マイマイダンジョン〜転生して魔力極振りチート魔導士になった俺は現代知識で世界を救う〜   作:我島甲太郎

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第213話 フライス航空スタンプラリー

 朝8時頃にラブオデッサ飛行場を出発した忍者ハヤテ号は真っ直ぐにティアラキングダム国内を西進し、3時のおやつ時にアルビオン平原のユダ飛行場まで到着した。

 

 航空無線機で連絡した管制塔から誘導を受けて着陸し、飛行機から降りる。

 そうしたら空港ターミナルの受付に行って、ラブオデッサ飛行場でミュールが受け取った紙切れにスタンプを押して貰う。

 

 利用記録は管制塔にも残されているが、これをやっておかないと諸経費で飛行場の利用料金が割り増し請求されるので手続きはきちんとした方が無難だ。

 

 飛行場の近場に新しく建てられたお高めのビジネスホテルでチェックインしたら、バイクに乗ってユダの町をドライブだ。

 

 レンガ造りの建物が建ち並んだ古きよき街並みを突っ切ってやってきたアルビオンシープ牧場で軽く観光をした後、ドライブインユダにレッツゴー。

 

 アンバーの「わしとこん棒7」で宣伝したせいか隠れた名店は以前よりも格段に混んでいたが、なんとか俺達はジンギスカン定食にありつくことができた。

 

 やはり、ここのジンギスカン定食は最高に美味い。

 ミュールが重ねて注文したミルクみそラーメンも味見させて貰ったが、こちらもかなりの出来だった。

 

 流石は俺の好きな異世界グルメランキングに殿堂入りした店だ。

 ちなみに他に殿堂入りしているのは鬼の隠れ家亭と喫茶リブトン、そしてグレゴリーホテルとなっている。

 

 会計時にアンバーの正体に気付いたオーガ婦人にサイン色紙を頼まれたりもしたが、その辺りのことは割愛させて貰うとしよう。

 

 俺達は確かな満足感とともに大きく膨れたお腹を抱えてホテルに帰り、早めに就寝して明日のフライトに備えた。

 

 

 翌日、日も上がらぬうちにビジネスホテルをチェックアウトした俺達は再び空の旅に出る。

 

 眼下に広がる大草原で放牧されているアルビオンシープの群れを眺めながらひたすら西に向かって飛び続けると、お昼前になって統一帝国時代の廃墟跡地に作られたアルビオン飛行場に到着した。

 

 俺も当時建設に関わっていたから知っているが、ここに元々あったスタック銅製の廃墟はすべて新しい建物に建て替えられており、フライス航空の運営する宿泊施設などに変わっている。

 

 このアルビオン飛行場には稼働中の小型プロペラ旅客機(3倍の速度が出る最新鋭の小型ジェット旅客機は燃費が最悪なので基本使われていないらしい)が何機も止まっていた。

 

 元々は俺達みたいな個人でアクアマリン=ユダ間で飛行機旅をする人間向けに用意した設備だが、思ったよりも中継地として使われているみたいだ。

 昼食を食べる為に食堂に行くと、そこはフライス航空の利用客でいっぱいだった。

 

 ここは近くにダンジョンや畑もないので、使われている食材はすべてアクアマリンやユダの町からの輸入品だ。

 とはいえ、きちんとした料理人を雇っているのか味はそこそこだった。

 

 フライス航空の利用客は無料で食べられるみたいだが、俺達は旅人なのでちょっとお高めの料金を現金支払い。

 ついでにお手洗いも借りてから、再び空の旅へと戻っていった。

 

 

 昼からずーっとチューブ荒野の上空を飛び続け、チューブニオンデスワームの群生地を越えてまた飛ぶと、遠くに小さく街並みが見えてきた。

 あれこそ懐かしき我らが故郷、アクアマリン市だ。

 

 (はや)る気持ちを抑えつつ、外周のレッドラインに近付いて航空無線機が管制塔に繋がったことをランプの光で確認したミュールが受話器を取って口元に寄せた。

 

「あーあー、こちら忍者ハヤテ号。アクアマリン東飛行場への着陸許可を願うにゃ」

 

 一瞬の間を置いて、魔道音声がスピーカーから発せられる。

 

