マイマイダンジョン〜転生して魔力極振りチート魔導士になった俺は現代知識で世界を救う〜   作:我島甲太郎

196 / 288
第196話 11年目の再会

 双子山の西の山頂に作られた飛行場に止まった小型旅客機のタラップから真っ先に降り立ったのは、よく見覚えのある巨乳の褐色スク水ダークエルフだった。

 

 1年ぶりに摂取するアルメリウム成分に、俺の二つの目が釘付けになる。

 この旅で最上級天使の生巨乳を目いっぱい堪能して耐性が付いたと思っていたが、そんなことは全然なかった。

 

 むほほ、相変わらずえっちだ……。

 

 俺が紺色の布地を押し上げる大きなおっぱいを見ながら鼻の下を伸ばしていると、どこからか聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「ハルトくん、元気だった?」

 

 アイリスの声だ。

 

 俺はてっきり魔道具工房を跡継ぎのアイリスに譲り渡したアルメリアさんがネフライト王国にスカウトされてやってきたのだとばかり思っていたのだが……。

 

「あれ、アルメリアさんだけじゃなくてアイリスもきたのか」

「何を言っているの、ママなんていないよー?」

 

 会話している間も、俺の目は段々とこちらに近付いてくる双子山に釘付けだった。

 

「おかしなことを言うぜ、だってアルメリアさんならここに……」

 

 いきなりがしりと頭を両手で掴まれて、ぐいと顔が持ち上げられた。

 俺の目に映ったのは編み込んだサラサラの銀髪に褐色の肌、そして紫色の瞳。

 

「あ、アイリス……なのか……?」

「わたし以外に誰がいるの。馬鹿なハルトくん」

 

 いや、だって俺の知っているアイリスはもっとこう色々と小ぶりだったぞ。

 こんな男好きのする身体をしたムチムチ巨乳のお姉さんじゃない。

 

 ……でも、よく見たらその胸元にはちゃんとこん棒の形をしたミスリルの首飾りが提げられていた。

 こんなに目立つのに気付かないとか、どんだけおっぱいだけを見ていたんだ俺。

 

「本当、馬鹿。半年って約束したのに……」

 

 うるうると涙ぐんだアイリスが俺にぎゅっと抱き着いてきた。

 流石の俺も、ここで押し付けられたおっぱいの柔らかい感触をレビューして茶化すような心情にはなれなかった。

 

「ごめん、心配掛けたよな」

「ハルトくんが旅立ってからすぐに赤い手紙が届いて、わたしがどれだけ、うぅ~」

 

 アイリスをぎゅっと抱き返した俺はぐずぐずと泣く彼女の頭を優しく()でた。

 

「教授~、荷物くらい自分で持ってくださいよ~。……ファッ!?」

 

 大きなカバンをいくつも抱えてタラップから降りてきた金髪をマッシュルームカットにしているエルフの男が、俺に抱き着いて泣いているアイリスの姿を見て驚愕(きょうがく)に目を見開いた。

 

「魔道学院でアプローチを掛けてきたイケメン男子を片っ端から(そで)にしたことで鋼の魔道具職人(メタルクラフター)というあだ名がついたあのアイリス女史が(メス)の顔をしている……! あの男は一体何者なんだ……!?」

 

 何でそんなに説明口調なんだ。

 とはいえ、聞かれたならば答えねばなるまい。

 

「俺は賢者(ウォーロック)ハルト・ミズノだ。よーく覚えておけ……!」

「あの!?」

 

 どう「あの!?」なのかは知らないが俺は魔道学院でもそこそこ有名らしかった。

 俺がエルフの男を相手にイキっていたら、ずっと抱き着いていたアイリスがようやく離れた。

 

「アイリス、もういいのか?」

 

 彼女の赤く腫れた目元に指先を添えて魔力を込めると、スッと赤みが引いた。

 エクレアの時もやった覚えがあるが、こういうことをスマートにできるのがモテる男の条件だと俺は考えている。

 

「ありがとう、ハルトくん。わたしはもう大丈夫だよ」

「そうかな、まだほっぺが赤いみたいだけど」

「もう、ハルトくんってば……」

 

 俺達が人目もはばからずにイチャイチャしていると、さっきのエルフの男が抱えていた荷物を放り出して地面を転がった。

 

「ぐはぁ……!」

「おい、お前大丈夫か? 心臓が悪いなら診てやろうか」

 

 胸を抑えてのたうち回るエルフの男の健康状態が気になった俺が尋ねると、アイリスがゴミを見るような目で彼を見下した。

 

「シャムロックくぅん……遊んでないで自己紹介しなさい……」

「はい、ただいま!」

 

 シュバっと飛び上がったエルフの男が背筋をピンと伸ばして自己紹介をする。

 

「僕は魔道学院の魔道工学科でアイリス教授の助手をしているシャムロック・アズライトです! 好きな食べ物はハンバーガー、好きな女性のタイプはライザみたいなエルフ! 絶賛、彼女募集中です!」

 

 なるほどぉ、彼は褐色でスク水で巨女が好きなのね。

 二つくらい当てはまっている人が目の前にいるな。

 苦しんでいたのはただの非モテのBSS(僕が先に好きだったのに)か。

 

