マイマイダンジョン〜転生して魔力極振りチート魔導士になった俺は現代知識で世界を救う〜   作:我島甲太郎

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第241話 夜の大運動会

 その日の晩ご飯の献立は新鮮な白アスパラを細長く切ったスティックサラダ(マヨネーズ付き)、ケツメオオウサギの香草焼き、そしてジャガー芋の芋餅だった。

 

 素朴なハイランドの郷土料理は美味しかったが、代わり映えのないこのメニューを毎食のように食べるというのは舌が肥えている俺にはちょっと厳しい。

 できれば食べ飽きる前にこの地を離れたいところだ。

 

 夕食後は家の裏庭に建てられていた小さな木造のサウナルームで汗を流す。

 湯着を着ずにみんなで入るのがハイランド流だそうで、俺達はフォス爺の勧め通りに裸の付き合いをした。

 

 その際おぼこのシトリーはやたらと俺の息子を凝視していたようだが、俺は努めて冷静に振舞うことで乗り切った。

 流石に自分の女とロリショタしかいないのにエレクチオンしたりはしないからな。

 

 冬は積もった雪にダイブするのがハイランド流の定番だからか、サウナルームの外にあった水風呂が五右衛門風呂かよって言うくらいに小さかった。

 

 困った俺はその隣にちょっと大き目な石風呂を作らせて貰うことにした。

 みんなでお風呂に入るのなら、やっぱり肩を並べて浸かりたいのだ。

 

 こうしてサウナを楽しんでいるうちにすっかり日も暮れたので、就寝のお時間がやってきた。

 照明の魔石代すらケチる辺境の夜はとっても早いのである。

 

 俺は狭い客室に並んでいた大きなベッド――定期的にやってくる行商人が使っているらしい――を二台くっつけると、部屋の鍵がきちんと掛かっているかしっかりと確認した。

 

「のう、本当にするのか……?」

 

 ベッドサイドに腰掛けているパジャマ姿のアンバーが不安そうに尋ねると、発起人のアイリスが部屋の中心に設置した防音用の結界魔道具を弄りながら答えた。

 

「明日から忙しくなるからねー、時間のあるうちにしっかり英気を養わないと」

「アンバーが嫌なら、俺はしなくても別にいいけどね」

 

 人の痴態を見るのは平気でも、自分の痴態を見せるのはそんなに嫌か。

 まぁ、俺も好んで他人に見せたいかと言えばNOだけどさ。

 

「それは困るにゃ! あちしにとっては久しぶりのお楽しみにゃんだから!」

 

 せっかちなミュールは既にパジャマを脱ぎ捨ててベッドの上に大の字になっていた。

 チャンスがあればいつでも飛び付くのがこの猫娘だ。

 

「分かっておる、分かっておるわい。家族に隠し事はナシじゃと昼にも言われたしのう、時には恥をかくのも悪くはないじゃろう」

「うんうん、そうこなくっちゃ!」

 

 防音結界の調整を終えたアイリスはベッドの上に上がると、膝立ちで背後からアンバーのパジャマのボタンを一つ一つゆっくりと外し始めた。

 アイリスの巨乳がアンバーの後頭部に押し付けられて、むぎゅっと変形している。

 

「ほれ、お主も(はよ)うくるのじゃ。ちゃーんとわしらを楽しませるのじゃぞ?」

「えへへ、わたしはいつでも準備万端だよー?」

 

 期待を隠そうともせずにほっぺを赤らめているアンバーとアイリスの姿を見ていると、俺も何だか興奮してきた。

 

「男の甲斐性の見せ所さんだな。よーし、頑張るぞー!」

 

 その日の晩、俺達は初めて4Pをした。

 健全なサイトには載せられないような酒池肉林のハーレムである。

 

 しかしながら、理想と現実は違うものだ。

 3人の女に均等にご奉仕をするのはめちゃくちゃ大変なお仕事で、ぶっちゃけ気苦労の方が大きかった。

 

 とはいえ、自分の恋人が百合百合エッチしているところを見ていると普段とはまた違った興奮が訪れるというのも確かなものだ。

 3Pくらいなら多少は負担も軽いし、またしてもいいかもしれない。

 

 最後に夜の大運動会の後始末をした俺達は、ハイランドアルパカ毛製のカラフルな掛け布団を被ってぐっすりと就寝したのだった。

 

 

 翌日から、俺達はそれぞれ別行動を取ることになった。

 ネフライト王国の依頼はダンジョンの踏破補助だけなのだが、その後のことを考えて色々とやるべきことがあるのだ。

 

 まずは俺の仕事だが、これはアイリスの手伝いだ。

 

 ディオゲネス山脈の山頂で発掘した世界樹の結界魔法陣が刻まれた石板が必要になるのは1000年は先のことになるから後回しで問題ないとして、それまでの間は別の方法で世界樹の若木を守らなければならない。

 

 具体的にどうやるかと言うと、ダンジョンの周囲に造った直径1キロほどの城壁を起点に強力な対魔獣結界を展開する。

 