『登録番号をお教えください』

「登録番号000番。000番にゃ」

『そのような番号は……はい? わ、分かりました! 0番滑走路をお使いください!』

 

 どうやら対応した管制塔のオペレーターはフライス航空最古参のパイロットであるミュールの存在を知らないようだった。

 

「了解にゃー」

 

 ガチャリと受話器を戻したミュールはレッドラインのすぐ内側にある巨大な飛行場の四本ある滑走路のうち、フライス航空の関係者用の滑走路にホバークラフト機構を使ってふわっと飛行機を着陸させた。

 

 ささっと降りて忍者ハヤテ号をミュールの装具に仕舞い、これまでで一番大きな空港ターミナルへと徒歩で向かう。

 

 ラブオデッサ飛行場で発行された紙切れ(各地の飛行場のスタンプ付き)を受付のハーフリングの女性に提出したら必要な手続きはすべて終了だ。

 これまでの飛行場の利用料金はミュールの口座から引き落とされるだろう。

 

「皆さん、社長にお会いになられますか?」

 

 幸いなことにこの受付の人(本名ラティナ)は顔見知りだった。

 フライス航空の立ち上げ時に雇った人で、しかもギンジの奥さんである。

 この会社は福利厚生がしっかりしているので職場恋愛は大歓迎だ。

 

「フライス、今いるのか?」

「いつもこの時間は製作所で機械弄りをしておりますので。警備の関係もあって案内は付けさせて貰いますが、どうされます?」

 

 モモちゃんが成長した今もあの宿に泊まれるか分からないから日が落ちる前に鬼の隠れ家亭に顔を出そうと思っていたんだけど、どうしたものかな。

 

「二人とも、どうする?」

「フライスの頑張りのおかげでわしらはこうして帰ってこれたわけじゃ。会わぬわけにはいかぬじゃろう」

「あちしもできれば会っておきたいにゃ」

「じゃあ、お願いします」

「それでは、警備に連絡しますね」

 

 ラティナが耳に手を当てて念話で連絡すると、すぐに警備服を着たムキムキのヒューマンのおっさんがやってきた。

 彼はにこやかな笑みを浮かべて俺の肩をバンバンと叩く。

 

「久しぶりだなぁ、元気してたか?」

「いてっ、いてて。そりゃあ元気に決まっているさ」

 

 昔、アクアマリン迷宮の四層で宝探しをしていた元Bランク探索者のゲイルだ。

 分かりやすく言うとバラック氏のパーティーメンバーでチャーハンを作ってた人。

 

 引退した探索者は高いレベルと戦闘力を活かしてこういった警備などの仕事に就くことが多いんだよな。

 それも上級探索者ともなれば引く手数多だ。

 

「今日はもう上がりなんだ。せっかくだから後で鬼の隠れ家亭に飲みに行かないか」

「俺達も最初からそのつもりだからいいけどさ、バラック氏とか他の連中は今どうしているんだ?」

 

 空港ターミナルから出た俺達はちょっと離れた場所(0番滑走路の近く)にある飛行機製作所に向かって歩きながらゲイルと話をしていた。

 

「魔道列車が開通してからというもの、四層にやってくる上級探索者が増えてなぁ。まだ粘っている連中もいるが、バラックのパーティーは俺含めて全員引退さ」

 

 アモロ共和国の海都カナンに直通しているという魔道列車か。

 ギンジとライルから話は聞いていたが、こういったデメリットもあるんだな。

 

 俺達のダンジョン踏破で宝珠が沢山手に入ったことで、アクアマリン迷宮にも一層から四層まで繋がるショートカットが作られたことも影響しているのかもしれない。

 

「ふむ。質の方はどうじゃ?」

「ちょいちょい死人は出るな。特に巨竜は酷いもんだ」

「少し肩慣らしでもと思ったが、今回は控えた方が良さそうだな……」

 

 探索業自体はアバロンの里周辺のBランク迷宮でがっつりやっているから飛行機用の魔石も潤沢(じゅんたく)にあるし、無理してトラブルに巻き込まれるよりはいいだろう。

 どうせ2ヵ月もしたら旅に出るわけだから、割り切って休養期間に回すとしよう。

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