「人格に問題はあるけど、魔道具職人(クラフター)としての腕は確かだから連れてきたんだー。わたしはハルトくんと一緒に帰るつもりだけど、シャムロックくんは死ぬまでここで働くことになっているから頑張ってねー」

「そんな殺生なぁ!?」

 

 うるさい新キャラが騒いでいる間にも、小型旅客機のタラップからは続々と人が降りてきていた。

 

「ギース様、お初にお目にかかります。ウィリアム・ネフライトと申します」

 

 肩に白いハムマンを乗せているラグラスによく似た華奢(きゃしゃ)なエルフの男が美しい所作で一礼した。

 

「お前はプンレク島のハムマンコンテストでしょっちゅう入賞しているっていう、ハムマンブリーダーのウィリアムだな。そっちのハムマンはなんて名前だ」

「スノーハムマンのカリンです。この子は3歳なんですが、まだまだやんちゃで――」

 

 ギースと一瞬で打ち解けてハムマントークを始めたウィリアムの次に降りてきたのは長髪の天使だ。

 後ろに三人のモブ天使を引き連れて、彼女はビシリとポーズを決めた。

 

「呼ばれて飛び出てオリエルでーす! 皆様ごきげんよう!」

 

 元気よく挨拶したのは元ジャスティン支部長の上級天使オリエルだ。

 彼女はユニエルの後輩で、特に精神医学に秀でているらしい。

 

「おんやまあ、元気な子だねぇ」

竜人族(マムクート)の皆様、私がきたからには百人力ですよ!」

 

 記憶媒体を新品に交換した療養院の戦士達に最善のリハビリ治療を行う為に、ユニエルが彼女を呼び寄せたのだ。

 再生スキルも使えるので今後は俺の代わりとして療養院で働くことになるだろう。

 

「ああ、期待しているからな!」

 

 モーランの期待の眼差しを受けたオリエルは腰に手を当てて薄い胸を張った。

 

「どーんと私にお任せください!」

 

 そんな天使の次に降りてきたのは肩に大荷物を担いでいる、フライス航空のロゴが胸に付いた新品のツナギを着たドワーフの男だ。

 

「バイスのおっさんにゃ!」

「久しぶりだな、ミュール。整備の腕は(にぶ)っていないか?」

 

 彼はフライス整備工場で働いていたドワーフの一人である。

 新品のツナギを着ているのは、恐らく周囲に配慮したのだろう……。

 

「あちしを誰だと思っているのかにゃ? 半年やそこらじゃ大して(にぶ)らないにゃ」

「半年? まあいい、明日にでもこの新型旅客機の整備の手伝いをさせてやろう」

「やったにゃ! あちしもちょっぴり気になっていたところだったのにゃ!」

 

 最後に降りてきたのはフライス航空のロゴが胸に付いたパイロット服を着ているハーフリングの男が二人だ。

 

「ミュールの姉貴!」「俺ら、パイロットになったんすよ!」

 

 彼らは笑顔でミュールに駆け寄って彼女の顔を見上げた。

 どうも双子っぽいが、どちらもアクアマリンの若手走り屋グループ「愛駆逢魔愚連隊(あくあまぐれんたい)」に所属していたハーフリングだろう。

 

「誰かと思えばギンジにライルにゃ。他の連中は元気にしているかにゃ?」

「姉貴のいないグレンなんて価値がないってんで、すぐに解散しちまいました」

「むむむ、そうなのかにゃ……」

「だけど俺ら、今はみんなフライス航空で働いてるんです! 所帯も持って……これも全部姉貴のおかげっすよ!」

「転んでもタダでは起きないみたいだにゃ。オマエらもなかなかやるじゃにゃいか」

 

 俺はそんな彼らのやり取りをちょっと離れたところで見ていたわけだが……。

 

「……ところで、アンバーはいつまで沈黙を続けている気?」

「むすーっ」

 

 むすーっと言いながら俺の左腕に抱き着いているアンバー。

 彼女は俺の好みドストライクに成長しちゃったアイリスに激しく嫉妬していた。

 

「ハルトくん、わたし凄く頑張ったんだからね。ご褒美が欲しいなー」

 

 アイリスは俺の右腕に抱き着いてご褒美をおねだりしてくる。

 メキメキと左腕の骨が音を立てているが、俺は努めて我慢しながら返事をした。

 

「そんなこと言われてもなぁ、アイリスにあげられるようなものは何も持ってないよ」

「ハルトくんの嘘つきー。ここにあるじゃん、おっきいのが……」

 

 バキリと音を立てて俺の左腕が折れた。

 うぐぅ、魔道学院で社会経験を積んだ今のアイリスはとっても積極的だぁ。

 

「今、脳みそが壊れる音がしちゃった。僕はもうおしまいだ……」

「おっと、これは開頭手術が必要みたいですね! 今すぐ病院に搬送しましょう!」

 

 再度のBSSで脳を破壊されて地面に崩れ落ちたシャムロックを脇に抱えたオリエルがふわふわと空を飛んでいく姿を、俺は脂汗をかきながら見送ったのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。