアというやつだろうか、シルキー事件で一線を越えた感じがする。

 

 だからと言ってあんまり調子に乗ると見限られてしまいそうで怖いから、俺はこの船旅が終わったら自重しようと心に決めていた。

 特にあのドスケベ褐色スク水ダークエルフに手を出すのは間違いなくアウトだ。

 

「……しゃあないな、ちょっとだけだぞ」

 

 正直、こいつとはあんまりそういうことはしたくないんだけど……この船唯一の整備士にハムカー号を人質に取られては致し方あるまい。

 

「やったにゃ!」

 

 壁に背を預けている俺のあぐらの上にミュールはどしりと座り込んだ。

 俺はいつものように手に魔力を込めて健全なリンパマッサージを始める。

 

「にょ、にょほ〜、キクにゃあ〜」

 

 何度聞いても()える声だ……。

 アンバー監督の下でシた時も思ったが、こいつは自分本位が過ぎるんだよな。

 男を楽しませようとする気が一切ない。

 

「そこ、そこがイイのにゃあ〜」

 

 こいつが巨乳でさえいてくれたらどんな性格でも許せるんだけど、残念ながらミュールのおっぱいは並だ。

 

 一応再生スキルと医療スキルの合わせ技で豊胸手術をすることは可能っちゃ可能。

 とはいえ、身体のバランスが崩れるのは前衛職としては致命的だから軽々しく手を出すことはできない。

 

「イキスギィ! イクイクイクイク……」

 

 それに俺はどちらかと言うと入れ乳は否定派だ。

 やっぱり天然モノが一番なんだよな。

 

 そういう意味では、食糧の確保にかこつけて毎日ユニエルの豊満なお胸を揉める今の環境は天国と言っていいだろう。

 惜しむらくは期間が限定されていることくらいだ。

 

「ふにゃあ……」

 

 おっと、どうでもいいことを考えている間に施術の時間が終わっていたようだ。

 俺は腕に抱いていたミュールを解放して床にごろりと転がした。

 

「ふぅ、気持ちよかったにゃー」

「そいつはどうも」

 

 俺の房中術スキルを駆使した普通のリンパマッサージを堪能して満足したミュールは、乱れた忍者装束を直しながら礼も言わずに去っていったのだった。

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