マイマイダンジョン〜転生して魔力極振りチート魔導士になった俺は現代知識で世界を救う〜   作:我島甲太郎

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第225話 夢のマイホーム

 2泊3日のカナン旅行が終わってから数日後、俺は探索者ギルドの奥にあるダンジョンマスター専用の応接室でエクレアと話をしていた。

 

「—―ってなことがあったんだけど。お前、ちゃんと子供の(しつけ)してたのか?」

 

 アルテミスの話では、上の姉—―ヘラには幼少期から事あるごとにちょっかいを出されていたらしい。

 

 おやつを取り上げられるのはもちろんのこと、オモチャやぬいぐるみ……大事にしていた絵本をばらばらにされたこともあったとか。

 

 守り人は見ているばかりで助けてくれず、模擬槍を持ち出しても負けるのは当然ステータスに劣るアルテミスの方。

 そりゃあ、他の姉妹と離れてお家に引きこもりたくもなるわけだ。

 

「あの子達は懲罰を受けるようなことはしていないし、戦い方もきちんと教えたわ。他に何が必要なのよ」

 

 エクレアは俺が持ってきた書類をペラペラとめくりながら知らん顔をしている。

 

「お前な……」

「ヒューマンには分からないだろうけど、海の世界じゃ弱い個体は淘汰(とうた)されるの。ダンジョンマスターの娘に必要なのは第一に強さ、第二に知識。アンタは過保護過ぎるのよ」

「確かに自覚はあるけどさ……」

 

 アルテミスを除いた4人の姉妹はエクレアの幼少期と同様、深海コーラルの高等学校に通いながらアモロ共和国の湾岸警備隊で厳しい訓練を受けている。

 

 彼女達は成人後にブルームーン海峡や海中ダンジョンで探索者業に励み、それから故郷であるアクアマリンに帰ってくる。

 

 そしてサブマスターとなり、リザーブマスターを目指して五層に挑む。

 それがアクアマリンに生まれたダンジョンマスターの娘の生き方だった。

 

 ついていけずドロップアウトした娘はただの一般人として湖の街や海で暮らすか、あるいは勉強してギルド職員にでもなるかだ。

 アルテミスも本来は後者になるはずだったが、今は違う未来を目指している。

 

「ま、アルテミスが学校に行くようになっただけマシね。でも魔道学院の方は……ちょっと無理だと思うわ」

 

 魔道学院以外の大学の受験資格はギルド主催の卒業認定試験に合格するだけで手に入るので自宅学習で済ませる人も結構多いが、社交性を身に着けたりパーティーメンバーを探す上では学校に通った方が何かと都合がいい。

 

 だからアルテミスは湖の中の高等学校ではなく、この街の富裕層が通うアクアマリン学園高等部に編入した。

 環境が変わったおかげか、それなりに話せるクラスメイトはできたらしい。

 

「俺もそう思う。とはいえ、目標は大きく持った方がいいのも事実だ」

 

 アルテミスは俺みたいに錬金術スキルを扱える特定魔道技術資格(厳密にはまだ俺も持っていない)が欲しいようだ。

 

 だけど土属性スキルを極めた先にある究極の金属、ミスリルを生成する錬金術スキルを習得するには魔道学院の鉱物学科のレクナム教授(出世したなぁ)から直接教わらなければならない決まりだ。

 

 資格を手にするだけなら魔道学院に入学せずともコネでどうにかできるだろうが、それもアルテミスが一流の土属性スキル使いになってからでなければ意味がない。

 魔力量的にレベルも最低70(それで10万MB(マナバレット)くらい)は必要だろう。

 

 だからアルテミスが一端の探索者として成長して、それからだな。

 彼女が今やるべきことは知識を蓄え、魔道の腕を磨き、信頼できる仲間を集める。

 どこにでもいる魔導士(ウィザード)志望の子供と一緒だ。

 

「うん、書類の方はちゃんと整っているわ。……それにしても、変な家ね」

 

 エクレアはこれから俺が建てる予定の家の設計図を見て、呆れた顔をした。

 

「なにおう、海賊王ギースが設計して名工のメイソンが建てる家だぞ。絶対にいい家になるに決まっている!」

 