 これはテンカイ城やフライス航空の飛行機製作所などで使われている対人結界とはまた違って、西大陸の迷宮都市で使われている防御力に特化したものだ。

 

 俺は昨日のうちにエルフの工兵が縄張りをしてくれていた線に沿って、石の流体で縦4m奥行き2mの城壁をひたすら作り続けていた。

 

 この世界の城壁は基本的に結界ありきなので防御力はそこまで重視されない。

 普通は近場のダンジョンで大量に用意できる石材や金属を利用することが多いのだが、今回はアイリス教授の鶴の一声で俺の魔力を使うことに決まっていた。

 

 城壁の中にはごん太の魔道線で繋がった無数のミスリル発魔機が埋め込まれていて、半分くらいまでなら破壊されても結界の維持に支障が出ない助長性が担保されている。

 

 月光発魔パネルと魔道バッテリーを使った旧式の結界城壁は城壁のサイズがこの倍は必要になるというから、これでも楽になった方なのだろう。

 

「それでもマジックポーションなしだと1ヵ月くらいは掛かりそうだな……」

 

 魔道具職人(クラフター)で構成されたエルフ工兵による埋設用のミスリル発魔機の設置作業に追いついた俺は、城壁の上に腰掛けて消費期限切れのマジックポーション原液が入った瓶を片手にしばらく休ませて貰うことにした。

 

 辺りを見渡してみると、まだ1割も完成していない城壁の内側では軍服エルフ達が慌ただしそうに温室の建築工事を行っていた。

 

 予定になかったケツメオオウサギの家畜小屋も昨日のうちに急ピッチで仕上げてくれたようで、脱走防止用の石壁の囲いの中には尻に目玉のような模様のある大型犬サイズの灰色ウサギが入った金属製のケージが並んでいた。

 

 ダンジョンから連れ出された魔物が受肉するまでの時間は魔石の等級に比例する。

 一層の魔物なら大体30分くらいもあればシメても消滅しないお肉になるだろう。

 

 ガジガジとケージを(かじ)っている灰色ウサギをボーっと眺めていると、ウサギ狩りを終えてダンジョンゲートの中から出てきたハーフリング達に混じって忍者装束を着た赤毛の猫娘がアルパカの背に乗ってやってきた。

 

「ハルト、調子はどうにゃー?」

「ボチボチかな。そっちは……聞くまでもないか」

 

 ハーフリング達が連れている他のハイランドアルパカの背には暴れられないよう口と足を縄で(くく)られたケツメオオウサギが山ほど積まれていた。

 

「ふふん、あちしに掛かればウサギ狩りなんてチョー余裕にゃ!」

 

 ハイランドの民は冬ごもりの前に半年分は狩って干し肉などに加工するそうだが、狩り納めということもあってひとまず1年分は用意するつもりだそうだ。

 

 酪農にも造詣(ぞうけい)が深い魔道学院農学科の卒業生が世話を担当するからケツメオオウサギの養殖が失敗することはないと思うが、念には念をということらしい。

 

「ミュール、地下に行くんならアンバーの様子を見てきて欲しいんだけど」

「分かったにゃ。よーし、行くにゃハヤテ丸!」

「この子の名前はポポです」

「行くにゃポポ丸!」

 

 ミュールはそのままアルパカの背に乗ってハイランドの里に帰っていった。

 それを見送った俺は、城壁の上でごろりと横になってぼんやりと空を眺めた。

 

 アンバーは地下シェルターにある集会所の隣に新しい図書館を建てている。

 アバロンの里での経験を踏まえて、今回はドワーフの工務店に頼んで設計して貰った特注のプレハブ小屋を使うことにしたらしい。

 

 力持ちの彼女なら大丈夫だとは思うけど、本当に一人で建てられるか心配だった。

 でも完成するまではこないで欲しいのじゃって言われているしなー。

 

「あ、まただ」

 

 空に浮かぶハムマンっぽい形の雲の中から一羽のグリフォンが姿を現した。

 見晴らしのいい高原のど真ん中でこんなド派手な工事をしていたら、そりゃあ魔獣も興味を持ってやってくるよな。

 

 ヒューンと風切り音を立てて一本の青い閃光が天高く昇って行ったかと思うと、蟻より小さく見えるほどに遠くを飛んでいたグリフォンが射抜かれて落下した。

 

 ネフライト王国が誇る国防組織、護り手(ガーディアン)の魔道弓兵の仕業だ。

 初めて見た時はそのえげつない射程と威力にビビったが……こう何度も続けば逆に安心して休んでいられるというものだ。

 

「ハルトさん、そろそろどうですか?」

 

 下からエルフ工兵に声を掛けられた俺は身体を起こして工事の進捗(しんちょく)を確認した。

 どうやら休んでいる間に魔道線の設置作業も結構先まで進んだようだ。

 

「すぐにやりますから、離れていてください」

 

 さっさとこの面倒な仕事を終わらせてダンジョンに行こう。

 城壁の上で立ち上がった俺は25mプールサイズの超巨大な石の流体を空中に生み出すと、透明な型につーっと流し込むようにして城壁の続きを作り始めたのだった。

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