マイマイダンジョン〜転生して魔力極振りチート魔導士になった俺は現代知識で世界を救う〜   作:我島甲太郎

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第31話 古代兵器の末路

 数日後、探索者ギルドに呼び出された俺達二人は豪華な応接室まで案内された。

 

 案内してくれた人魚の職員さんから「責任者がくるまでしばらくお待ちください」と言われたので、出された茶菓子を遠慮なくもりもり食べながらお茶を(すす)って待っていると、しばらくして水路の向こうから一人の人魚がやってきた。

 

 いつものように金魚鉢型のポッドに乗ったエクレアだ。

 

「ごめん、待たせちゃった?」

「待ったよ、めちゃくちゃ待った。一体何してたんだよ」

 

 1時間くらい待ったよ。

 アンバーと一緒じゃなければとっくに帰っているところだ。

 講習の時に2時間も待たせた俺が言えることじゃないけど、それはそれとしてだ。

 

「アタシも責任ある立場だからやらなきゃいけないことが沢山あるのよ。特に今回はこの街始まって以来の大事件だったから処理する書類が山ほどあって大変よ、まったく」

「エクレアは次期ダンジョンマスターじゃからのう、仕方ないのじゃ」

「マジかよ、初耳なんだが」

 

 サブマスターは全員ダンジョンマスターの子孫だって聞いていたから、プリメラさんの娘とはいえそこまで偉い立場だとは思ってもみなかった。

 まあ彼女は現役Aランク探索者らしいし、腕っぷしが求められるダンジョンマスターにはお似合いなのかもしれない。

 

「今からでも敬語使った方がいいかな?」

「やめてよ気持ち悪い。さ、時間も押しているからさっさと用事を片付けるわよ」

 

 エクレアは金魚鉢から一つの布袋を取り出すとテーブルの上に置いた。

 チャリンと音が鳴ったので、恐らく中には現金が詰まっているのだろう。

 

「まずBランク探索者パーティー『こん棒愛好会』に対して100万メルの報奨金ね」

「思ったより安いんだな、もっと沢山貰えるものだと思っていたよ」

「こういう緊急クエストは主に西大陸でスタンピードなんかが起きた時に発令されるものだから、余り多くすることはできないのよ。街の危機を救う度にいちいち報奨金を出していたら、探索者ギルドが破綻(はたん)しちゃうわ」

「ま、知っておったがのう。それでも新しいこん棒を作るには十分じゃろうて」

「それはいいとして、次が本命ね」

 

 次にエクレアは金魚鉢から化粧箱を取り出すとこちらに向けて開いた。

 中から現れたのは、黄色く輝く宝玉だった。

 

「ライトニングコア。Aランクのエレメンタルコアなんて、いくらお金を積んでも手に入れることはできないわ。大事に使いなさいよ」

「これでお主の新しい杖が作れるのう。頑張った甲斐があったものじゃ」

 

 Cランクのエレメンタルコアでも買おうとすると1個10万メルはするからな。

 Aランクともなればオークションでたまーに出品される程度だから、その価値は青天井だ。

 俺のメインウェポンになるであろうチート武器を作るのが今から楽しみだぜ。

 

「今回の事件で分かったことだけど、統一帝国はエレメンタルを捕獲して動力源に変える技術を保有していたわ。これは統一帝国史を研究する上で大きなブレイクスルーになるでしょうね」

「わしの名前がいずれ歴史の教科書に載ったりするのかのう。楽しみじゃ」

「それは多分無いと思うけど……。まあいいわ、問題はそのエレメンタルの出処(でどころ)なの」

出処(でどころ)って、普通にデスマウンテンの中のダンジョンじゃないの? あの統一帝国の帝都があったとかいう」

「だから恐らく、デスマウンテンの内部はAランクのエレメンタル種の巣窟(そうくつ)になっているわ。もし迂闊(うかつ)に手を出して連中が外に溢れ出るようなことがあれば、今回の比じゃない被害が出る可能性が高い。すぐにあそこは禁足地に指定されることになるでしょうね」

 

 禁足地はギルド本部の職員が24時間体制で監視している危険地帯だ。

 ネフライト国境のギガンティックタイタン埋没地もそのうちの一つ。

 要するに、核地雷レベルの危険物が埋まっているスポットってことね。

 

 ちなみに禁足地は無許可で侵入しただけでテロリストを疑われて、えげつない拷問を受けるそうだ。

 聞いた話だと、昔に月光教の狂信者が何かしでかしたらしい。

 マジでロクなことをしない宗教だな本当に。

 

「ああそうそう忘れていたわ。ハルト、ギルドカード出しなさい。ランク上げてあげるから」

「昇格試験を受けなくても大丈夫なのか?」

「Cランク以上じゃないとダンジョン内で救援要請が出せないの。アンバーが居るからどうせすぐに昇格するだろうし、リジェネレーションを使える人間をいつまでもDランクで遊ばせておく理由もないでしょ」

「それもそうか、じゃあ頼むわ」

 

 俺がギルドカードをテーブルに置くと、エクレアはカードをさっと指で()でた。

 ステータスを確認すると、探索者ランクがCランクに上がっていた。

 

「じゃ、アタシは仕事があるからもう行くわ。またね、二人とも」

「達者でのう」

「またな、エクレア」

 

 そうしてエクレアはぴゅーっと水路の上を飛んでいった。

 人魚なのにエクレアが水の中を泳いでいるところを見たことがないな。

 便利な道具に頼りすぎてないか、あいつ。

 

「さあて、纏まった金も手に入ったことだしフライスのところで新しいこん棒を作って貰いに行こうぜ」

「うへへ、そうじゃのう。どんな素材にするか、選ぶのが楽しみでならないわい」

 

 人様に見せられないようなだらしない顔してるんじゃない。

 危ないクスリでもやってるんじゃないかと勘違いされちゃうよ。

 

 豪華な応接室から出た俺達は、ロビーを経由して探索者ギルドの外に出た。

 今日も外の天気は雲一つない快晴だ。

 

「お主、ちょっと寄り道していかんか?」

「別にいいけど、どこに行くのさ」

「ほれ、アレじゃ、アレ」

「そうか、アレのお披露目は今日だったか」

 

 俺達は目の前の横断歩道を渡ると、ギルド前の公園までやってきた。

 公園の一角に沢山の人だかりができている。

 俺はアンバーを肩車すると、人だかりの後ろから目的のものを眺めた。

 

 そこに設置されていたのは、左腕のないギガンティックタイタンの残骸だった。

 いくつもの太いロープで地面に固定されたゴーレムの周囲を、様々な種族の子供達が遊びまわっている。

 

 まさか古代人もネフライトを滅ぼす為の兵器が子供の遊具にされるとは思っても見なかっただろう。

 

「探索者ギルドも面白いことを考えるものじゃのう」

「ああ、そうだな」

 

 きっとこいつはこれから先、この街を代表する新たなシンボルになるだろう。

 次に発行される「みるだむ」を読むのが今から楽しみだ。 

 

 こうして街を襲ったギガンティックタイタンの末路を一通り堪能した俺達は、いつものようにバイクに乗ってフライス整備工場へ向けて走り出すのだった。

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