 白岩石(はくがんせき)造りのハムカーっぽい外観をした三階建ての大きな一軒家。

 ハムケツの部分にアイリスの魔道具工房用のスペースも確保し、ハムマンを放し飼いできる広い庭も完備した。

 

 建てるのは探索者ギルドと鬼の隠れ家亭の中間地点にある一等地 (?)だ。

 エクレアにハムカー利権の代わりに供出(きょうしゅつ)させたので、土地代も税金も全部タダ。

 俺のハムカー御殿(ごてん)は完璧だ。

 

「それ、絶対に観光地化するわよ。家の中を覗かれたりして面倒なことになるだけだと思うけど……」

「そこはほら、アイリスの魔道具で何とかするつもりだ。それにどの道、魔道具工房は開くつもりだからさ」

 

 アンバーの里帰りが終わって探索者を引退した俺は、そこで店番でもしながらミスリル製のアクセサリーを売ったりするのだ。

 夢のセカンドライフにワクワクが止まらないぜ。

 

「アンバーが納得しているならそれでいいわ。アンタの好きしなさい」

 

 投げやりに返したエクレアは、手に持っていた家の設計図をテーブルの上に放ってソファにごろりと横になった。

 今日のお仕事はもう終わりのようである。

 

「なぁ、エクレア」

「何よ。また例のアレをして欲しいってわけ?」

 

 俺は東大陸から帰ってきてからというもの、再三に渡って交渉を続けていた。

 そのメロンおっぱいで俺にエッチなことをして欲しいと……。

 なお、交渉が成功したことは一度もない。

 

「こんなもの、重たくて邪魔なだけなのに何がいいのかしら?」

 

 エクレアの右手が(こぼ)れ落ちそうなたわわなメロンを持ち上げた。

 

「それがいいんです。一度だけでも、どうにかなりませんか」

 

 異種族間における価値観の違いは(くつがえ)しがたいものがあった。

 どれだけ見た目が美少女でも、根っこの部分がお魚さんなんだもん。

 

「はぁ……。仕方がないわね、そこに正座しなさい」

 

 エクレアは寝そべっているソファの肘掛けの隣の床を指差した。

 こ、これはまさか……!

 俺はジャイアントサイズのソファからシュバっと移動して床の上に正座した。

 

「房中術スキル使ったら建築許可取り上げるから。いいわね?」

 

 俺は自分の両腕を後ろ手に回して、更に石枷(いしかせ)を掛けて意思表示した。

 

「ハイヨロコンデー!」

 

 エクレアは脱いだ薄い羽衣をソファの背に掛け、その上に外したミスリルの首飾りを置いた。

 背中に手を回してビキニの紐を外すと、お胸が重力に引かれて……おほぉ。

 

「気持ち悪い顔ね……やっぱりやめようかしら」

 

 俺はだらしなく垂れ下がった表情筋をキリッと引き締めた。

 

「ぱふぱふ……お願いします」

「はいはい」

 

 するとエクレアの両手で持ち上げられた状態の、ポッチが付いたお胸がゆっくりと頭上から(せま)ってきて……。

 

 ぱふぱふ。

 ぱふぱふ。

 

 あぁ……幸せだ。

 

「ママ、ただいまー。あっ……」

 

 目の前がひんやりと冷たいおっぱいに埋もれているので見えないのだが、それが高等学校から帰ったアルテミスの声だということだけは分かった。

 どうやら最悪のタイミングで見られてしまったようだ……。

 

「ご、ごめんなさいっ!」

 

 バシャンと水音がして、それからエクレアのおっぱいが離れた。

 エクレアは腕で胸を抑えてめちゃくちゃ気まずそうな顔をしている。

 

「続き、お願いします」

「……まだやる気?」

「もう、手遅れなんで……」

 

 俺はぱふぱふのお代わりをして貰った。

 

 悲しいことに、どうアルテミスに言い訳しようかという思いが頭の中をぐるぐると駆け巡ってあんまり楽しめなかった。

 

 次からエクレアのぱふぱふは子作りの時だけしてくれるらしい。

 確かに、それくらい間隔を空けた方がレア度が増していいのかもしれない。

 そう感じた午後の夕暮れ前であった。

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